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認定外でNIPT(新型出生前診断)を受けたら違法?

認定外でNIPT(新型出生前診断/非侵襲的出生前検査)を受けたら違法?

東京でNIPTをはじめとする遺伝子検査提供するミネルバクリニックです。このページでは認定外施設でNIPTを受けたら違法なのかについて説明いたします。この記事の著者 仲田洋美(総合内科専門医、がん薬物療法専門医、臨床遺伝専門医

診療の種別を問わず医者にかかる根本的規制

診療に関係する法律はいろいろあるのですが、一番は医師法ですね。これは、医師とはどういう職業なのかとか、何をしなければならないのかなどが定まっています。医師になるにはまず、大学の医学部医学科に少なくとも6年は行って、途中でCBTやOSCEに合格して、臨床実習をこなして、卒業試験に合格し、最後に医師国家試験に合格せねばなりません。
そして、まだまだ決まりごとがあります!!
国家試験に合格したら、2年間の臨床研修が義務付けられていて、臨床医をするのであればこの初期研修を経て終了証をもらわないとできないようになっています。
その他もろもろ決まっているので、興味のある方は
elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=323AC0000000201&openerCode=1
こちらを見てください。

次に大きな法律は、医療法です。
こちらは、医療機関が備えなければならない人員などの基準が主に定められています。
また、医業広告に関する規制もこの法律に定められています。
医療法には施行令、施行規則という省令もあります。
その下に厚生労働省の局長通知、各局の課長通知などもあり、我々医師はたくさんの法律や通知により規制をたくさん受けています。

保険診療にかかる法律は?

保険診療は健康保険で償還される診療のことを言います。
つまり、1万円の診療を3割負担の医療保険で受けたら自己負担は3千円となりますね。

健康保険法とその施行令、施行規則、療養担当規則などの規制を受けますが、診療報酬自体は中医協というところで決まり、診療報酬点数表に反映されて、これを根拠に全国の医療機関が保険診療の費用を算定します。
つまり、診療報酬点数表にのっているのが保険診療です。
NIPTは診療報酬点数表にのっていない自由診療となります。

保険外診療にかかる法律は?

保険外診療、いわゆる自由診療には、健康保険法などは全く関係ありません。

みなさんは、お産がなぜ保険診療でできないのか?って考えたことあります?
「疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行」うと健康保険法に書かれてあるからなんです。

要するに、通常のお産は「疾病」ではないので保険診療ではない。
その代わり帝王切開や鉗子分娩のような異常分娩は保険診療になります。

医学会認定外施設(無認可(認可外)施設)でNIPTを受けたら違法?

今まで見てきたように
自由診療であるNIPTは医師法と医療法のみで規制されています。

「日本産科婦人科学会の指針」に基づく日本医学会の規制は、日本医学会や医師会といった(公益)社団法人、つまり民間団体が定めたものであり、国のこうした「法規」とは全く異なるため、全然違法でも何でもありませんので、ご安心ください。学会の指針は、拘束力はありません。ミネルバクリニックでは医師法や関連法規を遵法したうえで診療を行っておりますので、ご安心くださいませ。

ただ、昨今、某株式会社の協力医療機関に【歯科】があるようですが、こちらは歯科医師法に違反すると思われますので違法でしょう。
詳細は保健所、都道府県の医療行政担当、厚生労働省母子保健課などにお問い合わせください。

ただし、美容外科や皮膚科、精神科など専門知識を持たない医療機関で【生命の選択】をすることにつながる可能性をはらんだ胎児診断が行われることについて、この検査では陽性の場合確定検査たり得ないがゆえに、NIPTだけで中絶をされてしまっては正常なお子さんが堕胎されてしまうという問題をはらんでいる、ということが理由の一つで【採血だけなので法律的な立て付けとしては専門の医師以外でも簡単に検査ができてしまう】ことが問題視されて規制が始まりました。

規制のもう一つの理由は、中絶クリニックにおける手続きの簡易さがあげられるでしょう。もしもNIPT陽性の場合に中絶クリニックできちんと羊水検査をやってからね、おなかの赤ちゃんは大丈夫な可能性があるから、という説明をできる体制ならば規制は必要なかったでしょう。

ミネルバクリニックにはたくさんのお問い合わせをいただきます。

なかには 10週でこの検査をやって12週までに中絶したい、という要望をいただきますが、この検査は赤ちゃんの胎盤由来のDNAを利用して検査をしているため、陽性の場合は羊水検査をして確認しなければ赤ちゃん自体のことがわからないのです。
細胞が分裂していく過程で珍しいことではありますが、胎盤だけがトリソミーという場合もあるためです。

中絶クリニックの中には、9週までなら安くします、とか
12週までなら安くします、とか
早いほうが母体へのダメージが少ないです、とか言うところがあります。というかほとんどです。

しかし。週数を経ることが母体へのダメージだとすると、正期産が最も危険ということとなり、論理が破綻していると思います。

あなたのからだには、あかちゃんとご自身という二つの生命が宿っています。
ご自身も大事でしょうが、あかちゃんのこともちゃんと考えましょう。

こういう話を陽性で混乱した状態の妊婦さんとするのは、場数をこなした専門家でないとなかなか難しいと思います。

ですので。一定の規制は必要であると日本の現状から考えています。

しかし。専門家を排除する仕組みもまた正しくはないと思っています。

ミネルバクリニックでは、遺伝子検査の専門医として、倫理面もトレーニングされ、かつ医師になってから法学部に入ってお勉強したような院長の元、常にセンシティブな課題に向き合っています。

 

 

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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