エクソーム

エクソームとは?

ヒトのゲノムは、30億個のヌクレオチドDNAの文字)からできています。これらの文字のうち、実際にタンパク翻訳されているのは、わずか2%に過ぎません。
タンパクに翻訳されて機能する部分を遺伝子とよびますが、遺伝子のなかで実際にタンパクをコードする部分であるエクソンのすべてをエクソームとよびます。

遺伝子のなかで最終的な産物であるタンパクには含まれていない部位を intragenic region INTRON イントロンと呼びます。
逆に、翻訳されたり、タンパクとして発現したりする領域を expressed region EXON エクソンといいます。

ヒトゲノム全体をシークエンシングする全ゲノムシークエンス(WGS)はいつか技術革新で1000ドルになると言われてきました。
ヒトゲノム全体のシークエンシングにかかる費用はまだ1000ドルとまではいかないのですが、タンパクをコードする部分(ゲノムの「機能的で必要な」部分)だけをシークエンシングする費用はだいぶ安くなり、形質や病気の根底にある遺伝的要素の探索に利用され始めています。

エクソームシークエンシングWES whole exome sequenceは、ゲノムワイド関連研究(GWAS)のような一般的な変異の大規模研究では得られないゲノムを調べることができます。GWASでは、少なくとも1%の人に共通するDNAの変異を特定することしかできません。しかし、シークエンシングは、変異が知られているものだけでなく、DNA配列のすべての文字を決定するので、GWASでは発見できないようなまれな突然変異を明らかにすることができます。エクソームシークエンシングは、特にGWASのような一般的な変異の研究を補完するものとして使用される場合には、まれな突然変異を探している今日の研究者にとっては良い選択でしょう。

この先、全ゲノムシークエンシングWGSが安価になってくると、タンパクを作るための指示が含まれている部分だけはでなく、ゲノムのすべての部分を見ることができるため、WGSにとってかわられると予測されています。

この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号