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片親性ダイソミー(イソダイソミー)

片親性ダイソミー(UPD)は、片方の親から染色体のコピーを2つ受け継ぎ、もう片方の親からは染色体のコピーを受け継がない場合に起こります。片親性ダイソミーはイソダイソミーとも呼ばれます。UPDは、卵子や精子の形成過程でランダムに起こることもあれば、胎児の発育の初期に起こることもあります。

多くの場合、UPDは健康や発育に影響を与えません。ほとんどの遺伝子はインプリンティングがないので、片方の親から1コピーずつではなく、両方から受け継いだとしても問題にはなりません。しかし、インプリンティングがある遺伝子を含む染色体にUPDがおこると、ある遺伝子を母親から受け継ぐか父親から受け継ぐかによって違いが生じることがあります。UPDの人は、ゲノムインプリンティングを受ける必須遺伝子を全く持っていない場合があります。この遺伝子機能の喪失は、発達の遅れ、知的障害、その他の健康問題につながる可能性があります。

UPDや正常なゲノムインプリンティングの破壊によって、いくつかの遺伝性疾患が引き起こされることがあります。最もよく知られた疾患としては、制御不能な摂食と肥満を特徴とするプラダー・ウィリー症候群や、知的障害と言語障害を引き起こすアンジェルマン症候群があります。これらの疾患は、いずれも15番染色体長腕の遺伝子が関与するUPDやその他のインプリンティングのエラーによって引き起こされることがあります。また、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群(成長の促進と癌性腫瘍のリスク増加を特徴とする疾患)のように、11番染色体短腕のインプリント遺伝子の異常が関連する疾患もあります。

片親性ダイソミーは減数分裂で生じ、アイソダイソミーおよびヘテロダイソミーをもたらす。

片親性ダイソミーの名称の由来

片親性ダイソミーとは通常2本ある染色体は父母から1本ずつ受け継いでいるところ、2本とも父または母という片親から受け継いでしまうことをいいます。トリソミーをレスキューしようとする生体反応の結果としておこります。

ダイソミーとは?

ダイソミー disomy です。
di = 2 を意味します。
それでは、 somy ってなんでしょうか?

染色体は塩基性の色素(Gimsa stain)でよく染色されることから、ヴィルヘルム・フォン・ヴァルデヤー(Heinrich Wilhelm Gottfried von Waldeyer-Hartz)によって1844年に Chromosome と名付けられました。
chromosome =  khrōma 「色」+ sôma 「体」 どちらもギリシャ語です。
ここから、-someという接尾語がchromosomeという意味を持つようになりました。
yは「名詞を作る」接尾語です。

するとダイソミーは染色体が2本ある状態をさす言葉となります。

片親性ダイソミーの起こり方

染色体不分離がおこると、分離がうまくいかなかった染色体ではトリソミーまたはモノソミーとなるのが通常です。
ですが、頻度としては少ないのですが、母親と父親に由来する染色体を1本ずつではなく、同じ親に由来する染色体を2本もっていることがあります。この状態が片親性ダイソミー(uniparental disomy)と呼ばれます。

2本の染色体の由来から
イソダイソミーisodisomy:片親の1本の染色体の重複に由来
ヘテロダイソミーheterodisomy:片親の相同染色体の両方が存在
に分類しますが、片親性ダイソミーの場合、イソダイソミーということになります。

トリソミーレスキュー

片親性ダイソミーの最も起こりやすいと考えられる状況は、胎児のトリソミー細胞において不分離をダイソミーに復帰させるトリソミー「レスキュー」が働くことです。

片方の親の生殖細胞で減数分裂における不分離が起こる。(主に卵子において特定の染色体が1本ではなく2本となってしまう)

受精後早期の体細胞分裂において第二の不分離が起こる。(卵子で2本、精子で1本の当該染色体は合計3本となるが細胞分裂の際に分離の間違いが起こり偶然1本減って2本となる)

自然流産の可能性の高いトリソミー胎児がレスキューされる。(本来は3本あってトリソミーだったのが2本となりうまれてこれるのでレスキューということ)

最初の不分離がどちらの親のどの段階で起きたか、母親か父親か、第一減数分裂か第二減数分裂か、減数分裂時の組換えの位置、受精後に体細胞分裂における不分離によって3本ある染色体のうちのどの染色体が失われるか、により、胎児もしくは生産児はその染色体の完全/部分イソダイソミー/ヘテロダイソミーをもつことになります。

片親性ダイソミーの確率

片親性ダイソミーの頻度はわかっていません。

家系内で片親から遺伝的にうけつがれている多型と比べる研究の結果、ほとんどの染色体で片親性ダイソミーは報告されています。

しかし、臨床的な異常はそのうちの一部にしかみられません。

つまり、片親に由来する2コピーの中にインプリンティング部位がある場合や、たとえば片親のみがたまたま劣性遺伝性疾患の病的遺伝子の保因者であった場合には、赤ちゃんに当該劣性疾患がみられる場合、が典型的な場合としてみつかります。

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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