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乳癌リスクに対する多重遺伝子パネル検査の有用性

当院では,多重遺伝子パネル検査を導入いたしました.

海外で受けられるのに,国内では受けられない...

海外の遺伝子検査の情報を一生懸命探して,どうにかならないかと質問されることが多かったからです.

また,従来の遺伝子検査に比べて,ほぼ半額のお値段で提供できる体制を整えました.
従来はBRCA1/2遺伝子検査だけで24-25万円かかっていたのですが
この遺伝子検査だけなら12万円で提供しています.

乳がん・卵巣がんにかかわる21種類の遺伝子をセットにしたパネル検査であれば
18万円で提供しています.

全てのがん種を対象にした80種以上の遺伝子をセットにしたパネル検査であっても
25万円で提供しています.

がん,とつく専門医(専門医は,各分野でひとつと定められており,がんとつく専門医は,がん薬物療法専門医のみです)と

遺伝とつく専門医(臨床遺伝専門医)をあわせて持つ初めての医師に

2011年になりました.

検査を受けたいけど,敷居が高い,金額も高いので受けられない.

そういう声を何度も聞いてきました.

わたしなりに,日本の遺伝子検査の市場に費用変革をもたらすべく尽力いたしました.

その結果,この多重遺伝子パネルによる検査を受け入れることができます.

感無量です.

関係者の皆様に,深謝申し上げます.

 

 

 


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www.cancernetwork.com/breast-cancer/benefits-multi-gene-panel-testing-breast-cancer-risk

 

腫瘍外科医Nimmi Kapoor氏による,第2015年の第16回米国乳腺外科学会学術集会でのプレス・ブリーフィングです.

遺伝性乳癌の患者さんたちを対象に,従来のBRCA1/2遺伝子に限定した検査と比べて,多重遺伝子パネル検査の診断的優越性が証明された.

この検査は,ひとつの検査で遺伝的にがんに対し易罹患性のある人たち,ことに遺伝性乳がん卵巣がんの人たちには,より多くの情報を提供できる信頼性のあるものである.

多重遺伝子検査とBRCA1/2遺伝子検査を後方視的に比較すると,BRCA1/2遺伝子の病的変異があると疑われる集団に対する感度に差はなかった.

これらの新しい包括的な検査は,BRCA1/2遺伝子における,病的変異であるとまで結論付けるには十分なデーターの集積されていない多型であるVUS(variant of uncertain significance; 意義が明らかでない変異)の描出を増加させることもなかった.

「遺伝性がん症候群の患者たちは,この最新かつより有益な多重遺伝子パネル検査の登場で
BRCA遺伝子検査の能力にさいなまれることなく,利益を享受することができる」
と研究責任者は言う.

約400人に一人が遺伝性乳癌卵巣がん(HBOC)に関連する病的BRCA1/2遺伝子変異を持つ.

これらの変異と,ATM, BARD1といった他の遺伝子変異と合併している症例が合衆国では5-10%ある.

近年,これらを描出する解析のほとんどは次世代シークエンサーで行われており,エクソン,イントロン,プロモーターのどこに変異があっても検査可能である.
ほとんどで,巨大欠失,重複,複合再構成も検出可能である.

最近まで,ユタ州にあるミリアド・ジェネティクスが,BRCA1/2遺伝子に対する特許を取得していることがこの会社を当該遺伝子検査を受託できる唯一の検査機関にしていた.

ところが,2013年,最高裁は遺伝子は特許として認められないと裁決し,特許は無効となった.

これを受け,ワシントン大学の研究者たちが開発した50種の遺伝子パネル検査がAmbry Genetics や BROCA により次世代シークエンサーで行われるようになり,ミリアドとの競争がはじまった.

Kapoor医師によると,これらの新しい多重遺伝子検査には,その精度に疑念があるとされてきたが,最近ではパネル検査とBRCA1/2遺伝子に限定した検査でBRCA遺伝子病的変異の検出率に有意差はなかった.

Kapoorらは,2008年1月から2014年8月まで,966人の患者に対して,337人は(43遺伝子の)多重遺伝子パネルで,629人はBRCA1/2遺伝子に限定して検査を行った.

BRCA1/2遺伝子の病的変異は,3.5%で陽性であり,二つの群に有意差はなかった.(4.0%対3.6% 限定 対 パネル P=1.0)

3%(39人)で,BRCA1またはBRCA2のVUSが認められ,二つの群に有意差はなかった.(4.0%対3.9% 限定 対 パネル P=1.0)

パネル検査者のうち14人(3.9%)にBRCA1/2以外の遺伝子で病的変異が認められた.

同じく,36人(10.1%)でこれらのnon-BRCA遺伝子でVUSを認めた.

non-BRCA遺伝子で異常が多かったのは,CHEK-2, PALB2, ATM遺伝子だった.

もっとも多かったのは,ATM遺伝子で,11人(3.1%)で認められた.

医師たちこそが,遺伝的リスクの理解を支援し,どのように検査を受けるかと言う患者のヘルスケアにおける意思決定をガイドする義務を負う,遺伝子検査のゲートキーパーなのである,とKapoorは言う.

彼女は,多重遺伝子パネル検査は,自身のリスクを理解することを助け.現在や未来における乳癌のバイオロジーに対する知見をたかめ,より良い治療開発を刺激するのだともいう.

 

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