NIPTで検査できる染色体の構造異常
2.あかちゃんの染色体の構造の異常による疾患
NIPTでは、染色体の構造異常により起こる疾患
【 微細欠失症候群(微小欠失症候群) 】を検査することができます。
微細欠失(微小欠失)症候群は染色体の一部の小さな断片がなくなることが原因で起こる疾患群です。
通常の染色体検査では検出できませんので、普通に羊水検査をしても見つけることはできません。
FISH法と言われる特殊な検査をすると描出できます。
こうした微細な欠損は、ある一定の染色体に特異的かつ一般的に起こり、
よく知られた遺伝性症候群に関連しています。
ほとんどは両親からの遺伝ではなく、新生突然変異
(祖先から受け継いだものではなく精子や卵子ができるときにおこる突然変異のことです)で起こり、
危険因子や家族歴がありません。
多くの微細欠失(微小欠失)症候群は、身体的精神的双方に障害をもたらし、
深刻な健康問題を起こします。
1p36欠失症候群
1p36の欠失、発生頻度は 1/4,000-10,000.
成長障害・重度精神発達遅滞・難治性てんかんなどの症状を来たします。
落ちくぼんだ眼、尖った顎などの特徴的な顔貌もほぼ全例に認められます。
乳児期には筋緊張低下、哺乳不良が認められることもあります。
合併症として、先天性心疾患・難聴・斜視・白内障・肥満、稀に神経芽細胞腫を生じることがあります。
4p16.3欠失症候群
Wolf-Hirschhorn症候群 頻度は1/9,6000.
4番染色体短腕に位置する遺伝子群の欠失により引き起こされる疾患で、
重度の精神発達の遅れ、成長障害・難治性てんかん・多発形態異常を主徴といたします。
特徴的顔貌・成長障害・重度の精神発達の遅れ・筋緊張低下・難治性てんかん・摂食障害などが認められます。
5p-症候群
1/15,000~50,000.
低出生体重(2,500g未満)、成長障害、新生児期から乳児期に認める甲高い猫のなき声のような啼泣は高頻度に認められる特徴的所見です。
この他に、小頭・丸顔・眼間開離・小顎・内眼角贅皮・耳介低位などの顔貌所見や、
筋緊張低下・精神運動発達の遅れの所見を伴います。
15q12欠失症候群
Prader-Willi症候群
父由来。 出生1/10,000~1/25,000.
内分泌・神経・奇形症候群。
内分泌学的異常(肥満・低身長・性腺機能障害・糖尿病など)、神経学的異常(筋緊張低下・特徴的な性格障害・異常行動)がみられる。
小さな手足・アーモンド様の目・色素低下など奇形徴候を示します。
臨床症状の特徴は、年齢毎に症状が異なることです。
乳児期は、筋緊張低下による哺乳障害・体重増加不良。
幼児期から学童期には、過食に伴う肥満。
思春期には二次性徴発来不全・性格障害・異常行動。
成人期には、肥満・糖尿病などが問題となります。
Angelman症候群
母由来。 出生1/12,000.
重度の発達障害(特に言語表出障害)、失調性歩行・睡眠障害、容易に惹起される笑い発作・多動傾向・水の嗜好性・色白の皮膚・顔貌の特徴・小頭症など。
一方、他人との関わりをもちたがる点、洞察力や観察力が鋭い点、感受性が豊かな点などの長所も知られている。
重症精神遅延・難治性てんかん(非定型欠神発作・ミオクロニー発作など)・発達遅延・心合併症(肥大型心筋症・心奇形・不整脈)、嚥下障害・呼吸不全・斜視などを合併。
Smith-Magenis症候群 (17p11.2)
https://www.shouman.jp/disease/details/13_01_003/
患者数は全国2000人。
17p11.2の欠失による先天異常症候群。
特徴的な顔貌、短い指、中度から重度の知的障害、特徴的な行動特性、睡眠障害を示す。
乳児期に筋緊張低下を示し、特徴的な顔貌や合併奇形に気づかれる。
顔貌は短頭、前額突出、眉毛癒合、耳介低位、内眼角開離、斜視、顔面正中低形成、下顎突出が特徴。
幅広く短い指を伴う。発達の遅れ、中度から重度知的障害を示す。
行動の障害が主要な問題であり、多動、衝動性、気分の変化、自傷他害などを示す。
重度の睡眠障害、特に睡眠リズム障害を示す。
22q11.2欠失症候群
DiGeorge症候群 出生1/4,000.
患者の80%は先天性心疾患を合併し、胸腺発達遅延・無形成による免疫低下、特徴的顔貌・口蓋裂・軟口蓋閉鎖不全・低カルシウム血症などを主徴とする。
心疾患は、ファロー四徴症・肺動脈弁欠損・肺動脈閉鎖・主要体肺側副動脈の合併などがある。
さらに合併する免疫低下、血小板減少・肺高血圧などによる手術死亡の報告もあり、
未だ効果的な治療方法は未確立、予後不良の疾患である。
患者はたとえ生存しても、発達遅延や精神疾患・統合失調症などによる生活面の長期にわたる支障を来す。発達遅延・特徴的顔貌・先天性心血管疾患・口蓋裂・胸腺低形成・低カルシウム血症など、多様な臨床症状を伴う。
重症な心奇形に加え、低身長・血小板減少・汎血球減少・痙攣・斜視・気管支軟化症・脳萎縮・白内障・尖足・側弯症・腎奇形・尿道下裂・鎖肛・鼠径ヘルニアなど、180以上の臨床症状が報告されている。



