ヒトゲノムから染色体へ
ヒトゲノムから染色体へ
ヒトゲノムはデオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid :DNA)から成り立っています。
この中にはヒトがヒトとなるのに必要不可欠なありとあらゆる追伝情報が含まれています。
身体の細胞は各々自分自身のゲノムのコピーを持ちます。
ヒトゲノムのなかにある遺伝子(gene)の数は、遺伝子をどのように定義するかによって変わってくるのですが、2~5万とされています。
遺伝子ゲノムDNA内にコードされ、各細胞の核内にある染色体(chromosome)と呼ばれる構造体におさめられています、
遺伝子が健康や病気の状態に及ぼす影評は大きいですが、元をたどるとヒトゲノムを構成するDNAにコードされている情報にいきつきます。
たとえば、がん細胞は遺伝子が複数病的に変異してしまったことで出来上がると考えられています。
それぞれの生物種は、 固有の染色体構成( 核型karyotypeといいます)を持っています。ヒトでは46本でそのうち2本が性染色体です。
遺伝子は染色体に沿って線状に配置していて、それぞれの遺伝子には厳密に定められた位置である座位(locus)があります。
遺伝子地図(genemap)は、ゲノム上の遺伝子の位置をあらわす地図であり、各生物種ごとに特徴があります。
染色体の構造やその伝達に関する研究を細胞遺伝学(cytogenetics)と呼び、染色体の正常構造と構成、含まれる遺伝子の同定、機能や異常など多くのことが研究されています。
体を構成する細胞で、配偶子(精子・卵子といった生殖にかかわる細胞)を形成する細胞を生殖細胞系列、そのほかは体細胞と呼びます。
ヒト体細胞の核内にあるゲノムは46本の染色体から構成されて、同じものが2本あって1~22番まで番号が振られている常染色体と、性別の決定にかかわる性染色体が2本あります。男性はXY, 女性はXXです。
常染色体(autosome)は当初考えられていた大きさに従って大きい順に番号がつけられているのですが、21番と22番が実際は入れ替わっていて、21番が一番小さい染色体となっています。
これがヒトゲノムの基本ですが、各染色体には異なる組み合わせで遺伝子が含まれており、それぞれの遺伝子はDNAに沿って線状に並んでいる。
対をなす染色体を相同染色体といいますが、相同染色体に含まれる遺伝情報はそれぞれ対応しています。つまり、同じ遺伝子が同じ順序で並んでいるのです。
しかし相同染色1本の各座位の塩基配列を比べた場合には同一から少し異なるまでさまざです。
相同染色体の対をなす遺伝子をアレル(allele)と呼びます。対をなす染色体のうち一方は父から受け継ぎ、他方は
母から受け継ぎます。
ヒトでは性染色体の組み合わせが女性はXXでヒト男性はXYという広く知られた単純な法則に当てはまらない例外がいくつかあります。
また、核にある核ゲノムとは別に、 細胞質のミトコンドリアにもDNAが存在し、これをミトコンドリアゲノムと呼びます。
ミトコンドリアDNAは核ゲノムにはない珍しい特色を数多くそなえています。
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