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16p13.11重複症候群の症状・原因・検査|東京・ミネルバクリニック

16p13.11重複症候群の症状・原因・検査|東京・ミネルバクリニック

16p13.11反復性微細重複症候群とは?
症状・原因・診断・検査を臨床遺伝専門医が解説

この記事でわかること
📖 読了時間:約20分
🧬 染色体微細重複・神経発達症・心血管リスク
臨床遺伝専門医監修

Q. 16p13.11反復性微細重複症候群とはどのような病気ですか?

A. 16番染色体短腕(16p13.11)の約1.5Mbの領域が重複することで、神経発達障害や心血管疾患のリスクが高まる染色体微細構造異常です。
この領域にはNDE1・MYH11・ABCC1・ABCC6などの重要遺伝子が含まれ、知的障害・自閉スペクトラム症・ADHD・てんかん・統合失調症、さらに大動脈瘤・解離のリスク上昇と関連しています。


  • 原因16番染色体短腕16p13.11領域(約1.5Mb)の微細重複

  • 主要症状 → 発達遅滞(72%)、行動異常(62%)、てんかん(29%)、ASD(21%)、大動脈瘤(リスク約12倍

  • 重要な特徴不完全浸透率:重複があっても症状が出るのは7〜10%程度

  • 診断方法染色体マイクロアレイ検査(CMA)が確定診断のゴールドスタンダード

  • 頻度 → 一般集団で約0.2%(1/500人)が保因者

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1. 16p13.11反復性微細重複症候群とは|基本情報

【結論】 16p13.11反復性微細重複症候群は、16番染色体短腕の16p13.11領域(約1.5Mb)が重複する染色体微細構造異常です。一般集団の約0.2%(1/500人)がこの重複を持ちますが、症状が現れるのは7〜10%程度であり、多くの保因者は健康に生活しています。

「NIPTや羊水検査で16p13.11重複が指摘された」「お子さんの発達が気になる」という方は、この症候群について正確な情報を知ることが大切です。この重複は「感受性CNV(リスク因子)」として働き、重複があるからといって必ず症状が出るわけではありません

💡 用語解説:「不完全浸透率」と「表現度の多様性」

遺伝学で「浸透率」とは、ある遺伝子変異を持つ人のうち実際に症状が現れる人の割合です。16p13.11重複は浸透率が7〜10%程度と低く、重複を持っていても約90%以上の方は無症状または軽微な症状で生活しています。また、症状が出る場合でもその程度は様々(表現度の多様性)です。

16p13.11反復性微細重複症候群の概要

項目 内容
疾患名 16p13.11反復性微細重複症候群(16p13.11 recurrent microduplication syndrome)
染色体座位 16p13.11(GRCh38: chr16:14,897,157-16,486,224)
重複サイズ 約1.5Mb(1,500kb)
保因者頻度 一般集団で約0.2%(1/500人)
遺伝形式 常染色体優性(顕性)・不完全浸透
主要責任遺伝子 NDE1、MYH11、ABCC1、ABCC6、miR-484

⚠️ 16p13.11「重複」と「欠失」の違い

16p13.11領域では重複(本症候群)と欠失(16p13.11欠失症候群)の両方が報告されています。欠失の方がより重症で浸透率も高い傾向がありますが、重複でも大動脈瘤・解離のリスクが約12倍に上昇するため、心血管系のフォローが重要です。本記事では重複(duplication)について解説します。

16p13.11領域のゲノム構造

16p13.11領域には低コピー反復配列(LCR:Low Copy Repeats)が複数存在し、これらが減数分裂時の非対立遺伝子間相同組換え(NAHR)を誘発します。その結果、この領域では重複や欠失が比較的高頻度に発生します。

16p13.11領域のゲノム構造とLCR配置図

図:16p13.11領域のゲノム構造。LCR(低コピー反復配列)間でNAHRが起こり、重複または欠失が生じる

16p13.11重複(本症候群)

  • 約1.5Mbの微細重複
  • 遺伝子量が3コピーに増加
  • 浸透率:7〜10%
  • 大動脈瘤リスク約12倍

16p13.11欠失(参考)

  • 約1.5Mbの微細欠失
  • 遺伝子量が1コピーに減少
  • 浸透率:重複より高い
  • てんかんリスクがより顕著

💡 日本の研究貢献

16p13.11重複症候群の病態解明には日本の研究グループも大きく貢献しています。大阪大学のグループは、この領域に含まれるmiR-484がPCDH19を抑制する経路を発見し、神経発達症状のメカニズム解明に寄与しました。また名古屋大学のグループは統合失調症との関連を報告しています。

2. 16p13.11反復性微細重複症候群の主な症状

【結論】 本症候群の症状は発達遅滞(72%)、行動異常(62%)、てんかん(29%)、自閉スペクトラム症(21%)など神経発達領域が中心ですが、大動脈瘤・解離(リスク約12倍)という重大な心血管リスクも特徴です。ただし、不完全浸透率のため同じ重複でも症状は様々であり、無症状から重度まで幅広いスペクトラムを示します。

症状の出現頻度

以下の症状頻度は、症状があって検査を受けた患者群でのデータです。一般集団の保因者の大多数は無症状であることに注意してください。

16p13.11重複症候群の臨床症状スペクトラム

図:16p13.11重複症候群の臨床症状スペクトラム。発達遅滞72%、行動異常62%が高頻度

症状カテゴリー 頻度 詳細
発達遅滞 72% 精神運動発達遅滞、知的障害(軽度〜中等度が多い)
行動異常 62% 多動、衝動性、攻撃性、自傷行為、かんしゃく
てんかん 29% 全般てんかん、焦点性てんかん、欠神発作
自閉スペクトラム症(ASD) 21% 社会的コミュニケーション障害、限定的興味
ADHD 〜20% 注意欠如・多動性障害
統合失調症 リスク上昇 成人期発症、オッズ比2〜3倍
大動脈瘤・解離 リスク約12倍 胸部大動脈瘤、大動脈解離、若年発症例あり
先天性心疾患 約10% 心室中隔欠損、心房中隔欠損、動脈管開存など

神経発達症状の詳細

🧠 発達・認知面の特徴
  • 知的能力:正常〜軽度知的障害が多く、中等度以上は稀
  • 言語発達:表出性言語の遅れ、構音障害
  • 学習面:学習障害、注意・集中困難
  • 運動面:運動発達遅延、協調運動障害(不器用さ)

心血管系の合併症:大動脈瘤・解離

本症候群で特に注意が必要なのが大動脈瘤・大動脈解離のリスクです。これは領域内に含まれるMYH11遺伝子の過剰発現が血管平滑筋の機能異常を引き起こすためと考えられています。

🫀 心血管リスクの特徴
  • リスク上昇:大動脈瘤・解離のリスクが一般人口の約12倍
  • 好発部位:上行大動脈、胸部大動脈
  • 発症年齢:若年発症例も報告(30〜50代が多い)
  • 推奨:定期的な心エコー検査、CT/MRI検査による経過観察

⚠️ 重要:16p13.11重複が見つかった場合、神経発達の問題がなくても大動脈の定期的なスクリーニングが推奨されます。特に高血圧、喫煙、家族歴がある場合は、心臓血管外科または循環器内科での精査が重要です。

身体的特徴

本症候群に特徴的な顔貌(syndrome face)は認められません。身体的特徴は非特異的であり、外見から診断することは困難です。

報告されている身体所見

  • 低身長(一部)
  • 小頭症(稀)
  • 軽度の筋緊張低下
  • 関節過可動性

定期検査が必要な項目

  • 心エコー検査(大動脈径)
  • 血圧測定
  • 発達評価(小児期)
  • 精神症状の観察(思春期以降)
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「感受性CNV」としての正しい理解】

16p13.11重複について最も重要なことは、「重複=病気」ではないということです。一般集団の約500人に1人がこの重複を持っていますが、その約90%以上は健康に暮らしています。

この重複は「感受性CNV(Susceptibility CNV)」と呼ばれ、脳の発達や血管の健康に対する「バッファ(予備能)」を下げる因子として働きます。症状が現れるかどうかは、他の遺伝的要因や環境要因との組み合わせによって決まります。

ただし、大動脈瘤・解離のリスク上昇は見逃せません。出生前診断や発達検査で重複が見つかった場合、神経発達の経過観察に加えて、心血管系の定期的なスクリーニングをお勧めしています。

3. 原因と遺伝的背景|責任遺伝子と分子機序

【結論】 本症候群の原因は、16p13.11領域に位置するNDE1・MYH11・ABCC1・ABCC6・miR-484などの遺伝子の過剰発現(3コピー化)です。特にNDE1は神経発達に、MYH11は血管平滑筋機能に重要であり、それぞれの過剰発現が神経発達症状と心血管リスクの原因となります。

主要責任遺伝子の機能

💡 用語解説:「遺伝子量効果」とは?

通常、遺伝子は父母から1本ずつ、計2コピー持っています。重複により3コピーになると、遺伝子産物(タンパク質やRNA)が1.5倍に増加します。この「過剰」が細胞の正常な機能を乱し、症状につながる可能性があります。欠失(1コピー)による「不足」とは逆の機序です。

遺伝子 主な機能 過剰発現による影響
NDE1 神経前駆細胞の分裂・移動、大脳皮質形成 神経発達異常、てんかん、知的障害
MYH11 平滑筋ミオシン重鎖、血管収縮 大動脈瘤・解離(リスク約12倍)
miR-484 マイクロRNA、PCDH19の発現抑制 行動異常、多動、てんかん様症状
ABCC1 ABC輸送体、薬剤排出、解毒 薬物代謝への影響(臨床的意義は研究中)
ABCC6 ABC輸送体、結合組織の石灰化抑制 弾性線維への影響(臨床的意義は研究中)

miR-484→PCDH19経路:日本発の発見

大阪大学の研究グループは、16p13.11重複に含まれるmiR-484(マイクロRNA)がPCDH19遺伝子の発現を抑制する経路を発見しました。PCDH19は「てんかん・知的障害女児限定症候群(PCDH19-related epilepsy)」の原因遺伝子として知られています。

miR-484→PCDH19経路の分子機序

図:miR-484過剰発現によるPCDH19抑制と行動異常の分子機序

🔬 miR-484経路の詳細
  • 16p13.11重複:miR-484が3コピーに増加
  • miR-484過剰発現:PCDH19 mRNAの分解促進
  • PCDH19発現低下:神経細胞間の接着・シグナル伝達異常
  • 臨床症状:多動・衝動性・てんかん様症状(マウスモデルで確認)

重複の発生機序

16p13.11領域には低コピー反復配列(LCR)が複数存在し、減数分裂時に非対立遺伝子間相同組換え(NAHR)を誘発します。これにより重複や欠失が比較的高頻度に発生します。

家族性継承(約70〜80%)

両親のいずれかから重複を受け継ぐケース。無症状の親から発見されることが多く、不完全浸透の典型例。父母由来の頻度は概ね同等です。

新生突然変異(約20〜30%)

両親は正常で、配偶子形成時または受精後初期に新たに発生。de novo例では症状がより重い傾向との報告もありますが、確立された見解ではありません。

「2ヒット仮説」と表現型の多様性

同じ重複を持つ家族でも症状の程度が大きく異なる理由として、「2ヒット仮説」が提唱されています。

🎯 2ヒット仮説

第1ヒット:16p13.11重複 → 脳の発達や血管機能の「バッファ(予備能)」を低下させる
第2ヒット:別の遺伝子変異、他のCNV、または環境要因

2つのヒットが重なることで閾値を超え、症状が顕在化
→ 第1ヒットのみ(無症状の親)では閾値を超えず発症しない

4. 16p13.11反復性微細重複症候群の診断方法

【結論】 本症候群の確定診断には染色体マイクロアレイ検査(CMA)が不可欠です。従来のG分染法では検出できない微細な重複を高精度で検出できます。臨床症状のみで診断することはできません。

診断のきっかけ

以下のような状況で検査が行われ、本重複が発見されることがあります。

🔍 検査を行う場面
  • 原因不明の発達遅滞・知的障害:CMAが第一選択検査として実施される
  • 自閉スペクトラム症・ADHDの精査:遺伝学的原因検索として
  • てんかんの精査:特に全般てんかん、若年発症例
  • 若年性大動脈瘤・解離の精査:家族性大動脈疾患の遺伝子検査として
  • 出生前診断:NIPTの全染色体検査や羊水検査で偶発的に発見

遺伝学的検査の種類

検査方法 特徴 16p13.11重複の検出
染色体マイクロアレイ(CMA) ゴールドスタンダード。数十kb〜数Mbの微細CNVを高解像度で検出 ◎ 検出可能
G分染法(核型分析) 解像度は5〜10Mb程度。大きな転座や数的異常を検出 ✕ 検出困難(約1.5Mbの微細重複)
FISH法 特定領域のプローブを使用。迅速な確認に有用 △ 専用プローブで可能
MLPA法 特定領域のコピー数を定量。比較的安価 △ 専用キットで可能

💡 用語解説:染色体マイクロアレイ(CMA)とは?

CMAは、従来のG分染法では検出できない微細な染色体の重複・欠失(コピー数変異:CNV)を検出する検査です。日本では原因不明の発達遅滞・先天異常に対する保険適用検査として実施されています。

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発達遅滞や行動異常の原因検索には遺伝学的検査が有効です。
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5. 治療と長期管理

【結論】 本症候群には根本的な治療法は存在せず、症状に応じた対症療法・早期療育・継続的支援が中心となります。神経発達症状と心血管リスクの両面からの管理が重要であり、大動脈の定期的なスクリーニングは全例で推奨されます。

サーベイランス(経過観察)ガイドライン

領域 推奨される検査・対応 頻度
心血管系 心エコー検査(大動脈径測定)、必要時CT/MRI、血圧測定 診断時+1〜2年毎
神経発達 発達評価、知能検査(WISC等)、言語評価 就学前・学齢期に定期的
てんかん 脳波検査、発作観察、抗てんかん薬調整 症状に応じて
精神科 行動評価、精神症状観察(思春期以降は特に注意) 定期的

症状別の治療・対応

発達遅滞・学習障害

  • 早期療育が最も重要
  • 理学療法(PT)・作業療法(OT)
  • 言語聴覚療法(ST)
  • 特別支援教育の利用

行動異常・ADHD・ASD

  • 行動療法・環境調整
  • ソーシャルスキルトレーニング(SST)
  • ADHD薬物療法(メチルフェニデートなど)
  • ペアレントトレーニング

大動脈瘤・心血管リスク

  • 血圧管理(高血圧は厳格にコントロール)
  • β遮断薬・ARBの検討
  • 禁煙(喫煙は解離リスクを著しく上昇)
  • 拡大傾向あれば心臓血管外科へ

てんかん

  • 発作型に応じた抗てんかん薬
  • 定期的な脳波検査
  • てんかん専門医との連携
🏥 多職種連携チーム
  • 臨床遺伝科:遺伝カウンセリング、家族への説明
  • 小児科・発達小児科:発達評価、療育調整
  • 循環器内科・心臓血管外科:大動脈のサーベイランス
  • 児童精神科:行動問題・精神症状への対応
  • 小児神経科:てんかん管理

6. 遺伝カウンセリングの重要性

【結論】 16p13.11重複の不完全浸透率と表現型の多様性は、遺伝カウンセリングを非常に複雑なものにします。「重複=必ず発症」ではないこと予後予測が困難であることを丁寧に説明し、家族の意思決定を支援することが重要です。

遺伝カウンセリングで伝えるべきポイント

📋 カウンセリングの要点
  • 「感受性CNV」としての性質:重複は疾患の「確定原因」ではなく「リスク因子」
  • 不完全浸透率:重複があっても約90%以上は無症状または軽微
  • 予後の不確実性:同じ重複でも症状は無症状〜重度まで様々
  • 心血管リスク:神経発達に問題がなくても大動脈のサーベイランスが必要
  • 両親の検査:親が保因者か確認することで再発リスクを評価

再発リスク

状況 次子への再発リスク
両親とも正常(de novo) 1%未満(生殖細胞モザイクの可能性はあり)
片親が保因者 50%(ただし症状発現は不確実)

⚠️ 重要:親が同じ重複を持ちながら健康である場合、それは子どもの予後にとってある程度の安心材料になりますが、完全に同じ経過をたどる保証はありません。「2ヒット仮説」により、子どもには親にはない別の遺伝的要因がある可能性があります。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【遺伝カウンセリングで大切にしていること】

16p13.11重複の遺伝カウンセリングで最も難しいのは、「予後が予測できない」という不確実性をどう伝えるかです。「重複があるから病気」でも「重複があっても大丈夫」でもなく、「リスクは上がるが、発症するかどうか、どの程度の症状が出るかは現時点では予測できない」という事実を正直にお伝えしています。

特に出生前診断で見つかった場合、ご家族は大きな決断を迫られます。私は中立的な立場で正確な情報を提供し、最終的な判断はご家族自身に委ねます。どのような決断をされても、その後もサポートを続けることをお約束しています。

臨床遺伝専門医として、これまでのべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきました。不安を抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください

7. 出生前診断について|NIPTと羊水検査

【結論】 16p13.11重複は出生前診断で検出可能です。羊水検査・絨毛検査でのCMAで確定診断できますが、胎児の予後予測は困難であり、出生前診断で見つかった場合の対応には慎重な遺伝カウンセリングが必要です。

出生前検査での検出方法

検査 検出可能性 備考
NIPT(全染色体検査) △ 可能だが限定的 約1.5Mbの重複は検出可能なことがあるが、スクリーニング検査
羊水検査+CMA ◎ 検出可能 確定診断のゴールドスタンダード
絨毛検査+CMA ◎ 検出可能 妊娠初期(11〜14週)に実施可能

⚠️ ミネルバクリニックのNIPTについて

ミネルバクリニックのNIPTでは12種類の微小欠失(1p36欠失、4p16欠失、5p15欠失、15q11.2-q13欠失、22q11.2欠失など)を検査対象としていますが、16p13.11重複はこの検査対象に含まれていません。16p13.11重複の確定診断には羊水検査・絨毛検査でのCMAが必要です。

出生前診断で見つかった場合の対応

出生前にこの重複が見つかった場合、超音波検査では多くの場合、明らかな異常所見がないことが報告されています。そのため、予後予測は非常に難しくなります。

🔍 出生前診断後の対応
  • 遺伝カウンセリング:重複の意味、不完全浸透率、予後の不確実性を説明
  • 両親の検査:親が同じ重複を持つか確認(保因者なら安心材料の一つに)
  • 詳細超音波:心奇形などの構造異常を精査
  • 出生後フォロー体制:発達モニタリング、心血管系サーベイランスの準備

⚠️ 重要な考慮点:出生前診断で16p13.11重複が見つかった場合、「異常所見がないから大丈夫」とも「重複があるから問題」とも言えません。この不確実性をどう受け止めるかは、ご家族によって異なります。どのような決断をされても、専門家としてサポートいたします。

8. ミネルバクリニックのサポート体制

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の専門性を活かした診療体制を整えています。16p13.11重複を含む染色体異常の検査から、結果説明、フォローまで一貫してサポートいたします。

🔬 高精度な検査技術

スーパーNIPT(第3世代)とCOATE法を採用。全染色体検査や微小欠失検査も対応可能です。

🏥 院内で確定検査まで対応

2025年6月より産婦人科を併設し、羊水検査・絨毛検査も院内で実施可能に。転院の必要がなく、心理的負担を軽減できます。

👩‍⚕️ 臨床遺伝専門医が常駐

臨床遺伝専門医が検査前後の遺伝カウンセリングを担当。結果の説明から今後の選択肢まで、専門家が寄り添います。

💰 互助会制度で費用面も安心

互助会(8,000円)により、陽性時の確定検査(羊水検査)費用が全額補助されます。上限なしで安心です。

一人で悩まず、専門医を頼ってください

16p13.11重複について詳しく知りたい方、
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よくある質問(FAQ)

Q1. 16p13.11重複はどのくらいの頻度で見つかりますか?

一般集団で約0.2%(1/500人)と、染色体微細重複としては比較的高頻度です。ただし、この重複を持つ人の約90%以上は無症状または軽微な症状で生活しています。発達障害やてんかんで検査を受けた集団ではやや高頻度で見つかります。

Q2. 重複があれば必ず症状が出ますか?

いいえ、重複があっても大多数の方は無症状です。この重複の浸透率は7〜10%程度と低く、「リスク因子(感受性CNV)」として働きます。症状が現れるかどうかは、他の遺伝的要因や環境要因との組み合わせによって決まると考えられています(2ヒット仮説)。

Q3. 16p13.11の「重複」と「欠失」は何が違いますか?

重複は遺伝子が3コピー(過剰)、欠失は1コピー(不足)になる状態です。同じ領域でも影響が異なり、一般に欠失の方が浸透率が高く、てんかんなどの症状がより顕著です。ただし、重複でも大動脈瘤・解離のリスク(約12倍)があるため、心血管系のサーベイランスは重要です。

Q4. 大動脈瘤のリスクは本当に高いのですか?

はい、研究により16p13.11重複保因者では大動脈瘤・解離のリスクが約12倍に上昇することが報告されています。これは領域内のMYH11遺伝子の過剰発現による血管平滑筋の機能異常が原因と考えられています。神経発達に問題がなくても、定期的な心エコー検査を受けることが推奨されます。

Q5. 子どもがこの重複を持っています。次の子にも遺伝しますか?

まず両親の検査が必要です。両親が正常(de novo)なら次子への再発リスクは1%未満です。片親が保因者なら50%の確率で重複が遺伝しますが、症状が現れるかどうかは別問題です。不完全浸透のため、重複を持っていても無症状のことが多いです。詳しくは遺伝カウンセリングでご相談ください。

Q6. NIPTで16p13.11重複は検出できますか?

NIPTの全染色体検査では、約1.5Mbの重複は検出可能なことがありますが、スクリーニング検査としての位置づけです。ミネルバクリニックのNIPT微小欠失検査(12種)には16p13.11重複は含まれていません。確定診断には羊水検査・絨毛検査でのCMA(染色体マイクロアレイ)が必要です。

参考文献・情報源

  1. Hannes FD, et al. Recurrent reciprocal deletions and duplications of 16p13.11: the deletion is a risk factor for MR/MCA while the duplication may be a rare benign variant. J Med Genet. 2009;46(4):223-232. PubMed
  2. Ullmann R, et al. Array CGH identifies reciprocal 16p13.1 duplications and deletions that predispose to autism and/or mental retardation. Hum Mutat. 2007;28(7):674-682. PubMed
  3. Kuang SQ, et al. Recurrent chromosome 16p13.1 duplications are a risk factor for aortic dissections. PLoS Genet. 2011;7(6):e1002118. PubMed
  4. Ramalingam A, et al. 16p13.11 duplication is a risk factor for a wide spectrum of neuropsychiatric disorders. J Hum Genet. 2011;56(7):541-544. PubMed
  5. Nagamani SC, et al. Phenotypic manifestations of copy number variation in chromosome 16p13.11. Eur J Hum Genet. 2011;19(3):280-286. PubMed
  6. Tropeano M, et al. Male-biased autosomal effect of 16p13.11 copy number variation in neurodevelopmental disorders. PLoS One. 2013;8(4):e61365. PubMed
  7. Fujitani M, et al. Identification of autism spectrum disorder associated microRNAs in the 16p13.11 microduplication. Mol Autism. 2017;8:28. PubMed
  8. OMIM: 16p13.11 Recurrent Microduplication. OMIM #613458
  9. DECIPHER Database: 16p13.11 Duplication Syndrome. DECIPHER
  10. GeneReviews: Chromosome 16p13.11 Deletion/Duplication. NCBI Bookshelf

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プロフィール

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科・腫瘍学を軸に、 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。 出生前診断・遺伝学的検査においては、検査結果そのものだけでなく 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年、国際誌『Global Woman Leader』および『Medical Care Review APAC』の2誌で立て続けに表紙(Cover Story)に抜擢。 「日本のヘルスケア女性リーダー10名」や「アジア太平洋地域のトップ出生前検査サービス」として、世界的な評価を確立しています。

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