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絨毛検査(じゅうもうけんさ)とは、妊娠11〜14週に胎盤の一部である絨毛を採取し、胎児の染色体を調べる確定検査です。羊水検査より早い時期に結果が得られるのが特徴です。この記事では、絨毛検査の方法・時期・わかること・わからないこと・流産リスク・費用、そして胎盤限局性モザイク(CPM)や羊水検査との違いまで、臨床遺伝専門医が総合的に解説します。
Q. 絨毛検査とはどんな検査ですか?まず結論だけ知りたいです
A. 絨毛検査は、胎盤の絨毛を採取して染色体・遺伝学的検査を行う出生前の診断検査です。絨毛は受精卵由来の胎盤組織ですが、胎盤限局性モザイク(CPM)によって胎児と染色体所見が一致しない場合があります。検出範囲は実施する解析法によって異なります。
- ➤時期 → 妊娠11〜14週(羊水検査より早い)
- ➤採るもの → 胎盤の絨毛(受精卵由来で受精卵由来の胎盤組織)
- ➤わかること → 全染色体の数的・構造異常。症状の重さはわからない
- ➤リスク → 日本産科婦人科学会は手技による流産リスク上昇を約0.2%と記載
- ➤CPM → 胎盤と胎児で染色体が異なる現象。疑われたら羊水検査で確認
「絨毛検査」には2つの別の検査があります。この記事で扱うのは妊娠中に胎盤の絨毛を採取する出生前診断(CVS)です。流産後に流産組織を調べる「流産絨毛染色体検査(POC)」は別の検査(流産の原因を調べるもので保険適用となる場合があります)ですので、目的に合う情報かをご確認ください。
絨毛検査とは
【結論】 絨毛検査(じゅうもうけんさ)とは、妊娠11〜14週に胎盤の絨毛を採取して、胎児の染色体を確定的に調べる出生前検査です。NIPTのようなスクリーニング(可能性を示す検査)ではなく、診断を確定させる確定検査にあたります。
絨毛とは、胎盤の表面にある細かい突起状の組織です。胎盤の絨毛は受精卵由来の組織であるため、胎児の染色体・遺伝学的状態を評価する検体として用いられます。ただし、まれに胎盤と胎児で染色体が異なる胎盤限局性モザイク(CPM)が起こる点が、絨毛検査特有の注意点です。
絨毛検査は、羊水検査とともに出生前診断の「確定検査」に位置づけられます。NIPTや母体血清マーカー、初期胎児ドック(NT計測など)でリスクが高いと判定された場合に、診断を確定させる目的で行われます。羊水検査との使い分けは羊水検査と絨毛検査の違いで詳しく解説しています。
絨毛検査の方法と「何を採るか」
【結論】 絨毛検査は、超音波で胎盤や赤ちゃんの位置を確認しながら、お腹から細い針を刺して胎盤の絨毛を採取する経腹法が一般的です。採取した絨毛組織を用いて、目的に応じた染色体・遺伝学的解析を行います。
結果報告までの日数は検査法・施設によって異なります。FISH法やQF-PCR法などの迅速異数性検査では対象となる染色体について短期間で結果を得られます。G分染法、染色体マイクロアレイ、遺伝子検査ではそれぞれ検出範囲が異なります。
絨毛検査でわかること
【結論】 絨毛検査で何がわかるかは、採取後に行う解析法によって異なります。G分染法では染色体数と比較的大きな構造異常、染色体マイクロアレイではより小さなコピー数変化、特定遺伝子検査では対象となる遺伝子の病的バリアントなどを調べます。
🧬 絨毛検査でわかる病気・異常
| 区分 | わかる病気・異常 |
|---|---|
| 数の異常 | ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミー |
| 性染色体の異常 | ターナー症候群(モノソミーX)、トリプルX症候群、クラインフェルター症候群 |
| 構造・遺伝子の変化 | 欠失・転座、マイクロアレイで微細欠失、特定の単一遺伝子疾患(必要に応じて) |
代表的なものに、ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミー、ターナー症候群などがあります。わかる病気の一覧と各特徴は絨毛検査でわかる病気で詳しく解説しています。
絨毛検査でわからないこと(検査の限界)
【結論】 絨毛検査は精度の高い確定検査ですが、病気の「有無」はわかっても、症状の重さや、すべての先天性疾患まではわかりません。
・症状の重さ・重症度:病気があるか・ないか(陽性か陰性か)は確定できますが、出生後の具体的な症状や程度は予測できません。
・すべての先天性疾患ではない:先天性心疾患・口唇口蓋裂などの形態異常や、染色体を原因としない病気はわかりません。
・染色体モザイクで判断できないことがある:胎盤限局性モザイク(後述)の場合、羊水検査での確認が必要になります。
絨毛検査の時期とリスク
検査を受ける時期
日本産科婦人科学会のガイドラインでは、出生前診断のための絨毛採取は妊娠11〜14週に行うとされています。ただし実際の対応週数は施設によって異なります。10週台から実施する施設もありますが、10週未満のCVSは推奨されません。11〜13週台が中心的な実施時期で、14週ごろは胎盤位置・採取経路・施設方針によって対応が異なります。羊水検査は妊娠15週以降に行われます。
流産リスクをどう考えるか
日本産科婦人科学会の「産婦人科診療ガイドライン―産科編2023」では、絨毛採取による流産リスクの上昇は約0.2%と記載されています。2019年の更新メタ解析でも、CVSの手技による上乗せ流産リスクは0.20%と推定されました。処置後の流産率そのものと、手技による上乗せリスクは区別して理解する必要があります。
流産リスクの数値は集団の統計であり、そのままお一人おひとりの確率になるわけではありません。手技関連リスクは、術者の経験、穿刺回数、妊娠背景など複数の要因の影響を受けます。
胎盤限局性モザイク(CPM)とは
【結論】 胎盤限局性モザイク(CPM)とは、胎盤と胎児で染色体が異なる現象です。絨毛は胎盤の細胞を調べるため、CPMがあると結果が胎児の実際の状態と異なることがあり、約1%程度で起こります。
CPMが疑われた場合は、所見の種類に応じて羊水検査による確認を検討します。これは絨毛検査特有の注意点で、羊水検査はCPMの影響を受けにくいという特徴があります。当院では2025年6月より羊水検査・絨毛検査を院内で実施しており、絨毛検査でCPMが疑われた場合の羊水検査による確認まで、院内で一貫して対応できます。
🩺 院長コラム【絨毛検査と羊水検査の検体の違い】
絨毛検査では胎盤の絨毛組織、羊水検査では羊水中の胎児由来細胞を検体として用います。絨毛検査では限局性胎盤モザイクの影響を受ける場合がある点が、羊水検査との重要な違いです。
検査を選択する際は、妊娠週数、胎盤位置、検査目的、各検査の検出範囲と限界を確認します。絨毛検査でモザイクが検出された場合には、所見に応じて羊水検査などの追加評価を検討します。
絨毛検査の費用と羊水検査との違い
費用
絨毛検査は原則として自費診療で、費用は施設・実施する解析法によって異なります。費用の詳しい内訳や抑える方法は羊水検査・絨毛検査の費用で解説しています(当院ではNIPT陽性後の確定検査費用を互助会で全額補助しています)。
羊水検査との違い
| 項目 | 絨毛検査 | 羊水検査 |
|---|---|---|
| 時期 | 日本のガイドラインでは11〜14週 | 15週以降 |
| 採るもの | 胎盤の絨毛 | 羊水中の胎児由来細胞 |
| わかる範囲 | 実施する解析法による | 実施する解析法による |
| 胎盤モザイク(CPM) | 影響を受けることがある | 影響を受けにくい |
| 流産リスク | 手技による上乗せ約0.2% | 手技による上乗せ約0.1〜0.3% |
検査の選択では、妊娠週数、胎盤位置、検査目的、CPMの影響、各検査の検出範囲などを確認します。詳しい比較は羊水検査と絨毛検査の違いを、羊水検査の総論は羊水検査とはをご覧ください。
絨毛検査を受けられる施設は限られます
絨毛検査は羊水検査より手技の難易度が高く、実施している医療機関が限られます。健診を受けている産婦人科や遺伝カウンセリング実施施設から紹介を受けられることもあります。当院(ミネルバクリニック)では、臨床遺伝専門医のもとで絨毛検査・羊水検査を院内で実施し、NIPTから確定検査まで一貫して対応しています。
🏥 絨毛検査・確定検査のご相談
絨毛検査の時期・リスク・わかること・費用について、
臨床遺伝専門医が運営するミネルバクリニックでご相談いただけます。
NIPTから確定検査まで院内で一貫対応します。
よくある質問(FAQ)
Q1. 絨毛検査は何と読みますか?
絨毛検査は「じゅうもうけんさ」と読みます。絨毛(じゅうもう)は胎盤の表面にある細かい突起状の組織で、この組織を採取して胎児の染色体を調べる検査です。
Q2. 絨毛検査は何週に受けますか?
絨毛検査は妊娠11〜14週に行われます。羊水検査(妊娠15週以降)より早い時期に受けられるのが特徴で、NIPTなどで陽性となった場合により早く確定診断を得たい方の選択肢になります。
Q3. 絨毛検査でわかる病気は何ですか?
全染色体の数的異常(ダウン症候群など)・構造異常を確定的に調べられ、マイクロアレイ検査で微細欠失、必要に応じた遺伝子解析で特定の単一遺伝子疾患もわかる場合があります。一方、症状の重さやすべての先天性疾患はわかりません。詳しくは「絨毛検査でわかる病気」の記事をご覧ください。
Q4. 絨毛検査の流産リスクはどれくらいですか?
日本産科婦人科学会の産科診療ガイドライン2023では、絨毛採取による流産リスクの上昇は約0.2%とされています。処置後の流産率そのものと、手技による上乗せリスクは区別して考える必要があります。
Q5. 胎盤限局性モザイク(CPM)とは何ですか?
胎盤の細胞と胎児の細胞で染色体が異なる状態です。絨毛は胎盤の細胞を調べるため、CPMがあると結果が胎児と一致しないことがあり、約1%程度で起こります。疑われた場合は、胎児由来の細胞を直接調べる羊水検査で確認します。
Q6. 絨毛検査と羊水検査はどちらがいいですか?
わかる染色体異常の範囲はほぼ同じで、大きな違いは検査時期です。絨毛検査は妊娠11〜14週で早く結果が得られ、羊水検査は妊娠15週以降で胎盤モザイクの影響を受けにくいのが特徴です。早さを重視するなら絨毛、CPMを避けたいなら羊水が選択肢になります。
Q7. 「絨毛検査」と流産後の絨毛検査は同じですか?
別の検査です。この記事の絨毛検査は妊娠中に胎盤の絨毛を採取する出生前診断(CVS)です。流産後に流産組織を調べる「流産絨毛染色体検査(POC)」は、流産の原因を調べる検査で、保険適用となる場合があります。目的が異なります。
Q8. 絨毛検査の費用はいくらですか?
原則として自費診療で、費用は施設と実施する解析法によって異なります。当院の互助会については、加入条件・対象検査・費用負担の範囲を制度案内ページで確認してください。
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参考文献
- 絨毛検査|出生前検査認証制度等運営委員会. [jams-prenatal.jp]
- 日本産科婦人科学会. 出生前に行われる遺伝学的検査および診断に関する見解. [日本産科婦人科学会]
- American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG). Practice Bulletin No.162: Prenatal Diagnostic Testing for Genetic Disorders. 2016. [PubMed 27093089]
- Akolekar R, et al. Procedure-related risk of miscarriage following amniocentesis and chorionic villus sampling: a systematic review and meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2015;45(1):16-26. [PubMed 25042845]
- 厚生労働省. 出生前検査に関する情報提供について. [厚生労働省]



