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22q13.33微小欠失症候群とは?原因と症状|東京・ミネルバクリニック

この記事でわかること
📖 読了時間:約18分
🧬 染色体微小欠失・神経発達症
臨床遺伝専門医監修

Q. 22q13.33微小欠失症候群とはどのような病気ですか?

A. 22番染色体の末端(22q13.33付近)が欠失することで、発達遅延・重い言語遅滞・自閉スペクトラム症(ASD)様の特徴などが起こる神経発達症です。
フェラン・マクダーミド症候群(Phelan-McDermid症候群:PMS)とも呼ばれ、SHANK3(シナプスの足場タンパク質)のハプロ不全が中核の病態です。

  • 原因22q13.33末端欠失/SHANK3病的変異(多くは新生突然変異)
  • 主要症状筋緊張低下発達遅延言語の著しい遅れ/欠如、ASD様の特徴
  • 合併症 → てんかん(約25〜40%)、消化器症状、腎・泌尿器異常など
  • 診断染色体マイクロアレイ(CMA)/SHANK3を含む遺伝子解析
  • ポイント → 欠失サイズや機序(環状22・転座)で管理が変わる(腫瘍サーベイランス等)

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1. 22q13.33微小欠失症候群とは|基本情報

【結論】 22q13.33微小欠失症候群(Phelan-McDermid症候群:PMS)は、22番染色体長腕末端(q13.3)の欠失またはSHANK3の病的変異で起こる神経発達症です。多くは常染色体優性(顕性)のハプロ不全疾患ですが、実臨床では新生突然変異が中心です。

「ことばがほとんど出ない」「筋緊張低下が強い」「ASDの特徴が強い」などで精査され、遺伝学的検査で診断がつくことがあります。症状は幅がありますが、言語の重い遅れ(表出言語の障害)が特に目立つことが多いのが特徴です。

💡 用語解説:「SHANK3」とは?

SHANK3は、興奮性シナプスの「後シナプス肥厚部(PSD)」で働く足場(スキャフォールド)タンパク質です。受容体や細胞骨格をつなぎ、シナプスの形成・成熟・可塑性を支えます。SHANK3の機能が半分になる(ハプロ不全)と、神経回路の発達に影響し、発達遅延やASD様の特徴につながります。

22q13.33微小欠失症候群の概要

項目 内容
疾患名 22q13.33微小欠失症候群(Phelan-McDermid症候群:PMS)
原因 22q13.3末端欠失SHANK3病的変異/環状22/不均衡転座など
遺伝形式 常染色体優性(顕性)(多くは新生突然変異)
中核症状 筋緊張低下、発達遅延、知的障害、言語の著しい遅れ/欠如、ASD様の特徴
診断 CMA(マイクロアレイ)、FISH、核型、WES/WGS、SHANK3解析など
管理の要点 てんかん・睡眠・消化器・腎泌尿器・発汗低下(体温調節)への配慮、環状22では腫瘍サーベイランス

⚠️ 同じ「22番染色体」でも別の疾患があります

22q13.33微小欠失症候群(PMS)は、22q11.2欠失(DiGeorge症候群)などとは別の疾患です。領域が異なると、症状・管理・再発リスクの評価も変わるため、検査結果の位置情報(座標)を正確に確認することが大切です。

2. 22q13.33微小欠失症候群の主な症状

【結論】 中核は筋緊張低下発達遅延で、特に言語(表出)の障害が顕著です。ASD様の特徴、感覚特性(痛覚鈍麻など)、てんかん、睡眠障害、消化器症状など、多彩な合併症を伴うことがあります。

神経発達・行動面の特徴

🧠 よくみられる神経発達症状
  • 筋緊張低下:乳児期から強く、哺乳・運動発達の遅れにつながる
  • 言語:表出言語が特に遅い/獲得しないことが多い(理解は相対的に保たれる場合も)
  • ASD様の特徴:社会的相互作用の困難、常同行動、感覚過敏/鈍麻、口に入れる行動
  • 退行:感染や環境変化などをきっかけに、一時的にスキルが落ちることがある

💡 用語解説:「退行(Regression)」とは?

いったん獲得した言葉や運動スキルが、何らかのきっかけで後退する現象です。PMSでは感染症・ストレス・思春期の変化などが引き金になることがあり、急な変化があればてんかんや別の神経学的疾患を含めて評価します。

合併症(身体面)

合併症 目安 ポイント
てんかん 25〜40% 発作型は多彩。退行時や睡眠中の評価も重要
消化器症状 しばしば 便秘、逆流(GERD)、周期性嘔吐など
腎・泌尿器系 25〜40% 大きい欠失で頻度が上がる傾向。超音波で評価
痛覚鈍麻・発汗低下 よくみられる 怪我や熱中症に気づきにくい。安全管理が重要
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「ことば」が出ないときの支援】

PMSでご家族が最もつらいのは、「意思疎通ができないのでは」という不安だと思います。大切なのは、「話せない=理解できない」ではないという視点です。理解の力は相対的に保たれることもあり、ジェスチャー、絵カード、AAC(補助代替コミュニケーション)などでコミュニケーションが大きく改善するケースを多く見てきました。

「今できないこと」よりも、「どうすれば伝え合えるか」に焦点を当てることが、日常のストレスを減らし、お子さんの可能性を広げます。具体的な方法は、遺伝カウンセリングや発達支援のチームと一緒に整理していきましょう。

3. 原因と遺伝的背景|SHANK3と染色体構造異常

【結論】 病態の中心はSHANK3のハプロ不全です。多くは末端欠失ですが、環状22不均衡転座、SHANK3の点変異でも同様の表現型を示します。再発リスク評価には、親の検査(核型やCMA)が重要です。

💡 用語解説:「ハプロ不全」とは?

遺伝子は通常、父母から1本ずつ2コピーあります。片方が欠失・機能喪失し、残り1コピーだけでは機能が足りない状態をハプロ不全と呼びます。PMSは代表的なハプロ不全疾患です。

主な遺伝学的メカニズム

分類 概要 臨床上の注意
末端欠失 22q13.3末端の欠失(サイズは幅広い) 欠失が大きいほど隣接遺伝子の影響が増え、合併症が複雑化することがある
環状22(Ring 22) 染色体の両端が失われ環状になる 腫瘍(NF2関連など)の監視が必要になる場合がある
不均衡転座 親が均衡転座保因者で、子が欠失を受け継ぐ 家族性の再発リスク評価に、親の核型が重要
SHANK3点変異 欠失がなくてもSHANK3の機能喪失で発症 身体奇形が軽微なことも。WES/WGSで見つかる

精神症状と「思春期以降の変化」

PMSでは、思春期以降に気分の波、不安、睡眠障害、まれに精神病性症状や緊張病(カタトニア)様の状態が問題になることがあります。急な変化があれば、てんかん・薬剤性・急性疾患の鑑別を含めて評価します。

4. 診断方法|CMA・遺伝子解析・出生前検査

【結論】 末端欠失の確定には染色体マイクロアレイ(CMA)が第一選択です。欠失が見つからない場合でも、臨床像が強いときはWES/WGSやSHANK3解析を検討します。

検査の比較(出生後)

検査 特徴 PMSの検出
CMA 微小欠失の確定診断に強い(数kb〜)
G分染法(核型) 大きな異常や転座・環状染色体の評価 (欠失が大きい/環状22など)
FISH 特定領域の確認。転座評価の補助
WES/WGS 点変異・小さな変化も探索 (SHANK3点変異など)

💡 用語解説:CMA(染色体マイクロアレイ)とは?

CMAは、従来のG分染法では見えない微小な欠失・重複(CNV)を検出する検査です。原因不明の発達遅延や先天異常の評価で、国際的にも第一選択検査として位置付けられています。

5. 治療と長期管理|「治す」より「伸ばす」戦略

【結論】 現時点で確立した根治療法はなく、早期療育(PT/OT/ST)と、てんかん・睡眠・行動・消化器などの症状別マネジメントが中心です。一方で、SHANK3の分子病態に基づく研究(薬剤・遺伝子治療)が進展しています。

ライフステージ別の支援

時期 主なポイント
乳児期・幼児期 筋緊張低下へのリハ、摂食支援、早期療育、聴力・視力の確認、腎超音波など
学童期 コミュニケーション手段の確立(AAC等)、てんかん評価、睡眠・行動の調整、学校との連携
思春期〜成人期 精神症状・退行のモニタリング、生活支援、移行期医療、環状22では腫瘍サーベイランス

症状別の対応

発達・言語

  • 早期療育(PT/OT/ST)
  • AAC(絵カード・機器)で意思疎通を拡張
  • 学校・療育先との共有(できることの可視化)

行動・睡眠

  • 環境調整と行動療法(ABA等)
  • 睡眠衛生+必要時の薬物療法
  • 思春期以降の急変は早めに相談

てんかん

  • 発作型に応じた抗てんかん薬
  • 退行時はEEG評価も検討
  • 難治例はてんかん専門医と連携

研究・治験

  • 遺伝子治療(SHANK3補充)
  • シナプス機能改善薬(複数試験)
  • 希望がある一方、適応・リスク評価が重要
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「不確実性」を医療として扱う】

遺伝医療で最も難しいのは、「わからないことがある」という事実を、患者さんの意思決定につながる形で伝えることです。PMSは遺伝学的に原因がはっきりしている一方で、将来の伸び方や生活のイメージには個人差があります。

私は医師として30年以上の経歴の中で、のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきました。大切にしているのは、情報を「断定」に変えないこと。希望も不安も、現実の選択肢の中で整理し、ご家族が納得して進めるように支えるのが臨床遺伝専門医の役割だと考えています。

6. 遺伝カウンセリングの重要性

【結論】 PMSは原因が「欠失/SHANK3」と明確でも、個人差(表現型の幅)が大きい疾患です。ご家族の不安を整理し、検査の意味・再発リスク・支援の道筋を一緒に考えるために、遺伝カウンセリングが重要です。

カウンセリングで扱う主なテーマ

📋 カウンセリングの要点
  • 検査結果の読み解き:欠失サイズ、遺伝子、構造異常(環状・転座)の有無
  • 再発リスク:新生突然変異か、親の均衡転座などが関与するか
  • 支援の道筋:療育・医療・教育・福祉をどうつなぐか
  • 家族の気持ちの整理:「今できること」を具体化していく

7. 出生前診断について|NIPTと羊水検査(CMA)

【結論】 22q13.33領域の評価は、NIPTでは検出が限定的となる場合があり、確定には侵襲的検査が必要です。出生前の確定診断としては羊水検査+CMAが重要になります。

出生前検査での位置づけ

検査 位置づけ 備考
NIPT △ スクリーニング 領域やサイズにより検出が難しいことがある。結果は意味づけが重要
羊水検査+CMA ◎ 確定診断 Gバンド法では検出できない微小欠失を確定診断可能。
※学会指針では、原則として超音波での構造異常がある場合などが対象とされています。
絨毛検査+CMA ◎ 確定診断 妊娠初期に実施可能。胎盤モザイクなどの解釈に注意

⚠️ 重要:当院のNIPTは微小欠失を中心に設計されていますが、同じ領域でコピー数が増える「重複」も検出されることがあります。その場合、結果の意味づけは専門的な判断が必要となるため、遺伝カウンセリングで詳しくご説明します。

当院NIPTの微小欠失(12箇所)

🧬 微小欠失 12箇所
  • 1p36 del / 2q33 del / 4p16 del / 5p15 del
  • 8q23q24 del / 9p del / 11q23q25 del / 15q11.2-q13 del
  • 17p11.2 del / 18p del / 18q22q23 del / 22q11.2 del

※検査技術や条件により検出限界があり、NIPTはスクリーニング検査です。陽性の場合は確定検査で確認します。

8. ミネルバクリニックのサポート体制

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が検査前後の説明・意思決定支援を行い、必要に応じて確定検査やフォローの導線を整えています。出生前診断は「検査して終わり」ではなく、結果をどう受け止め、どのように準備するかが重要です。

🔬 高精度な検査技術

COATE法など最新技術を採用し、スクリーニング精度の向上を追求しています。

🏥 確定検査の情報も整理

羊水検査・絨毛検査の料金と流れをわかりやすく説明し、必要な方が迷わないように整えています。

👩‍⚕️ 専門医による意思決定支援

臨床遺伝専門医遺伝カウンセリングを担当し、ご家族の状況に合わせて情報を整理します。

💰 互助会制度で費用面も安心

互助会費(8,000円)により、陽性時の確定検査(羊水検査)費用の負担を軽減します。NIPT受検者全員に適用される標準制度です。

一人で抱え込まず、専門家と整理しましょう

検査の意味、確定検査、今後の準備まで、
臨床遺伝専門医が中立的にサポートします。

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※オンライン診療も対応可能です

よくある質問(FAQ)

Q1. 22q13.33微小欠失症候群はどんな病気ですか?

22番染色体末端(22q13.3)の欠失、またはSHANK3の病的変異により、発達遅延・重い言語遅滞・ASD様の特徴が起こり得る神経発達症です。フェラン・マクダーミド症候群(PMS)とも呼ばれます。

Q2. 遺伝(家族性)ですか?次の子も同じになりますか?

多くは新生突然変異ですが、不均衡転座など家族性の機序もあります。再発リスク評価には、親の検査(CMAや核型)が重要です。詳しくは遺伝カウンセリングで整理します。

Q3. どんな症状が多いですか?

筋緊張低下、発達遅延、言語(表出)の著しい遅れが中心です。ASD様の特徴や感覚特性、てんかん、睡眠障害、消化器症状などを伴うことがあります。

Q4. どんな検査で診断しますか?

末端欠失の確定はCMA(染色体マイクロアレイ)が第一選択です。欠失がないのに臨床像が強い場合は、WES/WGSなどでSHANK3点変異を含めて評価します。

Q5. NIPTでわかりますか?確定診断はどうしますか?

NIPTはスクリーニングであり、22q13.33領域は条件により検出が限定的な場合があります。確定診断は羊水検査+CMA ◎ 確定診断が基本です(Gバンド法では検出できない微小欠失を確定診断可能)。※学会指針では、原則として超音波での構造異常がある場合などが対象とされています。

Q6. 治療法はありますか?

現時点で根治療法は確立していません。中心は早期療育と症状別の対症療法です。一方で、SHANK3を標的とした薬剤・遺伝子治療の研究が進展しています。

Q7. 22q13.33「重複」と言われました。欠失と同じですか?

欠失と重複は、コピー数が減るか増えるかが異なり、臨床的な意味づけも変わります。NIPTでは重複が検出される場合もあり、確定検査と臨床情報を合わせて解釈します。遺伝カウンセリングで整理しましょう。

🏥 一人で悩まないでください

検査結果の意味、確定検査、今後の準備まで、
臨床遺伝専門医が中立的にサポートします。

参考文献

  • [1] The 22q13.3 Deletion Syndrome (Phelan-McDermid Syndrome). [PMC]
  • [2] Updated consensus guidelines on the management of Phelan–McDermid syndrome. [PMC]
  • [3] 22q13.3 deletion syndrome (MedlinePlus Genetics). [MedlinePlus]
  • [4] Rare Chromosome Disorder Support Group (Unique): Phelan-McDermid syndrome (22q13 deletions). [PDF]
  • [5] Genetic Findings as the Potential Basis of Personalized Pharmacotherapy in Phelan-McDermid Syndrome. [PMC]
  • [6] Phelan-McDermid Syndrome Foundation(研究・治験情報). [PMSF]

🧬 その他の染色体異常(トリソミー・部分モノソミー)について

各染色体の異数性や微小欠失・重複による特徴的な疾患、および予後については以下のリンクから詳細をご確認いただけます。

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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