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妊娠がわかり、産みたくないときにどうしたらいいのかわからない人は多くいます。
「病院に行かないと」と思いつつも「パートナーに相談してから・・・」「中絶費用はどれくらいかかるのだろう」と悩みばかりが先走りしてしまい病院へ検査を受けに行くのを後回しにしがちです。
そんなお悩みを抱える女性へはやく病院で診療を受ないといけない理由が理解できるようにこちらのページを作りました。
この記事を読んで、妊娠初期の中絶手術について予備知識を得てから病院で診療を受けてください。
中絶手術を受ける前にチェックしておきたいポイント
妊娠検査薬で陽性反応と出てしまい「妊娠しているかも?」と疑いを持つ方は、早く病院へ診察を受けることをおすすめします。
なぜなら初期中絶が可能なのか判別するためにも妊娠週数を確定させないといけないからです。
例えば、妊娠初期は出血が多く、生理と勘違いしてしまいご自分の想像よりも妊娠が進んでいる場合があります。もし診療を受けた結果、妊娠12週を超えてしまうと初期の中絶手術を受けることができず中期中絶の手術になってしまいます。
そうなると出産できる設備が整った病院でしか中絶手術ができません。後、母体保護法という法律に基づき役所への届け出も必要となります。
こうした手間の他に、手術による母体へ負担も初期の中絶手術とは比べものにならないほど大きくなってしまうのです。
だからこそご自分の妊娠を疑っている人には、出産するか中絶手術を受けるか迷っている状態でも病院で診療を受けることをおすすめしています。
医院によっては初期の相談を無料で受け付けているところもあります。こちらに全国の妊娠初期・中期の中絶について詳しく比較しているサイトがありますので是非ご覧になって医院選びの参考にしてください。
関連記事:全国中絶クリニックなび|妊娠初期・中期中絶実施病院費用週数など詳細比較|都道府県別
中絶手術(初期)のやり方
中絶手術(初期)の手術の方法は主に二つです。
掻破法(そうは法)
一つがソウハ法と呼ばれる、スプーンのような器具で組織をかき出すやり方です。
この術法は以前から使われており、手術の最も大切な目的である胎盤の摘出がリアルタイムで確認できるのが一番のメリットです。感染リスクが低いのも強みといえます。
しかし、術者によって結果が左右されやすく技術のない医師が行うと子宮に傷が付く可能性があります。また、子宮口が硬く、術前の拡張が充分にできない場合や筋腫合併症の場合は手術を行えないのも難点です。
吸引法
もう一つのやり方は吸引法です。今では多くの医院で採用されている手術となります。
なぜなら細い吸引管を使って、ポンプで吸引するため子宮への負担が少ないこと、術者による差が出にくいというメリットがあるからです。体への負担も少なく術後二時間ほど休憩すれば帰宅となるため日帰り手術も可能なのも大きな強みといえます。
但し、週数が大きいと胎盤の吸い込みが難しくなる点がデメリットです。
麻酔
麻酔についても、ほとんどの医院では手術の前に静脈内鎮静法という点滴を使った方法を採用しています。全身をうとうとしたようなぼんやりした状態にしてから始めますので痛みや恐怖感を覚えることはありません。病院によっては静脈内鎮静法に鎮痛剤を組み合わせて使用するところもあるので眠っている間に手術は終わります。もちろん痛みを感じることはありませんので安心してください。
実は日本はWHOのガイドラインを外れた状態にある
世界保健機関(WHO)は2012年に妊娠中絶に関するガイドラインを発表しており、そのなかで、妊娠中絶の「安全で効果的」な方法として、吸引法と中絶薬を推奨しています。
該当箇所の抜粋と翻訳が以下です。
D&C involves dilating the cervix with mechanical dilators or pharmacological agents and using sharp metal curettes to scrape the walls of the uterus. D&C is less safe than vacuum aspiration (61) and considerably more painful for women (62). Therefore, vacuum aspiration should replace D&C. The rates of major complications of D&C are two to three times higher than those of vacuum aspiration (3). Randomized controlled trials comparing D&C with vacuum aspiration found that, for up to 10 weeks since the LMP, vacuum aspiration is quicker and associated with less blood loss than D&C (63, 64).
Where it is still practised, all possible efforts should be made to replace D&C with vacuum aspiration, to improve the safety and quality of care for women. Where no abortion services are currently offered, vacuum aspiration should be introduced rather than D&C. At sites where vacuum aspiration has yet to be introduced, managers must ensure that proper painmanagement protocols are followed, and that D&C procedures are performed by welltrained staff under adequate supervision.(p.41)D&C は子宮頸部を拡張機器や薬剤で拡張することや、鋭利な金属製のキュレットを用いて子宮壁を掻爬することを含んでいる。D&C は吸引法(訳注:EVA(Electric Vacuum Aspiration:電動式吸引法)及び MVA(Manual Vacuum Aspiration:手動式吸引法)を指す。以下同じ。)より安全ではなく(61)、女性にとって相当程度より苦痛をもたらすものとなっている(62)。したがって、吸引法は D&C を取って代わるべきである。D&C による合併症の頻度(発生率)は吸引法の2~3倍高い(3)。D&C と吸引法を比較した RCT は、最終月経から 10 週までは、吸引法は D&C より迅速に、より失血が少ないことが明らかになった(63、64)。D&C が未だに実行されている場合には、安全性と女性のケアの質を改善するために、D&Cを吸引法に取って代えるための全ての努力がなされるべきである。人工妊娠中絶が現在提供されていない場合は、D&C ではなく、吸引法が導入されるべきである。吸引法が未だ導入されていない場所においては、管理者は適切な疼痛管理のプロトコールが守られながら、D&C の手技が十分な監督下で、よく訓練された職員によって実施されることを保証しなければならない。
日本では産科婦人科学会では妊娠12 週未満の人工妊娠中絶手術による合併症(日本産婦人科医会調 査結果より)というページで以下のように述べています。
WHO は2012 年に「安全な中絶に関するガイドライン」を発表し,人工妊娠中絶手術としての掻爬法は安全性に問題があることを指摘した.日本産婦人科医会は同年,人工妊娠中絶手術の術式や合併症に関する全国調査を行った(表11).
○人工妊娠中絶手術の術式は,吸引+掻爬(併用)法が5 割,掻爬法が3 割,吸引法が2 割であった.
○合併症の総発生率,特に子宮内遺残の発生率は,吸引法と比較して吸引+掻爬法および掻爬法で,また,吸引+掻爬法と比較して掻爬法で有意に高かった(p< 0 . 01).また,掻爬法は他の2 法と比較して子宮穿孔の発生率が高かった(p< 0 . 05).よって,人工妊娠中絶をより安全に実施するには,吸引法の幅広い導入が求められる. ○術前の子宮頸管拡張器使用や術中の超音波ガイドは合併症の軽減に繋がっていなかった.
しかし、その後も日本産科婦人科学会は会員たちに対して掻爬法ではなく吸引法でというアナウンスをしてこなかったためか、2021年7月2日、厚生労働省より、以下の内容の母子保健課長通知を出されています。
人工妊娠中絶等手術の安全性等について(依頼)
日頃より、母子保健行政の推進については格段のご配慮を頂き、御礼申し上げます。さて、人工妊娠中絶・流産手術については、WHO は別紙のとおり、EVA(Electric Vacuum Aspiration:電動式吸引法)及び MVA(Manual Vacuum Aspiration:手動式吸引法)を推奨しております。つきましては、こうした国際的な動向を踏まえて、EVA 及び MVA について会員に対して周知していただくよう、御協力をお願い致します。
WHOから勧告されてもなお、学会として有効な結果が出るような動きをせず、中絶を選択する女性が「安全に中絶を受ける権利」を脅かしたと言っても過言ではないでしょう。日産婦のこうした体質は批判されるべきだ、世の女性たちはもっとこういう実態を知るべきだと思います。
中絶手術(初期)費用の相場
人工妊娠中絶手術を受けることになった場合に、女性は身体的、精神的、経済的にも大きな負担を強いられます。診療を受ける前に中絶費用の相場を調べて置きたいと思うのは当然です。そこで費用について紹介をしていきます。
中絶手術(初期)の費用は医院によって変わりますが、東京都内だとおおよそ9万円から20万円の間です。これだけ大きな幅があるのは妊娠週数と手術方法によって変わってくるからです。
初診料、検査料、中絶手術料、麻酔料、消費税の費用をまとめて提示している医院もあるので、必ず手術代のみなのか術前術後の診察や検査費用も含まれているのか確認をして起きましょう。
尚、初期の中絶手術は保険が適用されないため全額患者さん負担となります。相手の男性パートナーとご本人との間で十分に話し合って費用負担文を決めた上で診療を受けてください。未成年の場合は保護者に相談するのが良いと思います。
支払い方法関してはほとんどが現金払いとなるため事前に準備が必要です。一部の医院でクレジットカードでの支払いに対応しているところもありますので電話で確認しておくといいかもしれません。
費用について比較検討したい場合はこちらのページに詳しく掲載しておりますのでご確認ください。
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中絶手術(初期)当日の流れ
中絶手術(初期)は今やほとんどが日帰りで終わります。手術当日、病院に着いたら、書類の確認と手術料金の支払いをします。
患者さんによっては、手術前に子宮を拡大する前処置(ラミナリア)がありますので終わってから数時間後に手術です。前処置をしない患者さんの場合、お着替えなどの手術前の準備が完了したら手術室へ移動となります。
処置用のベッドに横になると点滴を使った麻酔を行います。体がうとうとしてきたら手術開始します。中絶手術は10~15分程度で終了です。麻酔が体に残っている間、院内のベッドでお休みしてから帰宅となります。
関連記事:ラミナリアとは?処置時の痛みや中絶手術と出産で使う理由
術後について
手術当日は、麻酔が残っていて体がフラフラするので自宅で安静に過ごす必要があります。しかしながら翌日まで残ることはほとんどありませんので学校や仕事に行くことができます。
人によっては、熱や腹痛が起きることもありますので無理はしないでください。
少ないといっても、体に負担はかかっているので旅行やスポーツをするのは術後二週間程度控えておくといいでしょう。
繰り返しになりますが、安全で費用負担の少ない手術のためには、早めに受診をして決断されることをおすすめします。どの医院で診療を受けたらいいのかわからない人はこちらのページで比べてみてください。