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後鼻孔閉鎖(choanal atresia)とは?症状・原因・CHARGE症候群との関係・最新手術までを遺伝専門医が解説

仲田洋美 医師

この記事の監修:仲田洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。臨床遺伝専門医。

生まれたばかりの赤ちゃんが、泣いていないときだけ息が苦しそうになり、唇が青くなる(チアノーゼ)——そんな不思議な症状で見つかることがある病気が、後鼻孔閉鎖(こうびこうへいさ/choanal atresia)です。鼻の奥、鼻の穴とのどのあいだにある「後鼻孔」という通り道が、生まれつき骨や膜でふさがってしまう先天的な異常です。両側がふさがっていると、新生児は口ではうまく呼吸できないため、出生直後の呼吸トラブルの原因になります。一方で片側だけなら、大人になるまで気づかれないこともあります。この記事では、後鼻孔閉鎖とは何か、なぜ起こるのか、CHARGE症候群(チャージしょうこうぐん)をはじめとする遺伝性の病気とどうつながるのか、そして最新の内視鏡手術と術後の管理までを、遺伝医学の視点から解説します。

この記事でわかること
📖 読了時間:約16分
🧬 後鼻孔閉鎖・CHARGE症候群・内視鏡手術
臨床遺伝専門医監修

Q. 後鼻孔閉鎖とは何ですか?まず結論だけ知りたいです

A. 後鼻孔閉鎖とは、鼻の奥にある「後鼻孔(こうびこう)」という、鼻腔とのど(上咽頭)をつなぐ出口が、生まれつき骨や膜でふさがっている状態です。新生児は主として鼻呼吸を行うため、両側がふさがっていると出生直後から強い呼吸困難を起こし、耳鼻咽喉科の緊急事態になります。片側だけの場合は、片方の鼻づまりや膿のような鼻水が続くことで、後になって気づかれることもあります。およそ半数はCHARGE症候群などの遺伝性の病気を合併することが知られており、治療は鼻から内視鏡を入れて通り道を作り直す手術が世界的な標準になっています[1][3]

  • 正体 → 鼻の奥の出口(後鼻孔)が、骨や膜で生まれつきふさがっている先天異常
  • 2つのタイプ → 両側性は出生直後の呼吸困難(緊急)、片側性は慢性の片鼻づまり(後で発見も)
  • 遺伝との関係 → 約半数が症候群を合併。代表はCHARGE症候群(CHD7遺伝子)
  • 診断 → カテーテルが通らない・CT検査・鼻の内視鏡で確定
  • 治療 → 鼻からの内視鏡手術が標準。術後の「再狭窄」をどう防ぐかが最大の課題

🧬 後鼻孔閉鎖の基本情報

項目 内容
読み方・英語名 こうびこうへいさ/choanal atresia(コアナル・アトレジア)。CA と略される
どこの異常か 鼻腔と上咽頭(のどの上部)をつなぐ後鼻孔が、骨や膜でふさがっている
頻度 およそ5,000〜9,000人に1人。まれだが、新生児の鼻からの気道緊急の主要原因[1][2]
閉鎖板の中身 骨と膜の混合性が最多(約71%)、純粋な骨性が約29%。従来言われた「90%が骨性」は現在は否定的[2]
医療との関わり 約半数が遺伝症候群を合併。治療は経鼻内視鏡手術が第一選択[3][8]

※本記事は一般の方と遺伝診療に関わる方の両方に向けた疾患解説です。特定の検査や治療を勧めるものではありません。

1. 後鼻孔閉鎖とは ─ 鼻の奥の「出口」がふさがる病気

わたしたちの鼻の穴(外鼻孔)から入った空気は、鼻腔(びくう)というトンネルを通り、いちばん奥にある一対の出口を抜けて、のどの上の部分(上咽頭)へと流れていきます。この奥の出口を後鼻孔(こうびこう)と呼びます。後鼻孔閉鎖とは、この出口が生まれつき、骨や膜のような組織でふさがれてしまっている状態のことです[1]。鼻から入った空気が奥へ抜けられないため、鼻での呼吸がその側でできなくなります。

💡 用語解説:後鼻孔(こうびこう)と「閉鎖」

「後鼻孔」は、鼻腔の後ろの出口のことです。左右に1つずつあります。「閉鎖(へいさ/atresia)」とは、本来あるはずの通り道や開口部が、生まれつきふさがっている状態を指す医学用語です。つまり後鼻孔閉鎖は、「鼻の奥の出口が生まれつき閉じている」という意味の言葉です。片方だけが閉じているものを片側性、両方が閉じているものを両側性といいます。

後鼻孔閉鎖は、歴史のある病気です。1755年にドイツの医師レーデラー(Roederer)が初めて報告し、その後1829年にオットー(Otto)が解剖の所見をくわしく記述しました。1851年にはエンメルト(Emmert)が、7歳の子どもに対して鼻から器具を通して閉鎖板を突き破る手術に初めて成功し、治療の歴史が始まりました[2]。現在でも、後鼻孔閉鎖は新生児の鼻の奇形としては最も多いもののひとつであり、重い場合には耳鼻咽喉科でもっとも緊急性の高い病気のひとつとして扱われています[1]

かつては「後鼻孔閉鎖の90%は骨でできていて、10%は膜でできている」という説明が長く教科書に載っていました。しかし、CT検査(コンピュータ断層撮影)が普及し、組織を細かく調べられるようになった近年の研究は、この見方を大きく塗りかえました。今では、骨と膜の両方をふくむ「混合性」がもっとも多く(およそ71%)、純粋に骨だけのものは約29%、純粋に膜だけのものはごくまれ、と考えられています[2]。これは、手術のときに膜だけを破れば済むわけではなく、たいていは骨を削る操作が必要になることを意味しており、治療方針を考えるうえで重要な知見です。

2. どれくらいの頻度で起こる? ─ 「2の法則」

後鼻孔閉鎖が起こる頻度は、およそ出生5,000人から9,000人に1人と推定されています[1][2]。まれな病気ですが、両側性の場合は生まれてすぐの呼吸困難に直結するため、産科・新生児医療の現場では必ず知っておくべき病気です。

この病気には、古くから臨床医のあいだで「2の法則(Rule of 2s)」として知られる、はっきりした傾向があります。数字がきれいに「2倍」でそろうことから、こう呼ばれてきました[2]

📊 後鼻孔閉鎖の「2の法則」と分布

評価項目 主要な分布・比率 臨床的な意味
発生頻度 5,000〜9,000人に1人 まれだが、新生児の気道緊急の主要な原因
性別(女児:男児) 約 2:1 女児に多いという明確な性差がある
側性(片側:両側) 約 2:1 両側性は命にかかわるため、早期の対応が必須
罹患側(右:左) 約 2:1 片側性のとき、右側がやや多い
閉鎖板の中身 混合性 約71%/骨性 約29% 手術では骨を削る操作が避けられないことが多い

※比率は代表的な文献値であり、報告により幅があります[1][2]

つまり、女児が男児のおよそ2倍、片側性が両側性のおよそ2倍、片側性のなかでは右側が左側のおよそ2倍——という傾向です。もちろんこれは「だいたいの目安」であり、実際の患者さんが必ずこの比率どおりになるわけではありません。

3. なぜ起こるのか ─ 胎児の発生と分子のしくみ

後鼻孔閉鎖は、おなかの中の赤ちゃん(胎児)が顔をかたちづくっていく、とても複雑な過程のどこかでつまずくことで起こります。正常な発生では、胎生5〜6週ごろに鼻のもとになる「鼻窩(びか)」が組織の中にくぼんでいき、やがて薄い膜(Hochstetterの鼻口蓋膜)ができます。この膜が破れることで原始的な後鼻孔ができ、胎生10週ごろには通り道として完成していきます[1]。この一連の流れのどこかがうまくいかないと、後鼻孔閉鎖が生じます。

なぜこの過程が失敗するのかについては、古くから4つの主要な仮説が提唱されてきました[1]。ひとつめは、本来なら消えるはずの膜(口咽頭膜)が残ってしまうという説。ふたつめは、Hochstetterの鼻口蓋膜がうまく破れずに残るという説。みっつめは、間にたまった組織(間葉組織)が正常に吸収されずに残るという説。よっつめは、顔をつくる材料となる神経堤細胞(しんけいていさいぼう)の移動がうまくいかず、骨が異常な場所にできてしまうという説です。実際には、これらが単独ではなく組み合わさって起こると考えられています。

💡 用語解説:神経堤細胞(しんけいていさいぼう)

神経堤細胞は、胎児の発生の初期に生まれ、体のさまざまな場所へ移動して、顔の骨や軟骨、神経などをつくる、いわば「引っ越しの多い万能の職人細胞」です。顔の形づくりに深く関わるため、その移動や働きに乱れが生じると、後鼻孔閉鎖をはじめとする顔面の先天異常につながることがあります。ミネルバクリニックでは、神経堤細胞そのものの解説ページも設けています。

近年は、こうした仮説を分子のレベルで裏づける研究が進んでいます。マウスを使った実験では、ビタミンAからつくられるレチノイン酸(RA)という物質を合成する酵素(Raldh3)を働かないようにすると、線維芽細胞増殖因子8(FGF-8)というシグナル分子が過剰に働き、本来なら消えるはずの上皮のヒダ(nasal fins)が残ってしまい、その結果として後鼻孔閉鎖が起こることが示されました。しかも、母体にレチノイン酸を投与するとこの閉鎖を防げることも確認されています[4]。さらに、別の酵素(Rdh10)を欠損させたマウスでも、ヒトによく似た後鼻孔閉鎖(骨が異所性にできるものも含む)が再現され、やはりFGF-8がヒダの部分で過剰に出ていました[5]

これらの研究は、発生のある時期に、特定の分子シグナルのバランスが崩れることが、鼻の奥の物理的なつまりに直接つながりうることを強く示しています。ビタミンAとレチノイン酸のシグナルが、顔の形づくりの「調整役」として重要である、という点は、後の章で触れる薬剤の話ともつながっていきます。

鼻窩ができる胎生5〜6週
膜が形成される鼻口蓋膜
膜が破れて開通後鼻孔ができる
破れずに残る=後鼻孔閉鎖
後鼻孔閉鎖の病因を示す模式図。左に鼻腔・鋤骨・蝶形骨・上咽頭を示した頭部の断面図があり、右に発生の流れを図解している。上部の2つの原因(遺伝症候群=CHD7、催奇形性曝露=メチマゾール)から矢印が伸び、「発生学的な破綻メカニズム」の4つ(膜の遺残、中胚葉の吸収不全、神経堤細胞の誤った遊走、Hochstetter膜の遺残)につながり、それらがすべて最終的に「閉鎖板(骨性/膜性)」の形成へと収束することを示している。

後鼻孔閉鎖ができるまでの流れ。遺伝症候群(CHD7遺伝子=CHARGE症候群など)と、妊娠初期のメチマゾール曝露という2つの原因は、いずれも発生段階の共通した破綻(①膜の遺残、②中胚葉〔間葉組織〕の吸収不全、③神経堤細胞の誤った遊走、④Hochstetterの鼻口蓋膜の遺残)を引き起こしうる。これらが最終的に、鼻の奥をふさぐ「閉鎖板(骨性/膜性)」の形成に収束する。左の断面図は、閉鎖板ができる場所(鋤骨・蝶形骨に囲まれた後鼻孔)を示している。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「原因のわからない先天異常」を分子で読み解く】

後鼻孔閉鎖のように、生まれつきの体の形の異常は、「なぜこの子に起きたのか」がすぐには分からないことが少なくありません。遺伝医学では、症候群性か非症候群性か、遺伝学的要因や胎児期の環境要因が関与していないかを、臨床所見と分子・遺伝子レベルの知見を組み合わせて検討します。

ビタミンA・レチノイン酸のシグナルや、FGF-8といった分子の名前は、一般の方には縁遠く感じられるかもしれません。けれども、こうしたメカニズムが分かってくると、「たまたま起きた不運」ではなく「発生のしくみの一部がずれた結果」として病気を理解できるようになります。こうした理解は、合併しうる病気の評価や、原因が特定された場合の再発リスクの検討につながります。

4. 遺伝症候群との関係 ─ CHARGE症候群を中心に

後鼻孔閉鎖を持つお子さんの約半数は、ほかの先天異常や遺伝性の症候群を合併していることが知られています[1][3]。あるアメリカの小児病院の検討では、後鼻孔閉鎖・狭窄の患者さんのうち、単独の異常だったのは約4分の1にとどまり、残りは何らかの合併異常や遺伝的背景を伴っていました[3]。とくに両側性の場合は、単独で起こる例よりも、こうした染色体や遺伝子の異常を伴うリスクが高くなります。このため、両側性の後鼻孔閉鎖が見つかったときは、背景に遺伝性の症候群がないかを調べるという視点が、遺伝診療ではとても大切になります。

CHARGE症候群 ─ もっとも重要な合併症候群

数ある合併症候群のなかで、もっとも代表的で臨床的に重要なのがCHARGE症候群(チャージしょうこうぐん)です。CHARGE症候群は、主にCHD7遺伝子の変化によって起こり、名前の各文字が主な症状の頭文字になっています。すなわち、目のコロボーマ(Coloboma=眼の組織の欠損)、心疾患(Heart defects)、後鼻孔閉鎖(Atresia choanae)、成長・発達の遅れ(Retardation)、性器の発育不全(Genital hypoplasia)、耳の異常・難聴(Ear abnormalities)です[1]。つまり、後鼻孔閉鎖はCHARGE症候群の診断の柱のひとつであり、この病気を見たときにCHARGE症候群を思い浮かべることは、遺伝診療の基本になります。くわしくは CHARGE症候群のページで解説しています。

CHARGE症候群にともなう後鼻孔閉鎖は、頭蓋底の傾きや後鼻孔の位置が通常と異なるなど、より複雑な顔面・頭蓋の構造をとることが多く、手術のときに頭蓋底を傷つけるリスクが高まる要因にもなります。そのため、手術前に構造を正確に把握しておくことが重要です[1]

そのほかの合併症候群

CHARGE症候群のほかにも、顔や頭蓋の形にかかわるさまざまな症候群の一部として、後鼻孔閉鎖が現れることがあります[1]。ミネルバクリニックでは、これらの多くについて個別の解説ページを設けています。

🧬 後鼻孔閉鎖を合併しうる主な症候群

症候群名 関連する主な遺伝子・染色体 特徴的な所見
CHARGE症候群 CHD7 眼コロボーマ、心疾患、発育の遅れ、耳の異常・難聴
トリーチャーコリンズ症候群 TCOF1・POLR1D・POLR1C・POLR1B 下顎・頬骨の低形成、外耳の奇形
クルゾン症候群 FGFR2 頭蓋の縫合が早く閉じる、眼球突出、上顎の低形成
ファイファー症候群 FGFR1・FGFR2 頭蓋縫合の早期癒合、幅広い母指・母趾
アペルト症候群 FGFR2 頭蓋縫合の早期癒合、手足の指の癒合
DiGeorge症候群 22q11.2欠失 心血管異常、胸腺低形成、口蓋裂、低カルシウム血症

※各症候群の関連については、症例報告を含む文献に基づきます。

具体的には、トリーチャーコリンズ症候群(TCOF1、POLR1D、POLR1C、POLR1B遺伝子など)、クルゾン症候群(FGFR2遺伝子)、ファイファー症候群(FGFR1・FGFR2遺伝子)、アペルト症候群DiGeorge症候群(22q11.2欠失)などが挙げられます。これらの多くは、顔や頭蓋の骨の形づくりにかかわる遺伝子の変化によって起こる点で共通しています。後鼻孔閉鎖が「顔面の発生のずれ」として起こることを思い出すと、これらの症候群と関連しやすい理由が理解しやすくなります。

5. 薬剤との関係 ─ 抗甲状腺薬とメチマゾール胎芽病

後鼻孔閉鎖の原因は、遺伝子の変化だけではありません。妊娠初期のメチマゾール(チアマゾール)や、そのプロドラッグであるカルビマゾールへの曝露は、特徴的な先天異常パターンとの関連が報告されています[6]。ただし、母体甲状腺機能亢進症そのものと薬剤曝露の影響を完全に切り分けることは難しく、後鼻孔閉鎖の原因を薬剤だけに帰することはできません[7]

💡 用語解説:胎芽病(たいがびょう/embryopathy)

「胎芽(たいが)」とは、妊娠のごく初期、体の主要な器官がつくられていく時期の赤ちゃんのことです。この時期に、薬剤や感染などの影響で特定のパターンの先天異常が生じることを「胎芽病」と呼びます。メチマゾールによって起こるものを「メチマゾール胎芽病」といいます。器官がつくられる大切な時期に影響が及ぶため、複数の臓器にまたがる特徴的な異常が現れることがあります。

メチマゾール胎芽病では、頭皮の皮膚がところどころ欠けている状態(頭皮の先天性皮膚欠損症)、おへその部分のヘルニア、食道閉鎖症などの消化管の異常、顔つきの特徴などに加えて、後鼻孔閉鎖が特徴的な先天異常のひとつとして報告されることが報告されています[6]。ある症例対照研究では、母体甲状腺機能亢進症に対して妊娠中にメチマゾール治療を受けた群と後鼻孔閉鎖との関連が示されましたが、著者らは母体疾患そのものが原因である可能性も指摘しています[7]

メチマゾール胎芽病では後鼻孔閉鎖、食道閉鎖、頭皮の先天性皮膚欠損、特徴的な顔貌などが報告されており、他の先天異常症候群との鑑別が必要になることがあります[6]。一方、メチマゾールがCHD7遺伝子の働きや神経堤細胞の移動、レチノイン酸シグナルを介して後鼻孔閉鎖を起こすという機序は、現時点で確立したものではありません。

⚠️ 妊娠初期の抗甲状腺薬について

こうした背景から、妊娠初期(器官がつくられる大切な時期)には、催奇形性のリスクがより低いとされるプロピルチオウラシル(PTU)への変更が、国際的なガイドラインで推奨される根拠のひとつになっています[6]。ただし、甲状腺の病気の治療は、お母さん自身の健康にとっても、赤ちゃんにとっても非常に重要です。自己判断で薬をやめたり変えたりせず、必ず主治医とご相談ください。薬の選択は、妊娠の時期や病状によって専門的に判断されます。

6. 症状の見分け方 ─ 両側性と片側性で全く違う

後鼻孔閉鎖の症状は、両側がふさがっているか片側だけかによって、まったく異なります。この違いを理解する鍵は、新生児は「主として鼻で呼吸する」という、赤ちゃん特有の体のしくみにあります[1]

💡 用語解説:絶対的鼻呼吸者(ぜったいてきびこきゅうしゃ)

新生児・乳児は主として鼻呼吸を行い、鼻閉の影響を受けやすい時期です。従来「絶対的鼻呼吸者」と表現されることがありますが、完全に口呼吸が不可能という意味ではありません。両側性の後鼻孔閉鎖では、鼻呼吸が妨げられるため出生直後から重い呼吸障害を生じうります[1]

両側性 ─ 出生直後の呼吸困難(緊急)

両側の後鼻孔がふさがっていると、赤ちゃんは生まれた直後から鼻で息ができず、重い呼吸困難(呼吸窮迫)を起こします。これは耳鼻咽喉科の急性の緊急事態として扱われます[1]。特徴的なのが「奇異性チアノーゼ(きいせいチアノーゼ)」と呼ばれる現象です。安静時や授乳時には気道がふさがって唇や顔が青くなる(チアノーゼ)のに、赤ちゃんが苦しくて大泣きして大きく口を開けた瞬間だけ、口から空気が入ってチアノーゼがすっと消える——という、泣くと楽になり、泣きやむとまた苦しくなる、という一見ふしぎな周期をくり返します[1]

また、赤ちゃんは哺乳と呼吸を同時に行えないため、授乳のたびにむせたり、息が詰まったりするエピソードも、軽い例や部分的な狭窄の場合の初期のサインになります[1]

片側性 ─ 慢性の片鼻づまり(後で発見も)

一方、片側だけの後鼻孔閉鎖では、健康な側の鼻がちゃんと通っているため、新生児期に重い呼吸困難を起こすことはまれです[1]。多くは乳幼児期を症状のないまま過ごし、学童期や、ときには大人になってから初めて診断されることもあります。症状としては、閉鎖している側からの慢性的な膿のような、あるいは粘り気のある鼻水(片側だけ)、いびき、くり返す副鼻腔炎、片側の完全な鼻づまりなどです[1]

⚠️ 片側の鼻水がずっと続くとき

片側性の後鼻孔閉鎖は、鼻の中の異物や慢性の鼻炎とまちがえられやすい病気です。片側だけの膿のような鼻水が長く続き、ふつうの治療でよくならない場合は、後鼻孔閉鎖を疑って専門的に調べる必要があります[2]。気になる症状があるときは、耳鼻咽喉科を受診してください。

7. 診断と検査 ─ カテーテル・内視鏡・CT

診断は、病歴の聴き取りと簡単な診察から始まります。ベッドサイドでできる簡便な方法として、鼻の下に金属の小さな鏡を当てて息で曇るかを見る「ミラーテスト」や、綿を近づけて空気の動きを見る「綿花テスト」があります[1]。また、細い吸引カテーテルを鼻から入れてみる方法も有用で、正常なら奥まで通るカテーテルが、後鼻孔閉鎖があると鼻の入り口から3〜3.5cmほどの深さで硬い抵抗にぶつかって進まなくなります[2]

確定診断 ─ 内視鏡とCT

診察で異常が疑われたら、確定診断の基本になるのが鼻の内視鏡検査です。鼻の充血を取る薬を使ってから内視鏡を入れることで、閉鎖している部分を直接見ることができ、鼻茸(はなたけ)や重い鼻中隔のゆがみ、鼻の腫瘍といった「まぎらわしい別の病気」をその場で除外できます[1]

そして、手術を計画するうえで欠かせないのがCT検査(コンピュータ断層撮影)です。CTは、閉鎖板が骨なのか膜なのか、厚さはどれくらいか、頭蓋底との立体的な位置関係はどうか、ほかに顔面の異常がないか、といったことを正確に評価できます[1]。とくに、後鼻孔閉鎖では鋤骨(じょこつ)という鼻の奥の骨が厚くなっていることが多く、また翼状突起という骨が内側に寄っていることが、鼻腔の狭さを物理的に強めていることが分かります[1]。一方、MRI検査は軟らかい組織を見るのは得意ですが、骨の境目がはっきり写らないため、後鼻孔閉鎖では基本的には第一選択にはなりません。

まちがえやすい病気(鑑別診断)

新生児の鼻づまりを起こす、ほかの先天的な病気ときちんと見分けることも大切です。もっとも注意すべき鑑別が先天性鼻梨状口狭窄症(せんてんせいびりじょうこうきょうさくしょう/CNPAS)です。これは、後鼻孔閉鎖が「鼻のいちばん奥」の問題であるのに対し、CNPASは「鼻のいちばん前(梨状口)」が狭くなる病気で、閉塞の場所がまったく異なります。CTで区別できます。

🔎 後鼻孔閉鎖とまちがえやすい病気

病気の名前 つまる場所 主なCT所見・特徴
後鼻孔閉鎖 鼻の奥(後鼻孔) 鋤骨の肥厚、翼状突起の内側偏位、奥での骨・膜性の閉塞
先天性鼻梨状口狭窄症(CNPAS) 鼻の前方(梨状口) 上顎骨の突起が過成長し前の入り口が狭い。単一の中切歯を伴うことも
脳瘤(のうりゅう) 鼻腔内(正中付近) 頭蓋底の骨欠損を伴う軟部組織の腫瘤。髄液漏の可能性
Binder症候群 鼻腔全体 中顔面の著しい低形成を伴う鼻腔の狭さ

※鼻腔内に腫瘤が疑われ、頭蓋内とつながっている可能性がある場合には、MRIの適応が検討されます[1]

8. 手術と術後管理 ─ 内視鏡手術と「再狭窄」との戦い

後鼻孔閉鎖の根本的な治療は手術です。目的は、気道(空気の通り道)を作り直すことと、正常な顔面・頭蓋の発育を妨げないことです[1]。両側性の場合は、生まれてすぐの気道確保が必須で、口から空気の通り道を確保する器具(McGovernニップルや経口エアウェイ)が使われ、それでも難しい場合は気管挿管が選ばれます[1]

手術のタイミングは、片側性か両側性かで異なります。両側性は気道の緊急事態のため、全身状態が落ち着いたのを確認したうえで、生後まもなく(早期)の手術が支持されます[8]。一方、片側性はすぐに命にかかわらないため、赤ちゃんの顔面が成長して手術の視野が広がる生後6ヶ月以降まで、あるいは学童期まで待って行うのが一般的です[8]

手術の進化 ─ 口蓋からのアプローチから、鼻からの内視鏡へ

20世紀の後半までは、口の中の硬口蓋(こうこうがい)を切り開いて閉鎖板に到達する「経口蓋(けいこうがい)アプローチ」が主流でした。閉鎖板を直接見られる利点がありましたが、成長期の子どもに行うと、口と鼻がつながる穴(口蓋瘻)ができるリスクや、上顎の成長中枢を傷つけて顔の骨格のゆがみやかみ合わせの異常を引き起こす、という重大な欠点がありました[1]

現在では、内視鏡の技術と細い手術器具の進歩によって、鼻から内視鏡を入れて行う「経鼻内視鏡下アプローチ」が世界的な標準治療になっています[1][8]。この方法は、口蓋の成長を妨げずに、拡大した視野で閉鎖板をていねいに処理でき、出血や体への負担を減らし、入院期間を短くできる、という大きな利点があります[1]。後で紹介する国際的なガイドラインでも、歴史的な経口蓋アプローチは推奨されず、経鼻内視鏡下修復術が最適な技術として全会一致で推奨されています[8]

経鼻的な盲目穿刺1851年〜(Emmert)
経口蓋アプローチ20世紀中盤〜/成長への影響
経鼻内視鏡下手術現在の標準治療

現代の工夫 ─ 粘膜フラップとレーザーを避ける流れ

経鼻内視鏡下手術では、閉鎖板を削って取り除く必要があります。かつてはレーザーなどのエネルギー機器も使われましたが、周囲の健康な粘膜や骨に熱の損傷を与え、組織の壊死や治りの遅れにつながる懸念が指摘されています[9]。そのため、現在の多くの小児耳鼻咽喉科医は、冷却しながら使えるドリルなど、熱を出さない器具を選び、なめらかで整った新しい後鼻孔(neochoana)を作ることを重視しています[9]

手術の成功のもうひとつの鍵が粘膜フラップ(粘膜の弁)の技術です。骨の閉鎖板をただ削り抜くだけだと、削られた骨の面がむき出しになり、その後の治りの過程で過剰な肉芽(にくげ/治ろうとしてできる盛り上がった組織)や瘢痕(はんこん/きずあと)ができて、高い確率で通り道が再びふさがってしまいます[9]。これを防ぐため、閉鎖板をおおう粘膜を削る前にていねいにはがして温存し、削って開通させたあとに、その粘膜をむき出しの骨の面にかぶせて敷き詰めます。代表的な手法として「クロスオーバー・セプタルフラップ(鼻中隔の粘膜を反対側へ渡してかぶせる方法)」などがあり、こうした工夫で創面が早く上皮化し、術後の再狭窄のリスクが下がります[11]

術後の最大の課題 ─ 再狭窄(さいきょうさく)

経鼻内視鏡下手術が確立した現在でも、もっとも頻繁に起こり、臨床医を悩ませる合併症が再狭窄(一度作った通り道が再びふさがってくること)です。文献によって幅がありますが、再手術が必要になるほどの再狭窄は、最大で約50%にのぼるとも報告されています[11]。再狭窄を起こしやすい要因(リスクファクター)として、次のようなものが知られています[1]

まず両側性であること(手術による組織の傷が広いため)。次に手術時の低月齢・低体重(解剖学的なスペースが極めて狭く、十分な太さの通り道を確保しにくいため)。さらにCHARGE症候群などの症候群の合併(特有の骨格の狭さや治りの異常のため)。そして胃食道逆流症(GERD)です。胃酸が食道を逆流して新しい後鼻孔の粘膜に届くと、治りかけの繊細な組織に持続的な刺激を与え、瘢痕化を強く促してしまいます[1]

再狭窄を防ぐための補助的な治療

手術の成功のためには、術後の「治り方」をどう整えるかが、現在の治療の大きな焦点になっています。まずステント(通り道を保つための管)については、かつては長期間入れておくのが標準でしたが、ステント自体が異物として感染や肉芽、瘢痕を引き起こし、皮肉にも再狭窄の原因になることが分かってきました。そのため、前述の粘膜フラップでむき出しの骨を減らし、ステントを使わない(ステントレス)方法が推奨される流れにあります[1][11]。一方で、2017年以降は、成人の慢性副鼻腔炎の治療から応用されたステロイドを少しずつ放出する「生体内分解性ステント」が試みられており、従来のステントで見られた合併症の報告がなく、有望な選択肢として注目されています[11]

また、胃酸の逆流が治りを妨げることを踏まえ、プロトンポンプ阻害薬(PPI)という胃酸を抑える薬を術後に予防的に使う試みが行われています。エソメプラゾールというPPIを用いたランダム化比較試験では、PPIを使わなかったグループの再狭窄率が40%だったのに対し、PPIを使ったグループでは10%にまで下がったと報告されており、術後管理の選択肢として検討されています[10]

💡 用語解説:ランダム化比較試験

患者さんを、くじ引きのようにランダムに2つのグループに分け、片方には調べたい治療を行い、もう片方には行わずに結果を比べる研究方法です。あらかじめ公平に振り分けることで、「たまたま良い人が集まった」といった偏りを減らし、治療の効果を客観的に評価できます。医学のなかでも信頼性の高い研究デザインとされています。

国際的なガイドライン(IPOG 2019)

後鼻孔閉鎖はまれな病気のため、1つの施設で大規模な比較試験を行うのが難しく、これまで個々の医師や施設の経験に頼る部分が大きい領域でした。この状況を改善し、世界的な標準化をはかるため、2019年に国際小児耳鼻咽喉科学会(IPOG)から、世界の専門家の合意にもとづくガイドラインが発表されました[8]。主な推奨は、次のとおりです。

診断では、鼻の内視鏡検査とCT撮影が推奨されること。手術のタイミングは、片側性はできる限り生後6ヶ月以降まで延期すること。手術の第一選択は経鼻内視鏡下修復術であること。そして、手術を終えたら完了ではなく、最低でも1年間の長期のフォローアップを、内視鏡での評価を中心に行うこと——です[8]

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9. 遺伝相談との接点 ─ 後鼻孔閉鎖と遺伝カウンセリング

後鼻孔閉鎖は、耳鼻咽喉科で手術を行う病気であると同時に、遺伝診療とも深く関わる病気です。というのも、これまで見てきたように、後鼻孔閉鎖の約半数はCHARGE症候群をはじめとする遺伝性の症候群を合併しており、その診断や、ご家族の今後を考えるうえで、遺伝の視点が欠かせないからです[1][3]

とくに両側性の後鼻孔閉鎖が見つかったときは、単独の異常なのか、それとも症候群の一部なのかを見きわめることが重要です。CHARGE症候群であればCHD7遺伝子を含む遺伝学的な精査が検討されますし、症候群かどうかによって、合併しうる心臓や耳などの問題への注意の仕方も変わってきます。後鼻孔閉鎖という「顔面の発生のずれ」を入り口に、体の他の部分の発生も一緒に見ていく、という視点が大切になります。

遺伝形式と、次のお子さんのこと

後鼻孔閉鎖が単独で起こる(非症候群性の)場合、その多くは孤発性、つまり偶然生じたものと考えられています。一方、CHARGE症候群のように症候群の一部として起こる場合は、その症候群の遺伝形式にしたがって、次のお子さんやご本人のお子さんへの伝わりやすさ(再発のリスク)が問題になります。CHARGE症候群の原因となるCHD7遺伝子の変化は、多くが新生突然変異(デノボ変異/ご両親には無く、その子で新しく生じた変化)ですが、常染色体顕性(優性)の形式をとるため、ご本人からお子さんへ伝わる可能性は考慮されます。こうした点は、正確な診断があって初めて具体的に検討できます。

💡 用語解説:新生突然変異(デノボ変異)

「デノボ(de novo)変異」とは、ご両親の遺伝子には無いのに、お子さんで新しく生じた遺伝子の変化のことです。日本語では「新生突然変異」と呼びます。ご両親のどちらにも同じ変化が無いため、多くの場合、次のお子さんで同じことがくり返される確率は高くありません。ただし、まれにご両親の生殖細胞の一部にだけ変化がある場合(生殖細胞系列モザイク)もあり、実際のリスクは専門的な評価が必要です。

当院では、遺伝子や染色体に関わる検査の前後で、臨床遺伝専門医遺伝カウンセリングを行っています。話し合う内容は、検査で何が分かり何が分からないのか、見つかった変化がご本人やご家族にとってどういう意味を持つのか、次のお子さんのことをどう考えるか、といった点です。検査を受けるかどうかを含め、決めるのはご本人・ご家族であり、私たちは中立の立場で判断材料を整理する役割を担います。

なお、仲田院長は成人を診療する臨床遺伝専門医であり、後鼻孔閉鎖そのものの手術や小児の周術期管理は、小児の耳鼻咽喉科・専門施設が担当します。この記事は、後鼻孔閉鎖という病気を「遺伝子や発生のしくみからどう理解するか」という視点で整理したものです。実際の治療については、担当の医療機関にご相談ください。

10. よくある誤解

誤解①「鼻づまりだから、そのうち治る」

後鼻孔閉鎖は、鼻の奥が骨や膜で構造的にふさがっている病気で、自然に開通することは基本的にありません。とくに両側性は出生直後の呼吸困難に直結し、手術が必要です。ふつうの鼻づまりとは区別して考える必要があります[1]

誤解②「閉鎖板はほとんど骨だ」

かつては「90%が骨性」と言われましたが、近年のCT・組織の研究では、骨と膜の混合性が最多(約71%)で、純粋な骨性は約29%とされています。手術では膜だけでなく骨を削る操作が必要になることが多いのです[2]

誤解③「後鼻孔閉鎖だけの問題だ」

後鼻孔閉鎖の約半数は、CHARGE症候群などの遺伝性の症候群を合併します。とくに両側性では、背景に症候群がないかを調べる視点が大切です。鼻だけでなく、全身を見る必要があります[1][3]

誤解④「手術すれば、それで終わり」

手術後に通り道が再びふさがる再狭窄が、最大で約50%に起こるとされ、術後の管理がとても重要です。ガイドラインでも最低1年の長期フォローが推奨されています[8][11]

よくある質問(FAQ)

Q1. 後鼻孔閉鎖はどれくらいまれな病気ですか?

およそ出生5,000〜9,000人に1人と推定されています。まれな病気ですが、新生児の鼻の先天異常としては最も多いもののひとつで、両側性の場合は出生直後の呼吸困難の主要な原因になります。女児に多く、片側性が両側性の約2倍、片側性のなかでは右側がやや多い、という「2の法則」と呼ばれる傾向が知られています。

Q2. 両側性と片側性で、症状はどう違いますか?

両側性は、生まれてすぐに鼻で息ができず、重い呼吸困難を起こします。泣くと口から息が入って楽になり、泣きやむとまた苦しくなる「奇異性チアノーゼ」が特徴です。片側性は、健康な側の鼻が通っているため新生児期は無症状のことが多く、片側だけの鼻づまりや膿のような鼻水が続くことで、学童期や大人になってから見つかることもあります。

Q3. 後鼻孔閉鎖は遺伝しますか?CHARGE症候群との関係は?

後鼻孔閉鎖の約半数は、CHARGE症候群などの遺伝性の症候群を合併します。CHARGE症候群は主にCHD7遺伝子の変化で起こり、後鼻孔閉鎖はその診断の柱のひとつです。単独で起こる場合は多くが偶然生じたものと考えられますが、症候群の一部の場合は、その症候群の遺伝形式にしたがって次のお子さんなどへの再発リスクが問題になります。正確な診断のうえで、遺伝カウンセリングで具体的に検討します。

Q4. 妊娠中の薬が原因になることはありますか?

あります。妊娠初期に、お母さんの甲状腺の病気の治療に使われる抗甲状腺薬(メチマゾール/カルビマゾール)にさらされると、後鼻孔閉鎖を含む「メチマゾール胎芽病」と呼ばれる先天異常が起こりうることが報告されています。そのため、妊娠初期にはリスクのより低いプロピルチオウラシル(PTU)への変更が推奨される根拠になっています。ただし甲状腺の治療は非常に重要ですので、自己判断で薬を変えず、必ず主治医にご相談ください。

Q5. どんな手術をしますか?術後に気をつけることは?

現在は、鼻から内視鏡を入れて閉鎖している部分を削り、通り道を作り直す「経鼻内視鏡下手術」が世界的な標準です。口蓋を切る昔の方法は、顔の成長への影響から推奨されていません。術後の最大の課題は、通り道が再びふさがる「再狭窄」で、最大約50%に起こるとされます。粘膜フラップの工夫や、胃酸を抑える薬(PPI)などで再狭窄を防ぐ試みが行われ、国際ガイドラインでは最低1年の長期フォローが推奨されています。

🏥 遺伝性の症候群・遺伝子検査のご相談

後鼻孔閉鎖に合併しうる遺伝性の症候群や、遺伝子検査の結果の意味について
お悩みの方は、臨床遺伝専門医が在籍する
ミネルバクリニックにご相談ください。

参考文献

  • [1] Choanal Atresia. StatPearls [Internet]. StatPearls Publishing. 2025. [NBK507724]
  • [2] Kwong KM. Current Updates on Choanal Atresia. Front Pediatr. 2015;3:52. doi:10.3389/fped.2015.00052. PMID:26106591. [PMC4460812]
  • [3] Burrow TA, Saal HM, de Alarcon A, Martin LJ, Cotton RT, Hopkin RJ. Characterization of congenital anomalies in individuals with choanal atresia. Arch Otolaryngol Head Neck Surg. 2009;135(6):543-547. doi:10.1001/archoto.2009.53. PMID:19528400. [PubMed 19528400]
  • [4] A newborn lethal defect due to inactivation of retinaldehyde dehydrogenase type 3 is prevented by maternal retinoic acid treatment. Proc Natl Acad Sci U S A. 2003. [PubMed 14623956]
  • [5] Rdh10 loss-of-function and perturbed retinoid signaling underlies the etiology of choanal atresia. Hum Mol Genet. 2017. [PMC5390677]
  • [6] Methimazole embryopathy: delineation of the phenotype. Am J Med Genet. 1999. [PubMed 10076883]
  • [7] Barbero P, Valdez R, Rodríguez H, et al. Choanal atresia associated with maternal hyperthyroidism treated with methimazole: a case-control study. Am J Med Genet A. 2008;146A(18):2390-2395. doi:10.1002/ajmg.a.32497. PMID:18698631. [PubMed 18698631]
  • [8] Moreddu E, Rizzi M, Adil E, et al. International Pediatric Otolaryngology Group (IPOG) consensus recommendations: Diagnosis, pre-operative, operative and post-operative pediatric choanal atresia care. Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2019;123:151-155. doi:10.1016/j.ijporl.2019.05.010. PMID:31103745. [PubMed 31103745]
  • [9] Urbančič J, Vozel D, Battelino S, et al. Management of Choanal Atresia: National Recommendations with a Comprehensive Literature Review. Children (Basel). 2023;10(1):91. doi:10.3390/children10010091. PMID:36670642. [PMC9856561]
  • [10] ElSalmawy A, Abdelfattah G, Farag T, et al. Role of proton pump inhibitor in healing after choanal atresia repair: a randomized control trial. Egypt J Otolaryngol. 2022;38:44. doi:10.1186/s43163-022-00210-4. [doi:10.1186/s43163-022-00210-4]
  • [11] De Jong RW, Heydari S, Fordham MT. Choanal atresia: a review of contemporary treatment strategies. Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg. 2024;32(6):416-423. doi:10.1097/MOO.0000000000001006. PMID:39150695. [PubMed 39150695]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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