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羊水とは赤ちゃんの生命を維持するためのゆりかご|羊水の役割などを解説
羊水はこの子宮の中の赤ちゃんのイメージ画像の黄色い赤ちゃんを取り囲んでいる部分を満たす液体のことです。
羊水はどうやってできるの?
羊水は胎嚢が形成されるときから存在しています。羊水は羊水嚢といわれる袋の中を満たしています。羊水は母体の血漿から生成され、浸透圧と静水圧によって胎児の膜を通過して入っていきます。どんな膜にも穴が開いていて、水のような分子は通過していけるのです。
16週目頃になると胎児の腎臓が機能し始め、胎児の尿も羊水産生に寄与します。以前は、羊水はすべて胎児の尿で構成されていると考えられていましたが、大部分は母体の血漿から生成されています。羊水は、胎児の組織や皮膚から吸収されます。
羊水にはどんな物質が含まれているの?
羊水は最初は電解質を含む水が中心ですが、12~14週目頃にはタンパク質、炭水化物、脂質やリン脂質、尿素なども含まれるようになり、これらはすべて胎児の成長を助けるのに必要なものです。
羊水ってどれくらいの体積量なの?
羊水の量は胎児の成長に伴って変化します。10週目から20週目までで約25mlから約400mlに増加します。
10週目から11週目にかけては、胎児の呼吸と嚥下により羊水量がわずかに減少します。これ以降、皮膚の角化が完了する第25週までは、排尿も嚥下も羊水量の変化には大きく寄与しなくなります。妊娠28週ごろ、羊水は800mlに増え、ここからはそんなに増えず、プラトーに達します。そして、出生時の羊水量は約500ml~1000mlと言われています。
羊膜amnionの破裂
羊膜が破裂すると羊水が出てきます。これは一般的に女性の「破水」の時期として知られています。これが臨月期の陣痛中に起こる場合は、大丈夫なのですが、出産前に破水した場合は、上述したように羊水というのは胎児の生命を維持するのに必要な保護装置ですから、赤ちゃんの生命が危険になることもあります。
羊水の機能
胎児が飲み込んだ羊水は尿を作ったり、胎便の形成をするのに役立ちます。羊水は、母体の腹部への衝撃から胎児を保護し、胎児が動きやすくなることで、筋肉や骨格の発達を促進します。胎児が飲み込んだ羊水は、消化管の形成に役立ちます。また、機械的な揺れや衝撃から胎児を守る働きもあります。流体で満たされた羊水嚢内で発達している胎児は、呼吸ガス交換は肺ではなく胎盤に依存しています。しかし、肺は胎児の酸素化に関与してはいないのですが、羊水を吸い込んだりする胎児の呼吸運動は、肺の成長と呼吸筋とそれらに対する神経のレギュレーションの発達に重要な役割を持っています。胎児の呼吸運動は、出生後の呼吸とは異なり、子宮内環境にあるがゆえに多くの点で制限を受けています。出生時には、連続的に肺呼吸への移行がなされ、その過程で体温の低下、肺のガスによる膨張、ヘリング-ブロイヤー反射(1回換気量に該当する量の空気が肺に吸入されて肺が膨張すると気管支平滑筋にある伸展受容器がその状態をキャッチして迷走神経を介して延髄背側にある息を吸う指令をする神経線維を抑制する神経線維を興奮させることで吸気が停止します)を起こしたり、一連の劇的な事柄が一気に起こり、胎盤から酸素供給されていた状態から自分で肺呼吸をして酸素を得られるようになっていきます。
羊水の臨床的意義
羊水採取
羊水は羊水穿刺によって母体から採取されます。羊水穿刺法では、胎児に害を与えないように超音波誘導を用いて、長い針を腹部から羊水嚢に挿入します。羊水穿刺はリスクの低い手術で、流産のリスクは700人に1人~1500人に1人となっています。羊水穿刺は、診断的な遺伝情報の取得、子宮内感染の評価のため、まれには早期分娩が必要な場合に胎児の肺成熟度を評価するために実施することもあります。必要に応じて、妊娠16~42週の間に羊水を採取します。採取される体液の量は、処置の適応と体液に対して実施される検査によって異なります。
羊水の分析
羊水を分析することで、赤ちゃんの遺伝的健康状態の多くの側面を明らかにすることができます。これは、羊水には胎児の肺の成熟度を評価する際に使用される代謝性の老廃物や化合物が含まれているからなのですが、羊水には胎児の細胞も含まれているため、遺伝的な欠陥がないかどうかを調べることができます。
羊水のpHは通常7.0~7.5であるが、上部膣のpHは通常酸性(pH3.8~4.5)であるため、4.5以上のpHを膣のpH検査が示した場合、膣分泌物がクリアな場合には、羊膜の破裂、つまり破水の疑いが強くなります。
羊水に対して行われる主な検査の1つにL/S比テスト(レシチン/スフィンゴミエリン)があり、胎児の肺の成熟度を決定するために行われます。レシチンとスフィンゴミエリンの両方ともが成熟した胎児の肺に存在する肺の界面活性剤です。界面活性剤がないとシャボン玉も膨らまないように、肺が膨らむためには界面活性剤が必要です。妊娠33週目を過ぎてもスフィンゴミエリンのレベルは比較的一定しているのに対して、レシチンは増加するので、2:1以上のL/Sの比率を測定すると、胎児が分娩後に十分呼吸できる、つまり安全に分娩できるということを意味します。
羊水に関連する合併症
羊水が少なすぎることを羊水欠乏症といいます。羊水欠乏症それが赤ちゃんに問題を起こすことがあります。たとえば、自由に動けないことにより手足が拘縮と言って固まって動きにくかったり、手足の擦れ、さらには呼吸様運動が制限されることで肺の形成が不良になった肺低形成性と呼ばれる生命を脅かす状態も引き起こされることがあります。
羊水欠乏症は、感染症、腎機能障害または奇形(妊娠後期の羊水の多くは胎児の尿由来であるため)、絨毛膜絨毛サンプリング(CVS)などの処置、および早産膜破裂(PPROM)によって引き起こされることがあります。羊膜欠乏症があると、安静、経口および輸液、抗生物質、ステロイド、および羊水輸液などの治療方法があります。
羊水欠乏症の反対は羊水過多で、羊水嚢内に羊水が過剰に溜まっている状態です。
羊水塞栓症は、母子ともにまれではありますが、致命的な状態になることが非常に多いです。
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