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妊娠が進むにつれて、お腹の中の赤ちゃんが男の子なのか女の子なのか気になってしまうものです。染色体異常を検査できる新型出生前診断の「NIPT」は、施設によって男女の性別を調べることも可能で、一般的に妊娠10週目以降に受検できるようになっています。
皆さんは、男女の性別が「X」と「Y」の染色体の組み合わせで決まることをご存知でしたか?
「X」「Y」の2種類の染色体の働きはとても奥が深く、これから生まれてくる赤ちゃんの性別が決まるしくみを知りたいという妊婦さんも多いかと思います。
そこでこの記事では、XY染色体の組み合わせによる違いをご説明した後で、男性と女性の性別が決まる性分化の流れと性染色体異常による疾患について詳しくご紹介していきます。
XY染色体の組み合わせによる違いとは?
妊娠中はパートナーと一緒に「私は女の子がほしい」「僕は男の子がほしい」と仲睦まじい会話で盛り上がりますが、男女の性別がどのようなしくみで決まるのかがふと気になる瞬間もあるでしょう。
まずは、XY染色体の組み合わせによる違いを分かりやすくご説明していきます。
性染色体について
人間の細胞に遺伝情報を届ける役割を持っているのが「染色体」で、「常染色体」と「性染色体」の2種類に分けられます。
ひとつの細胞に46本23対の「染色体」があり、44本22対を「常染色体」が占めています。「常染色体」には1番染色体〜22番染色体という番号が振り分けられており、この番号は染色体異常を表す場合にも用いられます。
23番目は「性染色体」であり、「X」と「Y」の2本1対の染色体で構成されます。XY染色体の組み合わせは生物の性別を決める働きがあります。
XY染色体の違い
「性染色体」の「X」と「Y」は、組み合わせによって遺伝的な性別が男性になるか女性になるかが決定します。
男性の場合は「XY」という組み合わせになります。「X」は母親由来、そして「Y」は父親由来という組み合わせになり、胎児は遺伝的に男性だと判定されます。
女性の場合は「XX」という組み合わせになります。「X」は父親と母親からそれぞれ1本ずつ由来するものであり、2本の「XX」によって遺伝的に女性と判定されます。
男性の場合、「X:Y」という対にならないことから「X」のほとんどの遺伝情報が発現するという特徴があり、「X染色体」にある遺伝子は「伴性遺伝子」や「X連鎖遺伝子」とも呼ばれています。
男性・女性の性別決める性分化の流れを紹介
「性染色体」はどうやって出会って男性と女性の性別を決めるのか?
ここからは、性分化の具体的な流れを5つのポイントにフォーカスしてご説明します。
染色体による遺伝的性別の分化
生殖機能を発達させる過程で、「減数分裂」という細胞分裂が起こり、半分の23本まで染色体の数を減らします。
減数分裂後 | 常染色体 | 性染色体 |
---|---|---|
精子 |
22本 | X精子 |
22本 |
Y精子 | |
卵子 |
22本 | X卵子 |
22本 |
X卵子 |
そして、受精の際に「X卵子1本/22本」に対して「X精子1本/22本」、または「Y精子1本/22本」の受精が行なわれ、XXの場合は男性、XYの場合は女性という最初の性分化が行なわれます。
Y染色体がなかった時点で性別は女性とされますが、何らかの異常によって性染色体の数が欠損したり増えてしまうことで、疾患を発症する可能性があります。
性腺原基|胎生4週目〜5週目頃
遺伝的な性別が決まったあとは、精巣と卵巣どちらに「性腺原基」が分けられるのかが重要になります。
「性腺原基」は胎齢が4週目〜5週目の間に認められるものです。「Y染色体」には「SRY遺伝子」という性腺を決める遺伝子があり、「SRY遺伝子」があると性腺は精巣になっていきます。
「Y染色体」がなかった場合は「SRY遺伝子」もないということになるので、その場合、性腺は自動的に卵巣になっていきます。
内性器の分化|胎生8週頃
女性は膣・子宮・卵管、そして男性には前立腺・精嚢・精管といった「内性器」が存在します。
精巣が発育している場合は、胎生8週頃になると「AMH」や男性ホルモンである「テストステロン」が分泌されて女性特有の内性器がつくられなくなります。そして、「テストステロン」によって男性特有の内性器がつくられていくのです。
一方で卵巣が発育している場合は、男性ホルモンが分泌されないため、女性特有の内性器がつくられていくというしくみになっています。
外性器の分化|胎生12週頃
内性器による分化が終わった後は、女性の陰核や男性の陰茎といった「外性器」の分化が胎生12週くらいまでに起こります。
精巣の発育が進んでいる場合は、「テストステロン」の分泌によって男性特有の陰茎などの外性器がつくられて成長していきます。
一方で、卵巣の発育が進んでいる場合は、「テストステロン」の量は少ないため陰核などの女性特有の外性器の成長が進んでいきます。
男性ホルモンの有無による脳の分化
身体的な性分化の最終段階となるのが、脳の分化です。
これまでの過程では男性ホルモンの「テストステロン」があるかどうかで精巣と卵巣、内性器と外性器の発育が進んできました。
脳に関しても「テストステロン」の有無で男性か女性かの分化が起こり、「テストステロン」が多い場合は性中枢が男性であると認識し、逆に「テストステロン」が少ない場合は、女性と認識されます。
性同一性障害になる可能性
性分化の過程において「テストステロン」の量はとても重大な役割を果たしており、身体と精神の性別が一致しない「性同一性障害」が起こることも稀にあります。
例えば、性染色体や性器が男性であっても最終的に男性ホルモンの量が少ない場合は、出生後に女性の性行動をとります。
逆に性染色体や性器が女性の場合でも、男性ホルモンの量が多かった場合は出生後に男性の行動をとるようになります。
人生を左右する出生後の性の決定
先述の通り、体が男性でも心は女性といった「性同一性障害」が起こることもあります。
現在は、「性同一性障害」や「トランスジェンダー」がより暮らしやすい社会環境をつくるために活動している支援団体やグループも増えてきています。
出生後に気をつけなければならないのが戸籍上の性別の決定で、よくあるのが外性器だけで性別を判断してしまうということです。特例で性別を変更できることもありますが、取り返しのつかない事態になる前に染色体検査を受けるという解決策もあります。
また、出生後の成長の過程で「トランスジェンダー」であることに気づくケースもあります
本人が精神的、心理的に大きなショックを受けてしまう可能性もあるため、保護者は正しい知識を身につけて我が子の幸せを一番近くでサポートしていく必要があります。
性染色体異常が原因の疾患について
最後に、「性染色体」の数に欠失や余分な複製があった場合に発症する疾患についてご紹介します。
ターナー症候群|モノソミーX
通常、女性はXX染色体を持っていますが、X染色体が1本足りないことで「ターナー症候群(モノソミーX)」を発症します。
年齢によって症状が異なり、出生児〜乳児期は翼状頸首や心臓の奇形、幼少期〜成人は低身長や卵巣不全などの症状がみられますが、医療ケアによってほとんどの女児が自立した生活をおくれるようになります。
トリプルX症候群
女児がXを1本多く持ってしまった場合、XXXの「トリプルX症候群」を発症します。
新生児の1,000人に1人という疾患頻度で、幼児期は聴覚処理障害や言語発達障害といった症状がみられ、成人では妄想症状などの精神障害が多くみられます。
脳波異常や泌尿生殖器障害を持っている場合は「トリプルX症候群」であるリスクが高まるため、専門医のサポートが必要となります。
クラインフェルター症候群
男児がXを1本多く持ってしまった場合、XXYの「クラインフェルター症候群」を発症します。
新生児の500人〜1,000人という疾患頻度で、身長が平均よりも高い・不妊症・女性と似た体型になるなどの症状がみられます。
重い知的障害がみられるケースはほとんどなく、不妊治療を行ないながら通常の生活をおくれる男性も多く見受けられます。
XYY症候群|ヤコブ症候群
男児がYを1本多く持ってしまった場合、XYYの「XYY症候群」を発症します。
新生児の1,000人に1人という疾患頻度で、知能や運動機能の発育遅延・発作・喘息などの症状がみられます。また、ADHDやうつ病になりやすいという特徴があるため、男児の発育環境やコミュニケーションの取り方には十分に気を配らなければなりません。
身体的な症状の特徴がみられないケースも多く、「XYY症候群」と診断されないまま成人を迎えることも珍しくありません。
XXYY症候群
男児がXY染色体をそれぞれ余分に持ってしまった場合、「XXYY症候群」を発症します。
新生児の50,000人に1人という極めて少ない疾患頻度で、不妊症・発達障害・行動障害などの症状に加えて、軽度の骨格異常、性器形成不全がみられます。
「XXYY症候群」は遺伝によるものではなく、ほとんどは細胞分裂の異常によって起こるものとされています。
これらの性染色体異常は、出生前診断である「NIPT」で検査することが可能となっています。常染色体の異常によって起こるトリソミーの検査も同時にできるため、妊娠10週目以降(ミネルバクリニックの場合は妊娠9週目以降)になったら「NIPT」を受けることをおすすめします。
まとめ
XY染色体の組み合わせによる違いや、男性と女性の性別が決まる性分化の流れをご紹介しました。
X染色体とY染色体は、XYとなれば遺伝的な性別で男性、XXとなれば遺伝的な性別で女性とされます。
遺伝的な性別が決まった後は、男性ホルモンの分泌量によって性別特有の内性器や外性器が成長していき、最終的に脳の分化によって男性として行動をとるのか、女性として行動をとるのかが決まります。
ただし、身体的な性別と精神的な性別が必ずしも一致するとは限らないため、「性同一性障害」や「トランスジェンダー」に対する理解を深めておきましょう。
染色体の数が本来よりも少ない、または多いという場合には染色体疾患や性染色体疾患が発症するリスクがあります。
染色体疾患はダウン症候群など重い症状を伴う疾患であり、出生前診断で疾患を持っているかどうかを事前に調べておくことは、出生後の準備を早い段階で進めるためにもとても大事になります。
東京の「ミネルバクリニック」では、年齢制限なしで妊娠9週目から染色体疾患を持っている可能性を検査できる「NIPT」を受けることができます。
「ミネルバクリニック」の「NIPT」は世界でも最新鋭の技術が揃っており、大学病院レベルの臨床遺伝専門医の遺伝カウンセリングを受けることができます。
「NIPT」を受けることを検討されている方は、是非この機会に「ミネルバクリニック」までご相談ください。