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妊娠10週の壁とは?胎児の成長状況や日常生活の注意点を紹介

妊娠10週

妊娠3ヵ月の3週目にあたる妊娠10週目には、まだ周囲にお腹の膨らみを気付かれることは少ないものの、ご自分ではお腹の変化を感じる方も多いでしょう。この時期は妊娠10週の壁といわれることもありますが、そもそも妊娠10週の壁とはどういうものなのでしょうか。
この記事では、妊娠10週の壁や妊娠10週目の胎児の成長状況や母体の変化、妊娠10週目の日常生活の注意点を詳しく解説します。

妊娠10週の壁とは?

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妊娠10週目の壁とは、妊娠10週に胎児の大きさが3cmを超えていると、流産の確率が低くなることをいいます。これは医学用語ではなく、インターネットを中心として広がった言葉です。無事に出産を迎えるために、妊娠10週を超えるべき壁として考えている方は多くいます。
医学的には妊娠11週までに流産することを早期流産、それ以降から21週までの流産を後期流産といいます。流産は全妊娠の15%の割合で起こりますが、そのうちの80〜90%は初期流産です。

壁があるのは妊娠10週目だけではない

妊娠10週の壁以外にも「魔の9週」や「妊娠9週の壁」「妊娠12週の壁」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。魔の9週や妊娠9週の壁といわれるのは、妊娠9週目で流産を宣告された辛い経験を持つ人が多くいるからです。全妊娠で起きる流産の70%は、妊娠9週までに起こるといわれています。
5・6週目で心拍が確認でき、妊娠が発覚したにもかかわらず、何らかの理由で流産して辛い思いをしてしまうことが多いためです。また、妊娠による体の変化やつわりがピークを迎えるのが9週目といわれていることも、魔の9週や妊娠9週の壁という言葉が広がったひとつの理由といえるでしょう。
自然流産の80%程度が妊娠12週目未満で起こることから、妊娠12週の壁という言葉も生まれました。妊娠11週目までの流産は初期流産とされますが、先ほども説明したとおり、初期流産は全流産のうち80〜90%を占めています。この時期を超えるか超えないかで、流産の可能性が大きく変わるため、妊娠12週の壁といわれているのです。もちろんこれらの壁を越えても流産のリスクがなくなるわけではありませんが、可能性は低くなるので、安心できるひとつの目安といえるでしょう。

この時期の流産の原因

妊娠10〜11週の流産のほとんどは、遺伝性疾患先天性疾患が原因であると考えられ、赤ちゃん側の問題であることがほとんどです。また、妊婦さんに血液が固まりやすい病気(抗リン脂質抗体症候群)がある場合、この妊娠10週の壁を越えても流産を繰り返す可能性があります。こういった症状を不育症と呼びます。
流産に繋がる要因としてほかに挙げられるのは高齢出産であることや、子宮筋腫をはじめとした生殖器の構造的異常、コカインなどの薬物使用や喫煙、飲酒、重度のケガ、風疹などの感染症、糖尿病や腎臓病などの疾患がコントロールされていないことなどです。精神的なショックや軽いケガ程度では流産の直接的因子にはなり得ません。

妊娠10週目の胎児の成長状況は?

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では、妊娠10週頃の胎児はどのような成長をしているのでしょうか。

胎児の大きさ

妊娠10週目に胎児が3cmを超えていれば、胎児がしっかり成長し、妊娠10週の壁を越えたといえるでしょう。まだ人間の形にはなっていない胎芽の期間を過ぎ、少しずつ人間の形に近づいて来るのが妊娠10週目です。着床した頃に1mm程度しかなかった受精卵は、妊娠10週目になると座高が約3cmになり、体重が10gほどまで成長します。
3cmは小指の先から第二関節までくらいの大きさで、10gはポケットティッシュくらいの重さです。エコーで見るとピーナッツのような形をしていて、手足は徐々に形成されていますが、はっきり見えるのはもう少し先になります。

臓器の原型がほとんど完成する

妊娠10週目になると、脳、心臓、肝臓、腎臓などさまざまな臓器の原型がほとんど完成します。内臓が機能し始め、神経系にも反応が見られるようになるでしょう。まだエコーでは確認することが難しいですが、性器も発達し始める時期でもあります。

動きが見られるようになる

妊娠10週目くらいになると、赤ちゃんの動きがエコー検査で確認できるようになります動いている赤ちゃんを見ることで、より一層喜びが増す人も多いでしょう。

超音波で心拍が確認できるようになる

健診では必ず心拍が正常かどうかの確認がありますが、妊娠10週目に入ると、超音波ドップラーで心臓の鼓動を聞くことができます。ドッドッという音が響き、お腹の中で赤ちゃんが元気に成長していることがわかるはずです。

赤ちゃんの心拍が最高に達する

胎児の心臓は小さいので、心拍数を多くしてたくさんの血液を送り出しています。この心拍数のピークを迎えるのが妊娠10週目です。
妊娠5・6週目にはまだ100前後しかなかった心拍数が、妊娠10週目には180回になります。ここから成長すると少ない心拍数でも血液がしっかり送り出せるようになるため、妊娠10週目をピークに少しずつ心拍数は減っていきます。

妊娠10週頃のお母さんの状態は?

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胎児がどんどん成長し、鼓動も聞こえるようになる妊娠10週目頃には、母体にどのような変化があるのでしょうか。

子宮がこぶし大になる

妊娠10週目になると、子宮は握りこぶしくらいの大きさになります。まだお腹の膨らみは目立たないものの、下腹部を触るとふっくらしているように感じる人も多いでしょう。また、子宮が大きくなったことで、膀胱や腸が圧迫されるようになります。
そのため、トイレが近くなる人や便秘になってしまう人も少なくありません。また、下腹部が引っ張られているように感じたり、チクチクした痛みを感じたりする人もいます。

血液量が増える

妊娠中の母体は、妊娠していない頃よりも血液量が増えます。そのため、血管が透けて目立つようになる人も多いです。大きくなった子宮や女性ホルモンのバランス変化、運動不足などにより、血行不足にもなりやすく、足のむくみや腰の重さなどを感じ始める人もいます。

つわりがピークに達する

妊娠10週目はつわりがピークの時期だといわれています。5・6週目頃から辛いつわりに悩まされてきた方にとっては苦しい時期かもしれませんが、食べられるときに体が受け付けるものをしっかり食べて、栄養を摂取しておきましょう。水分をしっかり摂ることも大切です。食べ物や水分を摂っても嘔吐し続けてしまう場合は、病院を受診して、点滴などで対応する必要があります。

太ももの付け根に痛みが生じる

子宮は骨盤によって支えられていますが、子宮が大きくなることで骨盤の靭帯が伸びてしまい、太ももの付け根に痛みを感じてしまうことがあります。軽いストレッチを取り入れ、痛みを感じたときは無理せず休みましょう。じっとしていても痛みが耐えられない場合は、医師に相談してください。

妊娠10週目における日常の注意点

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妊娠10週目はお腹の中の赤ちゃんがどんどん成長し、妊婦さんの体にもさまざまな変化が生まれます。無事に出産を迎えるために、この時期どんなことに気をつければよいのでしょうか。

感染症予防

妊娠10週目で感染症にかかってしまうと、お腹の赤ちゃんに深刻な影響が出てしまう可能性があります。とくにトキソプラズマ・風疹・ヘルペス・サイトメガロは妊娠中に気をつけたい感染症です。風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどで、高熱が続いてしまった場合も、赤ちゃんに影響が出る可能性があります。妊娠中は免疫力が下がっています。手洗い・うがいの徹底、マスクの着用、十分な睡眠を心がけ、感染症予防に努めましょう。

便秘や痔の予防

子宮が大きくなって腸が圧迫されることや、黄体ホルモンが多量に分泌されて腸の動きが悪くなることなどが原因で、妊娠中は便秘に悩まされる人も少なくありません。また、便秘の状態で排泄することで、痔になってしまう方も多いです。
便秘になるのは仕方がないことですが、食物繊維やビフィズス菌、乳酸菌の含まれる商品を積極的に食べて、予防しましょう。軽い運動もおすすめです。長期間便秘が続いている場合は、決して自己判断で薬を飲むことはしないようにし、まずは医師に相談してください。

むくみ改善

血液量が増え、血行不良にもなりやすい妊娠中は足がむくみやすくなってしまいます。足のむくみが続くと、静脈瘤ができてしまうリスクもありますから、むくみ対策を徹底しましょう。横になって足を上げるだけでもむくみ対策になります。軽い運動やストレッチ、着圧ソックスの着用もおすすめです。

食べられるものを食べる

栄養バランスを意識した食事が摂れないと不安になってしまうかもしれませんが、この時期はそこまで栄養を意識する必要はありません。まだ塩分制限もない時期ですから、食べられるものをしっかり食べて、体力をつけておきましょう。一度に食べるのが辛いなら、一日のうちに何度か小分けにして、少しずつ食べるようにしてみてください。食べられないときも、必ず水分はしっかり摂りましょう。

葉酸やビタミンを摂取する

葉酸は、赤ちゃんの先天異常リスクを軽減するとされています。妊娠初期は妊婦さんに自覚はありませんが、その間に胎児の神経管が作られていきます。神経管は、胎児の脳と脊髄、中枢神経系にとても重要な器官です。
赤ちゃんの神経は葉酸をたくさん使って形成されていくので、妊活中の女性だけでなく妊婦さんは特に意識して摂って欲しい栄養素です。葉酸の摂取はお母さんにもメリットが多く、骨質の維持やうつ病予防などの効果が期待できます。
また、葉酸はビタミンB12と合成され、赤血球を生成することができるので虚血性心疾患の予防に効果があるとされています。適切な葉酸やビタミンの摂取は、妊娠中、出産後のお母さんを助けてくれる働きがあります。辛いつわりでうまく野菜やフルーツを摂取できない場合は、サプリなどに頼ってみるのも良いでしょう。

出血があったらすぐに病院を受診する

万が一、出血があった場合は、少量でもすぐに病院を受診しましょう。出血=流産のリスクではありませんが、流産の可能性も否定できません。日頃から気をつけておき、出血があった場合は医師の指示を仰いでください。

妊娠10週は出生前診断を検討する時期

妊娠が分かり、「10週の壁」を乗り越えたら、ぜひ出生前診断の受検を検討してみてください。赤ちゃんの体が発達し、身体がよく見えるようになると超音波検査などの出生前診断でダウン症といった先天性疾患の有無が確認できるようになります。早い時期から手軽に受けられる非確定検査には、母体血清マーカー検査やコンバインド検査など様々な種類が存在します。パートナーとよく相談し、いつ、どのような検査を受けるかを検討してみてください。

出生前診断にはNIPTを

NIPT新型出生前診断)では、13、18、21トリソミーのほかに、性別やその他の染色体異常を検査することができます。他の非確定検査精度が80〜90%であるのに対し、NIPTは99%と高い検査精度を誇ります。しかし、一度陽性判定が出るとショックの大きな検査であるため、遺伝カウンセリングが充実した施設で検査を受けることをおすすめします。

NIPTを受けるならミネルバクリニックで

東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。
ミネルバクリニックでは、妊娠9週(ご希望の方は妊娠6週)から受けられる赤ちゃんの健康診断である「NIPT」を、業界最新の技術と業界随一の対象疾患の広さで行っております。遺伝のエキスパートである臨床遺伝専門医が出生前診断を提供しておりますので、ぜひ、お気軽にご相談ください。

まとめ

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つわりがピークを迎え、体にもさまざまな変化がある妊娠10週目。感染症にかかると胎児に大きな影響が出てしまう可能性がありますから、日頃からしっかり対策しましょう。つわりがピークになり、頻尿や便秘の可能性もある妊娠10週目は、これまでにないストレスを感じるかもしれません。自分なりのストレス解消方法を見つけ、無理なく過ごせるように意識してください。

この記事の著者:仲田洋美(医師)

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ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の院長のもと、東京都港区青山で、NIPT検査を提供しています。少子化の時代、より健康なお子さんを持ちたいという思いが高まるのは当然のことと考えています。そのため、当院では世界の先進的特許技術に支えられた高精度な検査を提供してくれる検査会社を遺伝専門医の目で選りすぐりご提供しています。

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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