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新型コロナウイルス|倉持仁イベルメクチンを自費診療投与が医療法違反である理由

COVID-19

禁止されている

こちらのツイートは削除したようなのでわたしが保存しておいたスクショを出します。

倉持仁イベルメクチン自由診療で処方しますのツイート
倉持仁イベルメクチンツイート

別ページでも倉持仁(@kuramochijin)さんの「本日から希望者には自費診療でイベルメクチン投与できるようにしました。」というツイートはご紹介しましたが、そちらの記事では、試験管内でSARS-CoV-2に有効であったとされるイベルメクチンの濃度を安全性が確認されているイベルメクチンの用法容量ではその血中濃度を実現するのに全く足らないから実現性がないため、WHOもCDCも推奨できないとはっきり述べているというのがその内容でした。

しかし。改正薬機法が8月1日から試行されていますので、この記事では「医業広告」として大丈夫なのかという視点で論述したいと思います。

ツイッターの発言は「医業広告」に該当するのか?⇒Yes

実は割と最近この件に関しては、「うつみん」がアメリカ人だったらどうなるのかなどを検討する記事を書いていて、その中に医業広告とはという定義があります。そちらの記事の中にはアメリカの規制なども書いてあるので、お時間のある時に是非見てください。

長い文章を読みたくない気が短い人は直接以下のリンクから該当箇所に行って下さい。

/blog/if-utumin-were-american/#i-5

医業広告に関する基本的な国の考え方

医業広告に関する基本的な国の考え方は以下の通りとなっています。

  • 医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害は、他の分野に比べ著しい。
  • 医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難である。

上記の二つの理由から限定的に認められた事項以外は、原則として広告を禁止しています。

医業で広告可能なのは本来、医療機関名、診療科(麻酔科の場合は標榜するのに標榜医という資格が別途必要です)、診療時間、所在地、病床数など非常に限定されたものとなっています。

しかし、患者さんにに正確な情報が提供され、患者さんが医療機関を自ら選択できるように支援するためには十分な情報提供が必要だという観点から、医業広告に関する基本的な考え方は堅持しつつ、客観性・正確性を確保し得る情報については、広告可能とすることとして、順次拡大してきました。それが「限定解除」と呼ばれるものです。

医業広告とは

医業広告とは、以下の3つの要件をすべて満たすものを言います。

  • 1.患者の受診等を誘引する意図があること(誘因性)
  • 2.医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)
  • 3.一般人が認知できる状態にあること (認知性)

※HPはアクセス数が少ないので「認知性」に乏しいという言い逃れができるため、これができないように認知性の要件は2018年改正でなくなっていますが、実務としては「認知性」がなければ議論とならないのでこのままにしておきます。

広告会社にお金を払っているか否かで判断されるわけではないところが一般の広告と全く違います。

ツイッターの発言が医業広告に該当するのか?

ツイッターの発言が医業広告に該当するのか?という論点ですのでここで医業広告かどうかをを検討すると先ほどの倉持さんはまず、実名アカウントで勤務先も明らかにして発言していますので、「特定性」をみたします。

ツイッターですので一般人からの「認知性」もみたしています。鍵アカウントにしたところで、名誉棄損の際の裁判所の「多数に周知」という多数の数字は意外と数人レベルでよいらしいので、フォロワーが8万を超えているアカウントが鍵アカウントにしても無駄でしょう。

最後に誘引性の有無ですが、「受けるために宇都宮に移住したい」とか、受けたいという発言がかなりありますので、問題なく誘引性も認められるでしょう。

以上より、倉持仁さんの今回のツイッターの発言は、医業広告に該当すると考えられます。

医業広告が可能な内容とは?

医療法第六条の五の3に広告してよい内容が定められています。

  • 一 医師又は歯科医師である旨
  • 二 診療科名
  • 三 当該病院又は診療所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項並びに当該病院又は診療所の管理者の氏名
  • 四 診療日若しくは診療時間又は予約による診療の実施の有無
  • 五 法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた病院若しくは診療所又は医師若しくは歯科医師である場合には、その旨(注:保険医療機関かどうか)
  • 六 第五条の二第一項の認定を受けた医師である場合には、その旨(注:保険医登録があるか)
  • 七 地域医療連携推進法人(第七十条の五第一項に規定する地域医療連携推進法人をいう。第三十条の四第十二項において同じ。)の参加病院等(第七十条の二第二項第二号に規定する参加病院等をいう。)である場合には、その旨
  • 八 入院設備の有無、第七条第二項に規定する病床の種別ごとの数、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の従業者の員数その他の当該病院又は診療所における施設、設備又は従業者に関する事項
  • 九 当該病院又は診療所において診療に従事する医療従事者の氏名、年齢、性別、役職、略歴その他の当該医療従事者に関する事項であつて医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの
  • 十 患者又はその家族からの医療に関する相談に応ずるための措置、医療の安全を確保するための措置、個人情報の適正な取扱いを確保するための措置その他の当該病院又は診療所の管理又は運営に関する事項
  • 十一 紹介をすることができる他の病院若しくは診療所又はその他の保健医療サービス若しくは福祉サービスを提供する者の名称、これらの者と当該病院又は診療所との間における施設、設備又は器具の共同利用の状況その他の当該病院又は診療所と保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携に関する事項
  • 十二 診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報の提供、第六条の四第三項に規定する書面の交付その他の当該病院又は診療所における医療に関する情報の提供に関する事項
  • 十三 当該病院又は診療所において提供される医療の内容に関する事項(検査、手術その他の治療の方法については、医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるものに限る。)
  • 十四 当該病院又は診療所における患者の平均的な入院日数、平均的な外来患者又は入院患者の数その他の医療の提供の結果に関する事項であつて医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資するものとして厚生労働大臣が定めるもの
  • 十五 その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項

医業広告として禁止されている内容

医業広告では以下の表現を禁止しています。

  • 過大、過剰な表現
  • 虚偽の表現
  • 比較優良広告(他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告)
  • 公の秩序又は善良の風俗に反する内容の広告
  • その他医療に関する適切な選択に関し必要な基準として厚生労働省令で定める基準

しかし、これらの広告の限定については実質的には国民の医療機関を適切に選択することを支援するという目的で解除されています。

医療広告の限定解除とは

国民の医療機関を適切に選定することを支援するため、要件を全て満たす場合には、広告可能な表現の範囲を超えて記載することができる、とするのが「医業広告の限定解除」です。要するに本来は限定されているはずの広告内容をそれに限らず拡大できる制度です。

保険診療の場合

保険診療の場合の要件は二つ。

  • 1.医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること
  • 2.表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載すること

医療機関のHPであれば問い合わせ先として電話番号を出しているでしょうから、通常であれば、基本的にはすべてみたしていると考えられます。

自由診療の場合

ところが、これが自費診療となると要件が増えます。

  • 1.自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること
  • 2.保険診療と異なる治療内容よりトラブルを防止するため、治療内容や標準的な費用、治療期間や治療回数の表示
  • 3.自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること
  • 4.利点や長所のみが強調されやすいため、情報を得たい利用者のために正しい情報を記載

 

これが自由診療の医業広告限定解除の要件となります。自費診療では特に厳しく要件が定められていうことがわかると思います。

倉持仁さんのインターパーク倉持呼吸器内科のHPはどうなっているのか

www.kuramochi-naika.com/

倉持氏のホームページには恐ろしいことにサイト内検索機能もないのですが、わたしの目からは自由診療としてイベルメクチンを処方するのに必要な限定解除の要件をみたす上記のような説明ページが見つかりませんでした。

これが事実なら明らかな医業広告規制違反となるでしょう。

テレビで注目の医師ですので、関係各所はすでに非常に注目していると考えます。

医業広告に関係するほかの規制たち

医療に関する広告の規制については、医療法に基づく規定の他に以下のものがあります。

  • 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景表法」)
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法、薬機法)
  • これら他法令に違反する広告は、当該他法令に基づく指導・処分等の対象となり得るものです。

    医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法、薬機法)

    医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法、薬機法)は、虚偽広告・誇大広告の抑止を目的として改正され、2021年8月1日に施行されました。

    改正法では、虚偽や誇大な広告に対して「課徴金納付命令」が新設され、虚偽誇大広告の抑止につなげる意図があります。今回の改定では機法上の業許可を持たない事業者による類型など、これまでは薬機法で抑止効果を得られなかった部分を広くカバーしています。広告媒体は、新聞、雑誌、TV、ラジオ、Webサイト(ホームページ)、SNSなどすべての媒体の広告が改正薬機法の対象となります。

    これまでは上限200万の罰金のみでしたが、違反していた期間の対象商品の売上額の4.5%が課徴金額(225万円以下の場合は対象外)となります。同一事案に対して景品表示法も同時に科される場合は景品表示法による課徴金(売上額の3%)を4.5%から差し引いた「売上額の1.5%」が課されることとなります。

    それでは、条文を見ていきましょう

    虚偽・誇大広告等の禁止(薬機法第66条)

    何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」

    「何人も」とは「誰でも」ということであり、商品を販売したい広告主のみならず、違反広告を作成した広告代理店、違反広告の制作をした会社、個人や会社組織のアフィリエイター、さらに広告を掲載したメディア(ヤフーやグーグルも当然含まれると考えられる)など、当該商品の広告に携わる人であればすべからく薬機法違反の処罰対象になり得ることとなる。

    承認前医薬品等の広告の禁止(薬機法第68条)

    何人も、医薬品若しくは医療機器又は再生医療等製品であつて、まだ承認又は認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない」

    この条文では「未承認薬」の「製造方法、効能、効果又は性能に関する広告」はしてはならないこととなっています。

    未承認薬であることと保険診療で認められていない薬ということとは同じではありません。たとえばバイアグラは保険診療では認められていませんが、きちんと薬事承認を受けています。

    イベルメクチンは未承認薬なのか?

    ここで、「医師免許の壁」にぶち当たります。

    処方行為は販売行為ではないので、医師法上は必要性を認めて処方する場合、リスクよりベネフィットが上回ると各医師が判断すれば問題にすることができなくなるのです。

    イベルメクチンに関してはこちらのリンクにあるとおりすでに承認されている薬です。
    それを「新型コロナウイルスの治療」に使う場合、適応症は「腸管糞線虫症、(確定診断された)疥癬」となっていますので「適応外処方」という扱いになります。

    適応外処方の問題点

    現場の医師が医療上の必要性があると判断し、医学的に妥当だと判断した場合は医師の裁量で処方して問題ない、これを取り締まる法律はないのが実情です。

    www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb0199&dataType=1&pageNo=1

    保険診療における医薬品の取扱いについて(昭和五五年九月四日)(保険発第六九号)のなかに以下が示されています。

    1 保険診療における医薬品の取扱いについては、厚生大臣が承認した効能又は効果、用法及び用量(以下「効能効果等」という。)によることとされているが、有効性及び安全性の確認された医薬品(副作用報告義務期間又は再審査の終了した医薬品をいう。)を薬理作用に基づいて処方した場合の取扱いについては、学術上誤りなきを期し一層の適正化を図ること。

    要するに、一概に適応外処方を保険診療で認めない、と言っているわけではなく、「学術上誤りなきを期」されていれば審査側で認めるという柔軟な運用をしているということです。しかし、イベルメクチンの場合学術的に誤っていることはWHOもCDCもECDCも言及しておりますので、倉持仁さんでは太刀打ちできないでしょう。

    ただし、保険診療と自由診療(自費診療)は併用できないという決まりがあります(混合診療の禁止の原則)がありますので、イベルメクチンを自費診療で投与を受けた場合は、その診療にかかるすべての診療が自費診療になります。つまり、イベルメクチンを適応外処方で投与したことの効果や有害事象を確認するための検査も入院に関する費用もすべて保険適応外となり、自費診療となる可能性があります。

    イベルメクチンの投与だけが自費診療になると勘違いしていたら大変なことになるでしょう。保険診療上の詐欺行為は最も重い部類と考えられていますので、倉持仁さんがこのあたりをどう考えているのかについて討論したいくらいです。

    混合診療の禁止がどこに定められているのかについてですが、実際には直接規定した条文はありません。ただし、健康保険法第44条(特定療養費制度)のなかで、厚生大臣の定める高度先進医療又は選定療養に核当しない保険適用外の診療については保険給付の対象とならないことが定められたため、これ以外のものについて結果として機保険給付が禁止される、つまり混合診療の禁止が明確となりました。

    景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)による医業広告規制

    景品表示法では以下のように規定しています。

    • 1.規制対象:商品・サービスを提供する事業者
    • 2.対象行為:
      • 優良誤認表示(商品、サービスの品質、規格、その他の内容について実際より著しく有料であると誤認される表示をする行為)
      • 有利誤認行為(商品・サービスの価格その他の取引条件について実際より著しく有利であると誤認される表示をする行為)
    • 3.課徴金額:違反を行っている期間中の対象商品売上額の3%
    • 4.免責金額:150万円対象商品(役務を含むの売り上げが5000万円)未満
    • 5.対象期間:違反行為を行っていた期間の終了から最大6か月で最長3年間
      課徴金減額:消費者庁または公正取引委員会による調査開始前に自主申告の場合は50%減額。事業者が所定の手続きにより返金措置を実施した場合は減額。

    まとめ

    上記の議論により、倉持さんの今回のツイッターでの「今日からイベルメクチンを処方する」という発言は医業広告に該当し、さらに医業広告ガイドラインに違反している疑いが濃厚であることがわかったと思います。

    また、イベルメクチンをどうして新型コロナウイルス感染症に処方できないのかについては関連記事でも言及しておりますので、ご一読くださいませ。

    この記事の著者:仲田洋美医師
    医籍登録番号 第371210号
    日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
    日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
    臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号

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