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遺伝カウンセリング ~検査のメリットとデメリットをきちんと理解し,正しく自己決定するために~
*クリニックHPに掲載していましたが,追記や訂正がHPだと難しいので,ブログに移行しました.
2013年5月、ハリウッドを代表する人気女優アンジェリーナ・ジョリーさんが、将来の乳がんの発症リスクを低減させる目的で両乳房を切除したことを発表し、日本でも話題となりました。
2年後の2015年3月、卵巣がんの予防のため、すべての卵巣と卵管の摘出手術を受けたことを明らかにしました。
アンジェリーナの母は50代で卵巣がんにより亡くなり、祖母と叔母は乳がんと卵巣がんで亡くなっています。
彼女は米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿し、経緯を説明しました。
乳房の手術を決めた際に、医師から「乳がんになる確率が87%、卵巣がんの確率が50%」と告げられていましたが、
卵巣がん検診のフォローアップ中に、血液検査で異常を認め、リスク低減卵巣卵管切除術を決断しました。
そして、「助言を求め、自分に合う選択をしてほしい。知識こそ力です」と、女性たちにメッセージを送っています。
厳密には、予防的乳房切除は臨床試験を経ていないため、エビデンスとしては高いレベルではないことを明記しておきます。
大切なことは、悩んでいる皆様が、それらをただしく理解したうえで、
各個人にあった自己決定するというプロセスを専門医として支援することだと考えています。
アンジェリーナさんの伝えたかったメッセージも、そういうことではないでしょうか?
早期発見と治療が予後に影響する可能性もある
アンジェリーナさん自身の体験を公表した背景には、遺伝性の乳がんや卵巣がんになる可能性について
遺伝子検査を受けるという選択肢があることや、
検査の結果、がんにかかりやすいという遺伝子変異があったとしても発症の可能性を低くするための選択肢が存在する、
また、早期発見につなげる検診を組んでいくという対処方法があるということを広め、
同じ不安を持つ世界中の人々に知ってもらい勇気づけたいという思いがあったのではないでしょうか。
遺伝子検査は、その人の生まれ持った遺伝子を調べる(生まれ持った遺伝子を調べることを専門的には生殖細胞系列遺伝子検査といいます)ことで、その人にあった病気の予防や治療につなげる目的で行われており、がん以外にも遺伝子変異が発症に関与する病気で行われています。
このニュースを機に、日本でも多くの女性が乳がんの遺伝子検査に興味をお持ちになったかと思います。
医療機関の遺伝カウンセリングで家族歴を聴取した結果、
遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の可能性があると判断された人が対象となります。
しかし、現在では核家族化で家系の聴取が困難な事例が増加していることや、
若年発症では、たとえ孤発例であっても否定することができません。
さらに、病的遺伝子変異があれば卵巣の検診や予防的切除術を視野に入れた自己決定など、
その後のフォローアップの方針に違いが出てくるため、
孤発例であれば除外するといきなり結論付けられるものでもありません。
いままで、遺伝性乳がん・卵巣がん(HBOC)が疑われる場合、
発症に関与しているとされる「BRCA1/2遺伝子」の病的な変異の有無だけを検査することが一般的でした。
米国人の場合、1/400人の割合でBRCA1/2遺伝子の病的遺伝子変異を持つとされています。
しかし、近年、それらと他の遺伝子変異を合併している場合や、
BRCA1/2遺伝子に異常がなくても遺伝性乳がんに関係すると報告されるその他の遺伝子の変異を認める場合もあり、
BRCA1/2遺伝子に病的変異が認められなくても他の遺伝子に変異があるケースがあることも報告されており、
これらを多重遺伝子パネルと呼ばれるセット検査にして一度に検査してしまう、という方法が開発されています。
BRCA1/2遺伝子を検査しても正常だった場合、
他の遺伝性乳がんに関係する遺伝子の異常ではないかという疑いは残る(後述)ので、
当院ではこういう点を改善するために、乳がんに関係した遺伝子パネル検査を導入して、
一度に複数個の遺伝子を検査できるようにしています。
BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子関連がん(今までの報告をまとめた数字)
がんの種類 | 一般集団の生涯発症リスク | 病的変異を有する人の生涯発症リスク | |
---|---|---|---|
BRCA1遺伝子 | BRCA2遺伝子 | ||
乳がん | 12% | 50~80% | 40~70% |
2番目の原発性乳がん | 5年以内に3.5% 最大11% |
5年以内に27% | 5年以内に12% 20年までに40~50% |
卵巣がん | 1~2% | 24~40% | 11~18% |
男性乳がん | 0.1% | 1~2% | 5~10% |
前立腺がん | 15%(北欧系) 18%(アフリカ系アメリカ人) |
30%未満 | 39%未満 |
膵がん | 0.50% | 1~3% | 2~7% |
BRCA1/2遺伝子の検査は、乳がんや卵巣がんを発症し、
家族の病歴などから遺伝性が疑われるきっかけになったご本人が受ける「発端者検査」と、
その結果が陽性だった場合に、血縁者が同じ遺伝子変異があるかどうかを調べる「発症前検査」のふたつがあります。
以前は、発症前検査を新規から受けるということはしていなかったのですが、
近年、核家族化の影響もあり、こうしたデリケートな問題を言い出せない、
心配だけどがんになった本人に言わずに未発症の自分が罹患する可能性を知りたい、
というご要望が多くなってきたことを勘案して、当院ではこうしたご要望にお応えしていくことに致しました。
それと同時に、自己決定をきちんとしていただくために,正しい情報を提示することが最も重要だと考えています。
- 遺伝子の変異があれば必ずがんになる
- 母親に遺伝子の病的な変異が見つかったから、娘の自分にも同じ遺伝子変異がある
- 叔母二人が乳がんと卵巣がんだったけど,60-70歳を超えていたから大丈夫
などなど、遺伝性腫瘍に関して正しくない認識を持っていることが往々にしてみられます。
遺伝性腫瘍は、概念としては新しい部類に入るので,観察されている期間が短いのです。
昔は、【表現促進現象】といって、上の世代の発症年齢よりずっと若い年齢で発症するということは、
遺伝性腫瘍に関してはないのだといわれていました。
しかし、近年、遺伝性乳がんでも表現促進現象があるという報告がされています。
私自身も,上の世代は70代なのに,すぐ下の世代では30代で発症した家系を経験しており,人類遺伝学会で報告いたしました.
また、孤発例であっても、核家族化で家系の病歴がわからなかったりする場合もありますし、
新生突然変異と言って、配偶子(精子や卵子)の形成途上で変異が起こるため、
本人に遺伝子変異があっても、親御さんにはない、ということも考えられます。
【専門医制度】は、
国民の皆様に医師の専門性がわかりやすいように担保する
というのがその目的です。
専門医を養成する学会が、
学会の要求する水準をクリアしているとして認定している医師が【◎×△□専門医】です。
正しい情報をきちんと提示されて、利益不利益を十分理解し、
その上で自己決定をしっかりするために、
わたしたち臨床遺伝専門医(遺伝の専門医です)がお役に立てますようにと願っています。
わたしたちは、遺伝子検査をできる体制は整えておりますが、決して推進することはありません。
利益不利益のどちらが大きいか、何を重視するかはその個体で違いますし,自己決定が何より優先されるからです。
検査で難しいのは結果の解釈と説明なのです
発端者のBRCA1/2遺伝子検査結果が正常だった場合、
遺伝性乳がんに対する不安感を抱えて生活することから開放される、
と説明されることもあるかもしれません(インターネットにもそうかかれてありますが..)が、それは大きな誤解です。
まったく家族歴がないならともかく、家族暦では十分にHBOCの診断基準を満たしている場合、
家系でのがんの根本的原因が明らかになっていないため、
慎重に解釈する必要があります。
可能性として、家系内のがんが
- (a)配列解析では検出できないBRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子の生殖細胞系変異に関連している場合
- (b)別のがん感受性遺伝子の変異が原因である場合
- (c)非遺伝的要因による場合
が考えられます。
このため、BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子の生殖細胞系変異が検出されなくても、
家系内に遺伝性のがんの易罹患性が存在する可能性がなくなったわけではないのです。
また、遺伝子配列解析で、BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子に臨床的意義が不明のDNA変異が検出されることがあります.
この変異ががんの表現型と分離するかを判定するため、
家系調査を行われて、臨床的意義が不明の変異の割合は次第に低下してきています。
幾つかの検査機関の最近のデータでは、
BRCA1遺伝子とBRCA2遺伝子の臨床的意義が不明である変異の割合は2.9%[Eggington et al 2012]、4.4%[Ambry Genetics]となっています。
しかし、臨床的意義が不明の変異の割合は検査機関の実績によって異なります。
割合はそうなのですが,世界には遺伝子変異のデーターベースがちゃんとあって,
どういう変異が検出されて,その変異がどういうステータスなのか
(病原性がある病的変異なのか,臨床的意義が不明な状態なのか)
が判るようになっています.
*某社は,このデーターを公開しないことが一番の問題だと思っています.
費用について
遺伝子検査の費用は健康保険の適用外ですので、全額自己負担となります。一般的な費用は「発端者向け」で約25万円、「血縁者向け」で約5万円からとかなり高額です。
この点を改善するため、
当院では、日本一お安く確かに提供する,ということをコンセプトに
BRCA1/2遺伝子のみなら12万円~(税別)、21種類の遺伝子パネル検査であれば18万円~を実現しました。
費用だけで勝負いたしておりません.
当院は,がん薬物療法専門医が臨床遺伝専門医ももち,高い専門性を背景に検査を提供しているということですので
他の医療機関で当院よりお安いところがあったとしても,張り合う気はありませんのでご容赦ください.
遺伝子検査は,提出する検査会社で費用が変わります.
提出先も,国内外さまざまです.(パネルは全て海外です)
オーダーメイド医療
がん全体の遺伝子パネル検査は,49種類から112種類まで,提出先によって内容が異なりますが,
これらには,放射線感受性が高く,
放射線被爆を避けなければならないとされている遺伝子変異があるかどうか,も含まれておりますので,
放射線被爆を避けるべき個体かどうかと言うことが,実際に検査できるようになりました.
こうした情報があれば,放射線治療を受けるかどうか,CTによるフォローアップを受けるかどうかなどの判断が可能となってきますよね.
そもそも,CTによる1回の被爆で発ガンする確率は,1,000~2,000人に一人と推定されています.これを多いととるか少ないと取るかですが.
日本は,世界最大の医療被爆国であることは周知の事実です.
以前は,こうした検査ができなかったのですが.
出来るようになって,選択肢がふえてきました.
もともと,放射線感受性の高い人たちが,2-3/100人程度の割合でいる,と言うことは専門家の間では,知られている事実です.
しかし,今までは,実際にどの個体がそうなのか,ということを検査することができなかったため,原発事故の影響もあり,検査もできないのに不安をあおるのもどうか,と思って発言を控えていました.
しかし.この数年で海外で主流になっている遺伝子パネル検査を導入することにより
これらに対する判断も出来るようになりました.
放射線に弱い人たちは,放射線により発癌しやすい人たちなので,こういう方々が癌になった場合は
放射線治療を避けなければなりません.
放射線治療は,がんの3大治療の一つなので,治療戦略が大きく異なるようになってしまうので,大問題です.
放射線治療を避けなければならない状態の中に,常染色体劣性疾患のキャリア(病的遺伝子を持っている人)が含まれています.
劣性疾患の場合,病的遺伝子が2つ揃わなければ発症しません.
しかし,放射線に弱くなるある疾患のキャリアの場合,100人に2-3人と見積もられており,思っているより多いのです.
ということは,放射線治療や,CTなどによる被ばくを避けなければならない人たちが,人口当たりこれくらいいると言うことになりますよね.
以前は,簡単に検査することができませんでしたが,遺伝子パネル検査の導入により,こうした検査が可能になりました.
当院で行っているがんの遺伝子パネル検査では,放射線に対して脆弱性を示す遺伝子異常の有無も調べることが可能です.
詳細はお問い合わせください.
当クリニックの遺伝子検査の特徴:
当院では,がんに関係している遺伝子変異を一度の検査で網羅して調べられるように
汎がん遺伝子パネルを用意しています.
もちろん,大腸がん,膵臓がん,乳がん卵巣がんなどに個別の遺伝子検査パネルを用意していますが,
調べる遺伝子の数が3つでも100個を超えるものでも,費用が変わらないのです.
当院では,海外のラボに提出しているので,現在国内では行われていない遺伝子検査パネルを皆様にご提供できます.
日本に進出している某国の会社が遺伝子検査パネルを提供していますが,当院もそちらに出すことも可能ですが
そちらの会社では次世代シークエンサーにかけることしかしていないので,大きな欠失(deletion)やduplicationといってある部分が倍になっていたりするものについては検出できないのです.
それを補うために,当院では,MLPAという方法を必要な遺伝子については追加して検査してくれるラボに提出しています.
これで,一度に検査が終了致します.
遺伝性乳がん卵巣がんを疑って検査しても,何も出なかったこともありますし,遺伝子検査パネルを用いたら,まったく想定外の遺伝子に変異があったとかもあることから,今までに遺伝性腫瘍と関係のあると報告されている遺伝子を網羅的にパネル化してご提供しています.
考えられるものは全部入れてあり,しかも,3つの遺伝子を検査するのも100以上の遺伝子を検査するのも,一度に行う限り定額でご提供しているので,大変リーズナブルな費用になっています.
今までは,BRCA1/2だけで大体25万円くらいで行っていましたが,
BRCA1/2が関係する遺伝性乳がん卵巣がんだと疑って検査しても,病的変異が見つかる確率は半数くらいです.それでは,残りの方々が,
①遺伝子に塩基配列以外の異常があるのか
②他の遺伝子に異常があるのか
がまったく判らなかったのです.
海外では,パネルといって,複数の遺伝子を一度に検査するというのがスタンダードとなっています.
一度に検査するメリットは,現段階で考えられるものを網羅している,ということと
一度に検査することにより遺伝子1個あたりの単価を非常にお安く出来るということが特徴です.
現在,日本では行えませんので,アメリカに提出しています.
アメリカでは1980年代に,CLIAという法律が出来て,臨床検査について標準化しなければならないと定められています.
臨床の検体を出すのに,基準が決められているということが,アメリカにお出しする大きな理由です.
(それ以外にもメニューとして他の国の検査会社も用意しています.)
当院の遺伝子検査パネルであれば,BRCA1/2も含んでいて,また,次世代シークエンサーでは検出できない巨大欠失なども検出すべくMLPA法も必要な遺伝子には同時に行って,1遺伝子あたりの単価は5000円を切っています.
当院でも,BRCA1/2だけを検査すると,一番お安く検査を出しても12万円+消費税,となります.(この場合は塩基配列の決定のみです)
また,パネルの種類も,がんだけではなく,多数ご用意いたしております.
- 癌:汎がん,遺伝性乳がん卵巣がん,リンチ症候群,膵臓がん,甲状腺がん,褐色細胞腫瘍,
- 循環器:汎心臓病,ブルガダ症候群,拡張型心筋症,肥大型心筋症,突然死症候群,不整脈,QT延長症候群,
- 神経・筋疾患:筋萎縮性側索硬化症,Charcot Marie Tooth病,先天性筋無力症症候群,遺伝性末梢神経障害,遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチー,筋ジストロフィー,筋強直症候群・横紋筋融解症,遺伝性神経障害,痙性四肢麻痺,汎神経筋疾患
- 精神・神経疾患:自閉症,癲癇,知的障害,白質脳症,パーキンソン病・アルツハイマー病・認知症,X染色体関連知的障害
- 呼吸器:線毛不全症,肺疾患
- 骨・結合織:結合織病,骨格形成異常,マルファン症候群・胸部大動脈瘤,
- 内分泌・代謝:糖尿病肥満,ライソゾーム病
- 眼:眼疾患,緑内障,加齢黄斑変性,色覚障害,網膜色素変性症,
- 耳:難聴,
- 腎臓病,ステロイド抵抗性ネフローゼ, アルポート症候群,
- 皮膚:先天性白斑症
- 消化器:慢性膵炎
- 血液:血液凝固異常など.
どの遺伝子検査パネルを選んでも,料金は一律となっています.
また,汎とつくものは,関連する複数の遺伝子パネルを全部含んでいます.
たとえば,汎がんパネルは,遺伝性乳がん卵巣がん,リンチ症候群,膵臓がん,
甲状腺がん,褐色細胞腫瘍などをすべて含んでおり,慢性膵炎に関係する遺伝子も含んでおり,
対象遺伝子は100を超えるものとなっています.
汎とつくパネルがあるものは,それをお選びいただくと,漏れがないかと思います.
ここには一部しか記載できておりません.
たくさんありすぎますので.
詳しくは,info@minerva-clinic.or.jp ,電話 03-5272-3768 までお問い合わせくださいませ.
当院では,お仕事が終わってから遺伝カウンセリングを受けられるように,予約制で夜間診療も実施しております.
遠方の方で来院できない,と言う場合でも,対応できるように考えますので,まずはお問い合わせくださいませ.
また,DTC遺伝子検査との違いが判らないというご質問をよく受けますので,記載いたします.
- DTC(Direct to Customer)遺伝子検査とのちがい
DTCは口腔粘膜などを自分で採取して検査会社に送るというスタイルの遺伝子検査です.
ゲノムのなかのSNPを利用して検査結果を出しています. - ある生物種集団のゲノム塩基配列中に一塩基が変異した多様性が見られ,
その変異が集団内で1%以上の頻度で見られる時,
これを一塩基多型SNP : Single Nucleotide Polymorphism)と呼ぶのです.
300塩基に1個のSNPがあり,ヒトゲノム全体で約1000万ヶ所,
遺伝子領域では100万ヶ所のSNPが あると考えられています.
遺伝子領域にあるSNPは,作られるタンパクの時期や量,機能に違いを生み出すことがあります.
疾病罹患群と健常群の間で,あるSNPの塩基出現頻度を調べた結果,有意差があるということは,
このSNPマーカーの近傍に疾病発症に関わる変異が存在する確度が高いことを示しています.
しかし,仮に罹患率が高いSNPタイプ(=おみくじにたとえると「凶のくじ」に相当)を持っていたとしても,
本人がその変異(=「現実の災い」に相当)を保有しているかどうかはわかりません.
このように,SNPタイピングに基づくDTC遺伝学的検査は,疾病罹患性を予測することができないのです.
- これに比べて,遺伝子検査の場合,該当する遺伝子の塩基配列をすべて決定して,
異常がないかを直接調べますので,直接にその疾患罹患性が判ると言う決定的な違いがあります. - 遺伝子ドックとのちがい
遺伝子ドックは,血液のなかに含まれる「がん細胞に特徴的な遺伝子の発現」を検査することで,がんに今罹患しているのかどうかを知るための検査です.=今がんにかかっているか?
これに対して,遺伝子検査は,体中の細胞が生まれつき持っている
「疾患にかかりやすい遺伝子変異」の有無を直接調べるという違いがあります.=将来がんにかかりやすいか? - NGS(次世代シークエンサー)の場合,一つの遺伝子を検査するのも,複数の遺伝子を一気に検査するのも,
手間としてはそんなに変わりませんので,パネルになると,1遺伝子あたりの費用が大幅に下がります.
当院では,アメリカの会社に検査を提出しています.
アメリカは1980年代から臨床検査は法律で標準化・適正化されていますので,
当院が検査を提出するラボも,こうしたアメリカの厳しい基準を満たすものです.
また,次世代シークエンサーNGSによるシークエンシングは,
大きな欠失や一部が重複しているといった異常は検出できません.
そこで,そういう異常により引き起こされる表現型があるとわかっている遺伝子については,
MLPA法と呼ばれる方法で,検査します.
世界トップレベルのハイクオリティーな検査をお約束します.
- 検査結果は英語で返却されます.責任を持って日本語に翻訳いたします.
- 当院では,内科専門医,がん専門医,遺伝専門医が,この検査に対応しています.
この分野の専門医は大変少なく,日本でもこの3つの専門医を持っているのは,1人のみです. - 遺伝カウンセリングは,ご自宅などに出向いて行うことも可能です.
周囲を気にせず,落ち着いた環境で遺伝カウンセリングを受けることが可能です.
アメリカのNCI国立がん研究所のがんのスクリーニング方法のなかには,身体検査,血液検査,画像検査についで,遺伝子検査が挙げられています.
*アメリカではDTC遺伝子検査は現在禁止されています.