超音波胎児スクリーニング検査は妊娠中に赤ちゃんの染色体異数性につながる超音波所見(マーカー)の有無をチェックすることで、ダウン症などと関連する異常を発見するためのスクリーニングプログラムのことです。

超音波胎児スクリーニング検査

超音波胎児スクリーニングとは?

超音波胎児スクリーニング検査は妊娠中に赤ちゃんの染色体異数性につながる超音波所見(マーカー)の有無をチェックすることで、ダウン症などと関連する異常を発見するためのスクリーニングプログラムのことです。胎児超音波検査(超音波検査)は、超音波を使用して子宮内の胎児の画像を生成する画像診断装置をつかった検査です。胎児超音波画像は、赤ちゃんの成長と発達を評価したり、妊娠を管理するのに役立てられます。場合によっては、胎児超音波検査は、起こりうる問題を評価したり、診断を確認するために使用されます。

初回の胎児超音波検査

初回の胎児超音波検査は、通常、妊娠を確認し、妊娠してからどのくらいの期間が経過しているかを推定するために、第1期の間に行われます。妊娠に合併症がない場合は、解剖学的な詳細が確認できる第2期に次の超音波検査を行うのが一般的です。問題が疑われる場合は、フォローアップの超音波検査やMRIなどの追加の画像検査が推奨されることがあります。

胎児超音波検査の方法

胎児超音波検査には、主に2つの方法があります。

経膣超音波検査

このタイプの胎児超音波検査では、トランスデューサーと呼ばれる杖のような装置(プローブ)を膣内に挿入・設置して音波を送り出し、その反射を集めます。経膣超音波検査は、妊娠初期に最もよく使用されます。経腹超音波検査で十分な情報が得られなかった場合は、このタイプの超音波検査が行われることもあります。

経腹壁超音波検査

経腹壁胎児超音波検査は、腹部にトランスデューサを移動させることで行われます。
他にも、以下のようなさまざまな種類の経腹腔超音波検査があります。

特殊な超音波検査

この種の検査は、胎児の異常が知られている場合や疑われる場合など、特定の状況で必要とされることがあります。このような状況では、より詳細な評価を行うことで、異常についての追加情報を提供することができます。
3D超音波検査。この検査では、3次元のデータを2次元で表示します。このタイプの超音波検査は、顔面の異常や神経管の異常を検出する際に使用されることがあります。

ドップラー超音波

ドップラー超音波は、血液細胞などの動く物体を跳ね返すときの超音波のわずかな変化を測定します。これにより、赤ちゃんの血流の詳細を知ることができます。

胎児心エコー検査

この検査では、赤ちゃんの心臓の詳細な画像が得られます。先天性の心臓障害の確認や除外に使用されることがあります。

超音波胎児スクリーニングはどういうところをチェックしているの?

大きな奇形(大奇形)

超音波は正確な妊娠週数の評価や多胎、大きな奇形、超音波マーカーなどによって染色体異数性スクリーニングを支援するのに使われています。

胎児奇形頻度染色体異数性のリスク%染色体異数性の種類
嚢胞性ヒグローマ1/5,00050~7045,X: 21: 18 : 13: 3倍体
非免疫性胎児水腫1/1,500~4,00010~2045,X: 21: 18 : 13: 3倍体
脳室拡大1/1,000~2,0005~2521: 18 : 13: 3倍体
全前脳胞症1/1,0000~1,500030~4021: 18 : 13: 3倍体
Dandy-Walker奇形1/12,0004021: 18 : 13: 3倍体
口蓋高唇裂1/1,0005~1518:13
心奇形5~8/1,00010~3045,X: 21: 18 : 13: 3倍体:
22q11.2微細欠失
横隔膜ヘルニア1/3,000~4,0005~1518: 21
食道閉鎖1/4,000100.8875
十二指腸閉鎖1/10,0003021
腹壁破裂1/2,000~4,000増加しない
臍帯ヘルニア1/4,00030~5021: 18 : 13: 3倍体
内反足1/1,0005~3018 : 13

上の表にあるように、染色体異数性は殆ど例外なく大きな奇形に関連しています。このため、染色体異数性は出生前診断をおこなうのに十分に正当な理由があると言ってよいでしょう。
ダウン症候群のあかちゃんでは、超音波で判明するような大きな奇形が見えたのは、第2三半期では25~30%でした。
大奇形と超音波マーカーの両方をよく観察できれば、50~60%のダウン症候群を超音波で見つけられると考えられています。
18トリソミー、13トリソミーや三倍体といった子宮内胎児死亡を起こす可能性の高い異数体の多くは、通常第2三半期での超音波異常所見を認められます。

超音波マーカー

第2三半期の超音波マーカー ソフトサイン

30年以上かけて、染色体異数性、特にダウン症候群の超音波による検出は、ソフトサインと呼ばれる超音波マーカーが開発されてきました。
超音波マーカーは異常というよりも正常変異であり、染色体異数性やその他の異常がなければ予後に影響しなません。ソフトサインは正常妊娠においても、少なくとも10%で存在するものです。

超音波マーカーと呼ばれる所見には、以下のようなものがあります。

右鎖骨下動脈起始異常
短頭症または前頭葉の短縮
弯指趾症(第五指中節骨の低形成)
エコー源性腸管
平坦な顔貌
心内エコー源性像
鼻骨欠損または低形成
後頸部肥厚(NT)
腎孟拡大(軽度)
第1 ・第2足趾間のサンダルギャップ
耳介短縮
手掌単一屈曲線
単一臍帯静脈
大腿骨短縮
上腕骨短縮
腸骨角の拡大

また、これらの所見がどれくらいダウン症候群のリスクを高めるのかを尤度比で示しすと下表のようになります。
尤度比2倍ならダウン症のリスクが2倍になるということです。

 尤度比正常児における頻度%
後頸部肥厚11~170.5
腎孟拡大1.5~1.92.0~2.2
心内エコー源性像1.4~2.83.8~3.9
エコー源性膓管6.1~6.70.5~0.7
大腿骨短縮1.2~2.73.7~3.9
上腕骨短縮5.1~7.50.4
マーカーひとつ1.9~2.010.0~11.3
マーカー二つ6.2~9.71.6~2.0
マーカー三つ以上80~1150.1~0.3
注意:心内エコー源性像はアジア人では正常児における頻度がこれより高くなります。

一般的に、超音波所見は妊娠15~20または22週に有用です。
検出されるマーカーの数値が増加すると、染色体異数性のリスクは急に増加する。マーカーがないと、リスクは減少します。

後頚部浮腫(NT)

胎児頭部の小脳横断面で頭蓋骨外側から皮膚外側で計測します。一般的には計測値6mm以上を異常としますが、この所見自体は約200妊娠にl例にみられ、ダウン症候群のリスクが10倍以上になります。

心内エコー源性像

乳頭筋の局所的な石灰化で、構造的または機能的にも心奇形ではありません。
通常左側の心臓に認めます。
心内エコー源性像は胎児の約4%にみられますが、アジア人では30%に及ぶと見積もられています。
単独の所見としては。心内エコー源性像によるダウン症候群のリスクは2倍になります。
両側の心内エコー源性像は13トリソミーと関連します。

軽度腎孟拡大

一過性か生理的で、潜在的な奇形を意味しません。
腎孟は、腎|側の横断面で液体部分の内側縁を前後に計測します。腎盂の計測値4mm以上は2%の胎児にみられますが、ダウン症候群のリスクは約2倍となります。4mm以上は、潜在的な腎奇形と関連がある可能性があり、一般的に32週前後で追加検査をすることになります。

エコー源性腸管

骨組織同様に高輝度を示す腸管と定義されています。約0。5%の胎児に認められ、一般的にほとんどが嚥下した少量の血液を表しており、しばしばMSAFPが上昇する。通常は正常妊娠と関連するとされているのですが、ダウン症候群のリスクは約6倍に上昇します。
また、サイトメガロウイルス感染や嚢胞性線維症とも関連していて、後者では濃縮した胎便と考えられています。

大腿骨と上腕骨の軽度短縮

Down推候群で見られます。ダウン症候群スクリーニングで計測値が2.5パーセンタイル未満または児頭大横径の90%以下であれば、大腿骨は短縮していると考えます。
低リスク群においてこのほかに所見がなければ、一般的にカウンセリングが必要となるほどの高いリスクではないと考えられている。
同様に上腕骨が児頭大横径の89%以下短縮していたらダウン症候群のリスク上昇と関連があります。

染色体スクリーニングを受けていない女性に、単独でマーカーがみられたら?

もし染色体スクリーニングを受けていない女性に、単独でマーカーがみられたら、 スクリーニングをすべきであり、NIPT(新型出生前検査/新型出生前診断)の適応になると考えられています。
もしすでにNIPT(新型出生前検査/新型出生前診断)を受けていて結果が陰性ならば、単独のマーカーと染色体異数性のリスクはもはや関連がないとしてよいでしょう。
染色体異数性のリスクはマーカーではNIPT(新型出生前検査/新型出生前診断)の陰性結果は修正されるものではありません。
逆にNIPT(新型出生前検査/新型出生前診断)の結果が陽性であれば、 マーカーがみられなくても安心できません。

ダウン症候群のリスクと関連がある超音波マーカー
上の画像はダウン症候群のリスク上昇と関連がある超音波マーカーで
A.後頸部肥厚(NT)
B.心内エコー源性像(矢印)
C.軽度腎孟拡大(腎孟拡張症)
D.エコー源性腸管(矢印)
E.弯指趾症(第五指中節骨の低形成による内転矢印)
F.サンダルギャップ (矢印)

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この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号