疾患概要
Ciliary dyskinesia, primary, 17 原発性線毛機能不全17 614679 AR 3
原発性線毛機能不全症-17(CILD17、#614679)は、染色体17q21に位置するCCDC103遺伝子(614677)のホモ接合体変異が原因で引き起こされることが示されています。この疾患は常染色体劣性遺伝するもので、毛様体の外部ダイニンアームの機能不全によって幼児期の早い段階で呼吸困難が発症することが特徴です。また、患者によっては左右の臓器の位置が正常と逆になる逆位が観察されることがあり、その表現は様々です。
原発性線毛機能不全症は遺伝的に不均一な疾患群であり、異なる遺伝子変異が類似した臨床的特徴を引き起こす可能性があります。CILD17に関する詳細な解説および遺伝的背景については、Panizziらによる2012年の要約が参考になります。原発性線毛機能不全症の
原発性線毛機能不全症は、一次線毛装置の異常、特にダイニンアームの機能喪失により生じる遺伝的に多様な常染色体劣性遺伝疾患です。この疾患は、繊毛の運動機能が不十分であるために起こり、体内のさまざまなシステムに影響を及ぼします。Kartagener症候群は、この繊毛機能不全と内臓の逆位(正常ではない位置にある内臓)が合併する状態であり、この症候群は原発性繊毛機能不全患者の約半数に見られます。内臓の左右非対称性の形成には、胚発生期における繊毛の正常な運動が必要です。したがって、繊毛の運動が障害されると、内臓の配置が正常に確定しないため、患者の約50%が逆位を示すことになります。このような内臓逆位は、同じ家系内の患者間でも見られ、この症状の遺伝的な不均一性を示しています。原発性繊毛機能不全症は、その複雑さと多様な表現型により、診断と治療の両方において挑戦を提起します。
遺伝的不均一性
臨床的特徴
患者の繊毛の構造を詳細に調べた結果、電子顕微鏡検査では繊毛の内側と外側のダイニンアームに様々な欠損が確認され、これらの欠損は家族によって異なっていました。さらに、ビデオ顕微鏡検査を通じて、繊毛の完全麻痺、拍動振幅の減少、拍動協調性の喪失が観察され、これらの異常はPCDの患者における繊毛機能障害の具体的な証拠を提供しました。
これらの研究結果は、PCDの診断と理解において、繊毛の構造と機能の詳細な検査が重要であることを示しています。また、患者の臨床的特徴や家族歴から、PCDの遺伝的要因や疾患の多様性についても深い洞察を提供しています。
マッピング
この発見は、特定の染色体領域内にCILDを引き起こす遺伝子が存在することを示唆しており、将来的にはこの遺伝子を正確に同定し、疾患の診断や治療法の開発に役立てることが期待されます。
遺伝
分子遺伝学
CCDC103タンパク質は繊毛のダイニンアーム固定に関与しており、その機能不全は繊毛の運動性に直接影響を及ぼします。この研究は、原発性線毛機能不全症の分子遺伝学的基盤の理解を深めるものであり、特定の遺伝子変異が疾患の発生にどのように関与しているかを明らかにしています。これらの知見は、将来的にCILD17の診断や治療戦略の開発に貢献する可能性があります。
疾患の別名
原発性毛様体ジスキネジア17、逆位の有無にかかわらず
この記事の著者:仲田洋美医師
医籍登録番号 第371210号
日本内科学会 総合内科専門医 第7900号
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医 第1000001号
臨床遺伝専門医制度委員会認定 臨床遺伝専門医 第755号