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遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)とは|東京・ミネルバクリニック

遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)とは|東京・ミネルバクリニック

遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)とは?
症状・原因・診断・治療を臨床遺伝専門医が解説

この記事でわかること
📖 読了時間:約20分
🧬 遺伝性末梢神経障害
臨床遺伝専門医監修

Q. 遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)とはどのような病気ですか?

A. 17番染色体短腕(17p11.2)のPMP22遺伝子を含む約1.5Mbの欠失により、末梢神経が圧迫に対して脆弱になる常染色体優性(顕性)遺伝性疾患です。
軽微な圧迫や外力で腓骨神経麻痺(下垂足)・尺骨神経麻痺・手根管症候群などを繰り返し発症し、多くは数日〜数週間で自然回復します。シャルコー・マリー・トゥース病1A型(CMT1A)とは「鏡像関係」にある疾患です。


  • 原因17p11.2領域(約1.5Mb)の欠失によるPMP22遺伝子のハプロ不全

  • 主要症状 → 反復性の圧迫性単神経麻痺(腓骨神経・尺骨神経・正中神経など)

  • 重要な特徴 → 病理学的にトマキュラ(ソーセージ様ミエリン肥厚)が特徴的所見

  • 診断方法MLPA法・染色体マイクロアレイ(CMA)でPMP22欠失を検出

  • 頻度 → 人口10万人あたり2〜5人(遺伝性ニューロパチーで3番目に多い)

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1. 遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)とは|基本情報

【結論】 遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP: Hereditary Neuropathy with Liability to Pressure Palsies)は、17番染色体短腕17p11.2領域の約1.5Mbの欠失により、末梢神経が軽微な圧迫に対して脆弱になる常染色体優性(顕性)遺伝性疾患です。

「足を組んでいたら足が痺れて動かなくなった」「肘をついていたら指が痺れた」といった、健常者なら一時的な痺れで済む程度の圧迫で麻痺が起こるのが本疾患の特徴です。多くの場合、麻痺は数日から数週間で自然回復しますが、反復することで後遺症が残ることもあります。

第17番染色体における17p11.2の位置

第17番染色体における17p11.2の位置

💡 用語解説:「ハプロ不全」とは?

通常、遺伝子は父母から1本ずつ、計2コピー持っています。「ハプロ不全」とは、1コピーが欠失または機能しなくなることで、残り1コピーだけでは正常な機能を維持できない状態を指します。HNPPではPMP22タンパク質が約50%に減少することで、髄鞘(ミエリン)の安定性が低下します。

HNPPの概要

項目 内容
疾患名 遺伝性圧脆弱性ニューロパチー(HNPP)
別名 トマキュラニューロパチー、家族性圧麻痺性ニューロパチー
原因 17p11.2領域(約1.5Mb)の欠失(80%)、PMP22遺伝子点変異(20%)
頻度 人口10万人あたり2〜5人
遺伝形式 常染色体優性(顕性)遺伝
責任遺伝子 PMP22(Peripheral Myelin Protein 22)
好発年齢 10代〜20代(幼児期〜高齢期まで幅広く発症)

⚠️ シャルコー・マリー・トゥース病1A型(CMT1A)との「鏡像関係」

HNPPとCMT1Aは、同じPMP22遺伝子の異常が原因ですが、真逆の変化によって生じます。CMT1Aは17p11.2領域の重複(duplication)でPMP22が過剰発現し、進行性の筋萎縮を呈します。一方、HNPPは同領域の欠失(deletion)でPMP22が不足し、反復性・一過性の麻痺を呈します。これは「遺伝子用量効果」の典型例として知られています。

歴史的背景

HNPPは、その特徴的な発症状況から歴史的に様々な名称で呼ばれてきました。

🌷 チューリップ球根掘り麻痺

オランダで報告された名称。チューリップ球根を掘る際の膝立ち姿勢が腓骨神経を圧迫し、麻痺を引き起こした事例に由来します。

🥔 ジャガイモ掘り麻痺

農作業で長時間しゃがむ姿勢が神経を圧迫し、麻痺を生じた事例から名付けられました。職業と発症の関連が早くから認識されていました。

2. HNPPの主な症状|反復性圧麻痺から慢性症状まで

【結論】 HNPPの中核症状は反復性の急性圧迫性単神経麻痺です。腓骨神経(下垂足)、尺骨神経(手の痺れ)、正中神経(手根管症候群)などが好発部位で、約50%は完全回復しますが、高齢者では進行性の慢性ニューロパチーを呈することもあります。

典型的な症状:反復性圧麻痺

HNPPでは、神経が骨や靭帯の近くを走行する「絞扼部位」で麻痺が起こりやすくなります。

障害神経 圧迫部位 典型的な誘因 症状
腓骨神経 膝外側(腓骨頭) 足を組む、しゃがむ、正座 下垂足(Foot drop)、下腿外側の感覚消失
尺骨神経 肘部(肘部管) 肘をつく、睡眠中の屈曲 第4・5指の痺れ、握力低下、鷲手変形
正中神経 手首(手根管) 手首の反復使用、睡眠中の屈曲 手根管症候群(母指〜中指の痺れ)
橈骨神経 上腕外側 腕枕(ハネムーン麻痺) 下垂手(Wrist drop)
腕神経叢 肩甲帯 重いリュックサック 上肢全体の筋力低下・痺れ

💡 用語解説:「伝導ブロック」とは?

神経の電気信号が特定の部位で遮断され、そこから先に伝わらなくなる状態です。HNPPでは圧迫部位でミエリン(髄鞘)が変形・脱落し、電気的絶縁が失われることで伝導ブロックが生じます。圧迫が解除されると再髄鞘化が起こり、多くの場合回復します。

発作の経過

📊 麻痺発作の典型的経過
  • 発症:圧迫後、突発的に痺れ・筋力低下が出現(多くは無痛性)
  • 持続:数日〜数週間(長い場合は数ヶ月)
  • 回復:約50%は完全回復、残り50%は軽度の後遺症が残存
  • 再発:同じ部位または別の部位で反復しうる

非典型的症状・慢性症状

すべてのHNPP患者が典型的な「圧麻痺」を呈するわけではありません。

慢性進行性ニューロパチー

  • 特に高齢者で見られる
  • 明確な圧迫エピソードなく進行
  • CMT1Aと臨床的に類似(遠位筋萎縮、感覚障害)

見過ごされやすい症状

  • 慢性疼痛(50〜75%)
  • 疲労感(QoL低下の独立因子)
  • 凹足(ハイアーチ足)(4〜40%)

⚠️ 重要:従来HNPPは「無痛性」とされてきましたが、近年の研究では50〜75%の患者が慢性的な神経障害性疼痛を訴えることが明らかになっています。この痛みは急性の圧迫とは異なり、長期的な神経変性や感作に起因すると考えられています。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【HNPPは「軽い病気」ではない】

HNPPは「麻痺が治れば終わり」ではありません。慢性的な疲労感や疼痛は、筋力低下の程度とは相関せず、患者さんのQoLを著しく低下させます。

「外見上は元気そうに見える」ために周囲の理解が得られにくく、社会的・心理的負担が増大することもあります。医療者として、身体的な症状だけでなく、患者さんの生活全体を見据えたサポートが重要だと考えています。

3. 原因と遺伝的背景|PMP22遺伝子とトマキュラ形成

【結論】 HNPPの約80%は17p11.2領域の約1.5Mb欠失、約20%はPMP22遺伝子の点変異が原因です。いずれもPMP22タンパク質のハプロ不全を引き起こし、髄鞘の安定性低下と特徴的なトマキュラ形成をもたらします。

PMP22遺伝子と染色体構造の脆弱性

17p11.2領域にはCMT1A-REPと呼ばれる低コピー反復配列(LCR)が存在し、減数分裂時に染色体の誤った対合を誘発します。この結果生じる「非対立遺伝子間相同組換え(NAHR)」が、HNPPとCMT1Aの原因となります。

🧬 NAHR(非対立遺伝子間相同組換え)
  • 正常:PMP22遺伝子は各染色体に1つずつ、計2コピー
  • HNPP:1.5Mb領域の欠失1コピー(ハプロ不全)
  • CMT1A:同領域の重複3コピー(過剰発現)

トマキュラの形成機序

HNPPの病理学的特徴は「トマキュラ」と呼ばれるミエリンの局所的肥厚です。

HNPPにおけるトマキュラ(過剰髄鞘形成)の微細構造

HNPPにおけるトマキュラ(過剰髄鞘形成)の微細構造

💡 用語解説:「トマキュラ(Tomacula)」とは?

ラテン語で「ソーセージ」を意味し、ミエリン鞘が局所的に膨らんだ形状を指します。電子顕微鏡ではミエリンラメラ(層)の過剰な折り畳みとして観察されます。一見ミエリンが厚くなっているように見えますが、実際には構造的に脆弱で、圧迫に対して容易に変形・崩壊します。

🔬 トマキュラ形成のメカニズム

PMP22タンパク質の減少 → ミエリン膜間の結合力低下
「漏れやすいミエリン(leaky myelin)」の形成 → イオン透過性亢進
ミエリンの不安定化 → 過剰な折り畳み(トマキュラ形成)
圧迫時にトマキュラが崩壊 → 伝導ブロック・局所脱髄

軸索への二次的障害

トマキュラ内部では軸索が絞扼(constriction)され、活動電位の伝播障害が生じます。長期的には反復する脱髄・再髄鞘化サイクルと持続的な圧迫により、二次的な軸索変性が進行します。これが高齢HNPP患者でCMT様の進行性症状が見られる原因です。

4. HNPPの診断方法|神経伝導検査と遺伝子検査

【結論】 HNPPの診断は詳細な病歴聴取から始まり、神経伝導検査(NCS)で特徴的パターンを確認後、遺伝子検査で確定診断を行います。従来のG分染法では検出できない微小欠失を検出するため、MLPA法または染色体マイクロアレイ検査(CMA)が必要です。

診断のきっかけ

🔍 HNPPを疑うべき状況
  • 軽微な圧迫後の神経麻痺:健常者なら問題にならない程度の圧迫で麻痺が発生
  • 反復性・多発性の単神経麻痺:異なる部位で繰り返し発症
  • 若年での両側性手根管症候群:一般的な手根管症候群とは異なるパターン
  • 家族歴:同様の症状を持つ血縁者の存在(ただし約20%は孤発例)

神経伝導検査(NCS)の特徴的所見

HNPPの電気生理学的所見は「びまん性の背景病変」と「局所的な圧迫病変」の混在として理解されます。

疾患名 MNCV パターン 遠位潜時(DML) 伝導ブロック
HNPP 非一様・局所的(圧迫部位で低下) 顕著に延長 圧迫部位で頻発
CMT1A 一様(全体的に低下 <38m/s) 延長
CIDP 非一様(多巣性・斑状の脱髄) 延長 時間的分散

⚠️ CIDPとの鑑別が重要

慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)は、HNPPと電気生理学的所見が類似し最も誤診されやすい疾患です。CIDPは免疫療法で治療可能な一方、HNPPには無効です。不要な免疫抑制療法を避けるためにも、遺伝子検査による確定診断が必須です。

遺伝学的確定診断

検査段階 検査方法 診断率
第1段階(欠失解析) MLPA法または染色体マイクロアレイ(CMA) 約80%
第2段階(点変異解析) サンガー法または次世代シーケンサー(NGS) 残り約20%

繰り返す神経麻痺でお悩みではありませんか?

HNPPが疑われる場合は遺伝子検査で確定診断が可能です。
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5. 治療と長期管理|予防が最も重要

【結論】 HNPPには根本的な治療法は存在せず、管理の中心は神経圧迫の予防(生活指導・エルゴノミクス)症状に応じた対症療法です。患者自身が疾患を理解し、リスク行動を回避することが最も効果的な「治療」となります。

生活指導(最重要)


HNPP患者のための生活習慣ガイド:神経圧迫を防ぐ姿勢と対策

HNPP患者のための生活習慣ガイド:神経圧迫を防ぐ姿勢と対策(クリックで拡大)

❌ 避けるべき動作

  • 足を組む(腓骨神経圧迫)
  • 肘をつく・頬杖(尺骨神経圧迫)
  • 正座・横座り
  • 重いリュックサック

✅ 推奨される対策

  • 肘・膝パッドの使用
  • リストレスト・エルゴノミクスマウス
  • 夜間の手首スプリント
  • 定期的な姿勢の変更

症状別の治療・対応

症状 対応
下垂足 短下肢装具(AFO)、理学療法
下垂手 手関節スプリント(Cock-up splint)
神経障害性疼痛 プレガバリン、ガバペンチン、三環系抗うつ薬
手根管症候群 夜間スプリント、重症例では慎重に手術検討

⚠️ 外科的治療について:手根管開放術などの手術は一般の患者には有効ですが、HNPP患者では手術自体が神経にストレスを与えるリスクがあります。予防的な手術は推奨されず、保存的治療を十分に試みた後の最終手段として検討されます。

⚠️ 避けるべき薬剤

ビンクリスチンなどの神経毒性を持つ抗がん剤は、HNPP患者で重篤な麻痺を誘発する可能性があります。がん治療が必要な場合は、必ず主治医にHNPPの診断を伝え、代替薬剤の検討を依頼してください。

6. 遺伝カウンセリングの重要性

【結論】 HNPPは常染色体優性(顕性)遺伝であり、患者の子どもは50%の確率で変異を受け継ぎます。一方、約20%は新生突然変異による孤発例です。遺伝カウンセリングでは、遺伝形式・再発リスク・家族への影響を丁寧に説明します。

遺伝形式と再発リスク

状況 次子への再発リスク
片親がHNPP 50%
両親とも正常(新生突然変異) 1%未満(生殖細胞モザイクの可能性はあり)
📋 遺伝カウンセリングで伝えること
  • 予後は一般的に良好:寿命に影響なく、多くは自立した生活が可能
  • 表現型の多様性:同じ変異でも症状の程度は様々(無症状〜重度まで)
  • 予防の重要性:生活習慣の改善で発症リスクを下げられる
  • 血縁者への検査:無症状でも検査で早期発見が可能
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【HNPPの遺伝カウンセリングで大切にしていること】

HNPPは「避ければ発症しない」部分が大きい疾患です。遺伝子検査で診断がついた方には、「何を避ければいいか」を具体的にお伝えすることで、予防的な生活習慣を身につけていただけます。

また、血縁者の方も同じ変異を持っている可能性があります。発症前に診断がつけば、予防的な対策を取ることができます。家族全体で疾患を理解し、適切な対応をとることが、QoL維持につながります。

臨床遺伝専門医として、のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた経験を活かし、丁寧にサポートいたします。

7. 出生前診断について|NIPTと確定検査

【結論】 HNPPの原因である17p11.2欠失は出生前診断で検出可能です。ミネルバクリニックでは12種類の微小欠失を対象としたNIPTを提供しており、17p11.2欠失も検査対象に含まれています。確定診断には羊水検査・絨毛検査が必要です。

出生前検査での検出方法

検査 特徴 備考
NIPT(微小欠失検査) 非侵襲的スクリーニング 17p11.2欠失を含む12種類の微小欠失が対象
羊水検査+CMA 確定診断のゴールドスタンダード 妊娠15週以降に実施
絨毛検査+CMA 妊娠初期に実施可能 妊娠11〜14週に実施

💡 ミネルバクリニックで検査可能な微小欠失(12種類)

1p36欠失、2q33欠失、4p16欠失(Wolf-Hirschhorn症候群)、5p15欠失(猫なき症候群)、8q23q24欠失、9p欠失、11q23q25欠失、15q11.2-q13欠失(PWS/AS)、17p11.2欠失(HNPP)、18p欠失、18q22q23欠失、22q11.2欠失(DiGeorge症候群)

ミネルバクリニックのサポート体制

🔬 高精度な検査技術

スーパーNIPT(第3世代)とCOATE法を採用。17p11.2欠失を含む微小欠失検査にも対応しています。

🏥 院内で確定検査まで対応

2025年6月より産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査も院内で実施可能に。転院の必要がありません。

👩‍⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐

臨床遺伝専門医が検査前後の遺伝カウンセリングを担当。結果の説明から今後の選択肢まで、専門家が寄り添います。

💰 互助会で費用面も安心

互助会制度(8,000円)により、陽性時の確定検査(羊水検査)費用が全額カバーされます。上限なしで安心です。

家族歴がある方、ご心配な方へ

HNPPの出生前診断についてご相談を受け付けています。
臨床遺伝専門医が丁寧にご説明します


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※オンライン診療も対応可能です

よくある質問(FAQ)

Q1. HNPPは治りますか?

根本的な治療法は現時点で存在しませんが、予後は一般的に良好です。急性の麻痺発作は多くの場合自然回復し、生活習慣の改善で発作を予防することができます。神経を圧迫しない姿勢や環境を心がけることが、最も効果的な「治療」となります。

Q2. HNPPとCMT1Aは何が違うのですか?

どちらもPMP22遺伝子の異常が原因ですが、真逆の変化です。CMT1Aは17p11.2領域の重複(3コピー)でPMP22が過剰発現し、進行性の筋萎縮を呈します。一方、HNPPは同領域の欠失(1コピー)でPMP22が不足し、反復性・一過性の圧迫性麻痺を呈します。これは「遺伝子用量効果」の典型例です。

Q3. 子どもに遺伝しますか?

HNPPは常染色体優性(顕性)遺伝であり、患者の子どもは50%の確率で変異を受け継ぎます。ただし、同じ変異を持っていても症状の程度は様々で、無症状の方もいます。詳しくは遺伝カウンセリングでご相談ください。

Q4. 家族歴がなくても発症しますか?

約20%は新生突然変異による孤発例です。両親が健常でも新たに変異が生じることがあるため、家族歴がないことでHNPPを否定することはできません。また、親が無症状の保因者である可能性もあります。

Q5. NIPTでHNPPは検査できますか?

ミネルバクリニックでは17p11.2欠失を含む12種類の微小欠失を対象としたNIPTを提供しています。NIPTはスクリーニング検査であり、陽性の場合は羊水検査での確定診断が必要です。

Q6. 手根管症候群と診断されましたが、HNPPの可能性はありますか?

HNPP患者は両側性の手根管症候群を合併しやすいです。特に若年で発症した場合や、両側性・反復性・複数の神経が障害される場合はHNPPを疑う必要があります。神経伝導検査で特徴的な所見があれば、遺伝子検査をお勧めします。

Q7. HNPPで手術を受けることはありますか?

手根管開放術などの手術は一般的には有効ですが、HNPP患者では手術自体が神経にストレスを与えるリスクがあります。予防的な手術は推奨されず、保存的治療で改善しない重症例に限って慎重に検討されます。

Q8. 日常生活で注意すべきことは何ですか?

足を組まない、肘をつかない、正座を避けることが基本です。デスクワークでは肘パッド・リストレストを使用し、睡眠時は手首スプリントが有効なこともあります。職業選択では、膝立ち作業や重い荷物を背負う仕事は避けることが望ましいです。

🏥 一人で悩まないでください

HNPPについて心配なこと、検査を受けるかどうか迷っていること、
どんなことでもお気軽にご相談ください。
臨床遺伝専門医があなたとご家族に寄り添います。

参考文献

  • [1] Chrestian N, et al. Hereditary Neuropathy with Liability to Pressure Palsies. GeneReviews®. 2020. [NCBI Bookshelf]
  • [2] MedlinePlus (NIH) Genetics. Hereditary neuropathy with liability to pressure palsies. [MedlinePlus]
  • [3] Orphanet. Hereditary neuropathy with liability to pressure palsies. [Orphanet]
  • [4] Koehler PJ. Hereditary neuropathy with liability to pressure palsies: the first publication (1947). Neurology. 2003;60(7):1211-1213. [PubMed]
  • [5] Li J, et al. The PMP22 Gene and Its Related Diseases. Mol Neurobiol. 2013;47(2):673-698. [PMC]
  • [6] Mouton P, et al. Electrodiagnostic features of hereditary neuropathy with liability to pressure palsies. Neurology. 2000;54(1):40-44. [Neurology]
  • [7] Guo J, et al. Literature review of clinical analysis of hereditary neuropathy with liability to pressure palsies. Front Neurol. 2023;14:1255983. [PMC]
  • [8] Gess B, et al. Fatigue in patients with hereditary neuropathy with liability to pressure palsies. J Peripher Nerv Syst. 2020;25(3):299-302. [PMC]
  • [9] Shy ME, et al. Conduction Block in PMP22 Deficiency. J Neurosci. 2010;30(2):600-607. [J Neurosci]
  • [10] Foundation for Peripheral Neuropathy. HNPP – Hereditary Neuropathy with Liability to Pressure Palsies. [FPN]

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プロフィール

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科・腫瘍学を軸に、 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。 出生前診断・遺伝学的検査においては、検査結果そのものだけでなく 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年、国際誌『Global Woman Leader』および『Medical Care Review APAC』の2誌で立て続けに表紙(Cover Story)に抜擢。 「日本のヘルスケア女性リーダー10名」や「アジア太平洋地域のトップ出生前検査サービス」として、世界的な評価を確立しています。

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