新型出生前診断の3つの問題点|実施施設の増加に伴う影響と懸念

新型出生前診断を行う施設は増えましたが、増えたことにより優良とは言いきれない採血するだけの施設があるという問題もあります。こうした問題点をレポートします。
赤ちゃんができた夫婦

近年、胎児の健康状態を安全に確認できる「新型出生前診断」を取り扱う医療施設が増えてきています。

NIPTとも呼ばれる新型出生前診断は、ダウン症候群などの染色体異常症を高精度で検査できるため、出生前診断の中から最優先して受検することがスタンダードになりました。

しかし、新型出生前診断の普及に伴って実施施設が増加する一方でいくつかの問題点が挙げられ、各所で議論されています。

この記事では、新型出生前診断が誕生した由来や検査の利点をご説明した上で、新型出生前診断が抱える3つの問題点についてご紹介していきます。

新型出生前診断が誕生した理由や検査の利点

NIPT
新型出生前診断が誕生するまでは、染色体異常症を持つ可能性を検査できる母体血清マーカー検査や、染色体異常症の有無を確定できる羊水検査が医療施設で実施されてきました。

その中で、新型出生前診断はどのように誕生したのか、その由来や検査の利点についてご説明していきます。

新型出生前診断が誕生した由来

新型出生前診断は、NIPT(non-invasive prenatal genetic testing)として世界的に取り扱われている検査で、デニス・ロー(香港中文大学化学病理学教授)によって発明された検査です。

誕生当時は胎児性別診断・RhD血液診断のみ実施されていましたが、2011年にアメリカのシーケノム社が開発した「MaterniT21」によって、現在普及している母体からの採血のみで胎児の染色体異常を高精度で検査できる形になりました。

始めはダウン症候群(21トリソミー)のみ検査対象でしたが、その後は18トリソミー・13トリソミーも併せて検査可能となり、2012年にはアメリカのヴェリナタ社による検査受託が開始されています。

日本では、2013年4月になって初めてNIPT(新型出生前診断)を取り扱えるようになり、日本医学会に認定された認定施設から検査の実施が始まりました。

この数年で実施施設は一気に増えましたが、日本医学会に認定されていない認定外施設で検査を受ける妊婦さんも増えており、優良施設を選ぶ重要性が高まっています。

従来の出生前診断より高い感度・特異度

新型出生前診断は、母体血清マーカー検査やコンバインド検査よりも非常に優れた感度・特異度で行なわれる検査で、妊娠10週目(ミネルバクリニックの場合は9週目)から受検することができます。

妊婦さんの血液を採取して母体血漿中に存在する胎児由来のcfDNAを分析し、特定の染色体に異数があった場合に染色体異常症を持つ可能性が示唆されます。

従来の非侵襲的検査では感度80%程度が限界となっていましたが、新型出生前診断はそれを大きく上回る感度99%(ダウン症候群の場合)で染色体異常を検査することが可能です。

以下は、30歳〜40歳の妊婦さんにおける新型出生前診断の検査精度になります。

疾患感度特異度陽性的中率
陰性的中率
21トリソミー
(ダウン症候群)
99.1%99.9%61.3%
〜98.5%
99.99%
18トリソミー
99.9%99.6%10.6%
〜52.2%
99.99%
13トリソミー
91.7%99.7%4.5%
〜30.4%
99.99%

※21トリソミーは妊娠12週目・18・13トリソミーは妊娠16週目の場合

結果が陰性だった場合、ほぼ100%の確率で実際に疾患を持っていないことになるため、その安心感を得るために多くの妊婦さんがこの検査を受けています。

結果が陽性だった場合、疾患の種類や妊婦さんの年齢によって実際にその疾患を持っているかどうかの確率が大きく異なります。そのため、陽性反応が出た後は本当に染色体異常症なのかを確定させる羊水検査を受けることが推奨されています。

新型出生前診断の3つの問題点

医師と夫婦

非常に高い精度で安全性も保証されている新型出生前診断ですが、日本に初上陸した当時からいくつかの問題点が挙げられています。

ここからは、新型出生前診断が抱える3つの問題点を詳しくご紹介していきます。

命の選別だという一部の声

新型出生前診断は母体にも胎児にもリスクがないため安心して受けられる検査ですが、需要に伴って実施施設が増加したことで「染色体異常症を持つ赤ちゃんの出産を中断してしまう母親が増える原因になるのでは?」という声も多方面からあがっています。

実際に出生前診断で陽性反応が出た場合、95%の妊婦さんが人工妊娠中絶を選択しています。母体の健康面を考慮した中絶もありますが、「経済的な問題で子供を育てられない」「子供を育てる自信がない」という妊婦さんも少なくないのが現状です。

しかし、新型出生前診断は赤ちゃんの健康状態を早期に知ることができ、結果に応じた育児環境の準備を整えられるという大きな利点もあります。

「命の選別では?」という声は、新型出生前診断に限らず出生前診断全てにおいて向けられていますが、日本産婦人科医会が掲げた「母体血を用いた出生前遺伝学的検査(NIPT)に関する指針」では、今後より多くの妊婦さんが新型出生前診断を受けられるよう実施施設の体制にテコ入れを行っていく方針が固められています。

新型出生前診断が抱える問題点に関しては、今後も日本産婦人科医会を中心として議論が進められていくことになります。

遺伝カウンセリングを実施しない施設の増加

新型出生前診断は、日本医学会に認定されていない認定外施設でも妊娠10週目以降の妊婦さんに対して検査を実施することができます。

認定施設は35歳以上の妊婦さんを対象に検査を行っていますが、超音波検査や母体血清マーカー検査で陽性だったなどの追加条件も必要になるため、年齢制限やその他の条件を設けていない認定外施設で検査を受ける妊婦さんが多くいるのが現状です。

そこで問題視されているのが、遺伝カウンセリングを実施しない施設の増加です。

認定施設では臨床遺伝専門医、または認定遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングが必ず行なわれていますが、認定外施設ではそもそも臨床遺伝専門医も認定遺伝カウンセラーもいない施設が多く存在しています。

遺伝カウンセリングは、新型出生前診断や染色体異常症に関する詳しい情報が専門医やカウンセラーから提示され、出産においてどのようなリスクが伴い、検査結果に応じてどのような準備が必要になるかと妊婦さんやカップルで共有する大切な場となります。

今後も遺伝カウンセリングを実施しない認定外施設は増え続けると予想されるため、妊婦さんは臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラーが在籍しているかを施設選びの際に優先していきましょう。

個別スクリーニングであるという点

アメリカやイギリスでは、何らかの出生前診断をマススクリーニングとして全ての妊婦さんに受検を勧めています。

日本では日本産科婦人科学会の見解などによって、あくまで個別スクリーニングとして取り扱われています。新型出生前診断の取り扱いは、国における倫理的・社会的な位置づけが尊重されるため、日本では今後もこの方針は変わらないとみられています。

個別スクリーニングは、本当に新型出生前診断を必要とする妊婦さんの検査を受ける機会を妨げることに繋がる可能性があり、「患者のニーズに応えられているのか?」と疑問視されます。

日本における新型出生前診断の実施施設の体制はまだまだ万全ではないため、今後、患者様が安心して検査を受けられる優良施設が各地方に広がることが望まれています。

まとめ

出産に対して悩みを抱える妊婦さんにとって、安全で高精度の新型出生前診断が日本で普及してきていることは朗報といえます。

新型出生前診断(NIPT)は、結果を早く知って出産前に心の準備や育児環境を整えたい妊婦さんに対して需要を高めていますが、その一方で「命の選別になるのでは?」という声があがっているのも事実です。

染色体異常症を持つ子供の出産については倫理的な問題であり、一つの答えを出すことはできませんが、新型出生前診断を受けることでいかなる検査結果の場合でも出産に向けて適切な準備をする猶予が与えられます。

今後、新型出生前診断を実施する施設は認定施設・認定外施設共に増えると予想されますが、妊婦さんはしっかり目利きして優良施設で検査を受けることが大事になってきます。

そこでおすすめしたいのが、大学病院レベルの臨床遺伝専門医による新型出生前診断を提供している東京のミネルバクリニックです。

ミネルバクリニックは、妊娠9週目以降の妊婦さんなら年齢制限なしで世界最新鋭の新型出生前診断を受けていただくことができます。
また、ミネルバクリニックでは、オンライン診療により遠方の妊婦さんは来院せずに全国どこからでも新型出生前診断を受けることが出来るというメリットがあります。

実績・経験ともに申し分ない臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを受けられるので、この機会にミネルバクリニックまで是非ご相談ください。

ミネルバクリニックNIPTトップページ
ミネルバクリニックNIPTメニュー
スーパーNIPT|スーパーNIPT(13/18/21トリソミー)・スーパーNIPTプラス(+微小欠失4疾患)・スーパーNIPT100(100遺伝子の重篤な遺伝病を検出)
マルチNIPTカリオセブン|全部の染色体を7Mbでスキャン+微小欠失9疾患。胎児のDNA2.5%から可能なので9週から検査できます。
マルチNIPTデノボ|父親の加齢と相関する25遺伝子44疾患
ペアレントコンプリート:通常のNIPT(母親の側に原因がある疾患をチェック)+デノボ(父親側に原因がある疾患をチェック)
コンプリートNIPT:ペアレントコンプリート+カリオセブンの全部が入っています
イルミナVeriseq2(全染色体を7Mbで欠失・重複のスキャンが可能。但し、胎児のDNAが8%ないと正確性を担保できないため、妊娠11週からとなります)
オンラインNIPT:全国どこにお住まいでもミネルバクリニックのNIPTが受けられます

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

仲田洋美(医師)

プロフィール

1995年医師免許取得。血液・呼吸器・感染症内科を経て、臓器別・疾患別の縦割りの医療の在り方に疑問を感じ、人を人として”全人的”に診療したいという思いを強くし、臓器を網羅した横断的専門医となり、2010年にがん薬物療法専門医取得(2019年現在全国1200人程度)。臓器を網羅すると遺伝性がんへの対策が必要と気づき、2011年に臨床遺伝専門医取得(2019年現在全国1000人程度)。遺伝相談はセンシティブな分野にもかかわらず、昼間の短い時間しか対応できない大病院のありかたに疑問を感じて、もっと必要な人がハードルを感じずに診療を受けられるようにしたいと2014年12月に開業。以来、全国から大学病院でも難しい内容の対応を求める人々を受け入れ、よろづお悩み相談所として多くの人々の様々な”家族(計画)の問題”を改善に導く。

著書に”女性のがんの本当の話”(ワニブックス)、”遺伝するがん・しないがん”(法研)がある。
少ない専門家で、正直で嘘のない言葉選びから週刊誌等の取材も多く、医療系の特集に時折コメントが掲載。(週刊現代、週刊ポスト、週刊新潮など)。
テレビ出演も時々あり、小林真央さんの病状を市川海老蔵さんが初めて記者会見した日、フジテレビの午後4時台のニュース番組に生出演して解説。その他TBS, AbemaTVなど出演。

一人一人の事情に合わせた個別対応をするべく、しっかり時間を取って本当のニーズは何かを聞き取りすることを大切にしている。短い時間でもお互いが出会ったことが相手の人生に大きな意味があるような医師患者関係の構築を理想として日々精進。

患者さんが抱えている問題を解決するにはどうしたらよいのかを考えて医師歴8年目に法学部に学士入学した程度に”凝り性”。女医が少なかった時代に3人の母親として難関専門医を3つ取得して社会進出を続けた経験から、女性のライフスタイルを医学以外の部分でも支援したいと願っている。いろんな人生経験から心に響く言葉を投げかけるため、”会うと元気になる”ということで有名。飼いネコ3匹。

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