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双極性障害は遺伝するのか──最新ゲノム研究が明らかにした遺伝的基盤と、リチウムが効く理由を遺伝専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

のべ10万人以上の意思決定に伴走。国際医療誌『Medical Care Review APAC』『Global Woman Leader』の2誌で表紙を飾り、「Top Prenatal Testing Service in APAC 2025」に選出されるなど、世界基準の遺伝医療を提供。

双極性障害は、気分が高ぶる時期(躁・軽躁)と深く落ち込む時期(うつ)を周期的にくり返す病気です。「自分の性格の問題」でも「育て方のせい」でもなく、遺伝率80%前後という、精神疾患のなかでもっとも遺伝の影響が大きい病気のひとつだということが、双子研究からわかっています。ただし「遺伝率が高い」ことは「必ず遺伝する」という意味ではありません。この記事では、遺伝率80%の本当の意味、関連する遺伝子、そして治療薬リチウムが効く人と効かない人を分ける仕組みまで、最新のゲノム研究の知見を遺伝専門医がやさしく解説します。双極性障害という「まれではない病気」の遺伝を理解することは、うつ病や統合失調症を含む「こころの病気全体」の遺伝を理解することにもつながります。

この記事でわかること
📖 読了時間:約20分
🧬 遺伝率・GWAS・AKAP11・リチウム応答
臨床遺伝専門医監修

Q. 双極性障害は遺伝しますか?まず結論だけ知りたいです

A. 遺伝の影響は大きいですが、「遺伝率が高い=必ず遺伝する」ではありません。双極性障害の遺伝率は80%前後と推定され、精神疾患のなかでも最上位です。ただしこれは「集団のなかで、なりやすさの個人差のうちどれくらいが遺伝で説明できるか」を表す数字で、ある人が発症する確率とは別ものです。原因は1つの遺伝子ではなく、効果の小さな無数の遺伝子変異(コモンバリアント)と、まれで効果の大きな変異(レアバリアント)、そして環境の組み合わせです。ご家族に患者さんがいる場合、第一度近親者(親・子・きょうだい)の発症リスクは一般の人の約10倍にあたる9%程度と報告されていますが、裏を返せば9割以上の方は発症しません。

  • 遺伝率80% → 「なりやすさの個人差」を説明する数字であり、個人の発症確率ではない
  • 原因の設計図 → シナプス・カルシウムチャネルに関わる無数の遺伝子+まれで強い変異AKAP11
  • 他の病気との重なり → 統合失調症・うつ病と遺伝的にほぼ地続き。素因の9割以上を共有
  • リチウムのなぞ → まれな高リスク関連遺伝子AKAP11が、半世紀使われてきた薬リチウムの標的と結びついた

双極性障害の基本情報

疾患名 双極性障害(和名)/Bipolar Disorder(英名)/略称 BD。双極I型(BDI)と双極II型(BDII)に分類
主な関連遺伝子 単一の原因遺伝子はありません。コモンバリアントとしてCACNA1Cなど多数。レアバリアント関連遺伝子としてAKAP11・HECTD2など
遺伝形式 多因子遺伝(ポリジェニック)。単一遺伝子疾患のようなメンデル遺伝ではありません
頻度 生涯有病率は世界人口の約1〜2%。双極性スペクトラムを含めると最大約4%
遺伝率 双子研究で約60〜90%(典型的には80%前後)。統合失調症と並び精神疾患で最上位
主な症状 躁病または軽躁病エピソード(気分高揚・活動増加・睡眠欲求の低下)と、うつ病エピソード(抑うつ・意欲低下)の反復
再発率・近親者リスク 第一度近親者の発症リスクは約9%(一般人口の約10倍)
検査上の注意 多因子疾患のため、遺伝子検査で発症を確定・予測することは現時点でできません。診断は精神科医による臨床評価が基本です

各項目の根拠と詳しい解説は、本文の該当セクションをご覧ください。

1. 遺伝率80%の本当の意味 ─ 「必ず遺伝する」ではありません

双極性障害の遺伝率は約80%です。しかしこの数字は、あなたやお子さんが発症する確率が80%という意味ではありません。まずこの点を、はっきりさせておきます。

遺伝率(heritability)とは、「ある集団のなかで、なりやすさの個人差が生じている原因のうち、どれくらいが遺伝的な違いで説明できるか」を示す統計的な指標です。これは集団についての数字であって、特定の個人の運命を言い当てるものではありません。遺伝率80%は「発症する人の80%が遺伝のせい」でも「あなたが80%の確率で発症する」でもなく、あくまで集団全体のばらつきの内訳を表しています。この違いは、双極性障害の遺伝を考えるうえで最初に押さえておきたい、いちばん誤解されやすいポイントです。

💡 用語解説:遺伝率(heritability)

遺伝率は「集団のなかの個人差」を分解する道具です。たとえば身長の遺伝率は約80%ですが、これは「栄養が足りなくても身長の80%は保証される」という意味ではありません。同じ環境にいる人たちのあいだで背の高さがばらつくとき、そのばらつきの8割は遺伝子の違いで説明できる、という意味です。双極性障害の遺伝率80%も同じで、「なりやすさのばらつき」の話であり、個人の発症を確定させる数字ではありません。だからこそ、遺伝率が高くても発症しない人が大勢いるのです。

この遺伝率は、一卵性双生児と二卵性双生児で「二人ともが発症する割合(一致率)」を比べる古典的な双子研究から推定されてきました。遺伝子をほぼ100%共有する一卵性双生児のほうが、約50%しか共有しない二卵性双生児よりも一致率が明らかに高いことから、双極性障害の遺伝率は約60〜90%(典型的には80%前後)と見積もられています。これは統合失調症(約64〜81%)をやや上回り、あらゆる精神疾患・行動障害のなかで最も高い部類に入ります[1]

ではご家族にとって、この数字は実際どう響くのでしょうか。第一度近親者(親・子・きょうだい)に双極性障害の方がいる場合、その方自身の発症リスクは約9%と報告されています。これは一般人口のおよそ10倍にあたります[2]。「10倍」と聞くと不安になるかもしれませんが、見方を変えれば、第一度近親者であっても9割以上の方は生涯発症しないということでもあります。リスクが上がることと、発症が決まっていることは、まったく別の話です。

重要なのは、これほど強い家族集積性があるにもかかわらず、双極性障害は1つの遺伝子の変異で起こるメンデル遺伝病ではないという点です。何世代にもわたって患者が連なる家系はまれで、大多数の患者さんは孤発例(家族に前例のない発症)か、複雑な伝わり方をします。現在の精神遺伝学では、双極性障害は「効果は極めて小さいが無数に存在するありふれた変異(コモンバリアント)」と「発症リスクを大きく押し上げるまれな変異(レアバリアント)」、そして「環境要因」が複雑に相互作用して起こる、多遺伝子性で不均一な病気だと理解されています[1]

2. GWASでわかったこと ─ 神経のつなぎ目とカルシウムの流れ

数十万人規模のゲノムを調べる研究から、双極性障害のリスクは「脳の神経細胞どうしのつなぎ目(シナプス)」と「カルシウムの流れ」に関わる遺伝子に集中していることがわかってきました。しかもそのリスク遺伝子の一部は、すでにある薬の標的でもありました。

🔍 関連記事:GWASとはSNP(一塩基多型)eQTL

GWAS(ゲノムワイド関連解析)は、人のゲノム全体に散らばる一塩基多型(SNP)を、患者さんと患者さんでない人で総当たりで比較し、「どのSNPが病気と統計的に結びつくか」をあぶり出す手法です。ひとつひとつの効果は小さいので、大人数を集めるほど発見力が上がります。

現時点で決定的なマイルストーンとなったのが、国際コンソーシアム(PGC)による2021年の大規模GWASです。ヨーロッパ系の双極性障害患者41,917人と対照群371,549人を解析し、64個のゲノムワイド有意なリスク座位が同定されました[1]。特定されたリスクは、脳、とりわけ前頭前皮質と海馬の神経細胞で働く遺伝子、そしてシナプスシグナル伝達に関わる遺伝子群に強く集中していました。双極性障害が、脳の特定の回路の働きの異常として現れることが、遺伝学の側から裏づけられたのです。

さらに2025年には、この研究を大きく拡張した多祖先(ヨーロッパ系・東アジア系・アフリカ系アメリカ人・ラテン系)の解析が報告されました。158,036人の患者と約280万人の対照を対象とし、リスク座位は一気に298個へと約4倍に増加し、東アジア系集団に特有の関連も新たに見つかりました[3]。研究者たちは、症例数が増えるほど発見される座位が加速度的に増えると見ており、双極性障害の遺伝地図はいままさに描かれ続けている段階です。ご家族にとってこれは、「まだ分かっていないことが多い」と同時に「理解が急速に進んでいる」という、両方を意味しています。

💡 用語解説:コモンバリアントとリスク座位

「コモンバリアント」とは、集団のなかに1%以上の頻度で存在する、ありふれた遺伝子のちがいのことです。多くは病気とは関係のない個性ですが、その一部が、ごくわずかずつ病気のなりやすさを上げ下げします。「リスク座位( locus )」とは、そうしたリスクと結びつくゲノム上の場所のことです。双極性障害では、1つで大きな影響を与える変異はほとんどなく、小さな影響を持つ座位が数百個も積み重なってなりやすさをつくります。だからこそ、たった1つの遺伝子を調べて発症を予測することができないのです。

この大規模データには、治療につながる重要な発見がありました。同定されたリスク遺伝子群の多くが、すでに使われている薬(抗精神病薬・カルシウムチャネル遮断薬・抗てんかん薬・麻酔薬)の標的分子をコードしていたのです[1]。とくに電位依存性カルシウムチャネルをつくる遺伝子群(CACNA1Cなど)は有力なリスク因子で、神経細胞の興奮のしやすさを調整しています。これは、循環器の病気ですでに使われているカルシウムチャネル遮断薬を、双極性障害の新しい治療薬として応用できる可能性(ドラッグ・リパーパシング)を示しています。

また、遺伝子の発現量と結びつけるeQTL(発現量的形質座位)データを組み合わせた解析では、遺伝子の発現量の変化を介してリスクと強く結びつく15の遺伝子が特定されました。このなかにはセロトニン受容体をつくるHTR6や、キナーゼのDCLK3など、薬の標的になりうる(創薬可能な)遺伝子が含まれており、新薬開発の有望な候補として位置づけられています[1]。ご本人・ご家族にとって、こうした発見は「原因が分かること」だけでなく「将来の治療の選択肢が広がること」につながる知見です。

3. 他の精神疾患との重なり ─ 診断名の境界はゆるやかです

双極性障害は、統合失調症やうつ病と遺伝的にほとんど地続きです。診断名は別々でも、その下にある遺伝的な素因は驚くほど重なっています。この事実は、ご家族に別の精神疾患の方がいる場合の理解にも役立ちます。

GWASのデータからは、2つの病気の遺伝的背景がどれくらい似ているかを示す「遺伝的相関(rg)」という数字を計算できます。この値が1に近いほど遺伝的に似ており、0なら無関係です。2021年の解析によれば、双極性障害は統合失調症と rg = 0.68 という非常に強い相関を示し、うつ病とも rg = 0.44 という強い相関を示しました。自閉スペクトラム症やADHDなどの神経発達症とも中等度(rg ≈ 0.20)の相関が確認されています[1]

双極性障害と他の疾患・形質との遺伝的相関(rg)

統合失調症
+0.68
うつ病
+0.44
自閉スペクトラム症
+0.20
ADHD
+0.20
教育歴
+0.15

数字が大きいほど遺伝的な重なりが大きいことを示します。統合失調症・うつ病との強い重なりが目を引きます。

重なりの深さは、さらに驚くべき水準です。統計モデルによる推定では、双極性障害の素因となる約8,600個の独立した遺伝的バリアントのうち、97%がうつ病の素因と共有され、96%が統合失調症の素因と共有されていると算出されました[1]。つまり素因のレベルでは、これらの病気はほとんど同じ材料からできていて、違いは「どの組み合わせで、どれくらい積み上がるか」にあるということです。

この広い遺伝的共有は、精神疾患の診断カテゴリーが独立した箱ではなく、共通の土台の上に連続して並ぶスペクトラムであることを示しています。ご家族にとって意味するのは、「家系にうつ病や統合失調症の方がいること」も、双極性障害の背景を理解するうえで無関係ではないということです。ただしそれは「必ず発症する」を意味しません。素因が共有されていても、実際にどの病気として現れるか、あるいは現れないかは、多くの要因の組み合わせで決まります。

なお双極性障害の内部でも遺伝的な個性があります。双極I型(BDI)と双極II型(BDII)の遺伝的相関は rg = 0.88 と非常に高いものの、完全一致(rg = 1.0)ではなく、一部の遺伝的基盤は異なります[1]。これは、BDII患者さんの親族ではBDIよりBDIIの発症リスクが高く、一部はうつ病とより近縁だという臨床観察とも一致しています。2025年の拡大解析では、地域社会ベースのサンプル(自己申告など)の遺伝的な姿は、BDIよりもBDIIに近いことも示されました[3]

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【診断名は「箱」ではなく「地図の上の位置」】

ご家族から「うちは統合失調症とうつ病と、両方いるんです」というお話をうかがうことがあります。かつては別々の病気が偶然重なったのだと考えられていました。しかしゲノム研究が進んだいま、私はこれらを「地続きの地形の、少しずつ違う場所」として捉えるようになりました。素因の9割以上が共有されているのですから、同じ家系にいくつかの診断名が並ぶのは、むしろ自然なことなのです。

大切なのは、この事実を過度な不安に変えないことだと考えています。素因を共有していることと、発症することは別です。遺伝的な地図の上でどこに位置するかを知ることは、レッテルを増やすためではなく、「何に気をつけて過ごすか」という見通しを持つために役立ちます。分からない部分を「異常なし」と言い切らず、同時に「決まった運命」とも言い切らない。その両方を避けることが、遺伝を語るときの私たちの仕事だと思っています。

4. 創造性というもう一つの顔 ─ なぜこの病気は残り続けるのか

双極性障害の遺伝的素因は、創造的な活動や教育歴などの形質との遺伝的関連も報告されています。ただし、これらは集団レベルの統計的な相関であり、個人の能力や性格を決めるものではありません。こうした関連は、重い病気の素因が人類の集団から消えずに残り続ける理由を考えるうえでの仮説のひとつとして研究されています。

GWASで得られた数十万の小さな効果を、一人ひとりのゲノムについて数学的に足し合わせ、その人の遺伝的な「なりやすさの負荷」を1つの数値にまとめたものが多遺伝子リスクスコア(PRS、ポリジェニック・リスク・スコア)です。このPRSが、進化のなぞを解く鍵になりました。

双極性障害は自殺を含む高い死亡率をともなう重い病気です。自然淘汰の観点からは、こうした「適応度を下げる」病気の素因は集団から急速に排除されるはずです。ところが現実には、世界中で安定して約1〜2%の有病率が保たれています。この矛盾(進化論的パラドックス)を説明する仮説のひとつとして、精神疾患の遺伝的素因と創造的活動の関連が注目されています。研究では、双極性障害や統合失調症のPRSが高いことと、創造的な職業に就くことや芸術団体への所属との間に統計的な関連が報告されています[4]。また双極性障害のGWASでは教育歴との正の遺伝的相関も報告されています[1]

💡 用語解説:進化論的パラドックス

生き残りや子孫を残すうえで不利になる病気の素因は、世代を重ねるうちに集団から減っていくはずです。それなのに双極性障害の素因が減らずに保たれているのは一見矛盾しています。これを「進化論的パラドックス」と呼びます。精神疾患の遺伝的素因と創造的活動との相関が、こうした素因が集団内に維持される理由の一端を説明する可能性が議論されています。ただし、個人レベルで「少量なら有利で、一定量を超えると発症する」と証明されたわけではありません。素因を単純に「欠陥」や「利点」と決めつけず、人間の認知の多様性の一部として慎重に捉えることが大切です。

興味深いのは、精神疾患ごとに認知・教育関連形質との遺伝的相関のパターンが異なることです。大規模GWASでは、双極性障害は教育歴など一部の認知関連形質と正の遺伝的相関を示す一方、統合失調症とは異なる関連パターンを持つことが報告されています[1]。ただし、こうした集団レベルの遺伝的相関から、個人のIQ、創造性、問題解決能力、リーダーシップなどを予測できるわけではありません。

これらのデータから言えるのは、双極性障害に関わる遺伝的変異が、病気だけに特異的な「悪い遺伝子」の集まりではなく、一般集団にも広く存在し、認知・行動に関わるさまざまな形質と統計的に関連しているということです。ただし、その関連から「一定量までは長所になり、閾値を超えると病気になる」と個人単位で判断することはできません。ご本人・ご家族にとって大切なのは、遺伝的素因はその人の人格や能力を一義的に決めるものではないという点です。病気を、その人の全人格を否定するものとして受け取る必要はありません。

臨床応用の面では、双極性障害患者さんの第一度近親者を長期に追跡した研究で、臨床・人口統計的な要因だけの予測モデルにPRSを加えると、若年発症の予測精度が有意に向上したと報告されています[5]。ただし現状のPRSには限界もあります。病気のばらつきを説明できる割合は2〜11%程度にとどまり、GWASから推定される全体の遺伝率には遠く及びません。さらに既存のPRSの多くはヨーロッパ系集団のデータで作られているため、アジア系やアフリカ系に適用すると予測精度が大きく下がるという「移植性」の課題が残っています[1]現時点でPRSは研究段階のツールであり、個人の発症を確定・予測できる検査ではありません。

5. AKAP11とリチウム ─ まれな遺伝子が半世紀の薬とつながった

ゲノムを網羅的に探索して偶然見つかった、まれで効果の大きい遺伝子AKAP11が、半世紀以上使われてきた薬「リチウム」の作用点と物理的に結びついていました。これは、双極性障害の中核メカニズムに迫る決定的な手がかりです。

GWASが捉えるのは「ありふれていて効果の小さい」変異です。しかしそれだけでは高い遺伝率をすべて説明できません(「失われた遺伝率」問題)。この空白を埋めるため、遺伝子のタンパク質をつくる領域だけを精密に読む全エクソーム解析(WES)が、数万人規模で行われるようになりました。狙うのは「超まれだが、1つで効果が非常に大きい」変異です。

2022年、Bipolar Exome(BipEx)コンソーシアムが、双極性障害患者13,933人と対照14,422人のエクソームを解析し、患者群でタンパク質機能喪失型変異(PTV)が有意に多いことを示しました。とくにその過剰は、進化的に強く保存され変異を許容しない遺伝子群で顕著でした。そして統合失調症の大規模エクソーム解析(SCHEMA、患者24,248人・対照97,322人)と統合したメタ解析により、AKAP11(A-kinase anchoring protein 11)が、双極性障害と統合失調症に共有される有力な高リスク関連遺伝子として同定されたのです[6]

💡 用語解説:機能喪失型変異(PTV)とオッズ比

機能喪失型変異(PTV)とは、遺伝子の設計図を途中で断ち切ってしまい、そのタンパク質がまともに作れなくなる変異のことです。片方の遺伝子が丸ごと働かなくなるイメージです。「オッズ比」は、その変異を持つ人が持たない人に比べて何倍発症しやすいかの目安で、AKAP11のPTVでは統合解析でオッズ比7倍という高い値が示されました。ただしこれは「非常にまれな変異を持つ、ごく一部の人での話」であり、双極性障害の大多数はこの変異とは無関係です。

この統合解析では、双極性障害と統合失調症を合わせた症例群において、AKAP11の超まれな機能喪失型変異が対照群より約7倍多い(オッズ比7.06、P = 2.83 × 10⁻⁹)ことが示されました[6]。これは双極性障害単独の個人発症確率が7倍になる、という意味ではありません。さらに2025年には、アイスランドと英国バイオバンクの全ゲノム解析から、ユビキチンリガーゼをつくるHECTD2のまれな機能喪失型変異、そしてAKAP11の変異が、いずれも双極性障害のリスクを高めることが改めて確認されました[7]。自閉スペクトラム症や知的障害など他の神経発達症ではAKAP11変異の集積は一貫して報告されておらず、この遺伝子の破壊は感情・精神病スペクトラムに比較的特異的な病理を起こすと考えられています。

AKAP11の発見が精神医学に与えた衝撃は、単なる新しいリスク遺伝子の発見にとどまりません。AKAP11タンパク質は、細胞のなかでグリコーゲン合成酵素キナーゼ-3β(GSK3B)と直接結びつき、足場(スキャフォールド)として働くことが知られています。そしてこのGSK3Bこそ、双極性障害の第一選択薬であり半世紀以上使われてきた気分安定薬「リチウム」の主要な作用標的なのです[6]

遺伝子の発見と、薬の作用点が出会った

AKAP11
まれな高リスク遺伝子
GSK3Bと結合
足場として働く
リチウム
GSK3Bを標的にする薬

ゲノム探索で見つかった遺伝子AKAP11と、半世紀使われてきた薬リチウムが、GSK3Bという同じ一点で出会いました。

ゲノムを網羅的に探索して偶然見つかった超まれな変異(AKAP11)が、長年の臨床経験から確立した薬(リチウム)の細胞内標的(GSK3B)と物理的な複合体をつくっていた──この一致は、双極性障害の病態の中核メカニズムに対する、強力な分子生物学的な証拠です。ご本人・ご家族にとっては、「なぜリチウムが効くのか」という長年の疑問に、遺伝学の側から答えが与えられつつあることを意味します。なお、AKAP11変異は超まれであり、これを一般的な遺伝子検査で調べて双極性障害を診断・予測するという段階にはありません。あくまで病気の仕組みを解き明かす研究上の発見です。

6. リチウムが効く人・効かない人を分ける遺伝子

リチウムは一部の患者さんには劇的に効き、別の患者さんにはあまり効きません。この「効き目の個人差」にも遺伝子が関わっており、将来は治療開始前に効きやすさを予測できる可能性が探られています。

リチウムは双極性障害の標準治療ですが、劇的な再発予防効果が得られる方(レスポンダー)は約40〜60%で、残りの方には効果が乏しかったり副作用だけが出たりします。この差にも遺伝的変異が強く影響していることが分かってきました。これを調べる分野が薬理遺伝学(ファーマコゲノミクス)です。

国際リチウム遺伝学コンソーシアム(ConLiGen)が主導した、2,563人の患者さんを対象とする過去最大のGWASでは、リチウム応答性と有意に関連する単一の座位が第21番染色体上に同定されました。この領域には2つの長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA:AL157359.3、AL157359.4)が存在し、これらが中枢神経系で標的遺伝子の発現をエピジェネティックに調節することで、リチウム感受性を左右している可能性が示唆されています[8]。この研究では、応答に関連するアレルを持つ人が、独立した追跡コホートでも治療反応と結びつくことが確認されました。

💡 用語解説:ファーマコゲノミクス(薬理遺伝学)

同じ薬でも、よく効く人と効かない人、副作用が強く出る人がいます。その違いの一部は、生まれ持った遺伝子のちがいで決まります。「その人の遺伝情報から、どの薬がどれくらい効きそうか・副作用が出そうかを予測する」のがファーマコゲノミクスです。双極性障害では、治療開始前にゲノムを調べることで、リチウムが向くのか、別の気分安定薬を選ぶべきかを見きわめる「精密医療」の実現が目標とされています。ただし現時点では研究段階で、臨床で確立した予測検査はまだありません。

さらに、ヒト神経前駆細胞を用いた細胞GWASでは、リチウムによる細胞増殖反応に関わる3p21.1領域とGNL3が同定され、GNL3の発現を低下させるとリチウムによる増殖促進効果が弱まることが示されました[9]。また、漢民族の双極I型障害患者を対象とした研究ではGADL1変異とリチウム維持療法への反応との強い関連が報告されましたが[10]、その後の他集団での研究では再現性が一貫しておらず、現時点で臨床的な予測マーカーとして確立しているわけではありません。

ご本人・ご家族にとって、この分野の進展は「効くかどうか分からないまま薬を試す期間を、将来は短くできるかもしれない」という希望につながります。とはいえ、現時点ではリチウムの効きやすさをゲノムで確実に予測できるわけではありません。治療の選択は、いまも主治医が症状の経過や副作用を見ながら判断していくものです。遺伝学は、その判断を将来より確かにするための土台づくりの段階にあります。

7. 環境と生物学的加齢 ─ ストレスが体に刻まれる仕組み

双極性障害の発症には、生まれ持った遺伝的素因だけでなく、幼少期の逆境や慢性的なストレスといった環境も深く関わります。そしてこうした環境の影響は、細胞レベルの「生物学的な老化」として体に刻まれることが分かってきました。これは、身体の健康管理まで含めた早期のケアが大切だという理由になります。

環境の影響を、物理的な分子の目印としてゲノムに書き込み、遺伝子の働き方を長期に変えていく仕組みがエピジェネティクスです。その代表がDNAメチル化で、遺伝子のスイッチの入りやすさを調整します。双極性障害の患者さんの死後脳を調べた研究では、感情の調節や実行機能に重要な前頭前皮質などで、健常者とは異なるメチル化のパターンが確認されています。興味深いことに、これらの異常領域のかなりの部分が、気分安定薬を培養細胞に投与したときに生じる変化と逆向きに重なっており、向精神薬がエピジェネティックな修飾を介してシナプスの働きの乱れを是正している可能性が示されています。

💡 用語解説:エピジェネティクスとエピジェネティック時計

DNAの配列そのものは変えずに、遺伝子の「使われ方」を調整する仕組みがエピジェネティクスです。楽譜(DNA配列)は同じでも、どこを強く弾くかで曲の印象が変わるようなものです。このメチル化のパターンから体の「生物学的年齢」を推定する物差しがエピジェネティック時計です。実際の暦の年齢より生物学的年齢が進んでいる状態を「エピジェネティック年齢の加速」と呼びます。

近年とくに注目されているのが、このエピジェネティック時計を精神医学に応用する試みです。双極性障害や重度のうつ病、統合失調症の患者さんは、心血管疾患や代謝性疾患などの身体合併症のリスクが著しく高く、一般人口と比べて平均余命が10〜20年短いことが疫学的に知られています。この早世の仕組みを解くため、健康状態や死亡リスクの予測に最適化された第二世代のメチル化時計を使った研究が行われ、双極性障害などの患者さんでは、実際の年齢よりも生物学的年齢が進む「加速」が広く起きていることが示されました。

この加速は、単に遺伝的な脆弱さの結果ではありません。くり返す激しい躁うつのエピソード、慢性的な不眠、不健康なライフスタイル、そして幼少期の逆境が引き起こす「アロスタティック負荷」(慢性ストレスに対する生理的な適応システムが破綻して全身に及ぶダメージ)が、細胞レベルの老化を直接に駆動していることを示しています。ご本人・ご家族にとって、これは重い事実に見えるかもしれません。しかし裏を返せば、生活リズムの安定、睡眠の確保、身体合併症の管理といった「体のケア」が、こころの病気の経過にも意味を持つということでもあります。双極性障害を「脳だけの病気」ではなく「全身に関わる病気」として捉え、早めに身体面も含めてケアしていく視点が、合併症予防のうえで重要になります。

なお、双極性障害の病態には、脳のエネルギー工場であるミトコンドリアの働きの障害も関わると長く考えられてきました。脳は体重の約2%ながら全身のエネルギーの約20%を使う、極めて代謝の活発な臓器です。患者さんの死後脳や血液を用いた研究では、ミトコンドリア独自のDNA(mtDNA)のコピー数の異常や酸化ダメージがくり返し報告されており、損傷したミトコンドリアから漏れ出たmtDNAが慢性的な炎症を引き起こし、病気の進行を加速させる悪循環も示唆されています。ここでも「こころ」と「体の代謝」が地続きであることが見えてきます。

8. 検査と遺伝カウンセリング ─ いま何ができて、何ができないのか

結論から言えば、現時点で双極性障害を遺伝子検査で診断・予測することはできません。診断は精神科医による臨床評価が基本です。遺伝の情報が役立つのは、検査で白黒をつけるためではなく、ご家族が「なりやすさ」を正しく理解し、見通しを持つためです。

双極性障害は多因子遺伝の病気です。単一遺伝子疾患のように「この変異があれば発症する」という関係がなく、数百のありふれた変異と環境が積み重なってなりやすさが決まります。そのため、1つの遺伝子を調べて発症を確定したり予測したりする検査は存在しません。PRSも前述のとおり、まだ研究段階のツールです。AKAP11のようなまれで効果の大きな変異も、双極性障害の大多数の患者さんとは無関係で、これを一般的に調べて診断する使い方はされていません。

では、遺伝の視点は何の役に立つのでしょうか。それは遺伝カウンセリングの場面です。ご家族に双極性障害の方がいて「自分や子どもはどうなのか」と不安を抱く方に対し、正確なリスクの数字(第一度近親者で約9%)と、その数字の正しい受け止め方をお伝えすることができます。第一度近親者でも9割以上は発症しないこと、リスクが上がることと運命が決まることは違うこと、家系に別の精神疾患があっても過度に恐れる必要はないこと──こうした整理そのものが、ご家族の不安を一つ減らす助けになります。

当院では、こうした遺伝に関するご相談を臨床遺伝専門医がお受けしています。双極性障害そのものの診断・治療は精神科の領域ですが、「家族歴をどう理解するか」「遺伝的なリスクをどう受け止めるか」といった問いには、遺伝医学の視点からお答えすることができます。検査で発症を予測することはできなくても、正確な知識に基づいて将来の見通しを持てるようにすることが、遺伝カウンセリングの目的です。

9. よくある誤解 ─ 3つのポイントを整理します

双極性障害の遺伝については、いくつかの根強い誤解があります。ここまでの内容を、ご家族がとくに気にされる3点に絞って整理しておきます。

誤解1:「遺伝率80%だから、親が双極性障害なら子も80%発症する」

これは遺伝率の意味の取り違えです。遺伝率は「集団のなかのなりやすさのばらつき」を説明する数字で、個人の発症確率ではありません。実際、第一度近親者の発症リスクは約9%で、9割以上の方は発症しません。

誤解2:「双極性障害の遺伝子を調べれば発症するか分かる」

現時点ではできません。双極性障害は数百のありふれた変異と環境が積み重なる多因子遺伝の病気で、1つの遺伝子を調べて発症を確定・予測する検査はありません。診断は精神科医の臨床評価が基本です。

誤解3:「遺伝的な素因は、その人の欠陥を意味する」

そうとは言えません。双極性障害に関わる遺伝的変異は一般集団にも広く存在し、創造的活動や教育歴など一部の形質との集団レベルの遺伝的関連が報告されています。ただし、「素因が少なければ強みになり、多ければ発症する」という単純な量的モデルが個人レベルで証明されているわけではありません。遺伝的素因は、その人の人格や能力を一義的に決めるものではありません。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「遺伝する病気」という言葉の重さ】

「遺伝する病気」と聞くと、多くの方が「もう避けられない運命」と受け取ってしまいます。とくに双極性障害のように遺伝率が高い病気では、その響きの重さを痛感します。けれども遺伝学が本当に語っているのは、「決まった運命」ではなく「なりやすさの傾き」です。傾きがあることと、転ぶことは違います。傾きを知っているからこそ、早めに手すりをつかむこともできるのです。

私は臨床遺伝専門医として、遺伝の情報を「不安を増やす道具」ではなく「見通しを持つための道具」として使っていただきたいと考えています。第一度近親者でも9割以上は発症しないという事実、素因が創造性とも結びつくという知見、そして治療のなぞが遺伝学で解かれつつあるという希望──これらを正しくお伝えすることが、遺伝を語る者の責任だと思っています。分からないことを「異常なし」と言い換えず、同時に「もう決まっている」とも言わない。その誠実さを大切にしています。

📌 このページを読んだあなたへ

この記事にたどり着いた方は、たとえば「ご家族に双極性障害の方がいて、自分や子どもへの遺伝が気になっている」「ご自身が診断を受け、なぜこの病気になったのかを知りたい」「これから家族を持つにあたって遺伝的なリスクを整理しておきたい」といった状況かもしれません。

次に確認しておくとよい観点として、多因子遺伝という遺伝形式の考え方、家系に他の精神疾患(統合失調症など)がある場合の位置づけ、そして遺伝カウンセリングで何を相談できるのか、の3つが挙げられます。

遺伝的なリスクは「数字」だけで受け止めると不安が先立ちますが、正しい文脈のなかに置けば、将来への見通しに変わります。ご不安があるときは、一人で抱え込まず、専門家と一緒に整理していくことができます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 親が双極性障害だと、子どもも必ず発症しますか?

必ず発症するわけではありません。第一度近親者(親・子・きょうだい)の発症リスクは約9%と報告されており、これは一般人口の約10倍にあたります。ただし裏を返せば、第一度近親者であっても9割以上の方は生涯発症しません。遺伝率が80%と高いことも「必ず遺伝する」という意味ではなく、集団のなかでのなりやすさのばらつきを説明する数字です。リスクが上がることと、発症が決まっていることは別のことです。

Q2. 遺伝子検査を受ければ、双極性障害になるか分かりますか?

現時点ではできません。双極性障害は多因子遺伝の病気で、効果の小さな数百のありふれた変異と環境が積み重なってなりやすさが決まります。単一の遺伝子を調べて発症を確定・予測する検査は存在しません。多遺伝子リスクスコア(PRS)という手法は研究段階で、説明できる病気のばらつきは2〜11%程度にとどまります。診断は精神科医による症状の評価が基本です。

Q3. 遺伝率80%とは、どういう意味ですか?

遺伝率は「ある集団のなかで、なりやすさの個人差が生じている原因のうち、どれくらいが遺伝的な違いで説明できるか」を示す統計の指標です。集団についての数字であって、特定の個人が発症する確率ではありません。双極性障害の遺伝率は双子研究から約60〜90%(典型的には80%前後)と推定され、統合失調症と並んで精神疾患のなかで最も高い部類に入ります。ただし遺伝率が高くても発症しない人が大勢いる点が重要です。

Q4. 家族に統合失調症やうつ病の人がいると、双極性障害と関係ありますか?

遺伝的には深く関係しています。双極性障害の素因となる遺伝的バリアントのうち、約97%がうつ病と、約96%が統合失調症と共有されていると推定されています。診断名は別々でも、その下にある遺伝的な素因はほとんど地続きです。ですから家系に複数の精神疾患があるのは、むしろ自然なことです。ただし素因を共有していることと発症することは別で、過度に恐れる必要はありません。

Q5. AKAP11という遺伝子は、検査で調べられますか?

AKAP11は、双極性障害と統合失調症に共有される有力な高リスク関連遺伝子です。2022年の統合解析では、AKAP11の超まれな機能喪失型変異が双極性障害と統合失調症を合わせた症例群で対照群より約7倍多いことが示され、2025年には双極性障害単独を対象とした解析でも関連がさらに支持されました。ただしこの変異は超まれで、双極性障害の大多数の患者さんとは無関係です。そのため、これを一般的に調べて双極性障害を診断・予測するという使い方はされていません。AKAP11の意義は、リチウムの作用点であるGSK3Bと結びつくことが分かり、病気の仕組みの解明につながった点にあります。

Q6. リチウムが効くかどうかは、事前に分かりますか?

現時点では確実には分かりません。リチウムで良い再発予防効果が得られる方は約40〜60%とされ、この差には遺伝的な違いが関わっています。国際的な研究で、第21番染色体上の領域(2つの長鎖ノンコーディングRNAを含む)がリチウム応答と関連することが示されましたが、これをもとに効きやすさを予測する検査はまだ臨床で確立していません。治療の選択は、いまも主治医が症状の経過や副作用を見ながら判断していきます。

Q7. 双極性障害の遺伝的素因は、悪いことばかりですか?

遺伝的素因を単純に「悪いもの」と決めつけることはできません。研究では、双極性障害や統合失調症のPRSと創造的な職業・芸術活動との間に集団レベルの統計的関連が報告され、双極性障害では教育歴との遺伝的相関も報告されています。ただし、「素因が少なければ長所になり、一定量を超えると発症する」と個人レベルで証明されたわけではありません。遺伝的素因は、その人の人格や能力、将来を一義的に決めるものではありません。

Q8. 遺伝カウンセリングでは、何を相談できますか?

双極性障害そのものの診断・治療は精神科の領域ですが、「家族歴をどう理解すればよいか」「自分や子どもの遺伝的なリスクをどう受け止めればよいか」といった問いには、遺伝医学の視点からお答えできます。第一度近親者で約9%というリスクの数字と、その正しい受け止め方、家系に別の精神疾患がある場合の位置づけなどを整理することができます。検査で発症を予測することはできなくても、正確な知識に基づいて将来の見通しを持てるようにすることが目的です。当院では臨床遺伝専門医がご相談をお受けしています。

🏥 双極性障害の遺伝についてのご相談

ご家族の双極性障害と遺伝的なリスクの受け止め方についての
遺伝カウンセリングは
臨床遺伝専門医が在籍するミネルバクリニックにご相談ください。

参考文献

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  • [4] Polygenic risk scores for schizophrenia and bipolar disorder predict creativity. Nat Neurosci. 2015. [Nat Neurosci nn.4040]
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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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