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スミス・マギニス症候群とは?原因・症状・治療|東京・ミネルバクリニック

目次

スミス・マギニス症候群とは?原因・症状・治療|東京・ミネルバクリニック

スミス・マギニス症候群とは?
原因・症状・診断・治療を臨床遺伝専門医が解説

この記事でわかること
📖 読了時間:約20分
🧬 染色体微小欠失・神経発達症
臨床遺伝専門医監修

Q. スミス・マギニス症候群とはどのような病気ですか?

A. 17番染色体短腕(17p11.2)の欠失またはRAI1遺伝子の変異により発症する先天性の遺伝性疾患です。
発生頻度は15,000〜25,000人に1人と推定されています。特徴的な顔貌・睡眠障害(メラトニン逆転)・知的障害・自傷行為・セルフハグなどの独特な行動が特徴です。


  • 原因17p11.2欠失(約90%)またはRAI1遺伝子変異(約10%)

  • 主要症状 → 睡眠障害(ほぼ全例)、知的障害、自傷行為、セルフハグ、Lick and Flip

  • 重要な特徴メラトニン分泌リズムの逆転:日中に眠く、夜間に眠れない

  • 診断方法染色体マイクロアレイ検査(CMA)が確定診断のゴールドスタンダード

  • 治療タジメルテオン(HETLIOZ®)がFDA承認済み(日本未承認)

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1. スミス・マギニス症候群とは|基本情報

【結論】 スミス・マギニス症候群(Smith-Magenis Syndrome:SMS)は、17番染色体短腕(17p11.2)の欠失またはRAI1遺伝子の変異により発症する先天性の遺伝性疾患です。1982年にAnn C.M. Smithらにより初めて報告され、その後Ellen Magenisらの研究を経て独立した疾患として確立されました。

この症候群の最大の特徴は、メラトニン分泌リズムの逆転による重度の睡眠障害と、「セルフハグ」「Lick and Flip」などの独特な行動パターンです。これらの特徴は他の発達障害との鑑別に非常に有用です。

スミス・マギニス症候群の遺伝的根拠と臨床像の全体像

💡 用語解説:「ハプロ不全」とは?

通常、遺伝子は父母から1本ずつ、計2コピー持っています。「ハプロ不全」とは、1コピーが欠失または機能しなくなることで、残り1コピーだけでは正常な機能を維持できない状態を指します。SMSの主要な臨床像はRAI1遺伝子のハプロ不全によって引き起こされます。

スミス・マギニス症候群の概要

項目 内容
疾患名 スミス・マギニス症候群(Smith-Magenis Syndrome:SMS)
OMIM #182290
原因 17p11.2欠失(約90%)またはRAI1遺伝子変異(約10%)
頻度 15,000〜25,000人に1人
遺伝形式 常染色体優性(顕性)(ほぼ全例が新生突然変異)
欠失サイズ 約3.7Mb(共通欠失)
責任遺伝子 RAI1(Retinoic Acid-Induced 1)

⚠️ 診断の遅れに注意

SMSの身体的特徴は乳児期には微細で目立たないことが多く、年齢とともに顕著になります。そのため、自閉スペクトラム障害(ASD)などと誤診されるケースが少なくありません。睡眠リズムの逆転やセルフハグなどの特徴的な行動が見られる場合は、SMSを疑うことが重要です。

欠失型と変異型の違い

SMSの約90%は17p11.2領域の約3.7Mbの欠失(欠失型)、残りの約10%はRAI1遺伝子の点変異やフレームシフト変異(変異型)が原因です。両者には臨床的な差異があります。

欠失型(約90%)

  • 約3.7Mbの共通欠失
  • 低身長がより高頻度
  • 心疾患・腎奇形がより多い
  • 難聴の頻度が高い

変異型(約10%)

  • RAI1遺伝子の点変異
  • 低身長・内臓奇形は少ない
  • 過食・肥満がより顕著
  • 特定の行動特性がより強い

2. スミス・マギニス症候群の主な症状

【結論】 SMSの症状は睡眠障害・知的障害・特徴的な行動異常・身体的特徴の4つの柱で構成されます。特に睡眠障害はほぼ全例に認められ、患者とご家族の生活に最も大きな影響を与えます。

睡眠障害:最も深刻な症状

SMSの睡眠障害はほぼ全例に認められ、単なる「寝付きの悪さ」ではなく、睡眠・覚醒リズムの根本的な崩壊を意味します。

メラトニン分泌リズムの逆転_健常者とSMS患者の比較

😴 睡眠障害の特徴
  • 入眠困難:夜間に眠りにつけない
  • 頻繁な中途覚醒:夜中に何度も目が覚める
  • 極端な早朝覚醒:午前5時30分〜6時30分またはそれ以前に覚醒
  • 日中の過度の眠気:不意に訪れる「睡眠発作」のような居眠り
  • REM睡眠の減少:睡眠構造自体の異常

💡 なぜ睡眠リズムが逆転するのか?

健常者では、松果体からのメラトニン分泌は夜間に上昇し、日中に抑制されます。しかしSMS患者では、RAI1遺伝子の機能不全により日中にメラトニン濃度が高く、夜間に低いという「逆転」が生じます。これが慢性的な「時差ボケ」状態を引き起こします。

特徴的な行動:セルフハグとLick and Flip

SMSには、他の発達障害との鑑別に役立つほど特徴的でユニークな常同行動が存在します。

🤗 セルフハグ(Self-hug)

上半身をきつく抱きしめるように腕を回し、体を揺らす動作。SMSに特異性が非常に高い行動で、喜びや興奮などのポジティブな感情の表現として現れることが多いです。

📖 Lick and Flip

指を舐めて湿らせてから、本や雑誌のページを素早くめくる行動。この「ページめくり」への執着は非常に強く、本の内容より、めくる音や感触自体を楽しんでいるように見えます。

自傷行為と行動上の課題

行動上の課題は年齢とともにエスカレートし、幼児期(18-24ヶ月頃)から顕在化し始め、学童期から思春期にかけてピークを迎える傾向があります。

行動の種類 具体的な行動
自傷行為(SIB) 頭を叩く手を噛む、皮膚をむしる、爪を剥がす(爪甲抜去症)
Polyembolokoilamania 耳、鼻、直腸などの体孔に異物を挿入する行動
攻撃性・爆発的行動 かんしゃく、物への破壊行動、他者への攻撃性
注意欠陥と多動 ADHD診断基準を満たす行動、衝動性

⚠️ 痛覚鈍麻に注意:SMS患者の多くは痛みに対する反応が鈍いことが報告されています。これが自傷行為を助長する要因となっている可能性があり、怪我や感染症の発見が遅れることもあるため注意が必要です。

社会性と対人関係のパラドックス

行動上の激しい課題とは対照的に、SMS患者の多くは非常に愛嬌があり、人を惹きつける魅力的な性格を持っています。

💕 社会性の特徴
  • 他者との社会的交流を強く求める
  • 初対面の人にも人懐っこく接する
  • ユーモアのセンスを発揮することもある
  • 注目が得られないと過度な注目要求行動に転じやすい

この「愛らしさ」と「激しさ」の二面性が、介護者や教育者を困惑させる一因となっています。典型的なASD(社会的孤立を好む傾向)とは対照的であり、これが鑑別のポイントになります。

知的障害と言語発達

SMS患者の大部分は、軽度から中等度の知的障害(IQ 40-70程度)を示します。言語発達においては、表出性言語(話す能力)の遅れが受容性言語(理解する能力)の遅れよりも顕著です。

💡 コミュニケーションのギャップに注意

SMS患者は周囲が話していることを理解している以上に、自分の意思を言葉で表現することに困難を感じています。このコミュニケーションのギャップがフラストレーションの蓄積を招き、爆発的な行動や自傷行為の引き金となることが多いです。

身体的特徴と合併症

SMSの身体的特徴は乳児期には微細で目立たないことが多いですが、年齢とともに顕著になる「進行性」の性質を持ちます。

カテゴリー 特徴・頻度
顔貌 テント状の上口唇、短頭症、下顎の突出(加齢で顕著)、眉毛癒合
成長 乳児期の成長障害 → 小児期後期からの肥満(腹部中心)
骨格 脊柱側弯症(60%以上)、短指症、扁平足
聴覚 聴覚障害(60%以上)、聴覚過敏、反復性中耳炎
視覚 近視、斜視、微小角膜、虹彩異常
発声 嗄声(しわがれ声)、低音の声質
心血管 先天性心疾患(30-45%):VSD、ASD、TOFなど
腎尿路 腎尿路奇形(20-35%):異所性腎、重複腎、水腎症
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【SMSの「愛らしさ」を活かすケア】

SMS患者さんの特徴として、「激しい行動障害」と「人懐っこい愛らしさ」の両面があります。これは介護者を困惑させることもありますが、見方を変えれば大きな強みでもあります。

彼らの社会的な関心の高さや人に近づきたいという気持ちは、適切な支援があれば社会参加への大きな原動力となります。「ルーチンワークへの適応力」と「社交性」を活かした環境を整えることで、充実した生活を送ることが可能です。

診断がついた時点で「大変な病気」と落ち込むのではなく、その子の強みを見つけて伸ばす視点を持っていただきたいと思います。

3. 原因と遺伝的背景|RAI1遺伝子の機能

【結論】 SMSの原因はRAI1遺伝子のハプロ不全です。このタンパク質はCLOCK遺伝子の転写を正に制御しており、その機能低下が概日リズムの崩壊と多彩な臨床症状を引き起こします。

RAI1と体内時計_概日リズム崩壊の分子メカニズム

RAI1遺伝子の機能

RAI1(Retinoic Acid-Induced 1)遺伝子は、発生過程および成体において多くの組織で発現し、転写調節因子として機能するRAI1タンパク質をコードしています。

🧬 RAI1タンパク質の主な機能
  • 概日リズムの制御:CLOCK遺伝子のイントロン1エンハンサーに結合し、転写を促進
  • 神経発達:脳の発達や神経回路形成に必須
  • 骨格形成:骨の発達に関与
  • 脂質代謝:代謝調節に関与(過食・肥満との関連)
  • 視床下部BDNF制御:摂食調節や満腹中枢の機能に関与

概日リズム崩壊のメカニズム

RAI1タンパク質量が不足すると、以下のカスケードが起こります。

⏰ 概日リズム崩壊のカスケード

① RAI1ハプロ不全② CLOCK遺伝子の転写低下③ 下流時計遺伝子群(PER、CRY、BMAL1)の発現制御崩壊④ 視交叉上核(SCN)のリズム破綻⑤ メラトニン分泌パターンの逆転

欠失の発生機序

17p11.2欠失は通常、減数分裂時の相同染色体間での不等交叉によって散発的(新生突然変異)に発生し、家族性の発症は極めて稀です。

💡 用語解説:「新生突然変異(de novo変異)」とは?

両親は正常で、配偶子形成時または受精後初期に新たに発生する変異のことです。SMSの場合、ほぼ全例が新生突然変異であり、両親から変異を受け継ぐケースは1%未満です。

Birt-Hogg-Dubé症候群(BHD)との関連

17p11.2領域の欠失には、BHD症候群の原因遺伝子であるFLCN(フォリキュリン)遺伝子も含まれています。

⚠️ 成人期の癌サーベイランスが重要

SMSの典型的な欠失を持つ患者は、生まれつき片方のFLCN遺伝子を欠失している状態にあります(Two-Hit仮説の「First Hit」)。生涯を通じて、残るもう一方のFLCN遺伝子に体細胞変異(Second Hit)が発生すると、肺気胸や腎腫瘍(特に腎細胞癌)のリスクが高まります。成人したSMS患者では、定期的な腎臓のスクリーニング検査が推奨されます。

4. スミス・マギニス症候群の診断方法

【結論】 SMSの確定診断には染色体マイクロアレイ検査(CMA)が第一選択です。CMAで欠失が検出されない場合、RAI1遺伝子のシーケンス解析が必要です。従来のG分染法では微小欠失を検出できないため注意が必要です。

診断のきっかけとなる臨床所見

以下のような所見の組み合わせがある場合、SMSを疑います。

🔍 SMSを疑う臨床所見
  • 睡眠リズムの逆転:日中の過度の眠気、夜間の不眠・早朝覚醒
  • セルフハグ:上半身をきつく抱きしめる独特の常同行動
  • 発達遅滞:特に言語発達の遅れ(表出性言語障害)
  • 自傷行為:頭を叩く、手を噛む、爪を剥がすなど
  • 特徴的顔貌:テント状の上口唇、嗄声
  • 過度な人懐っこさ:ASDとは対照的な社会性の高さ

遺伝学的検査の種類

検査方法 特徴 SMS検出
染色体マイクロアレイ(CMA) ゴールドスタンダード。数kb〜数Mbの微細CNVを高解像度で検出 ◎ 欠失型を検出
FISH法 17p11.2プローブを使用。迅速な確認に有用 ◎ 欠失型を検出
RAI1シーケンス解析 RAI1遺伝子の点変異を検出 ◎ 変異型を検出
G分染法(核型分析) 解像度は5〜10Mb程度 ✕ 検出困難

鑑別診断

SMSは症状の重複により他の疾患と誤診されることがあります。

疾患 共通点 鑑別のポイント
プラダー・ウィリー症候群 筋緊張低下、肥満、知的障害 SMSでは睡眠リズム逆転・セルフハグあり
ウィリアムズ症候群 高い社会性、人懐っこさ、心疾患 SMSでは妖精様顔貌・高Ca血症なし
自閉スペクトラム障害 常同行動、発達遅滞 SMSでは社会的関心が非常に高い(ASDは孤立傾向)
22q11.2欠失症候群 心疾患、発達遅滞 SMSでは口蓋裂・免疫不全は稀

お子さんの発達や睡眠に不安がありますか?

原因不明の発達遅滞や睡眠障害には遺伝学的検査が有効です。
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5. 治療と長期管理

【結論】 SMSには根本的な治療法は存在せず、症状に応じた対症療法と生涯にわたる包括的支援が中心となります。睡眠障害に対してはタジメルテオン(HETLIOZ®)がFDA承認を取得しており、新たな選択肢となっています。

睡眠障害の治療:最優先課題

睡眠の改善は、患者の行動安定化と家族の疲労軽減のために最優先されるべき課題です。

🌙 夜の介入

  • タジメルテオン(HETLIOZ®)
  • メラトニン受容体作動薬
  • FDA承認済み(日本未承認)
  • 総睡眠時間20-30分延長

☀️ 朝の介入

  • β遮断薬(アセブトロール)
  • 日中の不適切なメラトニン分泌を抑制
  • 日中の覚醒度を高める

💡 環境調整も重要

夜間の徘徊や異食を防ぐため、物理的に安全な環境を確保することが重要です。囲い付きベッド(enclosed bed systems)の使用は、患者に安心感を与えつつ、夜間の安全を確保する有効な手段として多くの家族に採用されています。

行動障害への対応

従来の「報酬と罰」に基づく行動療法は、SMS患者には効果が限定的である場合が多いです。

🧠 行動療法のポイント
  • トリガーの特定と回避:騒音、スケジュール変更などの環境要因を特定
  • 視覚的スケジュール:見通しを持たせることで不安を軽減
  • 感覚統合療法:感覚入力のニーズに対応
  • 中立的な態度:介護者が感情的に反応しないことで注目要求行動のエスカレートを防ぐ

薬物療法

症状 薬物療法 注意点
攻撃性・易刺激性 リスペリドン、アリピプラゾール 体重増加・眠気に注意
ADHD症状 メチルフェニデート、アトモキセチン、グアンファシン 刺激薬は不眠・攻撃性悪化リスク
感情の起伏 バルプロ酸、リチウム 定期的な血中濃度モニタリング

年齢別の医学的管理

時期 推奨される検査・管理
診断時(初回) 心エコー、腎超音波、眼科・耳鼻科検診、脊椎X線、発達評価
年次/継続 甲状腺機能・脂質検査、眼科・聴覚サーベイランス、側弯モニタリング、便秘管理
成人移行期(20歳以降) 腎臓画像検査(MRI推奨):BHD関連腎癌スクリーニング、3年ごと

最新の研究動向

近年、SMSの治療に関する研究が進んでいます。

🔬 最新研究トピック
  • CRISPRa遺伝子治療:2023年、マウスで残存RAI1遺伝子の発現増強により症状改善を確認
  • GLP-1受容体作動薬:セマグルチドで肥満・食行動改善の症例報告(2025年)
  • BDNF経路ターゲット:視床下部BDNF経路を標的とした治療の可能性

6. 遺伝カウンセリングの重要性

【結論】 SMSはほぼ全例が新生突然変異で発症し、家族性の発症は極めて稀です。遺伝カウンセリングでは、再発リスク、長期予後、家族支援について正確な情報を提供することが重要です。

再発リスク

状況 次子への再発リスク
両親とも正常(新生突然変異) 1%未満(生殖細胞モザイクの可能性はわずかにあり)
片親がモザイク保因者 1-50%(モザイクの程度による)
患者本人が子どもを持つ場合 50%(常染色体優性遺伝)

💡 ポイント

SMSのほぼ全例(99%以上)は新生突然変異によるものです。両親から変異を受け継ぐケースは極めて稀であり、「親のせいではない」ことを明確に伝えることが遺伝カウンセリングで重要です。

家族支援の重要性

SMSの睡眠・行動上の問題は家族の生活に大きな影響を与えます。親は慢性的な睡眠不足に陥りがちで、燃え尽き症候群やうつ状態のリスクがあります。

👨‍👩‍👧 家族へのサポート
  • レスパイトケア:一時預かりサービスの活用で休息を確保
  • サポートグループ:PRISMS(国際的支援団体)などへの参加
  • カウンセリング:親のメンタルヘルスケア
  • きょうだい支援:兄弟姉妹への心理的サポート
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【家族全体を支えるということ】

臨床遺伝専門医として、SMS患者さんのご家族と向き合う中で強く感じるのは、「患者さん本人だけでなく、家族全体を支える視点」の重要性です。

睡眠障害と行動上の問題は、介護する親御さんを極度の疲労状態に追い込みます。「この子のために頑張らなくては」という思いが強いほど、自分のことを後回しにしがちです。

私は遺伝カウンセリングの場で、「親御さんが倒れてしまっては元も子もない」ということを必ずお伝えしています。レスパイトサービスの利用や、サポートグループへの参加を積極的に検討してほしいと思います。

また、適切な治療と支援があれば、SMS患者さんは80代後半まで生存した報告もあり、長寿を全うすることは可能です。長い目で見た生活設計を一緒に考えていきましょう。

7. 出生前診断について|NIPTと確定検査

【結論】 SMSは出生前診断で検出可能です。当院のNIPTでは17p11.2欠失(SMS領域)を含む12種類の微小欠失をスクリーニングできます。確定診断には羊水検査・絨毛検査でのCMAが必要です。

ミネルバクリニックのNIPTで検出可能な微小欠失

当院のNIPTでは、12種類の微小欠失症候群をスクリーニングできます。SMSの原因である17p11.2欠失も検査対象です。

🧬 12種類の微小欠失

1p36欠失
2q33欠失
4p16欠失
5p15欠失
8q23q24欠失
9p欠失
11q23q25欠失
15q11.2-q13欠失
17p11.2欠失(SMS)
18p欠失
18q22q23欠失
22q11.2欠失

出生前検査での検出方法

検査 特徴 SMS検出
NIPT(微小欠失検査) 採血のみ、非侵襲的。COATE法採用 ◎ スクリーニング可能
羊水検査+CMA 侵襲的だが確定診断が可能 ◎ 確定診断
絨毛検査+CMA 妊娠初期(11〜14週)に実施可能 ◎ 確定診断

⚠️ 重要:NIPTはスクリーニング検査であり、確定診断には羊水検査または絨毛検査が必要です。NIPTで陽性となった場合は、必ず確定検査を受けてください。

8. ミネルバクリニックのサポート体制

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の専門性を活かした診療体制を整えています。SMSを含む染色体異常の検査から、結果説明、フォローまで一貫してサポートいたします。

🔬 高精度な検査技術

スーパーNIPT(第3世代)とCOATE法を採用。17p11.2欠失を含む微小欠失検査も対応可能です。

🏥 院内で確定検査まで対応

2025年6月より産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査も院内で実施可能に。転院の必要がなく、心理的負担を軽減できます。

👩‍⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐

臨床遺伝専門医が検査前後の遺伝カウンセリングを担当。結果の説明から今後の選択肢まで、専門家が寄り添います。

💰 互助会で費用面も安心

互助会(8,000円)により、陽性時の確定検査(羊水検査)費用を全額カバー上限なしで安心です。

一人で悩まず、専門医を頼ってください

スミス・マギニス症候群について詳しく知りたい方、
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よくある質問(FAQ)

Q1. スミス・マギニス症候群はどのくらいの頻度で発症しますか?

発生頻度は15,000〜25,000人に1人と推定されています。ただし、診断技術の発達前は見過ごされるケースが多く、実際にはより高い頻度で存在する可能性が指摘されています。

Q2. SMSは遺伝しますか?

ほぼ全例(99%以上)が新生突然変異で発症し、両親から変異を受け継ぐケースは極めて稀です。常染色体優性遺伝ですが、家族性の発症はほとんどありません。ただし、SMS患者本人が子どもを持つ場合は50%の確率で遺伝します。

Q3. セルフハグとは何ですか?

セルフハグは、上半身をきつく抱きしめるように腕を回し、体を揺らす動作です。SMSに非常に特異性の高い行動で、喜びや興奮といったポジティブな感情の表現として現れることが多いです。この行動は他の発達障害との鑑別に役立つ重要な特徴です。

Q4. なぜ睡眠リズムが逆転するのですか?

RAI1遺伝子は体内時計を制御するCLOCK遺伝子の転写を促進しています。SMS患者ではRAI1の機能不全により、この制御が崩れ、メラトニン分泌が「日中に高く、夜間に低い」という逆転パターンになります。これが日中の過度の眠気と夜間の不眠を引き起こします。

Q5. SMSと自閉スペクトラム障害(ASD)の違いは?

最大の違いは社会性への関心です。典型的なASDは社会的孤立を好む傾向がありますが、SMS患者は他者との交流を強く求め、非常に人懐っこい傾向があります。また、睡眠リズムの逆転やセルフハグはSMSに特異的な特徴です。

Q6. 睡眠障害の治療法はありますか?

タジメルテオン(HETLIOZ®)がSMSの睡眠障害に対してFDA承認を取得しています(日本では未承認)。臨床試験では総睡眠時間が20-30分延長し、睡眠の質も改善しました。また、朝にβ遮断薬(アセブトロール)を投与して日中のメラトニン分泌を抑える併用療法も報告されています。

Q7. SMSの人は何歳まで生きられますか?

大規模な統計データは不足していますが、重篤な心疾患や腎不全などがない限り、一般的な知的障害者集団と同程度の平均寿命と考えられています。実際、80代後半まで生存した症例も報告されており、適切な医療管理があれば長寿を全うすることは可能です。

Q8. 成人期に気をつけるべきことはありますか?

17p11.2欠失型のSMS患者は、Birt-Hogg-Dubé症候群(BHD)の原因遺伝子であるFLCNも欠失しているため、成人期に腎癌や肺気胸のリスクがあります。20歳以降は定期的な腎臓のスクリーニング検査(MRI推奨、3年ごと)が推奨されます。また、若年期からの肥満に伴うメタボリックシンドロームや糖尿病にも注意が必要です。

Q9. NIPTでSMSは検出できますか?

当院のNIPTでは、17p11.2欠失(SMS領域)を含む12種類の微小欠失をスクリーニングできます。ただしNIPTはスクリーニング検査であり、陽性となった場合は羊水検査での確定診断が必要です。

Q10. 患者会や支援団体はありますか?

国際的な支援団体としてPRISMS(Parents and Researchers Interested in Smith-Magenis Syndrome)があり、情報提供や家族同士の交流の場を提供しています。日本国内では特化した患者会は確認されていませんが、発達障害全般の親の会などを通じて情報を得ることも有効です。

🏥 一人で悩まないでください

スミス・マギニス症候群について心配なこと、検査を受けるかどうか迷っていること、
どんなことでもお気軽にご相談ください。
臨床遺伝専門医があなたとご家族に寄り添います。

参考文献

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プロフィール

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科・腫瘍学を軸に、 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。 出生前診断・遺伝学的検査においては、検査結果そのものだけでなく 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年、国際誌『Global Woman Leader』および『Medical Care Review APAC』の2誌で立て続けに表紙(Cover Story)に抜擢。 「日本のヘルスケア女性リーダー10名」や「アジア太平洋地域のトップ出生前検査サービス」として、世界的な評価を確立しています。

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