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胎児スクリーニングの検査内容と妊娠初期に受けられる出生前診断
待望の赤ちゃんを妊娠し、妊娠生活を楽しんでいる妊婦さんのなかには、赤ちゃんの健康状態が気になると考えている方も少なくありません。赤ちゃんの健康状態が気になる方は、通常の妊婦検診で受ける超音波検査とは別に、胎児スクリーニング超音波検査を受けられることをご存知ですか?かかりつけの病院で胎児スクリーニングを行っている場合もあれば、かかりつけの病院では行っておらず、他の病院に行かなければならない場合もあります。
赤ちゃんにとって最適な環境を用意するために行われる、胎児スクリーニング検査とは、一体どのような検査なのでしょうか。
この記事では、胎児スクリーニング検査についてと、妊娠初期に受けられる出生前診断についてをご紹介します。
生まれてくる赤ちゃんの健康状態を知っておきたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
胎児スクリーニングとは
胎児スクリーニングとは、妊娠検診で受ける超音波検査とは違い、超音波検査技師によって、20~30分の時間をかけてしっかり赤ちゃんの状態をチェックする検査です。
重い先天性疾患をもった赤ちゃんを出産する確率は、年齢にかかわらず3~5%あるといわれていて、そのうちの90%はとくにリスクのない女性から生まれるとされています。
胎児の先天性の形態異常を見つける胎児スクリーニングは、出産前に赤ちゃんの状態を知ることで、出産時や産後に適切な治療を即時に開始するために行われます。
母体の肥満や子宮内の様子、赤ちゃんの向きなどによっては、100%先天性異常を確認できるわけではありませんが、出生前診断に比べて比較的受けやすい値段であることからも、胎児スクリーニングを受けようと考える方が増えています。
重い先天性異常のうちの70~80%は胎児スクリーニングによって見つけられるといわれているため、妊娠中に受けたほうがよい検査といえます。
胎児スクリーニングの概要
赤ちゃんの先天性の形態異常を生まれる前に知り、最善の環境を整えるために行われる胎児スクリーニングは、通常の妊婦検診に比べてより細かい検査を行います。
ここからは、胎児スクリーニングの概要をご紹介します。
受ける時期
胎児スクリーニングは以下の時期に2回受ける病院が多いです。
- 妊娠中期(妊娠19~20週頃)
- 妊娠後期(妊娠27~30週頃)
正確な時期は病院によって異なるので、胎児スクリーニングを受けようと考えている病院への問い合わせが必要です。
妊娠初期には胎児が小さすぎるので、細部まで超音波で確認できない可能性があるため妊娠中期に胎児スクリーニングを行いますが、妊娠後期にならないとわからない疾患もあり、一般的に胎児スクリーニングは妊娠中期と妊娠後期の2回に分けて行われます。
検査内容
胎児スクリーニングの検査内容は、検査を実施する病院によって異なりますが、以下のような項目をチェックします。
- 心臓
- 肺
- 顔面
- 頭部、脳
- 消化器
- 尿路
- 生殖器
- 四肢
- 骨格
- 胎盤
- 臍帯 など
このように、多数の項目を20~30分かけて超音波検査技師がチェックします。
胎児スクリーニング検査で心臓の異常や、そのほかの気になる異常が発見された場合は適切な施設を紹介され、妊娠中からできる治療を行ったり、出産後に小児科医と連携をとれる状態を確保したりします。
発見できないこと
胎児スクリーニング検査では、以下のような状態は発見ができません。
- 知的障害
- 視覚障害
- 聴覚障害
- 小さすぎる形態異常
- 染色体異常 など
このように、超音波検査で確認できない形態異常ではないものは、胎児スクリーニングでは見つけられません。
例えば、染色体異常のなかでもダウン症候群などは、心疾患を併発していることがあるため、形態異常として現れている心疾患であれば見つけられる可能性はありますが、特徴的所見が見られない疾患の場合は胎児スクリーニングで見つけることは困難です。
費用相場
胎児スクリーニングの費用は実施する病院によって異なりますが、大体5,000~10,000円程となります。
染色体異常を調べる出生前診断を受けるのは金銭的に難しいと考えている方も、胎児スクリーニングなら気軽に受けられる料金設定なので安心です。
注意事項
胎児スクリーニングを受ける際に、以下のことは把握しておきましょう。
- 通常の妊婦検診による超音波検査よりも時間がかかる
- 2Dでの検査となるため、3Dや4Dを行っていない病院もある
- 胎児の位置、母体の肥満、胎動、羊水量などによって正確に診断できないケースもある
- 異常が発見された場合はより正確な検査が必要となる場合がある
胎児スクリーニングで異常が発見された場合は、そのまま診断が行えるケースと、再度検査が必要となるケースがあります。
どちらにしても、異常が発見されたら出生前、出生後ともに最善の治療が行える施設を紹介してもらえるので、医師の指示に従って紹介された施設で治療を受けるようにしましょう。
妊娠初期に受けられる染色体異常を調べる検査
胎児の異常を発見できる胎児スクリーニングですが、前述したように超音波検査では胎児の染色体異常は調べられません。
胎児の染色体異常を調べたいと考えている方は、妊娠初期から受けられる出生前診断を受ける必要があります。
ここからは、妊娠初期に受けられる染色体異常を調べる3つの検査についてご紹介します。
新型出生前診断(NIPT)
妊娠10週から受けられる検査で、ママの採血をして血液中に含まれる胎児由来のDNAのかけらを調べ、染色体異常の可能性を判断します。
2013年に日本に導入された検査方法で、それまでの出生前診断と比べて母体にも胎児にも負担がなく、高い精度が話題となっています。
NIPTで調べられる先天性異常の疾患は、ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー)です。
NIPTの感度は約99%と非常に精度が高く、赤ちゃんの染色体異常の可能性をより正確に発見できる検査です。
コンバインド検査
コンバインド検査とは、超音波検査と採血を組み合わせて行われる出生前診断です。
妊娠11週~13週で行える検査となっていて、感度は約83%です。
血液検査で測定された妊娠ホルモンの数値と、超音波検査で確認される赤ちゃんのNT(赤ちゃんの首の後ろに溜まった体液の厚さ)を測定します。
コンバインド検査では、ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、神経管欠損症などの異常の可能性を確認できます。
結果は、母体年齢固有の確率に加え、NTの値、たんぱく質の値、妊娠週数、ママの体重、家族歴などのさまざまな情報を加味したうえで、赤ちゃんの疾患の可能性を確率で導き出します。
母体血清マーカーテスト
母体血清マーカーテストには3種類の成分を測定するトリプルマーカーテストと、4種類の成分を測定するクアトロテストが存在します。
それぞれ測定する成分は以下です。
- トリプルマーカーテスト:AFP、非抱合型E3、hCG
- クアトロテスト:AFP、非抱合型E3、hCG、インヒビンA
それぞれの数値に基準となるカットオフ値が設定されていて、その数値をもとに確定的検査が必要かどうかを判断します。
母体血清マーカーテストでは、ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、開放性神経管奇形の確率を推定します。
妊娠15週~18週で行われ、感度は約80%とされています。
非確定的検査で陽性が出た場合
記事内でご紹介した染色体異常を調べる検査は、非確定的検査と呼ばれていて、陽性と判断されてもその結果は可能性でしかありません。
そのため、NIPTやコンバインド検査、クアトロテストで陽性判定が出た場合は確定的検査である羊水検査や絨毛検査を受ける必要があります。
また、染色体異常の可能性を調べる非確定的検査は、受ける前に必ず遺伝カウンセリングが必要となります。
非確定的検査を受ける際には、資格をもった遺伝カウンセラーが在籍する施設で、検査の内容や検査後のことまで相談にのってくれる遺伝カウンセリングを必ず受けるようにしましょう。
まとめ
胎児スクリーニング検査についてと、妊娠初期に受けられる出生前診断についてご紹介しましたが、参考になりましたか?
胎児スクリーニング検査は、赤ちゃんに形態異常があるかを調べられる検査です。
出産前に胎児スクリーニング検査を受けることで、異常が発見された場合には出産後即赤ちゃんを最適な環境で治療できます。
また、形態異常だけではなく染色体異常も調べたいと考えている方は、胎児スクリーニングでは調べられないため、染色体異常も調べられる出生前診断を受ける必要があります。
赤ちゃんの状態をいち早く知りたい、健康状態が気になると考えている方は、出産前に検査を受けて赤ちゃんを迎える準備を整えましょう。
東京の「ミネルバクリニック」は臨床遺伝専門医が在籍するNIPT実施施設であり、たくさんの妊婦さんの悩みや不安と真摯に向き合い、笑顔になれる出産に導いてきました。妊娠初期からの出生前診断を受ける医療機関にお悩みの方は、知識・経験・実績とも「第三者から認証されている」臨床遺伝専門医が診療している「ミネルバクリニック」まで是非、ご相談ください。
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