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双子の一卵性・二卵性(卵性)は、胎盤や膜の数(膜性)だけでは決まりません。胎盤が1つの「一絨毛膜双胎」はほぼ一卵性ですが、胎盤が2つの「二絨毛膜双胎(DD双胎)」には、二卵性だけでなく一卵性もおよそ1割含まれています[1]。卵性がわかると、2人の染色体が同じと考えてよいのか、別々に考える必要があるのかが決まり、NIPTの結果の読み方も変わります。このページでは、卵性と膜性の関係、超音波での膜性診断、SNP(一塩基多型)を使うNIPTで卵性を推定する仕組みと限界、そしてバニシングツインや三つ子以上の妊娠でのNIPTの注意点までを、臨床遺伝専門医の視点で整理します。NIPT教科書シリーズ第6章の1節目です。
Q. 一卵性か二卵性かは、どうやって見分けるのですか?
A. 妊娠中は、まず超音波で膜性(胎盤と膜の数)と性別を確認します。一絨毛膜なら原則として一卵性、性別が違えば原則として二卵性と考えられます。ただし同性の二絨毛膜双胎は超音波では区別できず、確実に知るには遺伝子の型を比べる必要があります。妊娠中であれば、SNPを使うNIPTで卵性を推定できる場合があります。
- ➤卵性 → 1つの受精卵が分かれたのが一卵性、2つの受精卵からなるのが二卵性。一卵性の2人は原則として同じ染色体をもちます
- ➤膜性 → 胎盤(絨毛膜)と羊膜の数による分類。妊娠13週6日までに超音波で決めることが国際的に勧められています
- ➤膜性と卵性のずれ → 一卵性の約3分の1は二絨毛膜双胎になるため、「DD双胎=二卵性」とは言えません
- ➤SNP法NIPT → 2人の遺伝子の型が同じか違うかから卵性を推定し、二卵性ならそれぞれの胎児の性別と胎児DNA量もわかります
⏱️ 30秒でわかる要約
👶 Q. DD双胎なら二卵性?
いいえ。一卵性でも、受精後早い時期に分かれると胎盤が2つになります。DD双胎の約1割は一卵性と推計されています。
🧬 Q. NIPTで一卵性か二卵性かわかる?
SNPを調べる方式のNIPTなら、2人の遺伝子の型の違いから卵性を推定できます。染色体の量だけを数える一般的な方式では卵性はわかりません。
⚠️ Q. 一卵性なら2人とも同じ結果?
原則は同じですが、受精卵が分かれた後の細胞分裂の誤りなどで、一卵性でも染色体が食い違うまれな例があります。

1. 双子の妊娠で出生前検査が難しくなる理由
双子の妊娠では、「赤ちゃんが2人いる」というだけで、出生前検査のあらゆる段階が単胎より複雑になります。母体の血液に入ってくる胎盤由来のDNAは2人分が混ざり、羊水検査や絨毛検査では2人それぞれから検体を採る必要があり、結果が出た後の判断も「どちらの子の話なのか」を抜きにはできません。その出発点になるのが、2人が一卵性か二卵性か(卵性)、胎盤と膜をどう共有しているか(膜性)という情報です。
双子の妊娠が増えてきた背景
日本では、令和元年に双子として生まれた子どもは約1万7,000人でした。厚生労働省の統計によると、双子の出生数は平成16年まで増える傾向にあり、その後は減る傾向に転じています[2]。増加の大きな要因は、排卵誘発や体外受精などの不妊治療の広がりで、その後の減少には、体外受精で戻す胚の数を原則1個にする方向への変化が関わっていると考えられています。不妊治療と多胎の関係は不妊治療で双子になる確率で詳しく扱っています。
不妊治療で双子になると、一卵性・二卵性の内訳や膜性の分布が自然妊娠とは変わることがわかっています。出生前検査を考えるうえでも、妊娠の成り立ちは見逃せない情報です。
侵襲的検査と従来のスクリーニングが不利になる理由
双子では、羊水検査や絨毛検査のような侵襲的検査の負担が単胎より重くなります。2012年のシステマティックレビューでは、双子での検査後の流産率は絨毛検査で3.84%、羊水検査で3.07%で、背景のリスクに約1%が上乗せされると推計されていました[3]。2020年のメタ解析では、羊水検査を受けた双子と受けなかった双子の胎児喪失はどちらも2.4%、絨毛検査では2.0%と1.8%で、妊娠24週より前の喪失には差がありませんでした。ただし羊水検査では、妊娠期間全体で見た胎児喪失がわずかに多い(オッズ比1.46)という結果も出ています[4]。
数字以上に難しいのは、手技そのものです。二卵性の双子では2人の染色体は別々なので、両方の羊膜腔から検体を採る必要があり、どちらの検体がどちらの子のものかを取り違えない工夫が欠かせません。従来の母体血清マーカー検査も、2人分の胎盤から出る物質が合わさった値になるため、どちらの子の値かを区別できないという根本的な弱点を抱えています。
こうした事情から、双子では母体の採血だけで済むNIPTの価値が単胎以上に大きくなります。国際産婦人科超音波学会(ISUOG)の2025年のガイドラインは、双子での21トリソミーの検出率は単胎よりやや低い可能性があるものの、NIPTが最も精度の高い方法であるとし、統合した検出率と偽陽性率を21トリソミー99.0%・0.02%、18トリソミー93%・0.01%、13トリソミー95%・0.10%と示しています[5]。双子でのNIPTの精度については、関連記事で詳しく解説しています。
2. 卵性:一卵性と二卵性
一卵性と二卵性の違い
一卵性双胎は1つの受精卵が途中で2つに分かれたもので、2人は原則として同じゲノム(遺伝情報の全体)と同じ染色体をもちます。性別も同じです。二卵性双胎は2つの卵子がそれぞれ別の精子と受精したもので、遺伝的には同時に生まれたきょうだいと同じ関係です。性別が同じこともあれば違うこともあります。
この違いは染色体検査の結果にそのまま表れます。オランダの全国研究TRIDENT-2では、一絨毛膜双胎(ほぼすべて一卵性)1,112例のうち3例でNIPTが21トリソミーを示し、3例とも2人の胎児の両方で21トリソミーが確認されました。一方、二絨毛膜二羊膜双胎2,992例では、21・18・13トリソミーの陽性27例のうち21例が「片方の胎児だけ」で確定しています[6]。一卵性では「2人とも同じ」、二卵性では「片方だけ」が基本形になるということです。
一卵性でも染色体が食い違うことがある
一卵性だから2人の染色体は必ず同じ、とは言い切れません。受精卵が分かれる前後の細胞分裂で誤りが起こると、一卵性でありながら2人の核型(染色体の構成)が異なる「核型不一致の一卵性双胎」になることがあります。21トリソミーが一卵性の片方だけにみられる例はおよそ38万5,000件に1件と報告されており、きわめてまれです[7]。
起こり方として考えられているのは、受精卵がもともと21トリソミーで、分かれた後に片方だけが分裂の途中で余分な染色体を取り残して失い、正常な核型に戻る(トリソミーレスキュー)という経過です[7]。ほかにも、分裂後の染色体不分離、遺伝子のインプリンティング(親由来による働き方の違い)の偏り、女性の一卵性双胎でのX染色体の不活化の偏りなどが、一卵性の2人の違いを生む仕組みとして挙げられています[8]。X染色体の不活化の偏りは、一卵性の女の子2人のうち片方だけにX連鎖遺伝の病気の症状が出る理由にもなります。
この現象はNIPTの結果にも影響します。中国の双子189例の研究では、NIPTは21トリソミー9例をすべて検出しましたが、18トリソミーは2例のうち1例を見逃しました。見逃した1例は、片方が正常で片方が18トリソミーという核型不一致の一卵性双胎でした[9]。正常な胎児の胎盤からのDNAが混ざることで、異常の信号が薄まったと考えられます。胎盤と胎児で染色体が食い違うモザイクと同じく、NIPTが「胎盤のDNA」を見ている検査であることを思い出させる例です。
双子の遺伝的リスクはどう計算するか
双子の妊娠で「赤ちゃんに染色体の病気がある確率」を考えるときは、卵性ごとに分けて考える必要があります。1人の胎児が21トリソミーである確率をpとすると、一卵性では2人は同じなので「少なくとも1人」も「2人とも」もpです。二卵性では2人が独立しているので、「少なくとも1人」はおよそ2p、「2人とも」はp×pでごく小さくなります。
双子全体のうち一卵性の割合をmとすると、卵性がわからない双子の妊娠で「少なくとも1人が21トリソミー」の確率はおよそ(2−m)×p、「2人とも」はおよそm×pと見積もれます。白人集団の推計では双子の約26%が一卵性なので[1]、少なくとも1人の確率は単胎の約1.7倍になります。ただしこれは、二卵性の2人の確率がそれぞれ単胎と同じだと仮定した単純な計算です。双子の妊娠ではもともと母親の年齢が高い傾向があることなども、実際の確率に影響します。
同じ考え方は単一遺伝子の病気にも当てはまります。両親がともに常染色体潜性遺伝の病気の保因者である場合、一卵性なら2人とも発症するか2人とも発症しないかのどちらかで、確率は1/4です。二卵性なら2人それぞれが1/4で、2人とも発症するのは1/16、少なくとも1人が発症するのは7/16になります。双子のダウン症候群の確率を年齢とともに一般向けに解説したページとして双子のダウン症の確率もあります。
3. 膜性:絨毛膜性と羊膜性
絨毛膜性と羊膜性とは
膜性とは、2人の赤ちゃんが胎盤と膜をどのように共有しているかによる分類です。外側の膜である絨毛膜は胎盤をつくる側の膜で、その数を絨毛膜性といいます。内側の膜である羊膜は赤ちゃんを包む羊水の袋で、その数を羊膜性といいます。組み合わせにより、二絨毛膜二羊膜(DD)、一絨毛膜二羊膜(MD)、一絨毛膜一羊膜(MM)の3つに分かれます。
一卵性の場合、膜性は受精卵が分かれた時期で決まります。受精後1〜4日に分かれると二絨毛膜二羊膜、4〜8日では一絨毛膜二羊膜、8〜12日では一絨毛膜一羊膜になるとされています[10]。境界の日数は文献によって1日前後の幅があります。二卵性はもともと2つの受精卵なので、原則として二絨毛膜二羊膜になります。
膜性は、妊娠初期の超音波で決めるのが国際的な原則です。ISUOGの2016年のガイドラインは、膜性を妊娠13週6日までに、2つの羊膜が胎盤に付く部分の膜の厚さと、T sign(T字型)やlambda sign(λ型)の形から判定するよう勧めています。羊膜と絨毛膜がまだ癒合していない11〜14週が最も正確に判定できる時期で、双子の妊娠初期の超音波はきわめて重要とされています[11]。2025年の改訂版では、膜の付着部の形、膜の厚さ、胎盤の数など、できるだけ多くの所見を組み合わせて判定することが求められ、一絨毛膜双胎の羊膜性は羊膜が見えるようになる8週以降に判定できるとされています[5]。
妊娠11〜14週の超音波による膜性診断は、613例中612例(99.8%)で正しく、一絨毛膜の判定の感度は100%、特異度は99.8%でした[12]。一方で、一絨毛膜双胎の3%は胎盤が2つに分かれて見えるため、胎盤の数だけで二絨毛膜と判断することはできません[5]。
👶 膜性の3つの型と卵性の関係
| 膜性 | 胎盤 | 羊水の袋 | 卵性 |
|---|---|---|---|
| 二絨毛膜二羊膜(DD) | 2つ(くっついて1つに見えることもある) | 2つ | 二卵性のすべてと、一卵性の約3分の1 |
| 一絨毛膜二羊膜(MD) | 1つを共有 | 2つ | 一卵性 |
| 一絨毛膜一羊膜(MM) | 1つを共有 | 1つを共有 | 一卵性(一卵性の1〜2%) |
膜性で妊娠中の管理が変わる
膜性が重要なのは、妊娠中に起こりうる合併症と、必要な経過観察が大きく変わるからです。一絨毛膜双胎では、2人が1つの胎盤を共有し、胎盤の表面で2人の血管がつながっています。このつながりを通る血液の流れが偏ると、双胎間輸血症候群(TTTS)などの一絨毛膜双胎に特有の合併症が起こるため、二絨毛膜双胎よりも頻回な超音波での経過観察が勧められています[11]。
胎盤の取り分が2人で大きく違うと、片方だけの胎児発育不全(セレクティブFGR)が起こることもあります。一絨毛膜一羊膜双胎では、2人が同じ羊水の袋の中にいるため、へその緒どうしが絡まる危険も加わります。こうした管理の違いがあるからこそ、膜性は妊娠初期のうちに確実に決めておく必要があります。
💡 用語解説:双胎間輸血症候群(TTTS)
一絨毛膜双胎で、胎盤の表面の血管のつながりを通じて、片方の胎児(供血児)からもう片方(受血児)へ血液が偏って流れることで起こる病態です。供血児は血液や羊水が少なくなり、受血児は血液や羊水が多くなりすぎて心臓に負担がかかります。2つの胎盤が別々の二絨毛膜双胎では原則として起こりません。
4. 膜性から卵性は決まらない
DD双胎の約1割は一卵性
「胎盤が2つなら二卵性」というのは、よくある誤解です。一卵性双胎のうち約3分の2(70〜74%)は一絨毛膜ですが、残りの約3分の1は受精後早い時期に分かれたために二絨毛膜になります[1]。白人集団の推計では、双子全体のうち一卵性・一絨毛膜が約17%、一卵性・二絨毛膜が約9%、二卵性・二絨毛膜が約74%です[1]。ここから計算すると、二絨毛膜双胎(約83%)のうち約1割(9÷83≒11%)は一卵性ということになります。
逆向きに見ると、膜性からわかるのは片側だけです。一絨毛膜であれば原則として一卵性と考えられますが、二絨毛膜であっても二卵性とは限りません。つまり、DD双胎では膜性の情報だけで卵性を決めることはできません。
不妊治療ではこの比率がさらに変わります。体外受精などの生殖補助医療で生じた一卵性双胎では、二絨毛膜二羊膜が9%、一絨毛膜二羊膜が91%で、自然妊娠の一卵性よりも一絨毛膜の割合が高いと報告されています[10]。胚盤胞まで育ててから移植するなど、受精卵が分かれる時期に影響しうる条件が加わるためと考えられます。体外受精で胚を1個だけ戻したのに双子になった場合は、原則として一卵性であり、しかも一絨毛膜である可能性が高いということです。
同性のDD双胎で「男の子は1人か2人か」
2人の性別が違えば原則として二卵性と判断できますが、同性の二絨毛膜双胎は、超音波では一卵性か二卵性かを区別できません。ここで問題になるのが、NIPTの性別の情報です。
染色体の量を数える一般的なNIPTでは、母体の血液からY染色体のDNAが検出されれば「少なくとも1人は男の子」とわかります。しかし、男の子が1人なのか2人なのかは区別できません。Y染色体の量は2人分の胎盤から出たDNAの合計で決まり、それぞれの胎児の胎児DNA量がわからないためです。性別に関する食い違いの問題はNIPTにおける胎児の性別の不一致で扱っています。
これに対し、SNPを使うNIPTでは、二卵性と判定された双子のそれぞれについて性別を判定できます。2019年の検証研究では、双子2人それぞれの性別が102例中102例で正しく判定されていました[13]。
🩺 院長コラム【「膜性」と「卵性」を混ぜないこと】
膜性は妊娠中の管理のための情報で、卵性は遺伝のための情報です。2つはよく似た言葉で語られますが、答えている問いが違います。DD双胎と聞いて「では二卵性ですね」と結論づけてしまうと、2人の染色体を別々に考えるべきか、同じと考えてよいのかという大切な判断を、根拠のないまま決めることになります。
出生前検査の結果を正しく読むには、膜性の情報と卵性の情報を分けて扱い、卵性がわからないときは「わからない」ことを前提に解釈することが大切だと考えています。
5. NIPTで卵性を調べる
SNPを使ったNIPTの仕組み
妊娠中に卵性を推定できるのは、SNP(一塩基多型)を調べる方式のNIPTです。SNPとは、人によってDNAの1文字が異なる場所のことです。母親のもっていない型(父親から受け継いだ型)が母体の血液中に見つかれば、それは胎児(正確には胎盤)由来のDNAです。
一卵性の2人は同じSNPの型をもつので、母体の血液中には「1人分の胎児の型」が、2人分を合わせた量で現れます。二卵性の2人は父親から受け継いだ型がところどころ違うため、「2種類の胎児の型」がそれぞれ別の量で現れます。この違いを、多くのSNPについてまとめて見ることで、卵性を推定します。詳しい仕組みはSNPベースのNIPTで解説しています。
この考え方を最初に示したのは、2013年の香港の研究です。双子8例の母体血漿のDNAを解析したところ、胎児DNAの量のばらつきは、一卵性では0.82〜1.35標準偏差、二卵性では2.42〜4.80標準偏差でした。偶然の範囲を超える偏りを示した領域の割合は、一卵性で0.00〜1.93%、二卵性で36.2〜78.1%と、はっきり分かれていました[14]。同じグループは、二卵性の双子ではそれぞれの胎児の胎児DNA量を求められることも示しています[15]。
一方、染色体ごとのDNAの量を数える全ゲノム型(カウント方式)のNIPTは、SNPの型の情報をもたないため、卵性を判定することはできません。NIPTの方式の違いがそのまま「わかること」の違いになる、典型的な場面です。
実用化された検査と、その課題
SNP法のNIPTで双子の卵性を判定する方法は、2019年に検証結果が報告されています。この研究では、卵性は93例中93例(95%信頼区間96.1〜100%)で正しく判定され、二卵性の双子の異数性は10例中10例で検出、特異度は96例中96例でした。卵性、胎児の性別、異数性は、妊娠9週から同じ1回の採血で調べられるとされています[13]。著者らは、膜性がはっきりしない場合や、超音波で異常が見つかった場合に、卵性の判定が役立つと結論づけています。
ただし、課題もあります。この検証は1つの検査会社の検査についてのもので、二卵性の異数性の例は10例と少なく、信頼区間も広くなっています。どの検査でも双子の卵性を報告するわけではなく、受けられる検査は限られます。さらに、卵性が一卵性と判定されても、2人の染色体が必ず同じだとは限りません。卵性の判定は結果を読むための重要な手がかりですが、2人の染色体が同じであることまで保証するものではありません。
卵性がわかるとNIPTの読み方が変わる
卵性がわかると、NIPTの結果の読み方が大きく変わります。一卵性であれば、2人は原則として同じ染色体をもつので、母体の血液中の胎児DNAは2人分を合わせて1人分と同じように扱えます。陽性なら、原則として2人ともに当てはまる結果と考えます。
二卵性では、片方だけが異数性ということが起こりえます。この場合、異常のある胎児が出しているDNAは、2人分の合計ではなく、その子1人分です。2019年の研究では、一卵性の胎児DNA量(胎児分画)の平均は13.0%でしたが、二卵性では少ないほうの胎児が平均6.5%、多いほうが平均8.1%でした[13]。二卵性では、片方の胎児のDNAが少ないと、その子の異常が見えにくくなるおそれがあります。胎児DNA量の基準の考え方は胎児ゲノム率(胎児分画)で詳しく解説しています。
6. バニシングツインと三つ子以上の妊娠
妊娠初期には双子だったのに、途中で片方が育たなくなり、超音波で見えなくなることがあります。これをバニシングツインといいます。育たなくなった胎児の胎盤の組織からは、しばらくの間DNAが母体の血液に出続けるため、NIPTの結果に影響することがあります。
SNP法のNIPTを受けた3万795例を調べた研究では、130例(0.42%)で胎児の型が2つ以上見つかりました。転帰を確認できた76例のうち42.1%がバニシングツインで、亡くなった時期がわかった例はすべて妊娠初期でした。亡くなってから採血まで最長8週間たっていても、もう1人分の型が検出されています[16]。胎盤からのDNAがいつまで出続けるかについては、十分なデータがありません。妊娠38週2日の時点ではDNAの放出は止まっていたと考えられる例が報告されています[17]。
TRIDENT-2では、バニシングツインの妊娠655例でNIPTが行われました。空の胎嚢だけが見えるタイプ(Type I)に比べて、育たなくなった胎芽が見えるタイプ(Type II)では異常の結果が多く、12.6%対1.7%でした。21トリソミーの陽性17例のうち、残った胎児で21トリソミーが確定したのは7例(陽性的中率41.2%)で、18トリソミー4例、13トリソミー8例、その他の所見29例は、残った胎児では1例も確定しませんでした。妊娠15週以降にNIPTを受けた12例では、残った胎児と食い違う陽性はありませんでした[6]。
三つ子以上の妊娠では、データはさらに限られます。TRIDENT-2の三つ子75例では、1例でNIPTが21トリソミーを示し、3人のうち1人で確定しました[6]。三つ子では、異常のある胎児のDNAが3人分の中の1人分になるため、二卵性の双子以上に信号が薄まりやすいと考えられます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 一卵性か二卵性かを調べる方法は?
妊娠中は、まず超音波で膜性と性別を確認します。一絨毛膜なら原則として一卵性、性別が違えば原則として二卵性と考えられます。同性の二絨毛膜双胎は超音波では区別できないため、遺伝子の型を比べる必要があり、妊娠中であればSNPを使う方式のNIPTで推定できる場合があります。生まれた後は、2人のDNAを比べる検査で判定します。
Q2. DD双胎なら二卵性ですか?
二卵性とは限りません。一卵性でも受精後1〜4日ごろまでに分かれると二絨毛膜二羊膜になり、一卵性の約3分の1がこれに当たります。白人集団の推計では、DD双胎の約1割が一卵性です。膜性から強く推定できるのは、一絨毛膜なら原則として一卵性ということです。
Q3. 一卵性の双子の胎盤はいくつですか?
一卵性の約3分の2は胎盤が1つの一絨毛膜双胎、約3分の1は胎盤が2つの二絨毛膜双胎です。二絨毛膜双胎の胎盤はくっついて1つに見えることがあり、逆に一絨毛膜双胎の3%は胎盤が2つに分かれて見えるため、胎盤の数だけでは膜性も判断できません。
Q4. 双子の片方だけがダウン症候群ということはありますか?
二卵性では、2人の染色体は別々なので、片方だけがダウン症候群(21トリソミー)ということは珍しくありません。一卵性では原則として2人とも同じですが、受精卵が分かれた後の細胞分裂の誤りなどで、片方だけになるきわめてまれな例(およそ38万5,000件に1件)が報告されています。
Q5. 双子の妊娠で、NIPTで性別はわかりますか?
一般的なNIPTでは、Y染色体のDNAが検出されれば「少なくとも1人は男の子」とわかりますが、男の子が1人か2人かは区別できません。SNPを使う方式のNIPTでは、二卵性の双子について2人それぞれの性別を判定できると報告されています。
まとめ:膜性と卵性を分けて考える
双子の出生前検査を考えるときの出発点は、膜性と卵性を分けて考えることです。膜性は妊娠13週6日までに超音波で決め、妊娠中の管理の方針を決める情報になります[11][5]。卵性は2人の遺伝情報が同じかどうかを示す情報で、NIPTの結果の読み方を左右します。一絨毛膜なら原則として一卵性と考えられますが、DD双胎の約1割は一卵性で、膜性からは卵性が決まりません[1]。
SNP法のNIPTは、妊娠中に卵性と2人それぞれの性別を推定できる方法で、膜性がはっきりしないときや超音波で異常が見つかったときに役立ちます[13]。ただし、一卵性でも染色体が食い違うまれな例があること、二卵性では片方の胎児のDNAが少ないと異常が見えにくくなること、バニシングツインでは育たなかった胎児のDNAが結果に影響しうることも、あわせて知っておく必要があります。双子の妊娠でのNIPTの精度については、単胎との違いも含めて関連記事で詳しく解説しています。
🧬 双子の妊娠でNIPTをご検討の方へ
ミネルバクリニックには臨床遺伝専門医が常駐しており、双子の妊娠でのNIPTについて、検査前の説明から結果に応じた確定検査の案内までを行っています。膜性や卵性の情報を踏まえて、結果の意味を医学的に説明します。
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