芳香族アミノ酸
芳香族アミノ酸は、芳香環を含むアミノ酸のことである。20種類のアミノ酸のうち、古典的にはフェニルアラニン、トリプトファン、チロシンが芳香族とされる。ヒスチジンは芳香環を持つが、その基本的な性質から極性アミノ酸に分類されることが多い。
芳香族アミノ酸は、多くのタンパク質の折り畳み構造の安定化に重要な役割を果たしている。芳香族残基は、主に球状タンパク質のコア内に隔離して存在するが、タンパク質表面のタンパク質-タンパク質またはタンパク質リガンド相互作用界面の主要部分をしばしば構成している。
芳香族アミノ酸は、他の分子の前駆体として機能することが多い。例えば、エピネフリンの製造では、フェニルアラニンが出発分子となる。
フェニルアラニン → チロシン → L-DOPA → ドーパミン → ノルエピネフリン → エピネフリン
また、チロシンは多くの生物でオクトパミンやメラニン合成の前駆体となっている。 チロキシンの生成においても、フェニルアラニンが最初の前駆体となっている。
フェニルアラニン → チロシン → チロキシン
セロトニンの生成においてもトリプトファンが出発分子となる。
トリプトファン → 5-ヒドロキシトリプトファン → セロトニン
ヒスチジンはヒスタミンの前駆体である。トリプトファンは、トリプタミン、セロトニン、オーキシン、キヌレニン、メラトニンを合成する際の出発分子である。
この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号