WGSベースのNIPT④:母親のコピーナンバーバリアント

母親のコピーナンバーバリアント

母親のコピーナンバーバリアントCNVもまた,
WGS NIPTデータにおけるバイアスの原因となります.

その明確な生物学的起源は分析中の特異的な取扱いを可能にします.

特に,母親由来のCNVでは,
1ビンあたりの読み取り値の偏向が非常に大きくなるのですが,
予測可能であり,二元的ベースラインよりも50%多いか少なくなるのです.

このような偏位が胎児由来である場合,
100% FF(胎児分画)と一致すると考えられますが,
これは明らかに不可能である.

母親のCNVの予測可能なシグナルは,
ゲノム全体をコンピュータでスキャンし,
ビン数が50%増加または減少しているビンの連続範囲を同定することを可能にします.
そして,これらのビンを領域平均の計算から省略することができます.

初期のWGSベースのNIPTアルゴリズムのいくつかは,
母体のCNVを同定することを試みておらず,
このことは,それらの構成ビンがその後の分析から除外されなかったことを
意味します.
すると,これらの強く歪んだビンは,
CNVを保有する染色体上の平均ビン値を,
偽陽性の異数性コールが数例で生じる点まで増加させたのです.

これらの偽陽性結果は,母親のCNV取扱いにおける欠点だけでなく,
平均を計算する方法にとっても良くなかったことが明らかになりました.

たとえバイアスの原因が未知の分子起源であっても,
バイアスが系統的であれば,その影響は軽減できます.

例えば,ビンが全てのサンプルにわたって再現性よく
他のビンと比較して上昇した読み取りを有し,
明白な説明がない場合,
それにもかかわらず,正規化ステップの後,
例えば,いくつかの主要成分からシグナルを除去することによって,
または,もっと簡単には,
大きなサンプルコホート(中央値サンプルは二項であると仮定)にわたる
ビンの読み取り数の中央値を計算し,
次いで,全てのサンプルにおけるビンからこの平均を差し引くことによって,
分析に含めることができるようになります.

外れ値であるか否かにかかわらず,
この正規化手続きを全てのビンに適用すると,
データの系統的分散が減少し,
最終的にはaが減少するのに役立ちます.

最後に,以前の戦略を用いて除外されなかったビンは
誤った結果をもたらす可能性があるので,
そのようなビンを棄却すること

および/または

ビン密度の平均および分散の両方についてしっかりした測定値を
使用することが重要であるとなります.

特に,平均値については,例えば,母体のCNVといった生物学的現象や
例えば,アラインメントミスといった分析上のアーチファクトにより
引き起こされる強い外れ値によって中央値が歪まないため,
平均値ではなく中央値を用いるのが最良となります.

分散に関しては,
標準偏差は外れ値に影響を受けやすいので,
標準偏差を避けることが最善である四分位範囲(IQR)は分散のよい推定ができます.

中央値およびIQRを使用すると
mCNVが染色体の30%にまでならない限り
偽陽性がどんどんふえるということはなくなります.

まとめると,読み取り結果をビンに整列させ,
GC偏りおよび写像可能性を補正し,
外れ値ビンをフィルタリングし,
しっかりした方法で平均化するプロセスは,
関心領域の観察された読み取り濃度(μobs)を生じるが,
μobsからの異数性呼び出しを導き出すプロセスは,
他の情報を必要とします.

特に,μobsが予想よりも統計的に高い場合には,
統計的有意差の評価が可能になるように,
二項仮説(μexp)の下で予想される密度と
μobsとμexpの間の平均偏差の両方を知ることが重要となります.

参考文献
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