高齢出産|なぜ染色体異常が起こりやすいのか

高齢出産と赤ちゃんの染色体異常は何故関係があるのでしょうか。我々の細胞は日々5~50万か所のDNAに損傷を受け、修復エラーも100万回に1回の割合で起こり、加齢でエラーが積み重なっていくためと考えられています。

高齢出産でおこりやすくなる染色体異常の原因とは

細胞分裂の時、生殖細胞(精子卵子)を作るのは通常の分裂とは違い減数分裂と言って、22本の常染色体と1本の性染色体のセットからなる2セットの染色体が1セットずつに分かれるというという特殊な分裂方法を取ります。

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このとき交叉したり分離したりするのですが、それがうまくいかないと疾患を引き起こします。
これらは大きく二つに分類されます。

染色体の数の異常

二つ目は異数体(数的異常)と呼ばれる染色体1本単位の不足あるいは過剰による異常です。
不完全な染色体の分離によって引き起こされることが多いとされています。

通常、染色体は2本で対をなしている(ダイソミーといいます)が、
これが1本になるのが「モノソミー」、3本になるのが「トリソミー」です。

21番染色体のトリソミー

トリソミーはほとんどの場合一方的に女性の年齢の高さと正の相関をします。
卵子は女性が胎生期から存在し細胞分裂もせず、生まれ変わったりもしない大変特殊な細胞です。

われわれの細胞は一つ当たり一日5万から50万か所のDNA損傷を受けておりますが、DNA修復酵素があるため、たいていは問題になりません。

しかし、DNA修復酵素が100万回に一回程度でエラーを起こします。

このため、DNA損傷はどの細胞でも蓄積されていくのですが、通常の細胞は時間経過とともに死んで生まれ変わる為、これが大きく問題になる事はありません。

しかし、卵子はDNAの損傷が積み重なっていく一方である為、女性の年齢(高齢出産)とだけ正の相関をする(関係がある)と言われています。

ある常染色体がトリソミーとなると、その染色体にある遺伝子が1.5倍になるため、読み込まれるタンパク量も通常の1.5倍になって様々な影響を及ぼすと考えられます。

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理論的にはどの常染色体にもトリソミーは起こるのですが、常染色体の完全なトリソミーは、13番染色体・18番染色体・21番染色体の3種類以外はごくまれにしか存在しません。

 

この理由は、他の常染色体には遺伝情報が多いため、
トリソミーによる変化が致死的となり着床しないまたは、早期に流産するためとされています。

常染色体トリソミー染色体に含まれる遺伝子が多ければ多いほど、
また重要な遺伝子が含まれる数が多いほど重症になる傾向にあります。

染色体の番号は基本的には、
染色体のサイズが大きい方から順番に振られているのですが(21番と22番は大きさと番号が逆転しています)、
染色体のサイズと遺伝子の量、重要性は正確に連動せず、
常染色体で一番遺伝子の数が少ないのは一番小さい21番染色体の337個ですが、
2番目に少ないのは18番の400個・3番目が13番の496個となっているのです。

これに対して21番と染色体のサイズの近い22番は、遺伝子数701個、また20番は710個となっています。

このように遺伝子数が少ない、
13・18・21の3種類の染色体は完全なトリソミーでも、
生存への悪影響が比較的小さく出生時まで生存できる可能性はある程度あるのですが、
これ以外の出生例が稀なのは生存への悪影響が大きすぎるからと考えられています。

1から6という大きい染色体では部分トリソミー除いて
モザイクも含めて致死で1トリソミーに至っては着床できません。

出生可能な常染色体トリソミーものでも、
流産・死産で出生前に淘汰されることも多く、一番軽い21トリソミーでも
7~8割は出生前に淘汰されるとされています。

1トリソミー致死(出生報告なし)
2トリソミー致死(出生報告なし)
3トリソミー致死(出生報告なし)
4トリソミー致死(出生報告なし)
5トリソミー致死(出生報告なし)
6トリソミー致死(出生報告なし)
7トリソミーモザイクでのみごく稀に出生例あり(完全型は致死)
8トリソミーごく稀に出生例あり
9トリソミーごく稀に出生例あり
10トリソミーモザイクでのみごく稀に出生例あり(完全型は致死)
11トリソミー致死(出生報告なし)
12トリソミーモザイクでのみごく稀に出生例あり(完全型は致死)
13トリソミーパトウ症候群
14トリソミーモザイクでのみごく稀に出生例あり(完全型は致死)
15トリソミー致死(出生報告なし)
16トリソミーモザイクでのみごく稀に出生例あり(完全型は致死)
17トリソミー致死(出生報告なし)
18トリソミーエドワーズ症候群
19トリソミー致死(出生報告なし)
20トリソミーモザイクでのみごく稀に出生例あり(完全型は致死)
21トリソミーダウン症候群
22トリソミーごく稀に出生例あり

染色体の構造異常

染色体の部分的な異常(構造異常)は、通常交叉の失敗によって引き起こされることが多いです。
部分トリソミー(重複)・部分モノソミー欠失)・転座などが挙げられます。

染色体にはくびれがあって、そこを境に短腕(p)と長腕(q)にわけられます。
例えば5番染色体の片方の短腕が欠失することを5pモノソミーといい、
5p-(ごピーマイナス)と表記いたします。

*染色体の数や形態の異常を伴わない遺伝子の異常による病気は遺伝子疾患に、原因の明らかでない先天奇形症候群は奇形症候群に分類されます。