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11q24.1欠失症候群(ヤコブセン症候群)とは|東京・ミネルバクリニック

目次

11q24.1欠失症候群(ヤコブセン症候群)とは|東京・ミネルバクリニック

11q24.1欠失症候群(ヤコブセン症候群)とは?
症状・原因・診断・治療を臨床遺伝専門医が解説

この記事でわかること
📖 読了時間:約20分
🧬 染色体末端欠失・多系統疾患
臨床遺伝専門医監修

Q. 11q24.1欠失症候群(ヤコブセン症候群)とはどのような病気ですか?

A. 11番染色体長腕(11q)の遠位端が欠失することで生じる、稀少な連続遺伝子欠失症候群です。
1973年にデンマークの遺伝学者ペトラ・ヤコブセンによって初めて報告されました。特徴的な顔貌、先天性心疾患、血小板減少症(パリ・トルーソー症候群)、発達遅滞を主症状とし、多系統にわたる合併症を呈します。


  • 原因11番染色体長腕末端(11q23.3~qter)の欠失(7~20 Mb)

  • 主要症状 → パリ・トルーソー症候群(95%)、先天性心疾患(50-56%)、発達遅滞(ほぼ全例)

  • 重要な特徴左心低形成症候群(HLHS)が5~10%と高頻度(一般人口の250~500倍)

  • 診断方法染色体マイクロアレイ検査(CMA)が確定診断のゴールドスタンダード

  • 頻度 → 出生約10万人に1人、女性が男性の約2倍

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1. 11q24.1欠失症候群(ヤコブセン症候群)とは|基本情報

【結論】 11q24.1欠失症候群(ヤコブセン症候群)は、11番染色体長腕の遠位端(11q23.3~qter)が欠失する稀少な染色体異常症です。出生約10万人に1人の頻度で発生し、女性が男性の約2倍罹患します。

1973年にデンマークの遺伝学者ペトラ・ヤコブセンが、均衡型転座を保有する親から不均衡型染色体再編成を受け継いだ複数の児において初めて報告しました。本症候群は「連続遺伝子欠失症候群」であり、欠失領域に含まれる複数の遺伝子のハプロ不全によって多彩な症状が出現します。

💡 用語解説:「連続遺伝子欠失症候群」とは?

染色体の一部が欠失することで、隣接する複数の遺伝子が同時に失われることで生じる症候群です。単一遺伝子疾患とは異なり、欠失サイズや含まれる遺伝子の種類によって症状の重症度や組み合わせが患者ごとに異なります

ヤコブセン症候群の概要

項目 内容
疾患名 11q24.1欠失症候群 / ヤコブセン症候群(OMIM #147791)
別名 Jacobsen Syndrome、11q末端欠失症候群
原因 11番染色体長腕末端(11q23.3~qter)の欠失
欠失サイズ 2.9~20 Mb(典型例は7~16 Mb)
頻度 出生約10万人に1人
性比 女性:男性 ≒ 2:1
遺伝形式 約85%が新生突然変異、約15%が親の均衡型転座由来

⚠️ 女性に多い理由について

本症候群が女性に約2倍多い理由は完全には解明されていませんが、大きな欠失を持つ男性胎児は流産しやすい可能性や、X染色体との相互作用が仮説として挙げられています。

💡 なぜ女性に多い?「X染色体との相互作用」仮説

ヤコブセン症候群が女性に約2倍多い理由として、以下のメカニズムが提唱されています。

  • X染色体による補償効果:女性はX染色体を2本持つため、11q領域の遺伝子と機能的に重複するX染色体上の遺伝子が、欠失の影響を部分的に補償できる可能性があります。
  • 男性胎児の選択的流産:男性はX染色体が1本のため補償機構が働きにくく、大きな欠失を持つ男性胎児は重症化して流産しやすいと考えられています。
  • X染色体不活性化の影響:女性では片方のXが不活性化されますが、一部の遺伝子は不活性化を免れます。これらが11q遺伝子と相互作用している可能性も示唆されています。

※これらはあくまで仮説であり、正確なメカニズムは現在も研究中です。今後のゲノム解析研究により解明が期待されています。

欠失の発生メカニズム

ヤコブセン症候群の染色体欠失は、主に以下の2つのメカニズムで発生します。

新生突然変異(約85%)

  • 両親は正常な染色体を持つ
  • 末端欠失として新たに発生
  • 次子への再発リスクは低い
  • FRA11B脆弱部位が関与することも

親の転座由来(約15%)

  • 親が均衡型転座を保有
  • 減数分裂時の不均衡分離で発生
  • 次子への再発リスクは高い
  • 親の染色体検査が必須

💡 用語解説:「FRA11B脆弱部位」とは?

11q23.3領域には「FRA11B」と呼ばれる葉酸感受性脆弱部位が存在します。この部位にはCCGリピート配列があり、正常では約11コピーですが、脆弱性を示す家系では数百コピーに伸長していることがあります。この不安定な配列が染色体切断の引き金となり、新生突然変異による欠失を引き起こすことがあります。

2. ヤコブセン症候群の主な症状

【結論】 本症候群の4大症状は①パリ・トルーソー症候群(血小板異常)、②先天性心疾患、③発達遅滞・知的障害、④特徴的顔貌です。欠失サイズにより症状の組み合わせや重症度は患者ごとに異なります。

主な症状の出現頻度

症状 頻度 詳細
パリ・トルーソー症候群 95%以上 血小板減少・機能異常、出血傾向
成長障害 75%以上 出生前からの発育不全、低身長
脳の構造異常 約65% 脳室拡大、大脳萎縮、脳梁欠損など
先天性心疾患 50-56% VSD、HLHS、大動脈弁異常など
知的障害・発達遅滞 ほぼ全例 軽度〜最重度、平均IQ約50
特徴的顔貌 ほぼ全例 三角頭蓋、眼間開離、眼瞼下垂など
停留精巣(男児) 36-60% 男性生殖器の異常
消化器異常 約20% 幽門狭窄、十二指腸閉鎖、肛門閉鎖
腎異常 約13% 片側腎形成不全、水腎症、多嚢胞腎

パリ・トルーソー症候群(血液学的異常)

ヤコブセン症候群の最も特徴的な血液学的異常がパリ・トルーソー症候群です。患者の95%以上に認められます。

🩸 パリ・トルーソー症候群の特徴
  • 血小板減少:新生児期から著明、年齢とともにやや改善傾向
  • 血小板機能異常:巨大α顆粒を持つ異常血小板が出現
  • 出血傾向:出血斑、臓器内出血、手術時の止血困難
  • 原因遺伝子:FLI1のハプロ不全による巨核球成熟障害

⚠️ 重要:血小板数が正常化しても、血小板機能異常(巨大α顆粒)は生涯持続します。そのため、抜歯や手術時の出血リスクは消失しません。外科的処置の際は常に血液内科医との連携が必要です。

先天性心疾患

先天性心疾患は患者の50~56%に発生し、本症候群における主要な死亡原因となっています。

❤️ 心疾患の種類
  • 左心低形成症候群(HLHS):5~10%(一般人口の250~500倍)
  • 心室中隔欠損(VSD):最も頻度が高い
  • 大動脈弁・僧帽弁異常:狭窄・閉鎖など
  • その他:心房中隔欠損、大動脈縮窄、右心室二出口など

💡 用語解説:「左心低形成症候群(HLHS)」とは?

左心室、大動脈弁、僧帽弁、大動脈弓が著しく発育不全となる最重症の先天性心疾患です。一般人口での発生率は約0.02%ですが、ヤコブセン症候群では5~10%と極めて高頻度で認められます。新生児期からの緊急心臓外科手術が生存に必須であり、多段階の手術が必要です。

特徴的顔貌

ヤコブセン症候群には診断の手がかりとなる特徴的な顔貌があります。

部位 典型的な所見
頭部 三角頭蓋(前頭縫合早期癒合による額の突出)
眼部 眼間開離、眼瞼下垂、内眥斑皮、下方傾斜した眼瞼裂、虹彩コロボーマ
鼻部 広く平坦な鼻根部、短く上向きの鼻、長い人中
口部 V字型の口、薄い上唇、小顎症、高口蓋
耳部 低位付着、後方回転した耳介、耳瘻孔

神経発達および知的機能

ほぼすべての患者が軽度から最重度にわたる知的障害および全般的な発達遅滞を呈します。

認知機能

  • 平均IQ:約50(重度の知的障害)
  • 欠失12 Mb以上 → 重度ID傾向
  • 正常IQの割合は3%未満

言語・運動発達

  • 受容言語 > 表出言語
  • 約60%が言語コミュニケーション獲得
  • 歩行獲得に数年を要することも

行動特性

  • 自閉スペクトラム症:約43%
  • 注意欠如・多動性(ADHD傾向)
  • 抑うつ・不安障害(高IQ群に多い)

免疫不全

近年の研究で、ヤコブセン症候群が一次性免疫不全症の側面を持つことが明らかになっています。

🛡️ 免疫学的異常
  • 液性免疫:低ガンマグロブリン血症(特にIgM低下)
  • 細胞性免疫:T細胞・B細胞数の減少、T細胞増殖反応低下
  • 臨床症状:反復性の中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎
  • 原因遺伝子:FLI1、ETS1のハプロ不全
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【ヤコブセン症候群の多系統性を理解する】

ヤコブセン症候群は「連続遺伝子欠失症候群」という言葉通り、欠失領域に含まれる多数の遺伝子が同時に失われることで、心臓・血液・免疫・脳・腎臓・骨格など全身の多系統にわたる症状が出現します。

臨床遺伝専門医として私がご家族に必ずお伝えするのは、欠失サイズによって症状の組み合わせや重症度が異なるということです。小さな欠失では血小板減少や三角頭蓋を欠く「部分的なヤコブセン症候群」を呈することもあります。

そのため、アレイCGHで欠失の正確な範囲を特定することが、予後予測や必要な医学的管理を決定する上で極めて重要になります。

3. 原因と遺伝的背景|責任遺伝子

【結論】 ヤコブセン症候群の原因は、11q末端の欠失領域に含まれるFLI1、ETS1、BARX2、BSX、NRGNなどの重要遺伝子のハプロ不全です。欠失サイズは2.9~20 Mbと幅広く、含まれる遺伝子の種類によって臨床像が決まります。

主な責任遺伝子と関連症状

遺伝子座 遺伝子 関連する臨床症状
11q24.3 FLI1 パリ・トルーソー症候群(血小板異常)、免疫不全
11q24.3 ETS1 先天性心疾患(円錐動脈幹異常)、免疫不全
11q24.1 BARX2 三角頭蓋、頭蓋顔面異形成
11q24.2-q24.3 BSX, NRGN 知的障害、神経発達遅滞
11q24.3 ARHGAP32 (RICS) 知的障害、自閉スペクトラム症的特性
11q24-q25 KCNJ1, ADAMTS15 腎異常(腎異形成、腎欠損)
11q24.1 JAM3, THYN1 T細胞分化異常、造血幹細胞機能

FLI1:血液学的異常の中心的遺伝子

FLI1は、パリ・トルーソー症候群の形成に最も重要な遺伝子です。

🧬 FLI1の機能
  • 転写因子:巨核球分化のマスターレギュレーター
  • ハプロ不全の影響:巨核球の成熟停止 → 血小板産生低下
  • 骨髄所見:小型で未熟な巨核球の異常増殖
  • 末梢血:巨大α顆粒を持つ異常血小板の出現

ETS1:心疾患の責任遺伝子

ETS1は心臓の発生、特に円錐動脈幹(心臓流出路)の形成に重要な転写因子です。

💡 ETS1と心疾患のメカニズム

ETS1は心臓流出路の形成に関わる神経堤細胞の遊走と分化を制御しています。この遺伝子が欠失すると、心室中隔欠損、大動脈弁異常、円錐動脈幹異常などが生じます。ゲノム解析により、心臓異常の臨床的に重要な領域は129.03~130.6 Mbに同定されています。

「遺伝子量効果」モデル

近年の研究では、血小板減少症の発現に「遺伝子量効果」が重要であることが示されています。

💡 4遺伝子量効果モデル

ETS1、FLI1、NFRKB、JAM3の4つの血小板関連遺伝子のうち、少なくとも3つが欠失することが、臨床的に有意な血小板減少症の発現に必要であると提唱されています。これにより、同じ11q欠失でも欠失範囲によって血小板異常の有無が異なることが説明できます。

4. ヤコブセン症候群の診断方法

【結論】 ヤコブセン症候群の確定診断には染色体マイクロアレイ検査(CMA)が不可欠です。CMAは欠失の正確な範囲を塩基配列レベルで同定でき、予後予測や合併症のリスク評価に直結します。

診断のきっかけ

以下のような臨床所見の組み合わせがある場合、本症候群を疑います。

🔍 診断を疑う所見
  • 新生児期の血小板減少+先天性心疾患:特徴的な組み合わせ
  • 三角頭蓋+特徴的顔貌:視覚的に判断できる
  • 発達遅滞+多発奇形:原因検索としてCMAを実施
  • 胎児の超音波異常:項部浮腫、心奇形、発育不全

遺伝学的検査の種類

検査方法 特徴 11q欠失の検出
染色体マイクロアレイ(CMA) ゴールドスタンダード。数kb〜数Mbの欠失を高解像度で検出し、正確な切断点を同定 ◎ 確定診断可能
G分染法(核型分析) 大きな欠失(5-10 Mb以上)は検出可能。転座や環状染色体の確認に有用 △ 大きな欠失のみ
FISH法 特定領域のプローブで欠失を確認。親の均衡型転座の検索にも使用 ◎ 検出可能

💡 用語解説:染色体マイクロアレイ(CMA)とは?

CMA(アレイCGH)は、従来のG分染法では検出できない微細な染色体の重複・欠失(コピー数変異:CNV)を検出する検査です。ヤコブセン症候群の診断において、欠失領域に含まれる遺伝子を正確に特定でき、予後予測や合併症リスクの評価に不可欠です。

お子さんの発達や体調が気になっていませんか?

原因不明の発達遅滞、血小板減少、心疾患の原因検索には遺伝学的検査が有効です。
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5. 治療と長期管理

【結論】 ヤコブセン症候群には根本的な治療法は存在せず、症状に応じた対症療法と多職種チームによる包括的管理が中心となります。診断後は直ちに各専門医からなる集学的チームによる評価が必要です。

集学的ケアチームの構成

診療科 優先的な評価・管理項目
小児循環器科 全症例で心エコー検査必須、心疾患の管理、手術計画
血液内科 血小板数・機能の評価、出血予防策、周術期の止血管理
免疫・感染症科 抗体産生能の評価、反復感染への予防的介入、IVIG検討
神経・リハビリ科 発達評価、PT・OT・ST、てんかん管理
内分泌科 成長モニタリング、甲状腺機能・GH分泌不全のスクリーニング
遺伝科 家族への遺伝カウンセリング、再発リスクの評価

周術期管理の特殊性

本症候群患者の手術には、特有のリスクを考慮した高度な管理が必要です。

🩸 出血リスクの制御

  • 血小板数が正常でも止血機能不十分の可能性
  • 血小板輸血の準備が必須
  • 血液内科医によるリスク評価

🫁 麻酔・気道管理

  • 小顎症による気管挿管困難(Difficult Airway)
  • 側弯症による呼吸機能への影響
  • 術後抜管タイミングに注意

🦠 術後感染予防

  • 免疫不全により術後感染は致命的になり得る
  • 強力な予防的抗菌薬投与を推奨
  • IVIG補充療法の検討

予後と生存率

かつて乳幼児期の死亡率は約20%と高かったものの、近年の心臓手術技術の向上周術期管理の進歩により、生存率は飛躍的に向上しています。

📊 予後の改善
  • 乳幼児期死亡率:約20% → 適切な管理で大幅に改善
  • 成人期到達:適切に管理された患者の多くが成人期に達する
  • 最高齢報告例:約50歳(長期生存が可能)
  • 血小板減少:加齢とともに改善傾向(機能異常は持続)

6. 遺伝カウンセリングの重要性

【結論】 ヤコブセン症候群の再発リスク評価と家族計画には、遺伝カウンセリングが不可欠です。特に、親の均衡型転座の有無を確認することが次子のリスク評価に直結します。

再発リスク

状況 次子への再発リスク 対応
両親とも正常
(新生突然変異)
低い(1%未満) 生殖細胞モザイクの可能性はあるが、再発リスクは低い
片親が均衡型転座保因者 高い(理論上最大50%) 出生前診断の適応、着床前遺伝学的検査(PGT)の検討

⚠️ 重要:患児に11q欠失が見つかった場合、必ず両親の染色体検査を行うことをお勧めします。約15%の症例では親が均衡型転座保因者であり、次子への再発リスクが大きく異なるためです。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【遺伝カウンセリングで大切にしていること】

臨床遺伝専門医として2011年からのべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきました。ヤコブセン症候群の遺伝カウンセリングで最も重要なのは、再発リスクの正確な評価です。

新生突然変異(約85%)であれば次子への再発リスクは低いですが、親が均衡型転座保因者(約15%)の場合は状況が大きく異なります。保因者の親ご本人は健康でも、お子さんに不均衡型の染色体異常が生じるリスクがあります。

私は中立的な立場で正確な情報を提供し、ご家族が十分に理解した上で次のステップを決められるようサポートしています。どのような決断をされても、その後も継続的にサポートすることをお約束します。

7. 出生前診断について|NIPTと羊水検査

【結論】 ヤコブセン症候群は出生前診断で検出可能です。NIPTの微小欠失検査で11q23q25欠失を検出できる場合がありますが、確定診断には羊水検査・絨毛検査でのCMAが必要です。

出生前検査での検出方法

検査 検出可能性 備考
NIPT(微小欠失検査) △ スクリーニング ミネルバでは11q23q25 delを検出対象に含む。ただしスクリーニング検査であり確定診断ではない
羊水検査+CMA ◎ 確定診断 Gバンド法では検出できない微小欠失も確定診断可能。※学会指針では原則として超音波での構造異常がある場合などが対象
絨毛検査+CMA ◎ 確定診断 妊娠初期(11〜14週)に実施可能

💡 ミネルバクリニックのNIPTで検出可能な微小欠失

当院のダイヤモンドプランでは、12種類の染色体微小欠失を検査対象としています。11q23q25 del(ヤコブセン症候群)も含まれており、COATE法により高精度な検出が可能です。

出生前診断で見つかった場合の対応

胎児超音波検査で項部浮腫(NT)、発育不全、心奇形、腎異常などが認められた場合、本症候群が鑑別診断に挙がります。

🔍 出生前診断後の対応
  • 遺伝カウンセリング:欠失の意味、予想される症状、予後について説明
  • 両親の検査:均衡型転座保因者かどうかを確認
  • 詳細超音波:心奇形、腎異常などの構造異常を精査
  • 出生後フォロー体制:心臓・血液・発達の管理体制を準備

8. ミネルバクリニックのサポート体制

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の専門性を活かした診療体制を整えています。ヤコブセン症候群を含む染色体異常の検査から、結果説明、フォローまで一貫してサポートいたします。

🔬 高精度な検査技術

COATE法を採用し、11q23q25欠失を含む12種類の微小欠失を検査対象に。陽性的中率99.9%以上の高精度検査です。

🏥 院内で確定検査まで対応

2025年6月より産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査も院内で実施可能に。転院の必要がなく、心理的負担を軽減できます。

👩‍⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐

臨床遺伝専門医が検査前後の遺伝カウンセリングを担当。結果の説明から今後の選択肢まで、専門家が寄り添います。

💰 互助会制度で費用面も安心

互助会制度(8,000円)により、陽性時の確定検査(羊水検査)費用を全額補助。NIPT受検者全員に適用され、上限なしで安心です。

一人で悩まず、専門医を頼ってください

ヤコブセン症候群について詳しく知りたい方、
出生前検査を検討している方は臨床遺伝専門医にご相談ください


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よくある質問(FAQ)

Q1. ヤコブセン症候群はどのくらいの頻度で発生しますか?

出生約10万人に1人の頻度で発生します。これまで世界で約200例程度の報告があります。女性が男性の約2倍多いとされていますが、その理由は完全には解明されていません。稀少疾患ですが、臨床的表現型の多様性や軽症例での診断困難を考慮すると、実際の頻度はやや過小評価されている可能性があります。

Q2. パリ・トルーソー症候群とは何ですか?

パリ・トルーソー症候群は、ヤコブセン症候群患者の95%以上に認められる血液学的異常です。FLI1遺伝子のハプロ不全により巨核球の成熟が障害され、血小板減少と血小板機能異常が生じます。末梢血中には巨大α顆粒を持つ異常な血小板が出現し、血小板数が正常でも止血機能が不十分なことがあります。そのため、抜歯や手術の際には血液内科医との連携が必須です。

Q3. 左心低形成症候群(HLHS)がなぜ高頻度なのですか?

一般人口でのHLHS発生率は約0.02%ですが、ヤコブセン症候群では5~10%と極めて高頻度です。これは欠失領域に含まれるETS1遺伝子が心臓流出路の形成に重要な役割を果たしているためです。ETS1は神経堤細胞の遊走と分化を制御しており、このハプロ不全が円錐動脈幹異常や左心系の発育不全を引き起こします。

Q4. NIPTでヤコブセン症候群は検出できますか?

NIPTの微小欠失検査で11q23q25欠失をスクリーニングすることは可能です。ミネルバクリニックのダイヤモンドプランでは12種類の微小欠失を検査対象としており、11q23q25 delも含まれています。ただし、NIPTはあくまでスクリーニング検査であり、確定診断には羊水検査でのCMAが必要です。

Q5. 子どもがヤコブセン症候群と診断されました。次の子も同じ病気になりますか?

再発リスクは欠失の発生原因によって大きく異なります。約85%は新生突然変異であり、この場合の次子への再発リスクは1%未満と低いです。一方、約15%は親の均衡型転座由来であり、この場合は再発リスクが高くなります。必ず両親の染色体検査を行い、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。

Q6. ヤコブセン症候群の治療法はありますか?

根本的な治療法は現時点で存在しません。治療は症状に応じた対症療法が中心です。先天性心疾患には心臓外科手術、血小板減少には必要に応じて血小板輸血、発達遅滞には早期療育(PT・OT・ST)、免疫不全には予防的抗菌薬やIVIGが行われます。多職種チームによる包括的な長期管理が重要であり、近年は適切な管理により多くの患者が成人期に達しています。

Q7. ヤコブセン症候群の患者はどのくらい長生きできますか?

かつては乳幼児期の死亡率が約20%と高かったものの、心臓手術技術と周術期管理の進歩により予後は大幅に改善しています。適切に管理された患者の多くが成人期に達しており、報告されている最高齢は約50歳です。血小板減少は加齢とともに改善傾向を示しますが、血小板機能異常(巨大α顆粒)は生涯持続するため、手術時には常に注意が必要です。

Q8. 日本にヤコブセン症候群の患者会はありますか?

日本国内にヤコブセン症候群に特化した患者会は現時点で確認されていません。海外では米国の「11q Research & Resource Group」などの団体があり、情報提供や家族同士の交流の場を提供しています。日本では難病情報センターや染色体異常全般を扱う親の会を通じて情報を得ることも有効です。ミネルバクリニックでは遺伝カウンセリングを通じて、ご家族への情報提供や心理的サポートを行っています。

この記事を書いた医師

仲田洋美院長

ミネルバクリニック 院長

仲田 洋美

医学博士・臨床遺伝専門医・内科専門医・がん薬物療法専門医

臨床遺伝専門医として2011年からのべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきました。日本で初めて臨床遺伝専門医が開設した遺伝子検査・NIPT専門クリニックであるミネルバクリニックでは、妊婦さんお一人お一人に寄り添った丁寧な遺伝カウンセリングを提供しています。ヤコブセン症候群を含む染色体異常についても、正確な情報提供と心理的サポートを通じて、ご家族が納得のいく決断ができるようお手伝いいたします。

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参考文献

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  3. Favier R, et al. Paris-Trousseau syndrome: clinical, hematological, molecular data of ten new cases. Thromb Haemost. 2003;90(5):893-7.
  4. Ye M, et al. Deletion of ETS-1, a gene in the Jacobsen syndrome critical region, causes ventricular septal defects and abnormal ventricular morphology in mice. Hum Mol Genet. 2010;19(4):648-56.
  5. Mattina T, et al. Jacobsen syndrome. Orphanet J Rare Dis. 2009;4:9.
  6. Online Mendelian Inheritance in Man (OMIM). #147791 JACOBSEN SYNDROME. www.omim.org/entry/147791
  7. GeneReviews. Jacobsen Syndrome. www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1288/
  8. Hart A, et al. Cardiac malformations and midline defects in 11q deletion syndrome. Am J Med Genet. 2001;103(2):97-104.

プロフィール

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科・腫瘍学を軸に、 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。 出生前診断・遺伝学的検査においては、検査結果そのものだけでなく 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年、国際誌『Global Woman Leader』および『Medical Care Review APAC』の2誌で立て続けに表紙(Cover Story)に抜擢。 「日本のヘルスケア女性リーダー10名」や「アジア太平洋地域のトップ出生前検査サービス」として、世界的な評価を確立しています。

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