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DNAからタンパクへ



DNAからタンパクへ

DNAからタンパクへの情報伝達は、生物学における中心的なプロセスの一つです。この転写(Transcription)と翻訳(Translation)と呼ばれる二段階の過程により、遺伝子コードする情報がDNAからmRNAへと転写され、次にmRNAがタンパク質へと翻訳されます。この複雑な過程は、生命の基本構造であるDNAに刻まれた遺伝情報を実際の機能や形質として発現させるための鍵を握っています。
 

DNAからタンパクへ:総論

ゲノムはどのようにして多様で複雑な生体機能実現しているのでしょうか?
遺伝情報は細胞の核の中にある染色体に折りたたまれているDNAに書き込まれています。
しかし、ヒトは真核生物で、DNAは核内ですが、細胞質と核は核膜で隔てられていて、タンパクを作る場所は細胞質なのです。
ちなみに細菌などは原核生物といって、核膜はなくDNAは核内に収納されていません。

真核細胞においては、核膜で隔てられた核から細胞質に情報が伝達されないと細胞質におけるタンパクの組み立てができません。

DNAからタンパクへ:各論

セントラルドグマ

遺伝子のDNAの並び方(トリプレットコード遺伝暗号)とタンパクを構成するアミノ酸の配列という関連する2つの情報をつないでいるのは、リボ核酸 (ribonucleic acid :RNA)です。RNAの化学構造はDNAの化学構造に似ているのですが、RNAを構成するヌクレオチドの糖成分はデオキシリボースではなくリボースであることと、RNAのピリミジン塩基の1つがチミン(T)ではなくウラシル(U)である点が異なります。リボースとデオキシリボースの違いは、2’に水酸基がついているか、いないかです。


RNAとDNAのもう1つの大きなちがいは、 RNAは一本鎖分子として存在するのですが、DNAは二重らせん構造で存在することです。
ゲノムDNAはRNAの合成とその配列を指示し、RNAはポリペプチドの合成とその配列を指示し、そして、DNAとRNAの合成や代謝には特別なタンパクが関与します。DNA→DNA→タンパクというこの情報の流れは分子生物学のセントラルドグマ(central dogma 中心教義)とよばれます。

DNAからRNAへ

遺伝情報はゲノムのDNAにコード〔遺伝暗号(genetic code)〕として書き込まれています。コード中の塩基配列がポリペプチドのアミノ酸配列を決めます。
まずRNAがDNAの鋳型から転写(tanscription)という過程を経て合成されます。このRNAはコード情報を保持するメッセンジャーRNA(messengerRNA: mRNA)と呼ばれ、核から細胞質へと運ばれます。

mRNAからタンパクへ(翻訳)

細胞質でRNAの塩基配列から合成するタンパクのアミノ酸配列が決定されます。これを翻訳(translation)といい、リボソーム(ribosome)という細胞小器官で行われます。リボソームには、mRNAをはじめとするタンパク合成反応にかかわる分子の結合部位が存在します。リボソームを構成している分子はリポソームRNA(ribosomal RNA :rRNA)という特殊なRNAと、 さまざまな構造タンパクです。
RNA(transferRNA: tRNA)は、3つの塩基配列で一つのアミノ酸に対応し、これが遺伝暗号の正体となっています。遺伝暗号についてはリンク先をクリックしてご覧ください。

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この記事の筆者

1995年医師免許取得。血液・呼吸器・感染症内科を経て、臓器別・疾患別の縦割りの医療の在り方に疑問を感じ、人を人として”全人的”に診療したいという思いを強くし、臓器を網羅した横断的専門医となり、2010年にがん薬物療法専門医取得(2019年現在全国1200人程度)。臓器を網羅すると遺伝性がんへの対策が必要と気づき、2011年に臨床遺伝専門医取得(2019年現在全国1000人程度)。遺伝相談はセンシティブな分野にもかかわらず、昼間の短い時間しか対応できない大病院のありかたに疑問を感じて、もっと必要な人がハードルを感じずに診療を受けられるようにしたいと2014年12月に開業。以来、全国から大学病院でも難しい内容の対応を求める人々を受け入れ、よろづお悩み相談所として多くの人々の様々な”家族(計画)の問題”を改善に導く。

著書に”女性のがんの本当の話”(ワニブックス)、”遺伝するがん・しないがん”(法研)がある。
少ない専門家で、正直で嘘のない言葉選びから週刊誌等の取材も多く、医療系の特集に時折コメントが掲載。(週刊現代、週刊ポスト、週刊新潮など)。
テレビ出演も時々あり、小林真央さんの病状を市川海老蔵さんが初めて記者会見した日、フジテレビの午後4時台のニュース番組に生出演して解説。その他TBS, AbemaTVなど出演。

一人一人の事情に合わせた個別対応をするべく、しっかり時間を取って本当のニーズは何かを聞き取りすることを大切にしている。短い時間でもお互いが出会ったことが相手の人生に大きな意味があるような医師患者関係の構築を理想として日々精進。

患者さんが抱えている問題を解決するにはどうしたらよいのかを考えて医師歴8年目に法学部に学士入学した程度に”凝り性”。女医が少なかった時代に3人の母親として難関専門医を3つ取得して社会進出を続けた経験から、女性のライフスタイルを医学以外の部分でも支援したいと願っている。
いろんな人生経験から心に響く言葉を投げかけるため、”会うと元気になる”ということで有名。飼いネコ4匹。

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