赤ちゃんの先天異常の発生時期とは?
この記事の著者 仲田洋美(総合内科専門医、がん薬物療法専門医、臨床遺伝専門医)
東京でNIPTをはじめとする遺伝子検査提供するミネルバクリニックです。新型出生前診断とは、「母体から採血し、その血液を検査することにより胎児の染色体異常を調べる検査」のことをいいます。新型出生前診断という名称自体は日本での通称名であり、母体血清マーカ―テストなどの従来の血液による出生前診断と比較して感度、特異度からみる検査自体の精度がきわめて高い為、従来の出生前診断と区別してこのように呼ばれています。正式には非侵襲的出生前検査といいます。
出生前診断を検討されている方のために、赤ちゃんの先天異常にどんなものがあるのかをお伝えしたいと思います。
先天異常の発生時期
受精の段階
父親の精子または母親の卵子に異常があると、受精の段階から異常が起こることになります。
父母の両方または一方から病気になる原因を受け継ぐ場合(遺伝)がまず考えられます。
しかし、父親または母親には疾患や異常がなくて、配偶子(精子・卵子)ができるときに突然変異が起こる「新生突然変異」もあります。
染色体異常や遺伝子の配列が異常になってしまうことにより起こる先天異常です。
妊娠初期
子宮内の胎児にダメージが加わった場合です。
ヒトの中枢神経系や心臓などといった重要な臓器は、妊娠4週から発生・分化していき、
妊娠8週には大体完成し、その後に外性器の分化などが進んで完成します。
したがって、妊娠4週から妊娠10週の時期は「器官形成期」と呼ばれます。
1.感染
器官形成期にお母さんが風疹にかかってしまうと、赤ちゃんには先天性風疹症候群があらわれます。
2.薬剤
サリドマイドが有名ですが奇形を起こす(催奇形性といいます)薬剤はたくさんあります。
妊娠後半
赤ちゃんが直接傷害されたために異常が発生します。
1.物理的要因
変形は特に妊娠第2三半期に胎児が羊膜緩や子宮内で圧迫を受けることでよくおこります。
これに対して同じ物理要因でも正常組織が破壊されると元に戻らず、治療が困難となります。例えば、羊膜組織が赤ちゃんを死滅kてしまったことで胎児四肢の部分欠損が起こることがあります。たとえば指の切断など。
2.感染
先天梅毒、先天性トキソプラズマ症、先天性サイトメガロ感染症などが該当します。
出産時
赤ちゃんの先天異常の実に半分を占める最も多いものです。
出産前後に障害が加わって異常が発生するもので、たとえば臍帯が首に巻き付いてしまって胎児仮死となり、脳性まひになったりすることが考えられます。