胎児の性別の不一致

 

胎児の性別の不一致

 

非侵襲的な胎児の性別決定は,定量PCR (qPCR)によって確実に行えます.

ところで.みなさんは,Y染色体があれば当然,男性になる,って考えてますよね?

いやいや.そうじゃないんですよ.

SRYSex-determining region Y)っという遺伝子がY染色体にありまして.
このSRY遺伝子が哺乳類では男性を決定しているんです.

まれに,このSRYがX染色体のほうにのってしまったりして
なくなってしまうことがあって.
そうすると,Y染色体があっても男性になれない,要するに精巣ができないんです.

Y染色体(SRY)遺伝子の性決定領域の増幅には
Y染色体特異的に存在するDYS14遺伝子をマーカーとする方法
またはDYS14マーカーとの組み合わせをする方法のどちらかで,
十分なcffDNAの存在があれば,十分な高感度および高特異性を得られるようです.

1997年から2010年に発表された90件の研究をレビューしたメタアナリシスでは,
非侵襲的cffDNAベースの胎児の性決定の性能が評価され,
感度中央値は96.6%,特異度の中央値は98.9%でした[1].

非侵襲性出生前診断(NIPD)(NIPTは胎児の染色体の異数性をみるものですが.
NIPDは胎児の遺伝子変異による疾患の有無をみます)での胎児性別の決定は
X染色体性疾患のキャリアである女性に対して行われ,特異度は100%である
必要があります.

NIPDのためには,より厳密な診断アルゴリズムの採用と,
胎児DNAの有無を調節するための追加検査の実施がなされるのです.

超音波検査と核型分析の結果が男性胎児を示すものの,
cffDNAに基づくNIPTでは女性,低胎児分画
胎盤の46,XX/46,XYまたは45,X/46,XYモザイク現象,
および(理論的には)女性双胎の一方が死亡している場合は,その説明が可能です.

核型とcffDNA NIPTの結果が女性胎児を示すが,
超音波検査で男性生殖器が示される場合,
SRY遺伝子を含むY染色体の短鎖の一部がX染色体上に転座することによる
「XX男性」が最も可能性が高くなります.
他にも先天性副腎過形成,アンドロゲン産生腫瘍または外因性高アンドロゲンであり,
これらはすべて女性胎児の男性化の原因となります.

3番目の状況は,超音波検査と核型分析の両方が女性胎児を示すが,
cffDNA検査がY染色体DNAを検出する場合です.
胎盤46,XY/46,XXモザイク現象,双胎の片方の男性の死亡,
男性ドナーによる移植の既往,および男性ドナーからの最近の輸血
が考えられます.

最後に,cffDNA検査でY配列が検出された核型男性胎児が
超音波検査で女性生殖器を示す場合,
女性化はSmith-Lemli-Opitz症候群
またはいくつかの性発生遺伝子,例えば,アンドロゲン受容体,17βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ,ステロイド5-アルファレダクターゼ,
またはSRYにおける突然変異がある可能性があります.

 

[1]Wright CF, Wei Y, Higgins JP, Sagoo GS. Non-invasive prenatal diagnostic test accuracy for fetal sex using cell-free DNA a review and meta-analysis. BMC Res Notes 2012;5:476.