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医者に殺されない47の心得(近藤誠)①「とりあえず病院へ」は医者の“おいしい”お客様  に対する意見

目次

コンビニ感覚で病院へ

そうなんですよね..

実は,わたし,思春期にヨーロッパのカトリックの国の片田舎で,たった一人の日本人として過ごしたことがあります.

で.風邪を引いたら病院に行くものだと思っていました.

しかし.あちらではいきなり病院にはかかれません.家庭医にかかることになるのですが.
なんで風邪でこないといけないの???って感じで,ちょー冷たい(>_<)

連れて行ってくれたMariaにむかって,なんでつれてくるの???って言ってるし(-_-;)
なんて不親切な医者だ,と思っていたら....
要するに,言葉が通じないから納得しない私を仕方なく連れて行ったけど,病院というのは
よほどのことがないとかからないものであって,そもそも風邪なんて,ホットワインで治すものなんだ,といわれました.

え@_@ そーなの???

というわけで.日本ではまだ未成年のわたしが,16歳で成年のベルギー(しかも,タバコ,酒については未成年だとたしなんではいけないという決まりすらなかった)で,風邪を引くとホットワインを飲むことに!!!

お砂糖いっぱいのホットワイン.確かに朝になったら気分良くなってましたね.
日本でいうタマゴ酒って感じでしょうか???

それにしても.医療だけで日本が計上している貿易赤字は,5年前で2兆円.(中村ゆうすけ先生が出していたデーターです.)

これは,お高い抗癌剤や分子標的治療薬が,ほとんどすべてと言っていいくらい海外産だからです.

いまでは円安なので,もっと大きな数字になってるんでしょうね~.

先般,松下・ソニー・シャープの赤字の合計が1.6兆円になったと,大きく報道されていましたが,これを知っていると,「もっと問題かつ構造的に解決できないものがあるではないかっ!!」
とかとか思ってしまいました...

財政の問題だけではなく,尊厳の問題もあります.

すでにわたしの思春期なんてうん十年昔ですが,それでもそのころから.どうして日本では寝たきり老人がいるのか?と質問されました.

え??ヨーロッパにはいないの?

いないよ.食べられなくなったり動けなくなったら,人間は死ぬということなんだよ.

え?それってひどくないの?

どうして?

日本では点滴したり鼻から胃に管を入れたりして,水分や栄養を入れるんだよ.そしたら生きていける.

それは生きているといえるのかい?カトリックの世界では,死は怖いことではありません.神に抱かれるということなのだから.動けなくなったり,食べられなくなったりしたら,死を受け入れる.

そうなんだ.....文化の違いを実感しました.

その医者は,本当に親切なのか?

近藤先生が書いている趣旨は,かぜに咳止め,炎症止め,抗生物質,などなどわんさとクスリを出す医師は,本当に親切ですか??と言うものですが..

みなさまはよく,病院にかかっていたら安心だ,といいますよね?

ほんとうにそうでしょうか??

わたしは,病院が安心できる場所ならば,病院で死んだりする人はいないのではないか?と
質問します.
そうすると,ほー,そうだね~,たしかに...と意外と納得していただけるんです.

医療機関が安心する場所ではないということで,わたしが体験した,怖い話をしましょう.

あるところに30代の男性がいました.あるクリニックに咳のために通っていました.
医師は忙しく,聴診器を当てるでもレントゲンをとるでもなく,咳止めだけ出して,2年が経過.

ある日彼は,救急車で運ばれて,手術室に直行しました.
原因は大腸がんによる腸閉塞です.
そして,両側肺に無数の転移がありました.

要するに,2年前から大腸がんの肺転移だったのです.......

こんな感じで,医療の内部にいると,いろんなものを嫌と言うほど見てきました.

健診を毎年受けていたのに,どうして進行がんで手術できないといわれるんだ???とか
お叱りをいただいたこともあります.

研修医のころ,昨日までの先生は風邪と言ってくれたのに,今日の先生はどうして自分を白血病だというのか?(研修医のころは血液・呼吸器・感染症内科でした),昨日の先生のところに帰って
かぜとして治療をしてもらう。゚ヽ(゚`Д´゚)ノ゚。 と怒られたこともありました..

いや.みなさまのおかげで,そんなこといわれても,ちゃんと話をする医師に育ちました.

あ.すっかり話はそれてしまいましたが.

要するに,言われるままに何の疑問も持たずに,ということは,近藤先生のおっしゃるとおりよいこととは思いません.

しかし.

わたしは決して,がんの治療を否定する気もありません.

医師が全員,お金儲けのために高い治療選択をさせている,とも思っていません....

しかし...そうとしか思えないような残念なこともあります.

ある病院で,30代後半の引きこもり女性の乳がん症例.

どんどん大きくなっていくがん.きっとがんと思っていながら,そういわれるのが怖くて病院にいけませんでした.
ブログをみて,やさしそうなことを書いている医師にブログから問い合わせをして,勇気を振り絞っていきました.

医師は玄関まで迎えに来てくれたそうです.

しかし...

このときの彼女には,腋窩リンパ節転移(CT画像からあきらかです.それもおおきかったです),縦隔リンパ節転移,肺転移があったのです.

しかし.彼女になされた術式は.......

めまいがすることに

①乳房切除 (これは,局所コントロールのため,といって,体表臓器だから出血したりということを防ぐために行うことがあります)

②センチネルリンパ節生検 

えーーーーー???ありえないんですけど????
センチネルリンパ節というのは,そのがんから一番さきに流入するリンパ節のことをいいます.
ここに迅速検査でがんがあれば,腋窩リンパ節郭清をすることになるのですが...
まてよ???ちょっとまってよ????どうしてよ???
わたしは手術記録を見てめまいがしました.
だって..画像上あきらかな腋窩リンパ節腫脹があるのに,どうしてもとりたかったら普通に取ればいいじゃないか??????
しかし.そもそも,腋窩リンパ節が明らかに腫大している場合,生命予後に影響がないので郭清はしない,と言うことになっています.
あとでちゃんとした乳腺専門医にきいたら,「お金だよ..センチネルリンパ節生検だけで20万だからね...情けないね....」と解説してくれました.

③傍胸骨リンパ節郭清

2000年代になり,生命予後を悪くするのでやらない,ということになっているものですが...
なにゆえ2010年代の日本でこのような医療が?????
保険診療では,ここまでやると一番高い点数(診療報酬)をもらえるんです.

ちなみに.

保険点数について解説しましょう.

  • K476 乳腺悪性腫瘍手術

    1 単純乳房切除術(乳腺全摘術) 14,820点 

    2 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 28,210点

    3 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 22,520点

    4 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。)) 42,350点

    5 乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの 42,350点

    6 乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施するもの 42,350点

    7 拡大乳房切除術(胸骨旁、鎖骨上、下窩など郭清を併施するもの) 52,820点

     

    ▲詳細を閉じる▲ ●通知 (1) 乳腺悪性腫瘍手術において、両側の腋窩リンパ節郭清術を併せて行った場合は、「7」により算定する。

     

    N003 術中迅速病理組織標本作製(1手術につき) 1,990点 

     

    ね? お分かりいただけましたか?

    本来,この彼女にする術式は,乳房切除術なので.14820点だけです.

    なのに.必要ない拡大手術をして,必要ない術中迅速病理診断をやって,本人と国家のお財布にどれだけダメージ与えたかっていうことですよね???

     

いやー..参りました.まるで怪談です...

やさしい医師,手術してくれる医師,治療してくれる医師,言うことをきいてくれる医師が
本当にいい医師でしょうか????

患者さんは,最後に
その医師の正体を見破って,大変ショックを受けていました....

こんなこともあるんですよ.

玄関まで迎えに行ったということを自慢されてもね...

医師が本当にしないといけないことは,適切な治療ですよね??????

この上は,望むと望まざるとに関わらず,明日の患者となる国民の皆様に
賢明になっていただくしかない,とわたしも思っています.

そういう意味では,近藤誠先生とわたしの思いは同じであると思います.

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