まずは経緯を振り返っておきましょう

2020年8月6日
ミヤネ屋というワイドショーの番組で、以下のような画面が流れました。
この画面に出ている字は番組が付けたテロップです。

マーケットの動き

テリー伊藤さんが放送前から内容を知っていたと証言

吉村さんがテリーさんが事前に内容を知っていたということを撤回したとのべた


『テリー伊藤さん自身が、TVでの発言を撤回されています。インサイダー取引は犯罪です。そのような事実はありません。ネット上での吉村インサイダー疑惑なるものは、名誉毀損になりますので、ツイートやリツイートは削除されるようお願いします。一線を超えるものは、然るべき対応をとります。』
と法的措置をとることをにおわせています。

“うがい薬”祭り、報道番組ディレクターが振り返る舞台裏


“うがい薬”祭り、報道番組ディレクターが振り返る舞台裏
2020年08月07日

“うがい薬”祭り、報道番組の舞台裏

「なんでも大阪府知事が、コロナに有効な薬について記者会見を行うというんです。みんな色めき立って、情報収集が始まりました。もしかしたら事前に情報が漏れて、どこかの製薬会社の株が上がっていないか、海外製薬メーカーと付き合いのある商社の株はどうだ? そして、コロナに勝てる! という希望が見えたんです」(益子さん、以下同)

ところが、である。会見の直前になり、その「薬」がどうやら市販のうがい薬らしいという情報が入ってきたのである。益子さんが続ける。

「は? って感じで、拍子抜けですよ。会見を生中継しようと動いていたスタッフも、それならやる意味はねえな、と見送りに決まったんです。会見では予想通り、府知事が某メーカーのうがい薬を宣伝するような内容で、これは流石に生中継しなくてよかった、となったんですが……とあるワイドショーが会見を中継してしまったんです」

そしてすぐにイソジンは売り切れ。

吉村さんが正しいといってた高須さん

高須さんは自分がイソジンを入手できないかもとわかるといきなり態度を変える

本当にどいつもこいつもめちゃくちゃでんな、って感じです ┐(´∀`)┌ヤレヤレ

さらには

とまあ重症化予防に早めに人工呼吸器なんて絶対医者たちがやらないことをテレビでのたまわり。

困った知事ですなと思ってました。

国民はなぜこんな【あほな】報道でイソジンを買いに行ってしまうのか?!

それは、『カモ』だから。

なぜカモ?

ネギしょって歩いてるから

どゆこと?

だってキミたち、『このサプリで認知症が100%予防できます。月々たったの3980円!』って言われたら

え~、ヤダ、ほんと?そういえばおばあちゃん認知症になったし、認知症怖いし、100%?!それすごくない?!
やーん、しかもサプリでしょ?薬なら怖いけどサプリだしね、しかも3980円? いいねー ワクワク 欲しい~~~

買っちゃうでしょ?!

落とし穴を見ていきましょう

100%の分母は?

母集団をNで表します。
N=1でも認知症を発症しなければとりあえず100%ですね。(笑)

観察期間は?

3日とかですかね?(笑)

飲まなかったら認知症になったのか?

飲まなかった群との比較がありませんので、サプリの効果で予防できたのかどうかが謎ですね。

ほらね。突っ込みどころ満載です

だから、統計処理していないものは一切信じるに値しません。

吉村さんが出した羽曳野医療センターの研究デザイン

www.pref.osaka.lg.jp/kenisomu/povidon/index.html
こちらからダウンロードできます

令和2年8月4日
ホテル宿泊療養におけるポビドンヨード含嗽の
重症化抑制にかかる観察研究について
大阪府立病院機構 大阪はびきの医療センター
次世代創薬創生センター長 松山晃文
【背景】
SARS-CoV2は口腔内でウイルスが増殖、唾液中にウイルス量が多い特性
COVID-19患者の唾液中ウイルス消失低減で、肺炎など重症化抑制可能と想定
ポビドンヨードは広範囲なウイルスに対し、殺ウイルス効果を有する
【これまでの研究成果】
ホテル宿泊療養COVID-19患者を対象(府健康医療部のご協力)
ポビドンヨード含嗽の有無と唾液PCR陽性頻度を評価

結果:ポビドンヨード含嗽で宿泊療養者の唾液ウイルス陽性頻度は低下する

【本観察研究の概要】
ホテル宿泊療養施設でのポビドンヨード含嗽の重症化抑制にかかる観察研究
大阪府市と連携のもと、大阪ホテル宿泊療養施設を研究fieldとする。
入所者にポビドンヨード含嗽をして頂く。
当該含嗽者データ、既存非含嗽例データを大阪府市から提供頂き、比較検討。
宿泊療養から医療機関への入院搬送をendpointとして評価。
【大阪府市・府立病院機構・はびきの医療センター連携の枠組み】
大阪府市の役割:宿泊療養の健康観察項目と医療機関入院情報の提供
はびきの医療C :研究倫理申請・審査、研究の実施、解析
府立病院機構 :研究リソースのサポート
【波及効果】
ポビドンヨード含嗽によるCOVID-19患者唾液中ウイルス低減・消失の加速
患者さんへの寄与:唾液ウイルスの誤嚥によるCOVID-19肺炎への悪化抑制
医療現場への寄与:重症例比率低下による医療負荷の軽減

問題点

1.ポビドンヨードをどれくらいの濃度でうがいさせているのかが不明である。
☛こんなの学会発表もできません。ましてや論文なんて査読を通りません。

2.母集団の数が資料では示されていないが
news.yahoo.co.jp/articles/2dba17743cf47ceb322ae3b88a06099a52bac7c3
報道内容からは N=41 である。しかも両群あわせてなので片方は20くらいと推定される。

松山センター長らは、41人の感染者を「ポビドンヨードを含むうがい薬で1日4回うがいをする」グループと「うがいをしない」グループの2つに分けて研究。4日目の陽性率を比較すると、「うがい薬でうがいをした」グループは9.5%。一方の「うがいなし」のグループは40.0%との結果が出たと発表しています

☛ 効果がある とするにはまず 有意な差をもって ということが大前提であり、統計処理しなければそういえないが
全体で41の母集団で有意差が出せるような統計処理可能なのか?!
はっきり言って サンプルサイズ大丈夫なの?!
というか、統計処理したらその数値が通常一緒に発表されますが、羽曳野医療センターでは臨床試験をちゃんとやったことがあるのでしょうか???

☛わかりにくいかもしれませんが、出産を考えてみましょう。
男女はただの偶然ですよね。精子側がもっているのがY染色体X染色体かだけで性別が決定します。
6人の子供が全部男の子、全部女の子。これ、どちらも偶然ですよね?
そうやって偶然同じ結果が偏るって言うことがあるのですよ。
じゃあ、それが本当に差があるのかを明らかにするためには、ちゃんと統計処理して有意差が出せるような研究計画を立てないといけないのです。
それをしないと、この 『「うがい薬でうがいをした」グループは9.5%。一方の「うがいなし」のグループは40.0%との結果が出た』の9.5%と40.0%が 偶然ではなくいつもこの結果になるのだ=有意な差をもってイソジンうがいが勝っている ということが証明できないんです。

ということで、羽曳野医療センターの研究計画自体がまったく 謎 レベルでいったいどうやって倫理審査を通したのかわかりません。
倫理審査委員会があっても、倫理審査自体を適切にする能力があるのか大変疑問な医療機関が多々あります。
それにしても、大阪府知事ともあろうものが、こんなレベルの研究発表で日本全国からイソジンがなくなったという事実は真夏の怪談ですね。
恥ずかしい限りの間抜けです。

3.うがいという物理的に口腔内を洗い流すという行為でもウイルスがある程度洗い流せ、うがいなし、水うがい、ポビドンヨードうがいの3群を比較したスタディでは水うがいが上気道感染予防に最も効果が高かったという研究結果がある。
www.hoken.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2015/03/gargle2007.pdf

www.ajpmonline.org/article/S0749-3797%2805%2900258-8/abstract

4.羽曳野医療センターの資料から

【波及効果】
ポビドンヨード含嗽によるCOVID-19患者唾液中ウイルス低減・消失の加速
患者さんへの寄与:唾液ウイルスの誤嚥によるCOVID-19肺炎への悪化抑制
医療現場への寄与:重症例比率低下による医療負荷の軽減

イ)唾液ウイルスの誤嚥によるCOVID-19肺炎への悪化抑制 はこのスタディではわかりません。
 どちらの群からも肺炎を起こした人がいないようですので、『肺炎悪化』を抑制したかどうかについてはなおさらわかりません!! 

ロ)重症例比率低下による医療負荷の軽減 についてもこのスタディではわかりません。
母集団が少なすぎて重症化したひとがいない状態で、どうやって『重症例比率低下』をさせることで医療負担を減らせる効果がある、と言えるのでしょうか????

これらを言いたければ、母集団数がずっとたくさん必要なはずですよ。

とかとかとかとか突っ込みどころが満載なのですが
一般の方々にはわからないみたいなので。

サルでもわかる医療統計 というコーナーをしばらく順番に連載します。

みなさん、私と一緒に カモ から脱出しましょう!!

この記事の筆者

医師・仲田洋美の保有資格

医籍登録番号 第371210号
麻酔科標榜医 厚生労働省医政発第1017001号 麻 第26287号
日本内科学会 認定内科医 第19362号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本プライマリ・ケア連合学会 指導医 第2014-1243号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号
日本感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター ID3121号
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医 第J-535号

見ての通り、感染症専門医ではありませんが、感染症に関する二つの資格は一応持っているのと、「遺伝子検査」の専門医でもあります。
あと、この凝り性な性格でお勉強したので、通常の内科専門医よりは断然詳しいと思います。

間違っているところがあったらお知らせください。

プロフィールはこちら

 

Pocket