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【NIPT】NHKのオンライン記事です

みなさま、こんにちわ。

NHKのオンライン記事に認可外施設のことが書かれています。

当事者なので、この記事に対してコメントは致しませんが

ここに書かれてある取材に応じた医師は、もちろんわたしです。

 

 

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www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2018_0619.html?utm_int=tokushu-web_contents_list-items_001

妊婦さん、その検査ちょっと待って
~新型出生前検査の混乱~

「お腹の中の赤ちゃんは健康?」
妊娠してから出産するまで、妊婦さんとその家族は不安に思うことは多いはず。
「早く不安を払拭(ふっしょく)したい」、「赤ちゃんのことを早い段階で知っておきたい」、そうしたニーズを受けて、いま「新型出生前検査」を受ける人が多くなっています。しかし、その一方で混乱も起きています。
場合によっては赤ちゃんの運命に関わる「出生前検査」の現場を取材しました。
(科学文化部記者 池端玲佳、報道番組センターディレクター 布浦利永子)

広がる「新型出生前検査」

「新型出生前検査」は妊娠した女性がおなかの中の赤ちゃんに異常がないか調べるために受ける検査の1つです。妊婦の血液を調べるだけで、おなかの中の赤ちゃんに、ダウン症(21トリソミー)などの染色体異常がないかを高い精度で判定します。

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国内では、日本医学会が一定の条件を満たした医療施設を認可して検査を実施するようにしています。

その認可の条件は、▼検査対象を35歳以上の妊婦など染色体異常のリスクが高い妊婦にすること▼検査項目は「ダウン症(21トリソミー)」「13トリソミー」「18トリソミー」の3つの染色体異常にすること▼検査を受ける「前」と「後」の少なくとも2回、カウンセリングを十分に行うことなどです。

国内では5年前に導入され、認可施設ではこれまでおよそ5万人の妊婦がこの検査を受けています。

しかし、認可を受けていない無認可(認可外)で検査を行う医療機関がでてきています。あくまで学会の認可のため、無認可(認可外)で行っても法律上の罰則はないのです。

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“無認可(認可外)”施設を直接取材(報道番組センターディレクター 布浦利永子)

「新型出生前検査」の現状に興味をもったのは私自身の妊娠がきっかけでした。35歳で2番目の子どもを授かり、さまざま情報を集める中で「新型出生前検査」ということばを目にするようになりました。

その中でも気になったのは「無認可(認可外)」の施設による検査。ネットで調べると「年齢制限なし」、「格安の検査費用」といったことばが踊っていました。そうした施設での検査は安いし使いやすそうだが、「問題があるのか?」、「認可施設との違いはあるのか?」、疑問はわいてくるばかりでした。

複数の施設に電話やメールで取材を申し込みましたが、どれも「まだ始めたばかりで…」といった理由で体よく断ってきます。そうした中で都内で開業しているあるクリニックだけは快く取材に応じました。

そのクリニックは内科や遺伝子診療などを掲げ、ビルの中にありました。平日の日中ということもあり、待合室は患者も少なく、ゆっくりと時間が流れている感じがしました。対応してくれた院長は小柄の女性で、はっきりとした口調。検査の概要やこのクリニックの特徴などを説明してくれました。

1年足らずで妊婦1200人が検査

その中では認可施設にはない利点として▼検査に年齢制限を設けず、希望者は誰でも受けられるようにしていること▼検査費用は認可施設より安価な費用に設定していること▼認可施設では夫婦そろってカウンセリングを受けることを求めていることが多いが、このクリニックでは女性1人のカウンセリングでいいとしていることなどをあげていました。

つまり、検査を受ける女性の利便性を追求し、手軽に検査を受けられるようにしていました。

このクリニックが検査をはじめた去年9月から、およそ10か月間ですでに1200人もの妊婦がここで検査を受けたといいます。これは、極めて早いペースになります。検査を受ける人の2割から3割は医療関係者や弁護士などの忙しい仕事についている女性だということで、手軽な検査はニーズがあることを実感しました。

そして院長は、自分の専門が遺伝カウンセリングで、カウンセリングは十分に行っているとしたうえで、認可施設の側を批判しました。

「学会が定める基準は実際のニーズと合っていない。受けたい人が受けられるようにすべきだ。情報をきちんと提供して女性の自己決定を支えるのが本来のやり方なのではないか」

その一方で別の無認可(認可外)施設に対しても批判しました。

「無認可(認可外)施設の多くは残念ながら遺伝子検査などの専門性を持たない医師が妊婦に対して十分な説明をせずに行っている施設がある。赤ちゃんが健康かどうか知りたいという妊婦の不安な気持ちにきちんと寄り添っているとは思えない」

「気軽に検査を受けられてよかった」

この施設で検査を受けた29歳の妊婦を取材すると次のような感想を話していました。

「子どもに重い病気があったら、今の生活が一変してしまう。仕事も辞めなくてはいけなくなることを考えると出産は難しいと思い、年齢制限がなく自分でも受けられるこの施設で検査を受けることを選んだ。気軽に受けられてよかった」と話し、「異常がないとみられる」という検査結果に胸をなで下ろしていました。

“早く安心したい”

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この取材をして見えてきたのは赤ちゃんの健康について忙しく働く女性が抱く「早く安心したい」という思いでした。

働く女性が家族や自分の仕事を守るために「手軽に検査して早く安心したい」と思う気持ちはわからなくもないものです。

実際に多くの女性はこの検査を受けても問題は起きません。 35歳以上の妊婦の場合、この検査で異常が検出される割合は100人中1人程度とされています。99人にとっては「陰性」、つまり「異常はないとみられる」という結果を受け取って、「よかった」と安心して終わります。

ただ、「陽性」、つまり「異常があるかもしれない」という結果を受け取る1人の側になったとき、どうなってしまうのだろうか。「手軽」に検査を受けた時ほど、期待していない結果に混乱や苦悩は増すことになるのではないか。そして、「手軽」に検査を受けたことを後悔することになりはしないか。

「手軽な安心」を求めて危うい綱渡りをする姿からは、余裕を奪われて仕事に走り続ける現代の女性の「息苦しさ」を反映しているようにも思えました。

深刻な事態となった女性(科学文化部記者 池端玲佳)

このクリニックとは別の施設で受けた検査をめぐり、深刻な訴えをする女性がいました。

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ゆみこさん(仮名)の妊娠がわかったのは、去年7月。39歳になって夫との子どもがほしいと仕事を辞め、不妊治療に専念して待望の第1子を授かりました。

妊婦健診では経過は順調と言われ、安心していたゆみこさん。ただ、スマートフォンの妊婦向けの情報アプリで、「新型出生前検査」の広告がふと目にとまりました。母子にリスクはなく、簡単に受けられる印象を受けたといいます。

「赤ちゃんになにも問題がないと、お墨付きをもらって早く安心したい」

そんな軽い気持ちで電話で予約しました。

当日、検査を受ける施設を訪れると、診察室の廊下は妊婦で混み合っていました。遠方から来たのか、スーツケースをもった妊婦も数人います。診察室に入ると、まもなく医師が淡々と説明を始めました。

「結果が陰性ならば99%安心して大丈夫です。うちは年齢制限を設けていないが、法律違反ではないから、安心してください」とのこと。

2分程度の極めて簡単な説明しかなかったことに拍子抜けしたといいます。検査費用として20数万円支払ったあと、すぐに採血をして終了。施設にいたのはわずか20分ほどでした。

「ネットで調べればわかる」医師から説明を断られる

2週間後、施設から届いた郵便物を開けると、そこには2枚の紙が入っていました。1枚は英語で、もう1枚はそれを日本語に訳した検査結果でした。

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目にした瞬間、頭が真っ白になったといいます。そこにあったのは「陽性」という赤い文字。

「異数性が検知されました。13トリソミーです(13番染色体が3本ある状態)」とだけ書かれていました。

どのような病気なのか、今後どうしたらいいのかなどの記述は一切ありませんでした。

ゆみこさんは、何が起きているのか理解できないまま、急いで検査を受けた施設に電話しました。そして「この病気がどういったものなのか知りたい」と診察を希望しましたが、医師から返ってきた言葉にゆみこさんは耳を疑いました。

「あなたはすごく珍しいものにひっかかったよ。わざわざ病院にこなくても、どんな病気かはインターネットをみれば、だいたいわかるから」

医師はそういって電話を切ったということです。

「どんな病気が見つかっても絶対に産む」

2日後、別の医療機関で詳しい超音波検査を受けたゆみこさん。そこで初めて、おなかの中の赤ちゃんは心臓が止まっていて、すでに亡くなっていることを知りました。

医師から「検査を受けたとき、超音波で赤ちゃんの状態を診てもらわなかったの?陽性とわかったのにカウンセリングはなかったの?赤ちゃんに病気があると分かったら、産むのか産まないのか家族で話し合ってから受けたの?」と投げかけられる質問に首をふりながら、赤ちゃんに申し訳ないという気持ちが一気にこみ上げてきたといいます。

ゆみこさんは改めて別の病院で、医師のカウンセリングを受けることになりました。そこで、ゆみこさんの場合、13トリソミーは両親から遺伝したものではなく、次の妊娠にはほとんど影響するものでもないことなど医学的な説明を受けました。

それでも、次の子どもを妊娠していいのかという不安や罪悪感でいっぱいだったゆみこさん。救いとなったのは、そのときの医師の言葉だったといいます。

「私は今回の赤ちゃんがかわいそうだとは思わない。赤ちゃんはこうなると知っていて、ママとパパのところにやってきたんだよ。かわいそうと思うより、会いに来てくれてありがとうと思ってあげてほしい」

出生前検査を受けることは簡単ですが、その時にどんな説明やカウンセリングを受けたかが、その後の選択に大きな影響を与えることを身にしみて感じたといいます。

そしていま、ゆみこさんのおなかには新しい命が宿っています。

「子どもをもつということは、どんなリスクも受け入れることなんだ。赤ちゃんにどんな病気が見つかっても絶対に産もう」

そう決めています。

出生前検査 受ける前に考えてほしいこと

認可施設の中でも、丁寧な検査を行う施設では、1度目の診察では検査を受ける意味を考えてもらうカウンセリングのみが行われ、2度目の診察で、夫婦の考えを聞いたうえで採血、3度目に検査結果の告知という手順を踏むところもあります。

陽性の場合、生まれたあとの症状の経過や予想される生活、福祉サービスなどの支援体制などについての説明があります。

そして認可施設では、「陽性」となっても羊水を採取して調べる「羊水検査」をさらに実施し、確定診断を行うことを求めています。

検査で陽性だった場合、出産か人工妊娠中絶かという苦しい決断を、限られた時間で迫られることになります。

そのことを踏まえたうえで、検査を受ける必要があるのか、最終的にどのような決断をするつもりなのかを十分に考えて受けてほしいです。

布浦利永子
報道番組センター
ディレクター
布浦 利永子
池端玲佳
科学文化部記者
池端 玲佳

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