InstagramInstagram

新生児肺高血圧感受性

疾患に関係する遺伝子/染色体領域

疾患概要

PULMONARY HYPERTENSION, NEONATAL, SUSCEPTIBILITY TO; PHN
新生児肺高血圧症(PHN)の感受性は、染色体2q34に位置するCPS1遺伝子(608307)の変異と関連しているとされる証拠があります。このため、文献やデータベースでは、この病気を指し示す際に番号記号(#)が用いられることがあります。

感受性とは、ある病気や健康問題に対して発症しやすい状態や傾向のことを指します。遺伝的な要因や環境要因、生活習慣など、様々な要素が組み合わさることで個人の感受性が変わることがあります。特定の遺伝子変異がある場合、その遺伝子が関与する病気に対して発症するリスクが高まることがあり、そのような状態を指して感受性が高いと表現されます。

分子遺伝学

分子遺伝学の分野での研究は、特定の遺伝子変異や多型が人間の健康にどのように影響を与えるかを理解するために不可欠です。Pearsonら(2001年)、Canterら(2007年)、そしてSolomonら(2011年)による研究は、カルバモイルリン酸合成酵素I(CPS1)遺伝子の特定の変異や多型が、新生児や小児における持続性肺高血圧症(PHN)や心臓病後の肺動脈圧(PAP)の上昇といった心肺関連の健康問題とどのように関連しているかを示しています。

Pearsonらの研究は、CPS1遺伝子のT1405N多型が持続性肺高血圧症の新生児と関連があることを発見しました。これは、尿素サイクルにおけるカルバモイルリン酸合成酵素の役割と、新生児期の心肺移行におけるその機能状態の重要性を強調しています。

Canterらの研究は、先天性心欠損症児の手術後の肺動脈圧の上昇に関連する要因を調査し、年齢、CPS1 T1405N遺伝子型、およびダウン症候群が独立した予測因子であることを明らかにしました。この研究では、これらの因子を含む2変数モデルが、肺動脈圧の上昇に関連する転帰を正しく予測するのに有効であることが示されました。

Solomonらの報告は、VACTERL関連の新生児で重症の肺動脈性肺高血圧症を経験したケースを取り上げ、CPS1遺伝子の新規ヘテロ接合体変異(G530V)を特定しました。この変異は民族的に一致した対照群では見られなかったことから、その希少性と病態への関連が示唆されました。

これらの研究は、遺伝的要因が心肺疾患のリスクにどのように影響を与えるかについての理解を深めており、特にCPS1遺伝子の特定の多型や変異が、肺高血圧症や心臓病後の肺動脈圧の上昇といった症状の発生において重要な役割を果たしていることを示しています。これらの発見は、将来的にはこれらの疾患の予防や治療に向けた新たなアプローチの開発に貢献する可能性があります。

参考文献

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

お電話での受付可能
診療時間
午前 10:00~14:00
(最終受付13:30)
午後 16:00~20:00
(最終受付19:30)
休診 火曜・水曜

休診日・不定休について

クレジットカードのご利用について

publicブログバナー
 
medicalブログバナー
 
NIPTトップページへ遷移