染色体の構造
染色体の構造
ヒトゲノム中の遺伝子の構成から発現を決める因子まで、複雑なそれらを規定するのが染色体とミトコンドリアに存在するゲノムDNAです。染色体はつながった1本のDNA二重らせんから出来ています。
核ゲノムは46本の線状DNA分子で構成されていて、総計すると約60億の塩基対が含まれています。
ゲノムDNAはヒストンと呼ばれる5種類のタンパクと複合体を形成してクロマチンと呼ばれる構造体として収納されています。
細胞分裂時以外はクロマチンは核全体に分布していて、顕微鏡で観察すると核は比較的均質に見えます。
細胞分裂時には、ゲノムDNAは凝縮して顕微鏡下に観察可能な染色体となります。
要するに染色体は分裂期の細胞でのみ目(顕微鏡で)に見えるようになるのです。
DNAは酸性、ヒストンは塩基性タンパクなので、この二つは電位的に結合します。
そして、さらにヒストンが修飾を受けることで緩んだりガチっと詰まったりして転写されやすくなったりされにくくなったりという環境を作り出しています。
こうしてDNAの発現がコントロールされる暗号をヒストン・コードと呼び、これもまた遺伝します。
ですので、皆さんがDNAだけが遺伝を司っているのだとお考えでしたら、それは間違いです。
遺伝子検査をして異常がなくても、その先のこうしたヒストン修飾(ゲノムの外側エピなのでエピゲノム、この遺伝をエピジェネティクスといいます)に異常がないかとか、エクソンではなくイントロンにおこった異常のために疾患をきたしているのではないかとか、考えないといけないことがあり、遺伝子検査で異常がないこと自体が正常とは言いきれない、という複雑さがあるのはこのためです。
コアヒストンH2A、H2B、H3、H4が各2個ずつ集まった八量体に二重らせんが1.65回転、約 140塩基対 (base pair :bp)のDNAが各ヒストンコアに会合して巻き付いています。続いて20~60塩基対の短いDNAが“スペーサー” となりその次のコアDNA複合体が続きます。ヒストンH1は.ヌクレオソーム間のスペーサー領域でDNAと結合しています。この構造が順次連続することでクロマチンは数珠状につながった状態になるのです。
ヒストンコアとDNAからなる各複合体はヌクレオソームと呼ばれます。
1つのコアヌクレオソームに会合しているDNAはスペーサー領域のDNAを含めて約200bpとなります。
さまざまな主要あるいは特殊なヒストンの組み合わせとそれが受ける修飾は細胞の種類ごとに違い、これらはDNAの収納のされ方を定め、遺伝子発現・ゲノム機能を左右する調節分子への近づきやすさを決めていると考えられています。(例えば転写因子など)
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