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染色体異常の頻度
染色体異常の頻度とは?
東京でNIPT他の遺伝子検査を提供しているミネルバクリニックです。NIPTなどの遺伝子検査や遺伝性疾患を理解するためには、基礎的なヒトゲノムや染色体の構造についての理解が必要となってきます。このページでは、染色体異常の頻度について、細分化した内容についての頻度を詳細に説明をしたいと思います。一番多いトリソミーは実は21ではありません!
大規模人口調査により各種の染色体異常の発生頻度が明らかにされています。
それをまとめたものが上の図ですが、これは1998年の調査なので、現在では母体の年齢が上がっていることからもっと頻度は全体的に増えていると思います。
生産児の染色体の主な数的異常は3種類の常染色体トリソミー(21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー)と4種類の性染色体異数性異常〔Turner症候群(通常45、X)、 Klinefelter症候群(47、XXY)、 47、XYY. 47、XXX〕です。
三倍体や四倍体はごく稀で、通常は自然流産胎児にみられます。
妊娠数 | 自然流産% | 自然流産率 | 生産児 | |
---|---|---|---|---|
正常染色体 | 9200 | 750 | 8 | 8450 |
染色体異常あり | 800 | 750 | 94 | 50 |
合計 | 10000 | 1500 | 15 | 8500 |
染色体異常の細分 | ||||
三倍体・四倍体 | 170 | 170 | 100 | 0 |
45,X | 140 | 139 | 99 | 1 |
16トリソミー | 112 | 112 | 100 | 0 |
21トリソミー | 45 | 35 | 78 | 10 |
18トリソミー | 20 | 19 | 95 | 1 |
その他のトリソミー | 209 | 208 | 99.5 | 1 |
45,X以外の性染色体数的異常 | 19 | 4 | 21 | 15 |
不均衡型再構成 | 27 | 23 | 85 | 4 |
均衡型再構成 | 19 | 3 | 16 | 16 |
その他のトリソミー | 39 | 37 | 95 | 2 |
生産児livebirthにおける染色体異常
新生児における全染色体異常の総頻度はおよそ1/154(0.65%)となっています。注意:1998年の調査
ほとんどの常染色体異常は出生時に異常を有することで診断がつくのですが、Turner症候群を除くほとんどの性染色体異常は思春期になるまで臨床的には認識されないし、クラインフェルター症候群やトリプルXでは染色体検査がなされる契機がなく、生涯診断がつかない人たちがほとんどなのです。
染色体異常を伴う個人であっても、不均衡型梢造異常をであれば外表異常や、身体的・精神的発達の遅滞が多いため、診断が付きやすい。
これに対して均衡型染色体構造異常では、本人にはまったく症状がないことから不均衡型の染色体構成を有する子が生まれた場合に実施される両親の染色体検査で構造異常の保因者と気づかれることがある程度でそれ以外に臨床的に特定されることはほとんどありません。
自然流産spontaneous abortionの胎児にみられる染色体異常
自然流産胎児における染色体異常の頻度は少なくとも40~50%と見積もられており、生産児にみられる異常とは多くの点で異なっています。
意外なことに、自然流産胎児に認める最も頻度が高い単一の染色体異常は45,Xで、染色体異常の確認された自然流産胎児の約20%を占めますが、生産児に認められる染色体異常としては1%未満です。これは、45,Xが99%は流産に至ることに由来しています。
生産児とのもうlつの大きな違いはトリソミーの種類の分布で、例えば、生産児にはまったくみられない(非常にまれにモザイクで認められる)16トリソミーは、流産胎児のトリソミーの約1/3を占める最も多いものです。
*2019年、16トリソミー疑いで結果が帰ってきた妊婦さんがかかりつけ産婦人科にいったところ、『16トリソミーは僕の腕をもってしても診断できない、培養できないから』と言い、某A胎児診断クリニックを紹介した某B胎児診断クリニックの院長先生がおられました。
16トリソミーが最も多い、と昔からちゃんと診断されているのに、患者さんが素人なのをいいことに『培養できない』とかいってマイクロアレイをすすめる、というお話ぶりで大変驚いています。日本の胎児診断の先生たちは大抵は大阪のP先生の弟子なんですけどね。。。
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