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限局性皮質異形成II型(FCD II)とは? mTOR遺伝子の体細胞モザイクとてんかん・手術・治療を遺伝専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。国際医療誌『Medical Care Review APAC』『Global Woman Leader』の2誌で表紙を飾り、「Top Prenatal Testing Service in APAC 2025」に選出されるなど、世界基準の遺伝医療を提供。

限局性皮質異形成II型(げんきょくせいひしついけいせいにがた/focal cortical dysplasia type II、FCD II)は、脳の大脳皮質の一部だけが胎児のうちに正しく作られず、そこから薬でおさえにくいてんかん発作が起きる病気です。近年の研究で、その正体はmTOR(エムトール)という細胞の成長スイッチが、脳の一部の細胞だけで過剰にオンになる「体細胞モザイク」という現象だとわかってきました。この記事では、FCD IIとは何か、なぜ起きるのか、どう診断し、手術やお薬でどう治療するのか、そして「遺伝するのか」という疑問まで、一般の方と遺伝診療に関わる方の両方に向けて、臨床遺伝学の観点から解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約18分
🧬 FCD II・mTOR経路・体細胞モザイク
臨床遺伝専門医監修

Q. 限局性皮質異形成II型(FCD II)とは何ですか?まず結論だけ知りたいです

A. FCD IIは、大脳皮質の一部が胎児期の発生の途中でうまく層構造を作れず、そこがてんかん発作の発生源になる「皮質の形成異常」です。薬が効きにくい部分てんかん(焦点てんかん)の代表的な原因のひとつで、多くは子どものうちに発症します。原因は、脳を作る途中の一部の細胞だけに起きたmTOR経路の遺伝子変化(体細胞モザイク変異)で、その細胞だけが異常に大きく育ち、電気的に暴れやすくなります。診断にはてんかんに特化したMRIや脳波を用い、治療は病変を取り除くてんかん外科手術が最も確立しています。

  • 正体 → 大脳皮質の一部が胎児期に正しく層を作れなかった「皮質形成異常」で、薬剤抵抗性てんかんの主要な原因のひとつ
  • 原因 → 脳の一部の細胞だけに起きた「mTOR経路」の遺伝子変化(体細胞モザイク変異)で、細胞の成長ブレーキが外れる
  • 2つの型 → 風船のような細胞(バルーン細胞)がないものがIIa、あるものがIIb
  • 診断 → てんかん専用プロトコルの3T MRI・脳波が基本。MRIで写らない例もあり、陰性でも否定はできない
  • 治療 → 病変を完全に取り切る手術が最も確立。mTOR阻害薬は研究段階で、まだ手術に置き換わる根拠はない

🧬 FCD II型の基本情報

項目 内容
読み方・別名 げんきょくせいひしついけいせいにがた/focal cortical dysplasia type II(FCD II)。かつての「テイラー型皮質異形成」にほぼ相当します
どんな病気か 大脳皮質の局所的な形成異常(malformation of cortical development)で、薬が効きにくい焦点てんかんの主要な原因のひとつ
2つの型 IIa=層構造の乱れ+異形性ニューロン、IIb=それにバルーン細胞が加わったもの[1]
原因 脳の一部の細胞だけに生じたmTOR経路の体細胞モザイク変異。MTOR・AKT3・PIK3CA・RHEB・DEPDC5・TSC1・TSC2などが関わります[5]
主な症状 子どものうちに始まる焦点てんかん発作、複数の抗てんかん薬への抵抗性、発作の部位に応じた症状
治療 病変を完全に取り除くてんかん外科手術が最も確立。抗てんかん薬、一部で焼灼術(アブレーション)

※本記事は一般の方と遺伝診療に関わる方の両方に向けた解説です。特定の検査や治療を勧めるものではありません。

限局性皮質異形成II型(FCD II)の病変部、FCD IIa・IIbの病理像、MRI所見、PI3K-AKT-mTOR経路の異常、体細胞モザイク変異、外科治療などを示す医学イラスト

限局性皮質異形成II型(FCD II)は、大脳皮質の局所的な形成異常で、薬剤抵抗性の焦点てんかんの原因となります。FCD IIaでは皮質の層構造の乱れと異形性ニューロン、FCD IIbではこれらに加えてバルーン細胞が認められます。MTOR・PIK3CA・AKT3・RHEBなどの機能獲得型変異や、DEPDC5・TSC1・TSC2などの機能喪失型変異によるmTORC1経路の過活性化が病態に関与し、多くは脳の一部に限局した体細胞モザイクとして生じます。診断ではMRIや脳波などを組み合わせ、薬剤抵抗性の場合にはてんかん外科手術が重要な治療選択肢となります。

1. 限局性皮質異形成II型(FCD II)とは

私たちの大脳皮質は、胎児のうちに神経細胞(ニューロン)が規則正しく6層に積み重なって作られます。この整然とした層構造が、脳が正しく働くための土台です。限局性皮質異形成(FCD)は、この皮質の一部が局所的にうまく作られなかった状態を指し、大脳皮質の形成異常(malformation of cortical development)のひとつに数えられます。なかでもFCD II型は、単なる細胞の移動の問題というより、胎児期の神経のもとになる細胞(前駆細胞)に生じたmTOR関連の遺伝子変化が、細胞の増殖・大きさ・分化・配置を局所的に乱した結果と考えるほうが、いまのデータによく合います[1]

FCD IIの一番の問題は、その部分がてんかん発作の発生源になりやすいことです。多くは子どものうちに部分てんかん(焦点てんかん)として発症し、複数の抗てんかん薬を使っても発作が止まりにくい「薬剤抵抗性」を示すことがしばしばあります。一方で、大人になってから見つかる例もあり、年齢だけで否定できる病気ではありません[9]

💡 用語解説:焦点てんかんと薬剤抵抗性

「焦点てんかん」とは、脳の一部(焦点)から発作が始まるタイプのてんかんです。脳全体が一度に興奮する「全般てんかん」と区別されます。「薬剤抵抗性」とは、適切に選んで十分な量を使った2種類の抗てんかん薬でも、発作が十分におさえられない状態を指します。FCD IIは、この薬剤抵抗性の焦点てんかんの背景としてよく見つかる病気のひとつです。

一般の人口の中でFCD IIがどれくらいの頻度で存在するかは、正確にはわかっていません。症状のない病変や、MRIに写らない微小な病変があること、手術を受けた人だけを数えるという偏り、時代による分類の変更などが理由です。ただし、てんかんの外科手術で取り出された脳組織を調べる領域では、FCDを含む皮質形成異常はきわめて重要なグループを占めます。ヨーロッパの大規模な多施設研究では、9,523件のてんかん外科の切除標本が解析され、皮質形成異常は主要な病理カテゴリーのひとつでした[8]。とくに小児のてんかん外科では、FCD IIは最もよくみられる皮質形成異常のひとつです。

2. なぜ起きるのか ─ mTOR経路という「細胞の成長スイッチ」

FCD IIの発症の中心にあるのが、mTORC1(エムトール複合体1)という、細胞の成長・分裂・タンパク質づくりを指揮する司令塔の「過剰なはたらき(過活性化)」です。mTORは、栄養や成長のシグナルを受け取って「もっと大きく、もっと増えよ」と細胞に指令を出す、いわばアクセルのような分子です[5]。この経路のどこかに変化が起きて、アクセルが踏まれっぱなしになると、その細胞は異常に大きく育ち、正しく働けなくなります。

FCD IIで見つかる遺伝子の変化は、大きく2つのタイプに整理できます。ひとつは、アクセルそのものを踏み込む機能獲得型変異で、MTOR・PIK3CA・AKT3・RHEBといった遺伝子が該当します。もうひとつは、ブレーキを壊してしまう機能喪失型変異で、DEPDC5・TSC1・TSC2といった、mTORを抑える側の遺伝子が該当します。入口はさまざまでも、最終的には同じ「mTORC1の過活性化」に行き着く、というのがこの病気の特徴です[5]

アクセル型MTOR・PIK3CA・AKT3・RHEB(機能獲得)
mTORC1が
過剰にオン成長スイッチが入りっぱなし
ブレーキ型DEPDC5・TSC1・TSC2(機能喪失)

この「入口はいろいろでも出口はひとつ」という考え方は、病理の観察からも裏づけられています。原因となる遺伝子変化を特定できなかったFCD IIの症例でも、異常な細胞にはmTORC1が働いている証拠(pS6という目印のリン酸化)が強く現れることが示されており、FCD IIは「分子的にmTORの過活性化に収束する病気(mTORopathy/エムトール病)」として理解されています[5]。ただし、これは「すべての症例で既知の遺伝子変異が見つかる」という意味ではなく、現在の解析でも原因不明のまま残る例があります。

💡 用語解説:機能獲得型変異と機能喪失型変異

遺伝子の変化には、タンパク質の働きが強くなりすぎる「機能獲得型」と、働かなくなる「機能喪失型」があります。車にたとえると、機能獲得型はアクセルが戻らなくなった状態、機能喪失型はブレーキが効かなくなった状態です。FCD IIでは、アクセル側(MTORなど)の機能獲得型と、ブレーキ側(TSC1・TSC2・DEPDC5など)の機能喪失型の、どちらもが最終的に「mTORが働きすぎる」という同じ結果を招きます。

この経路を抑える側の遺伝子として重要なのが、DEPDC5遺伝子です。DEPDC5はGATOR1という複合体の一員として、mTORC1にブレーキをかけています。ほかにも、結節性硬化症の原因として知られるTSC1遺伝子TSC2遺伝子もmTORのブレーキ役です。一方、アクセル側では、脳の過成長にも関わるAKT3遺伝子PIK3CA遺伝子、そしてRhebが関わります。これらの遺伝子は、後で触れる結節性硬化症PIK3CA関連過成長スペクトラム(PROS)といった、同じ「mTOR病」の仲間の疾患とも共通しています。

3. 体細胞モザイク ─ 「脳の一部にだけ」ある変異

FCD IIを理解するうえで最も大切な考え方が、体細胞モザイク(たいさいぼうモザイク)です。多くの遺伝性疾患では、変異は受精卵の段階から全身のすべての細胞に存在します。ところがFCD IIの変異の多くは、胎児期に脳が作られていく途中で、一部の細胞にだけ新しく生じた変異です。つまり、血液や体のほかの部分には変異がなく、脳の病変部の細胞にだけ変異がある、という状態になります。これを「脳に限局したモザイク(brain-restricted mosaicism)」と呼びます。

💡 用語解説:体細胞モザイクとVAF(変異アレル頻度)

受精卵になったあと、体の細胞(体細胞)が分裂していく途中で新しく生じる変異を「体細胞変異」といい、その結果、変異を持つ細胞と持たない細胞が入り混じった状態を「体細胞モザイク」と呼びます。病変部の中でどれくらいの割合の細胞が変異を持つかを示す数字がVAF(変異アレル頻度)です。FCD IIではこのVAFがとても低いことが多く、たとえばある研究では変異の割合が数%程度にとどまっていました。

この「変異の割合の低さ」が、診断をむずかしくしています。血液の検査だけでは変異が見つからないことが多いのです。ある研究では、FCD IIbの13例中6例(46%)で病変に特異的なMTOR変異が見つかりましたが、その変異アレル頻度は1.11〜9.31%とごく低いものでした[3]。同じ時期に、別の研究チームも、切除した脳組織からごく低い割合のMTOR変異を報告しています[2]。このため、通常の深さで行う血液のエクソーム解析だけでは見逃されうるのです。手術で取り出した脳組織を、非常に深く読む標的シークエンスやデジタルPCRといった方法のほうが、理論上は適しています[2][4]

この点を数字で示したのが、80人の小児手術例で血液と脳を対応させて調べた研究です。標的遺伝子を2,000回以上の深さで解析した結果、軽度の皮質形成異常やFCD I型では29%、FCD II型と片側巨脳症(HME)では63%で遺伝学的な原因を説明できました。FCD II/HMEでは、MTOR・AKT3・PIK3CA・RHEBの機能獲得型と、DEPDC5・TSC1・TSC2の機能喪失型の両方が検出され、しかも病理学的に異常な細胞そのものに変異があることが示されました[5]

変異が生じる「時期」も、病変の広がりを左右します。同じmTOR経路の変異でも、発生の早い段階で広い前駆細胞の集団に入れば脳の半分が大きくなる片側巨脳症(へんそくきょのうしょう)寄りに、遅い段階で狭い範囲の細胞に入れば小さなFCD寄りに、というように、連続したスペクトラム(幅)を作ると考えられています[7]。「いつ、どこで、どの細胞に変異が入ったか」が、病気の大きさと形を決めているのです。

さらに近年の1細胞レベルの研究では、病気の姿はもっと複雑であることがわかってきました。2025年に報告された単一核の解析では、FCD IIの原因となるmTOR経路の変異は、興奮性のニューロンだけでなくアストロサイト(星状膠細胞)にも存在し、形態的に大きく育っている細胞は変異細胞の一部にすぎませんでした。さらに、変異を持たない周囲の細胞にも、シナプスや神経発生、代謝に関わる遺伝子の働きの乱れが見られました[6]。これは、病変を「異常な細胞のかたまりを取り除けば終わる単純なもの」ではなく、モザイク変異によって作られた異常な神経・グリアのネットワークとして理解する必要があることを示しています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「血液が陰性」は「原因がない」ではありません】

遺伝子の変化というと、多くの方は「生まれつき全身の細胞にあるもの」と考えます。ですがFCD IIは、その常識が当てはまらない病気です。変異は脳の病変部にだけあり、血液を調べても見つからないことが少なくありません。

遺伝医学では、「検査で見つからなかったこと」と「原因がないこと」を混同しないことが重要です。血液の遺伝子検査が陰性でも、それだけでFCD IIを否定することはできません。検査には「何を、どこまで、どんな感度で調べているか」という前提があり、その前提を丁寧に読み解くことが、結果を正しく受け止める第一歩になります。

4. FCD IIは遺伝するのか ─ 遺伝カウンセリングの視点

「FCD IIは遺伝しますか」というのは、遺伝カウンセリングで重要な疑問のひとつです。結論から言うと、「体細胞病変だから遺伝しない」と一律に説明するのは正確ではありません。多くは脳に限局したモザイクなので、次のお子さんへの再発リスクは一般的には高くないと考えられます。しかし、いくつかの重要な例外があります。

最も注意が必要なのが、先ほど触れたDEPDC5遺伝子に関わる「ツーヒット(two-hit)モデル」です。DEPDC5では、全身の細胞に生殖細胞系列の機能喪失型変異(1つめのヒット)を持っている人がいます。その状態だけでは病変が全身に広がらず、なぜ脳の一部にだけ限局した病変ができるのか説明できませんでした。研究により、病変ができる場所で2つめの体細胞変異(セカンドヒット)が起こり、正常なほうの遺伝子も失われることで、その場所だけmTORの過活性化が成立することが実証されました[10]。これは、「家族性の焦点てんかん」と「局所的なFCD」が同じ家系に共存しうる仕組みを説明します。

💡 ここが遺伝カウンセリングで大切なポイント

DEPDC5などのブレーキ役の遺伝子では、生殖細胞系列の変異(親から受け継がれ、次の世代にも伝わりうる変異)が背景にあることがあります。ご家族に焦点てんかんの方が複数いる、複数の場所から発作が出る、ほかのmTOR病を思わせる所見がある、といった場合には、血液での生殖細胞系列の遺伝子検査に意味が出てきます。逆に、血液が陰性でも、また脳組織で変異が見つからなくても、原因となる変異を完全に否定できるわけではありません[10][5]

当院では、遺伝子や染色体に関わる検査の前後で、臨床遺伝専門医遺伝カウンセリングを行っています。話し合うのは、検査で何が分かり何が分からないのか、見つかった変化がご本人やご家族にとってどういう意味を持つのか、そして再発リスクや次の選択肢はどうか、といった点です。FCD IIのように「体細胞モザイクが中心だが、一部に生殖細胞系列の関与もありうる」という複雑な病気では、こうした個別の整理がとくに役立ちます。なお、遺伝形式浸透率(変異を持つ人が実際に発症する割合)の考え方も、家族内のリスクを理解するうえで重要になります。

5. 病理でわかること ─ IIaとIIbの違い

FCD IIの確定診断は、手術で取り出した脳組織を顕微鏡で調べる病理検査によって行われます。単に大きな神経細胞を見つけるだけでなく、皮質の層構造の乱れ(dyslamination/異常な層構築)と、細胞の形の異常を組み合わせて判断します。2011年に国際抗てんかん連盟(ILAE)が示した分類では、次のように定義されました[1]

🔬 FCD IIaとIIbの違い

特徴 FCD IIa FCD IIb
層構造の乱れ 明らかな乱れ 通常より強い乱れ
異形性ニューロン 必須(あり) 必須(あり)
バルーン細胞 なし あり
MRIの見え方 IIbより微妙なことがある トランスマントル徴候などが比較的典型的
mTORの活性化 pS6などで高頻度に確認 pS6などで高頻度に確認

※異形性ニューロン・バルーン細胞・pS6については本文で解説しています。

異形性ニューロン(いけいせいニューロン、dysmorphic neuron)は、正常な皮質の神経細胞より著しく大きく、向きや配置が乱れ、細胞体の中にニッスル物質や神経フィラメントが異常に溜まった細胞です。この細胞を含む領域は電気的に強く興奮しやすく、FCD IIの発作づくりの中心と考えられています[1]

一方のバルーン細胞(balloon cell)は、その名のとおり風船のように大きく膨らんだ、淡くガラスのような細胞体を持つ細胞で、核が端に寄っていることが多く、皮質の深い層から白質にかけて分布します。成熟したニューロンとも成熟したアストロサイトともつかない、発生段階の未熟な神経・グリアの前駆細胞に近い性質を示します。バルーン細胞は異形性ニューロンほど直接的に高い興奮性を示さず、ヒトの組織研究では電気的に比較的おとなしいとされますが、周囲のネットワークや炎症、代謝、発生の異常を介して病態に関わる可能性があります[1][6]

このIIa/IIbの区別は臨床的にいまも有用ですが、両者はまったく別の病気というより、共通のmTOR病スペクトラム上にある可能性が高いと考えられています。実際、同じ原因変異が異形性ニューロンとバルーン細胞の両方から見つかり、両者が共通の前駆細胞に由来する可能性が支持されています[5][6]

ILAEの分類は時代とともに更新されてきました。1971年にテイラーらが「テイラー型皮質異形成」を記載し、2004年にこれがII型として整理され、2011年の国際合意分類でIIa/IIbの定義が標準化されました[1]。2018年には、この2011年分類の再現性や分子病態上の課題を整理した批判的な見直し(critical update)が発表されましたが、これは正式な新分類への置き換えではありませんでした。そして正式な次の改訂は2022年で、病理所見と分子遺伝学を統合する「統合診断」の方向がいっそう強められました[11]

🏥 遺伝子や染色体に関わる検査のご相談

てんかんの背景にある遺伝子の変化や、ご家族での再発リスク、
遺伝子検査の結果の意味についてお考えの方は、
臨床遺伝専門医が在籍するミネルバクリニックにご相談ください。

6. 症状 ─ 発作の型は「病変の場所」で決まる

FCD IIは、典型的には子どものうちから若い時期に発症する焦点てんかんで、発作の頻度が高く、複数の抗てんかん薬に抵抗し、長く続くことで認知・発達・行動に影響することがあります[9]。発作の症状(semiology/発作症候)は、病理の型(IIaかIIbか)よりも、病変がどこにあるかによって決まります[9]

たとえば前頭葉の病変では、睡眠に関連した激しい動きを伴う発作や、左右非対称の姿勢のこわばり、頭や目が一方向に向く発作などが起こります。運動野の周辺では手足の限局した運動やしびれ、頭頂葉では体の感覚や身体像に関わる症状、後頭葉では視覚の症状、側頭葉ではみぞおちから上がってくるような感覚や、意識のくもり、無意識の動作などが生じえます。したがって、「IIbに特有の症状」「IIaに特有の症状」というものは確立していません[9]

FCD IIは病変そのものに強い「内在性のてんかん原性」を持ちますが、長い経過のなかでは、病変の周囲や離れた領域を巻き込む二次的な発作ネットワークが形成されることがあります。頭蓋内に電極を置いて調べる検査(SEEG)では、病変内の連続する反復性のスパイク(棘波)、低い電位の高速な活動、高周波の活動などが重要な手がかりになります。MRIで見える病変の境界と、電気生理学的に発作が始まる領域が完全に一致するとは限らないことも、この病気の重要な特徴です[12]

7. 画像診断 ─ MRIで何を探すか

FCD IIの診断で基盤となるのが、構造をみるMRIです。ILAEの神経画像タスクフォースは、てんかんの診断と手術評価の土台として構造MRIを位置づけ、HARNESS-MRIという標準化された撮像プロトコルを推奨しています[13]。基本は高分解能の3次元T1強調画像、3次元FLAIR、高分解能T2強調画像で、等方性の3次元データを使うことで、小さな脳溝の底にひそむ病変も見つけやすくなります[13]

FCD IIでMRIが探す所見は、灰白質と白質の境界がぼやける「境界不鮮明化」、局所的な皮質の厚み、T2/FLAIRでの高信号、脳回や脳溝の形の異常、深く異常な脳溝、そしてトランスマントル徴候です。トランスマントル徴候は、皮質の病変から脳室のほうへ先細りに伸びる放射状のT2/FLAIR高信号で、とくにFCD IIbを示唆しますが、感度も特異度も100%ではありません[9]

💡 用語解説:「MRI陰性」は「病変がない」ではありません

FCD IIには、現在の撮像・読影の条件では写らない「MRI陰性」の例が実際に存在します。とくにIIaや、脳溝の底にある小さな病変は見つけにくく、専門医による読み直しや画像の後処理で初めて気づかれることがあります。ですから「MRI陰性」は「構造的な病変が存在しない」という意味ではなく、「いまの条件では可視化されていない」と受け止めるべきです[9]。MRIが正常でも、発作症状・脳波・PET・脳磁図などが同じ小さな領域を指し示すなら、FCD IIの探索をやめるべきではありません[13]

MRIで見つけにくい場合や、所見が発作と一致しない場合には、いくつかの検査を組み合わせます。発作間欠期のFDG-PETは、病変や発作ネットワークで代謝が低下している領域を示します。ただし代謝異常の範囲はMRI病変より広いことがあり、局在の手がかりにはなっても、その全域を切除すべきという意味ではありません[9]。脳磁図(MEG)は、発作間欠期の異常な電気活動の発生源を高い時間分解能で捉え、MRI陰性の例で補助的な価値を持ちます。より強力な7テスラの高磁場MRIは、3テスラでは見えない微小な病変を描出できる可能性がありますが、標準化はまだ十分ではありません。近年はAIによる画像の形態解析も研究されていますが、これらはいずれも専門医による読影と多角的な術前評価を置き換えるものではなく、あくまで補助的な段階です[9]

大切なのは、「MRI → 手術」という一本道ではなく、発作症状・脳波・構造画像・代謝画像・脳磁図・侵襲的な電気生理・病理・分子遺伝学が、同じ場所を指し示すかという「収束(convergence)」を重視することです[13][11]

8. 治療の中心は手術 ─ 「完全に取り切れるか」が鍵

FCD IIに特別によく効く抗てんかん薬は知られておらず、一般の焦点てんかんと同じ原則で薬を選びます。FCD IIは薬剤抵抗性との関連が強いため、適切な2種類の抗てんかん薬で発作が止まらない場合には、薬を延々と追加するより、早めに専門的なてんかん外科の評価につなぐことが重要です[9]

手術の目的は「MRIで白く見える部分を取ること」ではなく、許容できる機能のリスクの範囲内で、発作を起こす病変やネットワークを十分に取り除く(または切り離す)ことです。病変の大きさや場所に応じて、病変だけを取る手術から、部分的に皮質を取る手術、脳葉をまたぐ切除まで、さまざまな方法が使われます[5][9]

FCDの外科成績を集めた大規模な解析があります。37の研究・2,014例をまとめたメタ解析では、手術後に発作が完全に消える割合(Engel I)は55.8%±16.2%で、MRIで病変が見えること、テイラー型(II型)の病理、側頭葉の病変などが良好な結果と関連しました。そして、治療として最も強い予測因子は「異常領域の完全切除」でした[14]

💡 数字の読み方に注意

この55.8%という古い数字を、そのまま今日のFCD II患者さんに当てはめるのは適切ではありません。これはFCDのさまざまな型、異なる世代のMRI、異なる手術手技を混ぜた値だからです。現代のFCD IIで、MRIで病変が見え、発作が一つの場所に由来し、電気と臨床の所見がよく一致して完全に切除できる例では、おおむね60〜80%程度の長期の発作消失が報告されています。一方、運動・視覚・言語などの大切な機能を担う領域(eloquent cortex/機能的皮質)に病変が重なる場合は、切除を制限せざるをえず、成績は下がります[9]

この「場所による差」は、単なる技術の差ではありません。病変の位置そのものが、どこまで切除できるか、そして結果を大きく左右します。したがって「FCD IIだから予後が良い」と単純には言えず、組織の型 × 病変の位置 × 完全に切除できるか × ネットワークとの一致という掛け算で予後を考えるほうが正確です[14]。とくに機能的皮質に病変がかかる場合には、発作が消える利益と、永続的な機能障害のリスクとを、一人ひとりで丁寧に比べる必要があります。これこそが、完全切除が良い予後因子であるにもかかわらず、実際の臨床で不完全な切除が避けられない最大の理由のひとつです。

MRIで病変が見えない例は、手術ができないわけではありませんが、発作が消える割合は下がりやすくなります。PET、脳磁図、MRIの後処理、SEEGによって局在の仮説を固めることができれば、MRI陰性のFCDでも良好な結果が得られる例があります[14][13]。また、脳溝の底にある深い病変などでは、開頭手術の代わりにMRIガイド下のレーザー焼灼術(アブレーション)が選ばれることが増えていますが、開頭による完全切除ほど長期のデータは成熟しておらず、病変が焼灼範囲を超えて広がる場合には再発のリスクがあります[9]

なお、手術で発作を止めることは、認知や発達の面でも重要です。とくに小児では、頻回の発作、睡眠障害、薬の負担、てんかん性の脳の機能低下による発達への二次的な影響を、早く断つことに意味があります。ただし、手術後に認知機能がどこまで改善するかは、発症年齢や術前の発達状態、病変の場所、正常な組織をどれだけ切除したか、発作が消えたかどうかなど多くの要因に左右されるため、「発作が消えること」と「認知が治ること」を同じものと考えてはいけません[9]

9. mTOR阻害薬という期待 ─ 現状はどこまで来たか

FCD IIの原因がmTORの過活性化だとわかると、当然「それならラパマイシン(シロリムス)エベロリムスのようなmTORを抑える薬が効くのでは」という発想が生まれます。実際、動物モデルではmTORを抑えることで発作や細胞の異常が改善します。しかし、ヒトのFCD IIでは、mTOR阻害薬の臨床的な効果はまだ確立していません

FCD IIを対象にしたエベロリムスの対照試験では、プラセボ(偽薬)に対する明確な優越性は示されませんでした[15]。したがって、「mTOR経路に変異がある=エベロリムスが臨床的に効く」という単純な推論は成り立ちません。日常の診療で、FCD IIという病理だけを理由にmTOR阻害薬を通常処方する根拠は、現時点では十分ではないのです[15]

💡 なぜ「経路に変異があるのに効きにくい」のか

この結果は、mTORという仮説そのものを否定するものではありません。FCD IIでは、mTORの過活性化が胎児期からすでに皮質の構造を変えてしまっているため、生まれたあとにmTORを抑えても、できあがった層構造の乱れを「正常化」することはできない可能性があります。また、変異の種類、変異の割合(VAF)、変異のある細胞の種類、治療を始める年齢、薬が病変にどれだけ届くか、長い経過で発作ネットワークが二次的に固定してしまうことなどが、効き方のばらつきを生みます。今後は「FCD IIの全員」ではなく、遺伝子のタイプなどで層別化した試験が必要と考えられています[5][6]

なお、シロリムスやエベロリムスは、同じmTOR病である結節性硬化症や、その関連疾患であるリンパ脈管筋腫症(LAM)など、ほかの病気では確立した使い方があります。FCD IIでの位置づけは、これらとは分けて考える必要があります。治療に関する判断は、必ず主治医とご相談ください。ここでは研究の動向として紹介しています。

FCD IIの研究は、いま「組織の型」から「どの発生時期に、どの細胞系譜に、どの変異が、どれくらいの割合で存在し、それがどんな神経回路を作ったか」へと、細胞レベルの理解に移りつつあります[6]。手術で取り出した脳組織を、低い変異の割合を想定して深く解析する分子検査の意義も、今後さらに高まっていくと考えられます。

10. よくある誤解

誤解①「FCD IIは必ず遺伝する/絶対に遺伝しない」

どちらも正確ではありません。多くは脳に限局した体細胞モザイクで再発リスクは高くありませんが、DEPDC5などでは生殖細胞系列の変異が背景にあることがあります。一律には言えず、個別の評価が大切です。

誤解②「血液検査が陰性なら原因はない」

FCD IIの変異は脳の病変部にだけあり、しかも割合が非常に低いことが多いため、通常の血液検査では見つからないことがしばしばあります。陰性でも病気を否定できません。

誤解③「MRIが正常ならFCDではない」

現在の条件で写らない「MRI陰性」の例が実在します。「病変がない」ではなく「まだ見えていない」と考え、脳波・PET・脳磁図などを組み合わせて探すことが重要です。

誤解④「mTOR阻害薬を飲めば手術は不要」

現時点では、mTOR阻害薬がFCD IIの手術に置き換わる根拠はありません。対照試験でプラセボへの明確な優越性は示されておらず、完全切除が最も確立した治療です。

まとめ ─ FCD IIをどう理解するか

限局性皮質異形成II型(FCD II)は、大脳皮質の一部が胎児期に正しく作られず、そこが薬でおさえにくいてんかんの発生源になる病気です。その正体は、脳を作る途中の一部の細胞だけに生じたmTOR経路の体細胞モザイク変異で、アクセル側(MTOR・AKT3・PIK3CAなど)とブレーキ側(DEPDC5・TSC1・TSC2など)の、どちらの変化も最終的に「mTORの過活性化」という同じ結果に行き着きます[5]

診断は、てんかんに特化した高品質のMRIと脳波を土台に、必要に応じてPETや脳磁図、SEEGを組み合わせ、複数の所見が同じ場所を指すかを見ていきます。治療の中心はいまも病変を完全に取り切る手術で、mTOR阻害薬は理にかなった候補ではあるものの、まだ手術に置き換わる段階にはありません[14][15]。そして、遺伝の観点からは「体細胞病変だから遺伝しない」と決めつけず、DEPDC5などの例外も含めて一人ひとり丁寧に評価することが大切です。FCD IIは、遺伝子の変化を「全身か局所か」「いつ生じたか」という視点で読み解く、体細胞モザイクという考え方の代表的な病気だといえます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 限局性皮質異形成II型(FCD II)とは何ですか?

大脳皮質の一部が胎児期の発生の途中でうまく層構造を作れず、そこがてんかん発作の発生源になる「皮質の形成異常」です。薬が効きにくい焦点てんかんの主要な原因のひとつで、多くは子どものうちに発症します。原因は、脳を作る途中の一部の細胞だけに起きたmTOR経路の遺伝子変化(体細胞モザイク変異)で、その細胞だけが異常に大きく育ち、電気的に興奮しやすくなります。バルーン細胞という特徴的な細胞がないものをIIa、あるものをIIbと呼びます。

Q2. FCD IIは遺伝しますか?子どもや次の妊娠に影響しますか?

一律には言えません。FCD IIの変異の多くは脳の病変部にだけ生じた体細胞モザイクなので、次のお子さんへの再発リスクは一般的には高くないと考えられます。ただしDEPDC5などのブレーキ役の遺伝子では、全身に生殖細胞系列の変異があり、そこに脳での2つめの変異(ツーヒット)が加わって発症することがあります。この場合は次の世代にも関わりうるため、家族歴や複数の発作焦点などがある場合は、血液での遺伝子検査と遺伝カウンセリングに意味が出てきます。

Q3. なぜ血液の遺伝子検査では原因がわからないことがあるのですか?

FCD IIの変異は、脳が作られる途中で一部の細胞にだけ生じた体細胞変異であることが多く、血液や体のほかの部分には存在しないことがあるためです。しかも病変部の中でも変異を持つ細胞の割合(VAF)が数%程度とごく低いことが多く、通常の深さの血液検査では見逃されがちです。手術で取り出した脳組織を非常に深く解析する方法のほうが、理論上は検出に適しています。

Q4. MRIで異常がないと言われました。FCD IIは否定できますか?

否定はできません。FCD IIには、現在の撮像・読影の条件では写らない「MRI陰性」の例が実際に存在します。とくにIIaや脳溝の底にある小さな病変は見つけにくく、てんかんに詳しい専門医による読み直しや、画像の後処理で初めて気づかれることがあります。MRIが正常でも、発作症状・脳波・PET・脳磁図などが同じ小さな領域を指し示すなら、さらに詳しい検査を検討する価値があります。

Q5. mTOR阻害薬(エベロリムスなど)を飲めば手術しなくても治りますか?

現時点では、mTOR阻害薬が手術に置き換わる根拠はありません。FCD IIを対象にしたエベロリムスの対照試験では、偽薬に対する明確な優越性は示されませんでした。mTORの過活性化はすでに胎児期に皮質の構造を変えてしまっているため、生まれたあとに薬で抑えても、できあがった構造の乱れを元に戻すのは難しいと考えられます。いまのところ、病変を完全に取り除く手術が最も確立した治療です。治療の判断は必ず主治医とご相談ください。

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参考文献

  • [1] The clinicopathologic spectrum of focal cortical dysplasias: a consensus classification proposed by an ad hoc Task Force of the ILAE Diagnostic Methods Commission. Epilepsia. 2011. [PubMed 21219302]
  • [2] Brain somatic mutations in MTOR cause focal cortical dysplasia type II leading to intractable epilepsy. Nat Med. 2015. [PubMed 25799227]
  • [3] Somatic Mutations in the MTOR gene cause focal cortical dysplasia type IIb. Ann Neurol. 2015. [PubMed 26018084]
  • [4] Precise detection of low-level somatic mutation in resected epilepsy brain tissue. Acta Neuropathol. 2019. [PubMed 31377847]
  • [5] Dissecting the genetic basis of focal cortical dysplasia: a large cohort study. Acta Neuropathol. 2019. [PubMed 31444548]
  • [6] Single-cell genotyping and transcriptomic profiling of mosaic focal cortical dysplasia. Nat Neurosci. 2025. [Nature Neuroscience]
  • [7] Somatic Mutations Activating the mTOR Pathway in Dorsal Telencephalic Progenitors Cause a Continuum of Cortical Dysplasias. Cell Rep. 2017. [Cell Reports]
  • [8] Histopathological Findings in Brain Tissue Obtained during Epilepsy Surgery. N Engl J Med. 2017. [PubMed 29069555]
  • [9] Balestrini S, Barba C, Thom M, Guerrini R. Focal cortical dysplasia: a practical guide for neurologists. Pract Neurol. 2023;23(4):293-302. doi:10.1136/pn-2022-003404. [PubMed 36823117]
  • [10] Second-hit mosaic mutation in mTORC1 repressor DEPDC5 causes focal cortical dysplasia-associated epilepsy. J Clin Invest. 2018. [PubMed 29708508]
  • [11] The ILAE consensus classification of focal cortical dysplasia: an update proposed by an ad hoc task force of the ILAE diagnostic methods commission. Epilepsia. 2022. [PubMed 35706131]
  • [12] Bartolomei F, Lagarde S, Wendling F, McGonigal A, Jirsa V, Guye M, Bénar C. Defining epileptogenic networks: Contribution of SEEG and signal analysis. Epilepsia. 2017;58(7):1131-1147. doi:10.1111/epi.13791. [PubMed 28543030]
  • [13] Recommendations for the use of structural magnetic resonance imaging in the care of patients with epilepsy: a consensus report from the International League Against Epilepsy Neuroimaging Task Force. Epilepsia. 2019. [Epilepsia]
  • [14] A meta-analysis of predictors of seizure freedom in the surgical management of focal cortical dysplasia. J Neurosurg. 2012. [PubMed 22324422]
  • [15] Efficacy and safety of everolimus for patients with focal cortical dysplasia type 2. Epilepsia Open. 2025. [PubMed 39607729]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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