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NIPTの偽陰性

Chapter5-8 NIPTの偽陰性

NIPTの偽陰性の原因とは

理論的には、cffDNAに基づく出生前検査結果の偽陽性の原因となる現象はすべて、偽陰性を引き起こすことができます[1].

1.胎児分画

しかし,偽陰性結果の最も重要な原因は、胎児分画が与えられた配列決定のdepthに対してすくない、または低すぎることであるとされています。胎児分画とは?リンクをたどってご覧ください。

2.depth

もう一つ,難解な用語が出てきましたね!

depthについてご説明しましょう.

depthはゲノムを何回読んだのか、という指標です.
カバレッジという表現がありますが、どちらも同じです.
該当するゲノムのサイズAに対して、シークエンサーで実際に読んだ塩基配列の総和が Bであれば
B÷A となり例えば ×20 と表現します.

一般にはこの数字は高いほど良いとされています.
それでは、本当に多いほうがよいのか?というと、深いとコストがかかるし、意味のないものに意味を付けてしまったりします。次世代シークエンサー登場以来、経験を蓄積していって数年後には、その検査の精度を保つのにどれくらいのdepthで行えばいいのかということが大体わかってきました。

cfDNAの胎児分画の低下の原因は,
母体のBMI高値(肥満)
在胎期間の短さ,
検体の溶血,
抗凝固薬などの母体治療
などがあげられます.[2-4].

BMIの上昇は,母体のcfDNAを血液中に放出し,
胎盤のcffDNAを希釈する脂肪細胞の数の増加と関連しています[5].

現在提供されているほとんどのcfDNA NIPT検査は,胎児分画を推定するものであり、もし胎児分画が不適切であれば、偽陰性結果のリスクを低下させるため、検査結果を出さないようになっています.

3.モザイク

偽陰性の2番目に重要な原因はTFM5型となっています.正常な栄養膜細胞は偽陰性のcfDNA検査を生じるのですが,間葉系と胎児は異常である、というパターンです.

妊娠初期には、母体の血漿中の無細胞胎盤DNA (cffDNA)の唯一の供給源は
栄養膜細胞層と栄養膜合胞体層で、間葉系細胞は母体の血液中にcffDNAを放出しません.

 

 

[1]Van Opstal D, Srebniak MI, Polak J, de Vries F, Govaerts LCP, Joosten M, et al. False negative NIPT results:
risk figures for chromosomes 13, 18 and 21 based on chorionic villi results in 5967 cases and literature review.
PLoS One 2016;1 l:e0146794.

[2] Barrett AN, Zimmermann BG, Wang D, Holloway A, Chitty LS. Implementing prenatal diagnosis based on
cell-free fetal DNA: Accurate identification of factors affecting fetal DNA yield. PLoS One 2011 ;6:e25202 …
[3] Burns W, Koelper N, Barberio A, Deagostino-Kelly M, Mennuti M, Sammet MD, et al. The association between
anticoagulation therapy, maternal characteristics, and a failed cIDNA test due to a low fetal fraction.
Prenat Diagn 2017;37:1125-9.
[4] Ma G-C, Wu W-J, Lee M-H, Lin Y-S, Chen M. The use oflow molecular weight heparin reduced the fetal
fraction and rendered the cell-free DNA testing for trisomy 21 false negative: false negative cfDNA for fetal
trisomy 21 due to heparin use. Ultrasound Obstet Gynecol 2018;51(2):274-7.

[5] Haghiac M, Vora NL, Basu S, Johnson KL, Presley L, Bianchi DW, et al. Increased death of adipose cells, a
path to release cell-free DNA into systemic circulation of obese women. Obesity 2012;20:2213-9.

 

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

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