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8p23.1微細重複症候群とは?症状・原因・診断|東京・ミネルバクリニック

8p23.1微細重複症候群とは?症状・原因・診断|東京・ミネルバクリニック

8p23.1微細重複症候群とは?
症状・原因・診断・治療を臨床遺伝専門医が解説

この記事でわかること
📖 読了時間:約18分
🧬 染色体微細重複・神経発達症
臨床遺伝専門医監修

Q. 8p23.1微細重複症候群とはどのような病気ですか?

A. 8番染色体短腕(8p23.1)の約3.7Mbの領域が重複することで、発達遅滞、先天性心疾患、特徴的な顔貌を呈する可能性がある染色体微細構造異常です。
8p23.1欠失症候群の相互的疾患で、GATA4・SOX7・TNKSなどの遺伝子の用量効果により症状が生じますが、不完全浸透率のため、重複があっても無症状〜軽症の方も多くいらっしゃいます。

  • 原因8番染色体8p23.1領域(約3.7Mb)の微細重複
  • 三大徴候発達遅滞先天性心疾患(約25〜50%)大頭症などの特徴的顔貌
  • 重要な特徴不完全浸透率・表現型の多様性:同じ重複でも無症状〜重症まで様々
  • 診断方法染色体マイクロアレイ検査(CMA)が確定診断のゴールドスタンダード
  • 頻度 → 推定約1/58,000〜64,000人(希少疾患)

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1. 8p23.1微細重複症候群とは|基本情報

【結論】 8p23.1微細重複症候群は、8番染色体短腕の8p23.1領域(約3.7Mb)が重複する染色体微細構造異常です。発達遅滞、先天性心疾患、大頭症などを特徴としますが、表現型の多様性が非常に大きく、重複があっても無症状〜軽症の方も多いことが特徴です。

「検査で8p23.1重複が見つかった」「お子さんに発達の遅れがある」という方は、この病気について正確な情報を知ることが大切です。この症候群は「不完全浸透」を示し、重複があるからといって必ず症状が出るわけではありません

8p23.1の第8番染色体における位置

💡 用語解説:「不完全浸透率」と「表現型の多様性」

浸透率とは、ある遺伝子変異を持つ人のうち実際に症状が現れる人の割合です。8p23.1重複症候群は不完全浸透を示し、重複を持っていても無症状の方が相当数存在します。さらに、症状が出る場合でも軽度〜重度まで個人差が非常に大きい(表現型の多様性)ことが特徴です。

8p23.1微細重複症候群の概要

項目 内容
疾患名 8p23.1微細重複症候群(8p23.1 duplication syndrome)
別名 Dup(8)(p23.1p23.1)、Trisomy 8p23.1
原因 8p23.1領域の約3.7Mb(30〜60遺伝子を含む)の重複
頻度 推定約1/58,000〜64,000人(希少疾患)
遺伝形式 常染色体優性(顕性)遺伝(不完全浸透)
主要責任遺伝子 GATA4、SOX7、TNKS、XKR6など

⚠️ 8p23.1欠失症候群との違い

8p23.1重複症候群は、同じ領域が欠失する「8p23.1欠失症候群」と相互的(reciprocal)な関係にあります。欠失症候群では小頭症・先天性横隔膜ヘルニア・より重篤な心疾患が高頻度で見られますが、重複症候群では大頭症傾向があり、全体的に欠失より軽症の傾向があります。

ゲノム病としての8p23.1重複症候群

8p23.1領域は、両端に低コピー反復配列(LCR)と呼ばれる類似した配列が存在し、減数分裂時に非対立遺伝子間相同組換え(NAHR)が起こりやすい構造をしています。このNAHRにより、重複または欠失が生じます。

8p23.1領域におけるNAHRによる重複・欠失発生機序

📖 図の見方:NAHRのしくみを分かりやすく解説

【図の構成要素】

  • 青い棒(親染色体):お父さんとお母さんから受け継いだ染色体です
  • 緑の四角(LCR / 反復配列):トラブルの原因となる「よく似た目印」。似ている場所が複数あるため、染色体が相手を間違えやすくなります
  • ピンク/紫の四角(GATA4, SOX7 遺伝子):心臓や体の発達に関わる重要な設計図(遺伝子)です

【上から下へ何が起きているか】

① 上段:「勘違い」の準備
通常、染色体同士はピッタリ同じ位置で並びます。しかし、緑の目印(LCR)が似ているせいで、染色体が位置をズレて認識してしまいます(ボタンの掛け違いのような状態)。

② 中段:交差(情報の交換)
染色体同士が絡み合い、遺伝情報を交換しようとします(これを「交差」と呼びます)。しかし、位置がズレたまま絡まってしまったため、不均等な交換が行われてしまいます。

③ 下段:結果(重複と欠失)
交換が終わった後の結果です。
左側(欠失):重要な遺伝子がごっそり抜け落ちてしまいました → 「8p23.1欠失症候群」の原因
右側(重複):重要な遺伝子が2回繰り返されています → 「8p23.1微細重複症候群」の原因

💡 要するに…
8番染色体には「よく似た目印(LCR)」があるせいで、細胞分裂の時に位置合わせのミス(ボタンの掛け違い)が起きやすい構造をしています。その結果、重要な遺伝子(GATA4など)が増えすぎたり(重複)、なくなったり(欠失)して病気が起こります。

この「増えてしまった(重複)」状態が、今回のテーマである8p23.1微細重複症候群です。

💡 NAHRとは?

非対立遺伝子間相同組換え(Non-Allelic Homologous Recombination)は、染色体上の類似した配列同士が誤って対合・組換えを起こすことで、一方の染色体に重複もう一方に欠失が生じるメカニズムです。22q11.2欠失症候群(DiGeorge症候群)など、多くのゲノム病で共通するメカニズムです。

2. 8p23.1微細重複症候群の主な症状

【結論】 本症候群の症状は発達遅滞(運動・言語)、先天性心疾患(約25〜50%)、大頭症・特徴的顔貌が三大徴候です。ただし、表現型の多様性が非常に大きく、同じ重複を持つ家族内でも症状の程度は様々です。無症状の成人もいれば、重度の発達障害を呈する方もいます。

主要な臨床症状

症状カテゴリー 頻度 詳細
発達遅滞 高頻度(90%以上) 運動発達遅滞、言語発達遅滞、軽度〜中等度知的障害
先天性心疾患 約25〜50% 心房中隔欠損(ASD)、心室中隔欠損(VSD)、肺動脈弁狭窄、Fallot四徴症など
大頭症 一部 頭囲が大きい傾向(欠失症候群の小頭症と対照的)
筋緊張低下 乳児期に多い 哺乳困難、運動発達の遅れにつながることがある
行動・精神面 一部 ADHD、自閉スペクトラム症(ASD)、感情コントロールの問題
口蓋異常 約数割 口蓋裂、高口蓋 → 哺乳困難の原因に
聴覚障害 しばしば 滲出性中耳炎による伝音難聴が多い(成長とともに改善傾向)

神経発達・行動面の特徴

🧠 発達・認知・行動面
  • 運動発達:独歩獲得は平均約21ヶ月(範囲:9ヶ月〜3歳)と報告
  • 言語発達:表出性言語(話す力)の遅れが顕著、受容性言語との乖離
  • 知的発達:軽度〜中等度の学習障害・知的障害を示すことがある
  • 性格傾向:多くは愛想が良く人なつこい性格と報告
  • 行動面:一部でADHD、ASD、感覚過敏、かんしゃくなどの報告

顔貌・身体的特徴

本症候群に特徴的な「顔」は軽微であり、顔貌のみから診断することは困難です。

👤 身体的特徴(一部で報告)
  • 頭部:大頭症(欠失症候群の小頭症と対照的)、前額部の突出
  • 顔面:弓状の眉、幅広い鼻根、眼間開離
  • 口蓋:高口蓋、口蓋裂(哺乳困難の原因に)
  • 四肢:長い親指、足指の部分合指症など

8p23.1重複 vs 8p23.1欠失:臨床的特徴の比較

8p23.1重複対8p23.1欠失症候群の臨床的特徴の比較

8p23.1重複症候群

  • 大頭症傾向
  • 心疾患は約25%(欠失より低頻度)
  • 多くは軽度〜中等度の発達障害
  • 無症状の成人保因者も多い

8p23.1欠失症候群

  • 小頭症傾向
  • 心疾患は高頻度(GATA4ハプロ不全)
  • 先天性横隔膜ヘルニアを合併
  • 全体的に重篤な傾向
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【表現型の多様性をどう理解するか】

8p23.1重複症候群で最も重要なことは、「重複=病気」ではないということです。同じ重複を持つ家族内でも、親は無症状で子どもに発達遅滞がある、あるいはその逆のケースが報告されています。

これは「不完全浸透率」と「表現型の多様性」と呼ばれる現象で、重複が症状を起こす「リスク因子」として働くものの、実際に症状が出るかどうかは他の遺伝的要因や環境要因との組み合わせによって決まります。

出生前診断で見つかった場合、この不確実性をどう受け止めるかはご家族によって異なります。遺伝カウンセリングで丁寧にご説明しています。

3. 原因と遺伝的背景|主要な責任遺伝子

【結論】 本症候群の原因は、8p23.1領域に位置するGATA4・SOX7・TNKSなどの遺伝子の用量効果(過剰発現)です。これらの遺伝子が通常の2コピーではなく3コピーになることで、心臓や脳の発生に影響を及ぼします。

主要な責任遺伝子の機能

💡 用語解説:「用量効果」とは?

通常、遺伝子は父母から1本ずつ、計2コピー持っています。重複があると3コピーになり、遺伝子産物(タンパク質)が通常の1.5倍産生されます。この過剰発現が細胞機能に悪影響を及ぼすことを「用量効果」と呼びます。

遺伝子 主な機能 重複による影響
GATA4 心臓発生・分化に必須の転写因子 先天性心疾患(ASD、VSDなど)のリスク上昇。ただし浸透率は不完全
SOX7 心血管系・造血・初期胚発生に関与する転写因子 発達遅滞、大頭症、心疾患リスクに関与
TNKS テロメア長維持、Wntシグナル制御 知的障害、行動異常(ADHD傾向など)
XKR6 赤血球膜関連タンパク質(機能未解明な部分多い) 他の遺伝子との複合効果の一部と考えられる
MCPH1 脳のサイズ決定に関与 大頭症に関与(欠失では小頭症の原因)

GATA4と心疾患の関係

GATA4は心臓発生において中心的な役割を果たす転写因子です。興味深いことに、欠失でも重複でも心疾患を引き起こす「用量感受性遺伝子」です。

🎯 GATA4重複と心疾患の浸透率

2011年のYuらの研究では、「8p23.1重複を持つ個体では心奇形は頻発所見ではない」と報告されました。GATA4重複があっても心疾患を呈さない例が多く、重複における心疾患の浸透率は欠失より低いと考えられています。

これは、心臓発生において遺伝子産物が「足りない」ことの影響が「多すぎる」ことより深刻であることを示唆しています。

遺伝形式と発症メカニズム

家族性継承(50〜80%)

両親のいずれかから重複を受け継ぐケース。無症状〜軽症の親から発見されることも多く、不完全浸透の典型例。親の表現型が子の予後を保証するわけではありません。

新生突然変異(5〜22%)

両親は正常で、配偶子形成時のNAHRにより新たに発生。両親の検査で正常なら、次子への再発リスクは通常1%未満です。

4. 8p23.1微細重複症候群の診断方法

【結論】 本症候群の確定診断には染色体マイクロアレイ検査(CMA)が不可欠です。従来のG分染法(核型分析)では数Mb以下の微細重複は検出困難です。診断の際は、良性のβ-ディフェンシン遺伝子クラスターCNVとの鑑別が重要です。

診断のきっかけ

🔍 検査を行う場面
  • 原因不明の発達遅滞・知的障害:CMAが第一選択検査
  • 先天性心疾患+発達遅滞:複合所見の原因検索
  • 大頭症+発達の遅れ:鑑別診断として
  • 出生前診断:胎児超音波で心奇形などが指摘された場合

遺伝学的検査の種類

検査方法 特徴 8p23.1重複の検出
染色体マイクロアレイ(CMA) ゴールドスタンダード。数kb〜数Mbの微細CNVを高解像度で検出 ◎ 検出可能
G分染法(核型分析) 解像度は5〜10Mb程度。大きな転座や数的異常を検出 △ 大きな重複のみ検出可能
FISH法 特定領域のプローブを使用。確認検査として有用 ◎ 専用プローブで可能
MLPA法 特定領域のコピー数を定量。比較的安価 ◎ 専用キットで可能

⚠️ 診断の落とし穴:β-ディフェンシン遺伝子クラスターとの鑑別

8p23.1領域にはβ-ディフェンシン遺伝子クラスターという反復配列が存在し、健常者でもコピー数の変動(2〜12コピー)が大きい領域です。この良性のCNVと、病的な8p23.1重複症候群を正確に鑑別することが診断の鍵です。GATA4・SOX7などの重要遺伝子を含む領域まで重複が及んでいるかどうかを確認する必要があります。

お子さんの発達が気になっていませんか?

発達遅滞や心疾患の原因検索には遺伝学的検査が有効です。
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5. 治療と長期管理

【結論】 本症候群には根本的な治療法は存在せず、症状に応じた対症療法・早期療育・継続的支援が中心となります。多職種チームによる包括的アプローチにより、お子さんの可能性を最大限に引き出すことが目標です。

ライフステージ別の管理

ライフステージ 主な対応
新生児期 心エコー検査(心疾患スクリーニング)、哺乳指導、口蓋の評価
乳児期・幼児期(0〜5歳) 発達スクリーニング、早期療育開始(PT・OT・ST)、聴力検査、心疾患フォロー
学童期(6〜12歳) 知能検査・学習評価、特別支援教育の検討、行動面・精神面のサポート
思春期・成人期 移行期医療、就労支援、生活自立支援、精神面のフォロー

症状別の治療・対応

発達遅滞・言語障害

  • 早期療育が最も重要
  • 理学療法(PT)・作業療法(OT)
  • 言語聴覚療法(ST)
  • 絵カード(PECS)・手話などの活用

先天性心疾患

  • 小さな欠損孔は経過観察で自然閉鎖も
  • 大きな欠損・複雑心奇形は手術
  • 小児循環器専門医との連携

行動面(ADHD・ASDなど)

  • 行動療法・環境調整
  • 感覚統合療法
  • 必要に応じて薬物療法

聴覚・その他

  • 定期的な聴力検査
  • 滲出性中耳炎には鼓膜チューブ
  • 口蓋裂があれば外科的修復

💡 ポイント:音楽的感受性が高いなど、強みを持つ分野があるお子さんも多いです。苦手分野を補いつつ、個性を伸ばす療育が大切です。適切なサポートにより、本症候群のお子さん達は可能な限り能力を伸ばし、充実した生活を送ることが期待できます。

6. 遺伝カウンセリングの重要性

【結論】 8p23.1重複症候群の不完全浸透率と表現型の多様性は、遺伝カウンセリングを非常に重要かつ複雑なものにします。「重複=必ず発症」ではないこと、予後予測が困難であることを丁寧に説明し、ご家族の意思決定を支援します。

遺伝カウンセリングで伝えるべきポイント

📋 カウンセリングの要点
  • 不完全浸透率:重複があっても無症状〜軽症の方が多数存在
  • 表現型の多様性:同じ重複でも症状は無症状〜重度まで様々
  • 家族内変動:親が無症状でも子に症状が出ることがある(その逆も)
  • 両親の検査:親が保因者か確認することで再発リスクを評価
  • 予後の不確実性:出生前診断で見つかった場合の予測は特に困難

再発リスク

状況 次子への再発リスク
両親とも正常(新生突然変異) 1%未満(生殖細胞モザイクの可能性はあり)
片親が保因者 50%(ただし症状発現は不確実)

⚠️ 重要:親が同じ重複を持ちながら健康である場合、それは子どもの予後にとってある程度の安心材料になりますが、完全に同じ経過をたどる保証はありません。修飾遺伝子や環境要因により、子どもには親にはない症状が現れる可能性があります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【遺伝カウンセリングで大切にしていること】

8p23.1重複症候群の遺伝カウンセリングで最も難しいのは、「予後が予測できない」という不確実性をどう伝えるかです。「重複があるから病気」でも「重複があっても大丈夫」でもなく、「リスクは上がるが、発症するかどうか、どの程度の症状が出るかは現時点では予測できない」という事実を正直にお伝えしています。

特に出生前診断で見つかった場合、ご家族は大きな決断を迫られます。私は中立的な立場で正確な情報を提供し、最終的な判断はご家族自身に委ねます。どのような決断をされても、その後もサポートを続けることをお約束しています。

臨床遺伝専門医として、のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきました。不安を抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください

7. 出生前診断について

【結論】 8p23.1重複は出生前診断で検出可能です。羊水検査・絨毛検査でのCMAで確定診断できますが、胎児の予後予測は非常に困難であり、出生前に見つかった場合は慎重な遺伝カウンセリングが必要です。

出生前検査での検出方法

検査 検出可能性 備考
NIPT(全染色体検査) △ 限定的 約3.7Mbの重複は検出困難なことが多い。スクリーニング検査
羊水検査+CMA ◎ 確定診断 Gバンド法では検出できない微小重複を確定診断可能。※学会指針では、原則として超音波での構造異常がある場合などが対象
絨毛検査+CMA ◎ 確定診断 妊娠初期(11〜14週)に実施可能

⚠️ ミネルバクリニックのNIPTについて

当院のNIPTで検出可能な微小欠失は12種類(1p36 del, 2q33 del, 4p16 del, 5p15 del, 8q23q24 del, 9p del, 11q23q25 del, 15q11.2-q13 del, 17p11.2 del, 18p del, 18q22q23 del, 22q11.2 del)です。8p23.1重複症候群は「重複」のため、NIPTの微小欠失検査パネルには含まれません。確定診断には羊水検査でのCMAが必要です。

出生前診断で見つかった場合の対応

出生前にこの重複が見つかった場合、超音波検査で明らかな異常所見がないことも多いです。2023年のHeliyon誌の報告では、不妊症の検査過程で偶然に8p重複(約12Mb)が見つかった若年女性が、発達遅滞や明らかな奇形を伴わず通常学級で過ごしていた例が報告されています。

🔍 出生前診断後の対応
  • 遺伝カウンセリング:重複の意味、不完全浸透率、予後の不確実性を説明
  • 両親の検査:親が同じ重複を持つか確認(保因者なら安心材料の一つに)
  • 詳細超音波:心奇形、口蓋裂などの構造異常を精査
  • 出生後フォロー体制:発達モニタリング、早期療育の準備

⚠️ 重要な考慮点:出生前診断で8p23.1重複が見つかった場合、「異常所見がないから大丈夫」とも「重複があるから問題」とも言えません。この不確実性をどう受け止めるかは、ご家族によって異なります。どのような決断をされても、専門家としてサポートいたします。

8. ミネルバクリニックのサポート体制

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の専門性を活かした診療体制を整えています。染色体異常の検査から、結果説明、フォローまで一貫してサポートいたします。

🔬 高精度な検査技術

スーパーNIPT(第3世代)とCOATE法を採用。全染色体検査にも対応しています。

🏥 院内で確定検査まで対応

2025年6月より産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査も院内で実施可能に。転院の必要がなく、心理的負担を軽減できます。

👩‍⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐

臨床遺伝専門医が検査前後の遺伝カウンセリングを担当。結果の説明から今後の選択肢まで、専門家が寄り添います。

💰 互助会で費用面も安心

互助会制度(8,000円)により、陽性時の確定検査(羊水検査)費用が全額補助されます。上限なしで安心です。

一人で悩まず、専門医を頼ってください

8p23.1重複症候群について詳しく知りたい方、
出生前検査を検討している方は臨床遺伝専門医にご相談ください

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よくある質問(FAQ)

Q1. 8p23.1微細重複症候群はどのくらい珍しい病気ですか?

推定約1/58,000〜64,000人と、希少疾患に分類されます。ただし、症状が軽微で診断されないケースも多いと考えられており、実際の頻度はもう少し高い可能性があります。2000年代以降のマイクロアレイ検査の普及で発見例が増えています。

Q2. 重複があれば必ず症状が出ますか?

いいえ、重複があっても無症状〜軽症の方が多数存在します。これは「不完全浸透率」と呼ばれる現象で、8p23.1重複症候群の大きな特徴です。同じ重複を持つ家族内でも、親は無症状で子どもに症状があるケース、あるいはその逆のケースが報告されています。

Q3. 8p23.1欠失症候群とはどう違いますか?

同じ領域が「欠失」するか「重複」するかの違いですが、臨床像は異なります。欠失症候群では小頭症、先天性横隔膜ヘルニア、より重篤な心疾患が高頻度で見られます。重複症候群では逆に大頭症傾向があり、全体的に欠失より軽症の傾向があります。これは、心臓発生において遺伝子産物が「足りない」ことの影響が「多すぎる」ことより深刻であることを示唆しています。

Q4. NIPTで8p23.1重複は検出できますか?

NIPTでの検出は限定的です。約3.7Mbの微細重複は、現在のNIPT技術では検出困難なことが多いです。NIPTはあくまでスクリーニング検査であり、この重複の確定診断には羊水検査での染色体マイクロアレイ検査(CMA)が必要です。

Q5. 子どもがこの重複を持っています。次の子にも遺伝しますか?

まず両親の検査が必要です。両親が正常(新生突然変異)なら次子への再発リスクは1%未満です。片親が保因者なら50%の確率で重複が遺伝しますが、症状が現れるかどうかは別問題です。不完全浸透のため、重複を持っていても無症状のことが多いです。詳しくは遺伝カウンセリングでご相談ください。

Q6. 治療法はありますか?

根本的な治療法は現時点で存在しません。治療は症状に応じた対症療法が中心となります。発達遅滞には早期療育(理学療法・作業療法・言語療法)が有効です。心疾患は必要に応じて手術、行動面の問題には行動療法や薬物療法を行います。適切なサポートにより、多くのお子さんが能力を伸ばし、充実した生活を送ることが期待できます。

Q7. 出生前診断で重複が見つかりました。どう考えればいいですか?

出生前診断で見つかった場合、予後予測は非常に困難です。超音波で異常所見がなくても症状が出る可能性はありますし、逆に重複があっても無症状のことも多いです。2023年の報告では、8p重複を持ちながら通常学級で過ごし、成人後も明確な症候を示さなかった女性のケースがあります。まずは両親の検査を行い、保因者かどうかを確認することが参考になります。どのような決断をされても、専門家としてサポートしますので、遺伝カウンセリングでじっくりお話しましょう。

Q8. 生命予後はどうですか?

生命予後は一般的に良好と考えられています。重篤な先天性心疾患を合併し、その管理が困難な場合を除き、通常の寿命を全うできる可能性が高いです。心疾患についても、現代の医療技術により多くの場合は手術等で管理可能です。自立度は個人差がありますが、就労している成人や結婚して家庭を持っている方も報告されています。

🏥 一人で悩まないでください

8p23.1微細重複症候群について心配なこと、検査を受けるかどうか迷っていること、
どんなことでもお気軽にご相談ください。
臨床遺伝専門医があなたとご家族に寄り添います。

参考文献

  • [1] Barber JC, et al. 8p23.1 duplication syndrome; a novel genomic condition with unexpected complexity revealed by array CGH. Eur J Hum Genet. 2008;16(1):18-27. [PubMed]
  • [2] Barber JC, et al. 8p23.1 duplication syndrome; common, confirmed, and novel features in six further patients. Am J Med Genet A. 2013;161A(3):487-500. [PubMed]
  • [3] Barber JC, et al. Inside the 8p23.1 duplication syndrome; eight microduplications of likely or uncertain clinical significance. Am J Med Genet A. 2015;167A(9):2052-2064. [PubMed]
  • [4] Weber S, et al. 8p23.1 duplication syndrome: narrowing of critical interval to 1.80 Mbp. Mol Cytogenet. 2014;7:94. [PubMed]
  • [5] Yu S, et al. Cardiac defects are infrequent findings in individuals with 8p23.1 genomic duplications containing GATA4. Circ Cardiovasc Genet. 2011;4(6):620-625. [PubMed]
  • [6] El Karaaoui M, et al. Insight into the 8p23.1 duplication syndrome: Case report of a young women with infertility. Heliyon. 2023;9(5):e15610. [PubMed]
  • [7] Barber JC, et al. 8p23.1 duplication syndrome differentiated from copy number variation of the defensin cluster at prenatal diagnosis in four new families. Mol Cytogenet. 2010;3:3. [PMC]
  • [8] Unique – Rare Chromosome Disorder Support Group. 8p23 duplications. [rarechromo.org]
  • [9] Orphanet. 8p23.1 duplication syndrome. [Orphanet]
  • [10] DECIPHER Database. 8p23.1 duplication syndrome. [DECIPHER]

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プロフィール

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科・腫瘍学を軸に、 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。 出生前診断・遺伝学的検査においては、検査結果そのものだけでなく 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年、国際誌『Global Woman Leader』および『Medical Care Review APAC』の2誌で立て続けに表紙(Cover Story)に抜擢。 「日本のヘルスケア女性リーダー10名」や「アジア太平洋地域のトップ出生前検査サービス」として、世界的な評価を確立しています。

▶ 仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

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