この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。
NIPTで陽性なら確定検査のため羊水検査は必須なの?16週じゃないと羊水検査は受けられない,そこから中絶となると18週くらいになる.辛い.数多くの症例と向き合ってきた中から,羊水検査なしという一つの方向性を東京のミネルバCLが提案します.
ミネルバクリニックは臨床遺伝専門医として年齢などの制限が一切ないNIPTを提供しています。
*ミネルバの症例の中で最も若い陽性例は28歳の18トリソミー(確率としては1/8000程度)です。超音波検査などでは異常がなかったこと、羊水検査で本当に陽性だったことから、「若い人だから必要ない」ということでは決してない、と感じました。ミネルバでは臨床研究としてデーターは解析して言っていますので、積み重なった経験を皆様の診療に反映しています。日本で一番多い症例をこなしてきた専門医だからこその知見でみなさまをサポートいたします。
遺伝子検査は簡単ではありません。そのためのトレーニングをされているのが臨床遺伝専門医です。原理がわかっていないと検査の意味を説明できません。生殖医療に長く携わっていても、遺伝子のことをきちんと理解して遺伝専門医を取っている人は数百人しかいません。別の医療機関で陽性の結果が郵送されてきたのですが、『説明には応じません』と書かれてありましたので、お困りになり相談に来られたこともありました。
ミネルバでは遺伝子の専門医が判定不能などがなぜ起こるのかなど一例一例説明しています。
こうした姿勢でNIPTとしては日本有数の数を臨床遺伝専門医としてこなしていると,いろいろと考えさせられることがあります.
やはり,NIPTで陽性になった場合,羊水検査を受けたくない人たちが多くいるんです.
いろんな理由があります.
まずは,『早期に母体の負担が少ない時点で堕胎を希望する』のでNIPTだけで判断させてほしいというお声です.
これに関しては,ほかのページでも散々,不適当であるとお伝えしているので割愛します.
しかし.
あるNIPTを受けて陽性で中絶した患者さんのお声をきき,考え直すことは出来ないかと数か月悶々としていました.
それは.
本人は21トリソミーでも産みたかったのに,旦那様がダメだということで堕胎した症例です.
そもそもNIPT自体も旦那様の強い希望で受けたそうで、ご本人は「どうせ陰性だからいいや」と思ってNIPTを受けることに同意したそうです。
なのに結果は陽性。
羊水検査は大体16週からなので,そこからFISH法で急いで検査しても約1週間かかります.
堕胎は大体18週くらいとなってしまいますよね.
そうすると,出産と変わらない過程が必要となります.
関連記事:NIPT陽性羊水検査で確定後の人工妊娠中絶
『心臓が動いたまま出てきたのよ.本当に申し訳ないことをした.』と涙を流している女性を前に,わたし自身も36週6日で子供を失ったことがあるので.
どんな形の別れでも,自分で選んだのとそうでないの違いはあったとしても,つらいのは一緒なんですよね.
そう思うと,返す言葉がありませんでした.
そして思ったんです.
低い確率の『NIPTで陽性でも正常のお子さんの可能性』のために,全員にほぼ強制的に羊水検査をしてねってお話しするのはどうなのかなって.
だって,望まない妊娠でどんどん堕胎されてるんですよね,現状.
どうしてNIPT陽性の妊婦さんたちだけ羊水検査をせずに堕胎することを責められなければならないのか?
何の理由もない堕胎は責められなくて,NIPTで陽性になってあかちゃんの病気を理由にした妊娠中絶だけ責められるって
バランスが悪くないですか?
ミネルバではNIPTで21の偽陽性はありません.
そこで.考えました.
うちは,第1世代NIPTと第3世代NIPTの両方で検査しています.※現在は第2世代NIPTもございます
たとえば38歳の女性だとT21は1/162=0.0061の有病率=事前確率となります.
これを感度99.8% 特異度99.9%の検査で検査することを考えてみましょう.
陽性的中率=感度×有病率 / (感度×有病率+(1-有病率)(1-特異度))
陰性的中率=特異度 × (1-有病率) / (特異度×(1-有病率) + 有病率×(1-感度))
X軸に有病率(5%まで),Y軸に陽性的中率(赤),陰性的中率(緑)が示されています.
陰性的中率はほぼ100%となることがわかると思います.
それでは具体的に見ていきましょう.
上の公式で計算すると,T21の場合こうなります.
有病率=1回目のNIPT検査の事前確率.つまり,NIPT検査を受ける前からどの妊婦さんも持っている確率で,各年齢の有病率が青枠に示されています.
これが,NIPT検査で陽性に出ると陽性的中率は赤い枠の中の数字になります.
そうすると,2回目のNIPT検査のときには赤枠のNIPT事前確率の集団に所属することとなります.
これが2回目のNIPT検査の事前確率となりますので,2回目のNIPT検査でさらに陽性になると緑の枠で書かれた数字の陽性的中率となります.
殆ど99.8%以上となりますよね.
第1世代NIPTと第3世代NIPTは,検査の測り方も違いますし,カットオフは検査会社により決められていて,同じNIPTといえど全く同じ検査ではありません.
まったく別のNIPT検査を2つ行うことで陽性的中率がこれくらい高くなるので,羊水検査を省略してもこれなら何とか容認できるのではないかと考えました.
これも表の見方はT21と同じです.
1回のNIPT検査では陽性的中率が40%程度の38歳の妊婦さんでも,2社のNIPT検査で陽性の場合99.8%までNIPTの陽性的中率が上がるのがわかると思います.
というわけで,38歳以上であれば2社のNIPT検査で陽性の場合,羊水検査を省略することは容認しても良いのではないかと考えます.
これも表の見方はT21と同じです.
1回のNIPT検査では陽性的中率が30%程度の38歳の妊婦さんでも,2社のNIPT検査で陽性の場合99.7%まで陽性的中率が上がるのがわかると思います.
というわけで,38歳以上であれば2社のNIPT検査で陽性の場合,羊水検査を省略することは容認しても良いのではないかと考えます.
こういう深い事情があって,アラフォー応援コースを作りました.
2社のNIPTを同時に受けていただき,陽性になった場合の陽性的中率を上げ,より早期に妊娠継続を検討することを可能とするものです.
もちろん,最終的にこれを受けてどうするかはご本人たちが決定することであり,こちらから羊水検査を受けないように勧めるものではありませんのでご注意ください.
アラフォー応援コースは, 第2世代と第3世代の基本検査を行います.
第3世代の検査は通常料金です. 第2世代の検査を2割引きで行います.(申し訳ございません. 第2世代の取り扱い開始したため、前に行っていた半額では大幅に赤字になってしまいましたので,赤字額の縮小のため2割引きでお願いいたします.)
*陽性になった後に別の日に追加する場合は正規料金となります.
*第1世代の基本検査は対象外となります.