NTが厚いと指摘されたかもしれないといってある日妊婦さんが検査に来ました。
ミネルバクリニックではNIPTに全然なんの制限もありません。ですのでその方の年齢は28歳でした。
新型出生前診断NIPTを受ける割合|35歳未満
ミネルバクリニックでは35歳未満でNIPTを受ける人が1/3くらいです。
20代のトリソミー例も当然あります。
NTが厚い
産婦人科で15週でNT(胎児の首の後ろのむくみ)がちょっと厚い(3.5mm)とカルテに書いてあったけど、翌週行ったらもう気にしなくてよくて胎児は順調に育っていると言われたけど不安で仕方がなくて、医師が信用できない、とおっしゃってうちに来ました。
10週~14週と書かれているものもあるそうですが10週、14週で大体不正確になるため、胎児CRL(頭からお尻までの長さ)が45~84mmの11週~13週が一番適しているようです。
リスクの指標をマーカーと呼びますが、マーカー陽性ということは異常と同列ではありません。
NTの場合、95%の胎児がそこに収まる上限(CRL45mmで2.1mm、84mmで2.7mm)で羊水・絨毛検査すると、全21トリソミーの75%が発見できるそうです。
NTは赤ちゃんの首の後ろに見える黒いスペースのことをいいますが、リンパの流れでこの時期の赤ちゃん全員にあるものです。
NTは染色体は正常だけど心臓などに異常をもつ赤ちゃんでも分厚くなることが当然あります。
一般的に3mmもしくは3.5mm以上だと異常と見られているNTですが、
3mmでは3~4%に染色体異常、93%は全く正常、
6mmでは約50%に染色体異常、30%は全く正常です。
NTが厚い=ただちに異常ではないので、スクリーニングシステムのある国では羊水検査や絨毛検査をして染色体異常があるかないか確定診断をします。もし、染色体が正常だった場合には妊娠6カ月で詳しく超音波で異常をチェックします。(ただし、イギリスでは医療費を抑制するためダウン症(21トリソミー)のお子さんはほとんど堕胎されます)
日本では、NTが厚いだけで「今回の妊娠は諦めましょう」と言って中絶していたことがあるそうです。
びっくりしますよね(◎_◎;)
私がNTについて最も問題だと感じることは、遺伝カウンセリング研修会で聞いたことですが、事前のカウンセリング無しにNTを測定して胎児に異常があるとかないとかいきなり伝えることです。そういう患者さんが来たので、本当に横行しているんだとびっくり致しました。
NTは、事前にNTという超音波マーカーの検査の意味を説明して理解してもらった上(それ自体では診断でなくマーカーでしかないということ)で測定するべきものです。そういうことを一切していない状況で測定して、しかもこの患者さんの場合、まったく説明なく本人たちがカルテに書いてあったことを見て、おかしい、と思って不信を抱き、私のところに来たんですよね。
たしかに、信用できないよね。。。とご本人たちには言わなかったけど、心の中でぶつぶつ言いながら彼女の検査を出しました。
そしたら。トリソミー(3つのうちどれかは内緒)の結果が帰ってきました。。。。。。。。
わたしも最初は、全然そんなことだとは思わなくて。変な医者だね、くらいに思ってたんですけど。。。。
本当に陽性に出ると、ショックですねえ。。。涙が出そうになりながら結果開示しました。
NIPT受けてみてどうだったのか聞くと、彼女は 受けてよかった ときっぱり言いました。
それが私の救いです。
トリソミー陽性例の結果が返ってくると、誰のものかと本当にドキドキしながら開封することになります。
一番最初に結果を知る私は意外に辛いです。
でも。一番つらいのは患者さんたちだから、頑張らないといけないな、と思いました。
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