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高齢出産の流産リスク|流産の確率やリスクの高い時期は?

35歳以上の方が初めて出産することを指す高齢出産。高齢妊娠は流産や染色体異常を持った子どもの出産率が高いことで知られており、妊娠を望んでいれば不安に感じる人も多いのではないでしょうか?今回は高齢出産をする人の流産のリスクやその確率を解説します。併せて流産の原因も解説しますので、参考にしてくださいね。

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高齢出産の流産リスク

悩む女性
妊娠時の年齢が高くなるほど流産のリスクが高くなります。高齢出産は、初めての出産した時期が35歳以上の人のことを指します。日本産科婦人科学会では35歳以上で初めて妊娠する人のことを「高齢妊娠」と定義しています。

すべての妊娠のうち、およそ15%は年齢に関係なく流産する可能性があります。これは赤ちゃんの染色体異常によるものです。一方で、母体年齢があがるにつれて常染色体トリソミーの頻度が高くなることや、加齢に伴う子宮機能低下が影響していると考えられています。

22歳前後の流産率は8.7%であるのに対し、48歳以上では84.1%です。このことからも加齢が流産率に関係することがわかるでしょう。

35~39歳の流産確率

高齢出産となる35~39歳の流産率は20.9%です。22歳前後の流産率が8.7%、25~29歳では9.7%、30~34歳では12.4%となっており、35歳を超えると流産率が高くなっていることがわかります。

40代の流産確率

40代ではさらに流産率が高くなります。40~44歳では43.6%、45歳以上では80%を超えます。すべての年齢で起こる流産の15%は染色体異常によるものですが、40歳以上になると、それ以外の要因での流産が増えることがわかります。

経産婦の高齢出産の流産率

35歳以上の初産の人を高齢妊娠と呼びますが、出産を経験している人の場合、40歳以上を高齢妊娠と定めています。

一度、妊娠・出産を経験している人でも年齢が上がれば同じように流産のリスクは高まります。1人目で問題なく妊娠・出産できたとしても、2人目以降にはさらに年齢が高くなることから、妊娠率は下がっていくものです。年齢が上がるにつれて流産率も高まることは、初産の人でも経産婦でも変わりはないでしょう。

流産の原因

悲しむ女性
流産は女性の約40%が経験するとも言われており、珍しいことではありません。流産のうち、妊娠12週未満の早い段階で起こるものを早期流産と言います。

早期に起こった流産の主な原因は赤ちゃん自体の染色体などの異常と考えられています。つまり、受精の瞬間に流産することが決まっているのです。この場合、妊娠初期の仕事や運動が原因となることはありません。

一方で妊娠12週以降、22週未満の流産を後期流産と言います。後期流産は母体側の原因が増加します。子宮筋腫や双角子宮、頚管無力症、子宮内感染など子宮の異常によるものや、甲状腺や糖尿病、インフルエンザなどの感染症なども流産の原因です。

後期流産は原因がはっきりしている場合もありますが、流産については不明な点も多いです。妊娠中に激しい痛みや出血がみられる場合は早急に病院を受診しましょう。

流産しやすい時期

前述したように流産は早期流産と後期流産とに大別できます。早期流産は妊娠12週未満、後期流産は妊娠12週以降、22週未満で起こります。

妊娠した人の約15%の確率で起こる流産は、早期流産で13.3%、後期流産は1.7%です。初期流産は受精卵の段階で妊娠を継続するのが難しいのが特徴で、母体が原因ではありません。妊娠した人が100人いればそのうち13人程度は早期流産を経験します。

もし早期流産が起こってしまっても自分を責めないようにしましょう。

流産のリスクを下げる方法

早期流産は日常生活に気を配っていても全体の15%で起こるものです。しかし以下のことを意識することで、流産の確率を下げることができるかもしれません。

  • 禁煙
  • ビタミン摂取
  • 過度な運動を避ける

ただし、上記はあくまでも一例です。妊娠の経過や段階によっても対策は変わります。それぞれを解説します。

禁煙

妊娠中の喫煙は流産や早産、胎児奇形、低出生体重児などの発育障害などが引き起こされることがわかっています。

また妊娠を希望する女性が喫煙すると、卵巣機能を低下させ女性ホルモンの分泌が低下するほか、卵子の質が悪くなることで受精率や着床率に影響し、流産率が増加します。男性が喫煙する場合も、精子の質に影響を及ぼすため、胎児の流産や死産、染色体異常などのリスクを高めます。

妊娠を希望する場合は、タバコは完全に控えましょう。また、副流煙にも注意し、家族のなかにたばこを吸う人がいれば注意を促すことも大切です。

ビタミン摂取

バランスの良い食事を心がけ、ビタミンを意識して摂ることは流産の予防にもつながります。極端な不足により流産に直接関係しているビタミンは葉酸やビタミンDです。

葉酸

葉酸はビタミンB群の一つで、妊娠4~7週目の器官形成期に大きく関与しています。この時期に葉酸が不足していると流産や死産、妊娠中毒症子宮内胎児発育不全などを引き起こすため妊娠を希望する方は意識して摂取することが大切です。葉酸の摂取により約70%の神経奇形が予防できるとの報告もあります。

妊娠を希望している方や妊娠中の方は、普段の食事からの摂取と併せて一日240μgの追加摂取が推奨されています。

ビタミンD

ビタミンDはカルシウムの吸収を促して骨の形成を助ける役割があります。ビタミンDの不足は不妊症や不育症の可能性が示唆されています。ビタミンDが足りている女性は、ビタミンDが不足している女性と比べて妊娠率で10%、出産率では15%も高くなることが報告されました。

ビタミンDは食事から摂取できるのは10~20%に過ぎません。そのため日光浴やサプリメントを摂取しましょう。

過度な運動を避ける

妊娠後期では過度な運動や転倒が流産につながることがあります。運動をする際はあらかじめ医師に相談し、許可を経て無理のない範囲で短時間の運動を行いましょう。

以下のような場合は運動を避けましょう

  • 心疾患のある人
  • 前置胎盤
  • 頸管無力症
  • 破水やその兆候が見られるとき
  • 出血や痛みがあるとき

など

また妊娠高血圧や妊娠糖尿病などの疾患がある場合にも医師の許可が必要です。運動の開始は妊娠12週目以降、軽く息が上がるくらいの運動強度が理想です。ジョギングやサッカーなどのお腹に負担がかかる激しい運動は避け、ウォーキングやヨガや水泳などのマタニティー向けの運動メニューがある運動を取り入れましょう。

まとめ

高齢出産とは初産で35歳以上、経産婦で40歳以上の人を指します。流産はすべての妊婦の15%に起こるもので、特に妊娠12週未満の早期流産は受精卵由来のもので母体の日常生活が原因ではありません。しかし、年齢が上がるにつれて流産率が高まるのも事実です。妊娠を望んだら早いうちから医療機関を受診し体を整えるようにしましょう。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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