欧州研究機構のアドバンスグラントで行われるNIPTの臨床試験に日本から共同参加する栄誉を頂きました。 ミネルバクリニックでは、世界中の国際認証を受けた遺伝子検査機関を厳選して業界オンリーワンの検査体制を整えています。

マイクロアレイ(オリゴヌクレオチドアレイ)による染色体検査

マイクロアレイ

このページでは、FISH法よりさらに小さなプローブを用いたマイクロアレイを用いたゲノム解析方法とその限界についてお伝えします。

マイクロアレイはオリゴヌクレオチドを使用しているため、オリゴヌクレオチドアレイとも呼ばれます。

今日に至っても最も臨床応用されている第一線の診断用検査といえばG分染核型分析ではあるのですが、近年、ターゲット領域へのFISH解析のコンセプトを全ゲノムの検査に広げてコピー数の不均衡を高精度に検出するゲノムワイドなマイクロアレイ染色体検査に補完(異常があったときにマイクロアレイでさらに詳しく検査するということ)されたり、取って代わられたりしてきています。

塩基対の数と検出方法

この図は、ゲノム解析の解像度と使用する検査方法の関係を示したものです。
G分染法では400~500バンドレベルの日常精度で5~15Mb (Mは100万)、850の高精度分染法でも1~3Mbです。これに対してFISHは10K~10Mbの大きさのものを検出するのに適しています。
マイクロアレイはさらに小さな1Kb~を分析することが可能です。

染色体マイクロアレイ技術では1つのプローブが示す場所を細胞内や染色体上で確認する代わりにオーバーラップさせたり規則的な間隔をあけたりしてゲノム全体に対応させたDNA断片を顕微鏡スライド上に配置したアレイを用いて1度の解析で全ゲノムを対象にコピー数についての検索を行うことが可能です。

マイクロアレイとは?(オリゴヌクレオチドアレイ)

マイクロアレイ

マイクロアレイ技術は、一回の反応で複数の遺伝子発現を解析することができます。DNAマイクロアレイが最も一般的であるが、最近ではタンパク質、ペプチド、糖鎖マイクロアレイの利用も増えている。

DNAマイクロアレイの構造

DNAマイクロアレイは、直径200マイクロメートル以下のスポット状に試料を配列したものである。各アレイには、数千のスポットが行と列に整然と並んでおり、各スポットは1つの遺伝子を表している。斑点状のサンプルはプローブと呼ばれ、従来はスライドガラス、シリコンチップ、ナイロン膜などの支持体上に配置されている。

また、ポリスチレン製の微小なビーズを配列したビーズアレイも使用されており、それぞれが特定のプローブを形成しています。固い構造物の上にスポットされたサンプルが整然と配置されていることで、分析対象となる各遺伝子の位置が容易に決定されるため、アレイ上の配置によって個々のサンプルを識別することができる。遺伝子の位置は、コンピュータのデータベースに記録される。

DNAマイクロアレイ解析

DNAマイクロアレイの手順

DNAマイクロアレイは「DNA」を「マイクロ(マイクロアレイチップのウェルは65μm)」に「アレイ(配列、整列)」させるという意味で、DNAを基盤(チップ)上に整列させることを指す。

DNAマイクロアレイは、ゲノム全体の遺伝子の発現パターンを解析することができる。何千もの遺伝子の活動を同時に調べることができます。 サンプル中のどの遺伝子が発現しているかを調べるために、DNAマイクロアレイ解析では以下のステップを踏む。

  1. サンプルからメッセンジャーRNAmRNA)を分離し、相補的なDNA(cDNA)に変換する。
  2. 相補的DNA(cDNA)を蛍光色素で標識する。
  3. 蛍光標識されたコンプリメンタリ-DNAをマイクロアレイにロードする。マイクロアレイには、何千もの一本鎖DNAサンプル(1つの遺伝子に対応する)が格子状にスポットとして配置されている
  4. 蛍光標識されたcDNAがサンプルスポット内の相補的な塩基対に結合すると、その遺伝子が活性化していることが示される

サンプルスポットはそれぞれ異なる遺伝子を持っているので、cDNAは特定の遺伝子を持つスポットに相補的な塩基対でのみ結合します。結合したcDNAは、相補的なパートナーストランドがすでにマイクロアレイ内にあるため、発現している遺伝子を示します。結合していないcDNAはマイクロアレイから洗い流され、結合している蛍光標識されたcDNA分子だけが残る。

次に、マイクロアレイをレーザーでスキャンして、結合したcDNA分子の蛍光ラベルを検出することができる。レーザーが蛍光標識されたcDNAを「光らせ」、発現している遺伝子の位置を示す。マイクロアレイが整然と配置されているので、遺伝子を容易に特定することができる。

また、レーザーによる光の信号を検出したコンピューターは、蛍光信号の強度を解析することができる。つまり、サンプル内のオリジナルのmRNAの量も推定することができるのである。

スポッテッドマイクロアレイとオリゴヌクレオチドマイクロアレイ

マイクロアレイは、1つのマイクロアレイ上のプローブの数が10~500万個と、さまざまなサイズに製造することができる。マイクロアレイの製造方法、特にプローブの合成方法は、スポット型マイクロアレイとオリゴヌクレオチド型マイクロアレイのどちらを使用するかによって異なります。

スポット型マイクロアレイ(Spotted Microarrays)

スポット型マイクロアレイでは、特定の遺伝子に対応するオリゴヌクレオチド、cDNA、またはPCR産物の小片をチップ上にスポッティングします。つまり、あらかじめプローブが作られており、それを細い針を使ってアレイのスポットに加えていく。針はロボットアームで制御され、DNAプローブをウェルからアレイ表面に移す。

スポッテッドマイクロアレイ技術では、通常、ロボットスポッターがこのプロセスを行い、各遺伝子に対して1つまたは複数のプローブを使用することができる。

オリゴヌクレオチドアレイとは異なり、スポッティングアレイは「カスタマイズ可能」であり、ユーザーは特定の実験ニーズに応じてスポッティングするプローブを選択することができる。

この種のアレイは、通常、標識されたcDNAとハイブリダイズし、ダブルチャンネルハイブリダイゼーション実験が可能である。2つのcDNAサンプルを2つの異なる蛍光色素(例えばCy3とCy5)で標識し、これらを混合して同じチップにハイブリダイズさせ、洗浄後、チップを異なる波長でスキャンすることで、1回の測定で2つのサンプルを測定することも可能である。

スポット型マイクロアレイの利点は、簡単に製造できるため、さまざまな実験に合わせてカスタマイズできることである。 プローブの選択や合成は実験室内で行うことができ、すでに設置されている機器を使ってラベル付きのサンプルを作成することができる。そのため、高価な市販のアレイを購入する必要がありません。

オリゴヌクレオチドマイクロアレイ

オリゴヌクレオチドマイクロアレイとは、遺伝子を表す短いオリゴヌクレオチド配列を作成して、アレイ用のプローブを製造する特定の方法を表す名称である。この配列は、アレイ上で直接合成される。市販されているオリゴヌクレオチドマイクロアレイは、社内で作成された斑点のあるアレイと比較して、より大きなバッチサイズとより大きな印刷能力により、より高いレベルの感度が得られるという利点がある。

比較ゲノムハイプリダイゼーション(アレイCGH)

マイクロアレイ法の1つのアプローチである比較ゲノムハイプリダイゼーション(comparativegenome hybridization :CGH)法は、対照のゲノムと患者から得たゲノムの2種類をマイクロアレイに同時にハイブリダイズし、相対的なコピー数の増加や減少をゲノムワイドに検出する方法です。
どちらかのゲノムの配列が過剰にあるということは、患者ゲノムを対照と比較したときに、それらの配列の増加あるいは減少があることを示しています。

マイクロアレイのチップにはオリゴヌクレオチドが含まれており、ターゲットは含まれていません。使用されるオリゴヌクレオチドの長さは用途によるのですが、通常は25塩基以下です。オリゴヌクレオチドの長さが短いため、マイクロアレイのチップでは密度が高くなっています。例えば、1cm×1cmのチップには、10万個のオリゴヌクレオチドが含まれています。チップは、標的DNAの多くのコピーを含む溶液にさらされ、オリゴヌクレオチドと一致するDNA塩基配列との間でハイブリダイゼーションが起こります。この種のチップは、ターゲットは比較的少ないが、調べたいオリゴヌクレオチドの数が多い場合に最も有用です。もう一つの利点は、標準的なオリゴヌクレオチドライブラリーに対してターゲットをハイブリダイズさせることが可能だということです。このようにして、オリゴチップは大量に製造することができ、コストパフォーマンスも良くなります。

マイクロアレイ染色体検査の模式図です。
A:比較ゲノムハイプリダイゼーション(CGH)に基づくアレイ解析の概略図。
患者ゲノムを緑色対照参照ゲノムを赤色蛍光色素でそれぞれ標識したものを混合して選択したプラットフォームのアレイ上に播種します。アレイ上のプローブDNAにハイブリダイズさせる。相対的蛍光強度を測定し、患者ゲノムと参照ゲノムが等量であれば黄色、患者ゲノムが増加(gain)していれば緑色減少(loss)していれば赤色に検出される。

B:Aの結果の出カイメージ。黄色に検出されたlog2比0付近のプロットが連続している領域は、患者のその領域のゲノムコピー数がリファレンスと等量(すなわち2コピー)であることを示しています。
緑色に検出されたプロットが連続している領域はコピー数増加を赤色に検出されたプロットが連続している領域はコピー数減少を示しています。
C : MECP2遺伝子を含むXq28バンド内の約800kbの重複を示しています。 Rett症候群患者のCGHアレイの結果例。蛍光比のlogRをX染色体の全長に沿って描画した。各点はアレイ上の個々のプローブにおける比を示している。患者ゲノムではMECP2遺伝子とその周りの領域に対応する配列が増加していて、その比(ゲノムコピー数)が増加している(緑色の矢印).増加した領域は緑色で示されている。

SNPアレイを用いる方法

SNPアレイにはゲノム全体にあるさまざまな一塩基多型の2つのアレルに対応する配列が含まれる。この方法では、ゲノム中の異なる領域のアレルの相対的な量と強度が得られ、特定の染色体や染色体領域が適当な量だけ存在しているかどうかを示す。
染色体異常が疑われる場合の日常的な臨床検査では、アレイのプローブ間隔がヒトゲノムのユニーク領域全体で250kb程度の精度である。つまり、大きなものをおおざっぱに検出するのであるからプローブも大きくていいということです。
責任領域がわかっている成長障害や先天異常など、特に臨床的関心のある領域についてはより高密度のプローブを使って、より高い精度(く25-50kb)で実施する必要があるのですが、小さい断片に対応することも可能です。

マイクロアレイの限界

1.この検出方法は、あるDNA配列の相対的コピー数を測定しているにすぎないため、それらが転座したり再構成したりしているかどうかは検出できません。したがって、マイクロアレイで疑われた染色体やゲノムの異常を、核型分析や分裂像のFISH解析によって確認し、異常の性質と家系での再発率を確定することが必要となります。

2.高解像度のゲノム解析は、臨床的意義が明らかになっていないコピー数のわずかな違いなどのバリアントの存在を明らかにしてしまうことです。
これらの多くは無害なコピー数バリアント(copynumber variant : CNV)なのですが、診断に関して、何が正常な染色体構成で、何が病気の原因となるバリアントなのかという評価方法の確立が重要なり、課題となっています。

マイクロアレイとは、生体試料を2次元的に配列したもので、遺伝情報をハイスループットで解析することができる。DNAマイクロアレイは、ゲノムの複数の領域の遺伝子型を決定したり、細胞内で発現している遺伝子のリストを作成したりするのに用いられる。

マイクロアレイ解析を行うためには、通常、実験試料と参照試料の両方からmRNA分子を採取する。例えば、基準試料は健康な人から採取し、実験試料はがんなどの病気にかかった人から採取する。次に、2つのmRNAサンプルを相補的なDNA(cDNA)に変換し、各サンプルを異なる色の蛍光プローブで標識する。例えば、実験用のcDNAサンプルは赤色の蛍光色素で標識され、参照用のcDNAは緑色の蛍光色素で標識する。その後、2つのサンプルを混合し、マイクロアレイスライドに結合させる。cDNA分子がスライド上のDNAプローブに結合する過程をハイブリダイゼーションと呼ぶ。

ハイブリダイゼーションの後、マイクロアレイをスキャンして、スライドに印刷された各遺伝子の発現を測定する。特定の遺伝子の発現が、実験試料で基準試料よりも高ければ、マイクロアレイ上の対応するスポットは赤く表示される。反対に、実験試料での発現が基準試料よりも低い場合は、そのスポットは緑色に表示される。一方、実験試料の発現量が基準試料よりも少ない場合は、緑色に表示され、2つの試料の発現量が同じ場合は、黄色に表示される。マイクロアレイで得られたデータは、特定の条件や治療に応じて多くの遺伝子の発現が同時に変化することを示す、遺伝子発現プロファイルの作成に利用できる。

遺伝子発現解析の方法

遺伝子発現量の増減を定量的に検出する方法としては以下のものがあります。

  • ノザンブロット
  • リアルタイムPCR
  • EST解析
  • マイクロアレイ
  • Sequencing
  • In Situ Hybridization(FISH)

遺伝子発現解析したいのですが、どんな方法を選んだらいいの?

それにはまず、あなたのしたいことは一体何かを知る必要があります。

  • Profiling:この疾病の性質を明らかにしたい
  • Screening:まず病気の細胞と健常な細胞の何が違うかを調べたい
  • Markerを探す:特定の組織に分化するときにどの遺伝子が発現するのかを調べたい
  • detecting:特定の組織に分化したかどうか、該当する遺伝子の発現をチェックして調べたい

マイクロアレイが適しているとき

  1. ・ある現象に関与する遺伝子群の新規候補を
  2. 多数の遺伝子の発現量を調べたい
  3. ・全遺伝子の発現プロファイル(ある個体の器官、組織、細胞ごとの遺伝子発現の全体的な様子。理想的には全遺伝子の発現量として表現される。)を調べたい

マイクロアレイが適している実験系の例:

  • 全遺伝子発現のプロファイリングを使って、たとえばiPS細胞とES細胞の類似性などの性質を調べる
  • 人間が精神的ストレスを感じたら発現する遺伝子たちを一気に調べる
  • 乳がんの細胞の遺伝子プロファイリングから再発リスクを知りたい

マイクロアレイではわからないので不向きな時

  • 特定の遺伝子の発現量を調べたい
  • 正確に何コピーあるのか調べたい:発現量が多い少ないはわかるが相対的なのでコピー数はわからない
  • 新規遺伝子を発見したい:既知の遺伝子を検出するようセッティングしてあるためマイクロアレイでは不可

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この記事の筆者

1995年医師免許取得。血液・呼吸器・感染症内科を経て、臓器別・疾患別の縦割りの医療の在り方に疑問を感じ、人を人として”全人的”に診療したいという思いを強くし、臓器を網羅した横断的専門医となり、2010年にがん薬物療法専門医取得(2019年現在全国1200人程度)。臓器を網羅すると遺伝性がんへの対策が必要と気づき、2011年に臨床遺伝専門医取得(2019年現在全国1000人程度)。遺伝相談はセンシティブな分野にもかかわらず、昼間の短い時間しか対応できない大病院のありかたに疑問を感じて、もっと必要な人がハードルを感じずに診療を受けられるようにしたいと2014年12月に開業。以来、全国から大学病院でも難しい内容の対応を求める人々を受け入れ、よろづお悩み相談所として多くの人々の様々な”家族(計画)の問題”を改善に導く。

著書に”女性のがんの本当の話”(ワニブックス)、”遺伝するがん・しないがん”(法研)がある。
少ない専門家で、正直で嘘のない言葉選びから週刊誌等の取材も多く、医療系の特集に時折コメントが掲載。(週刊現代、週刊ポスト、週刊新潮など)。
テレビ出演も時々あり、小林真央さんの病状を市川海老蔵さんが初めて記者会見した日、フジテレビの午後4時台のニュース番組に生出演して解説。その他TBS, AbemaTVなど出演。

一人一人の事情に合わせた個別対応をするべく、しっかり時間を取って本当のニーズは何かを聞き取りすることを大切にしている。短い時間でもお互いが出会ったことが相手の人生に大きな意味があるような医師患者関係の構築を理想として日々精進。

患者さんが抱えている問題を解決するにはどうしたらよいのかを考えて医師歴8年目に法学部に学士入学した程度に”凝り性”。女医が少なかった時代に3人の母親として難関専門医を3つ取得して社会進出を続けた経験から、女性のライフスタイルを医学以外の部分でも支援したいと願っている。
いろんな人生経験から心に響く言葉を投げかけるため、”会うと元気になる”ということで有名。飼いネコ3匹。

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