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18q22q23微小欠失症候群とは?原因と症状|東京・ミネルバクリニック

18q22q23微小欠失症候群とは?原因と症状|東京・ミネルバクリニック

18q22q23微小欠失症候群とは?
原因・症状・診断・管理を臨床遺伝専門医が解説

この記事でわかること
📖 読了時間:約18分
🧬 18番染色体・微小欠失
臨床遺伝専門医監修

Q. 18q22q23微小欠失症候群とはどのような病気ですか?

A. 18番染色体長腕の末端(18q22〜18q23)を含む欠失により、多系統にわたる症状が出ることがある希少な染色体微小欠失症候群です。
発達・学習面、聴覚、成長、免疫、心臓や腎臓などに影響し得ますが、症状の幅が非常に広く、出生前に予後を確定できないことが大きな特徴です。

  • 原因18q22〜18q23領域の微小欠失(欠失サイズ・遺伝子は個人差)
  • 主な症状 → 発達遅滞、難聴、低身長、筋緊張低下、免疫異常、先天性心疾患など
  • 重要な特徴不完全浸透:欠失があっても症状が出ない方もいる
  • 診断方法染色体マイクロアレイ(CMA)が確定診断の中心
  • 出生前での位置づけ → NIPTはスクリーニング、確定は羊水検査+CMA

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1. 18q22q23微小欠失症候群とは|基本情報

【結論】 18q22q23微小欠失症候群は、18番染色体長腕末端(18q22〜18q23)の欠失により起こる希少疾患です。症状は多彩で、「欠失=必ず重篤」ではありません。一方で、発達・学習・精神面に影響する可能性は否定できず、長期的な見守りが重要です。

💡 用語解説:「微小欠失」とは?

「微小欠失(microdeletion)」は、通常の染色体検査(Gバンド法)では見つけにくい小さな欠失を指します。現在は染色体マイクロアレイ(CMA)で高精度に検出できます。

18q欠失症候群(遠位18q欠失)との関係

18q22q23の欠失は「遠位18q欠失症候群(Distal 18q deletion syndrome)」に含まれる領域で、欠失が末端(テロメア側)に近いほど、症状が比較的軽いこともあります。ただし、欠失サイズや含まれる遺伝子により個人差が大きく、一律の予後説明はできません

項目 内容
疾患名 18q22q23微小欠失症候群(遠位18q欠失の一部)
原因 18q22〜18q23領域の欠失(末端欠失/間質欠失/転座など)
遺伝形式 常染色体優性(顕性)(多くは孤発)
特徴 発達・感覚・免疫・内分泌など多系統/不完全浸透と表現型の幅

2. 18q22q23微小欠失症候群の主な症状

【結論】 症状は発達遅滞・言語の遅れを中心に、難聴、視覚異常、低身長、免疫異常、先天性心疾患、腎尿路異常、足部変形など多岐にわたります。ただし、同じ欠失でも症状の程度は一人ひとり異なることが重要です。

発達・神経

🧠 発達・神経の特徴
  • 筋緊張低下:乳児期の「ぐったり感」、運動発達の遅れ
  • 言語発達の遅れ:難聴や口蓋の問題が重なることも
  • 白質の髄鞘化異常:脳MRIで白質高信号が見られることがある
  • 行動・精神面:不安、注意の偏り、ASD特性などが報告

💡 用語解説:「髄鞘化(ミエリン化)」とは?

神経線維を覆う「髄鞘(ミエリン)」は、情報伝達を速く正確にするための構造です。18q末端欠失ではMBP(Myelin Basic Protein)などの遺伝子が関与し、MRIで白質の変化が見られることがあります。

感覚器(聴覚・視覚)

学習やコミュニケーションに直結するため、早期の評価が重要です。

👂 聴覚

  • 外耳道狭窄・閉鎖(TSHZ1欠失と関連)
  • 伝音難聴/感音難聴(混合することも)
  • 中耳炎の反復が聴力に影響

👁 視覚

  • 斜視・眼振
  • 屈折異常(近視・遠視)
  • まれに視神経低形成など

内分泌・免疫・臓器合併症

🧩 多系統の合併症
  • 低身長:成長ホルモン分泌不全が関与することがある
  • 甲状腺機能異常:自己免疫性甲状腺炎など
  • 免疫異常:免疫グロブリン低下やアレルギー、自己免疫の合併が報告
  • 心疾患:ASD/VSDなど(NFATC1との関連が示唆)
  • 腎・尿路:水腎症やVURなどが報告

⚠️ ポイント:18q22q23微小欠失症候群は「症状のある人だけが見つかる」ことが多いため、文献に出てくる頻度や症状割合は重症寄りに見えやすい点に注意が必要です。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【「欠失=重篤」と決めつけない】

微小欠失が見つかると、不安が一気に高まります。しかし、臨床で何度も経験するのは、「同じ欠失でも症状がまったく違う」という現実です。

18q22q23は多系統に影響し得る領域である一方、無症状の方や軽症の方がいることも重要です。医療者の役割は「結論を押し付ける」ことではなく、情報を整理し、意思決定を支えることです。

3. 原因と遺伝的背景|関連遺伝子

【結論】 18q22q23の欠失では、複数の遺伝子のハプロ不全が同時に起こるため、症状が多彩になります。代表的な遺伝子としてTSHZ1(外耳道形成)、MBP(髄鞘形成)、NFATC1(心形成)などが挙げられます。

💡 用語解説:「ハプロ不全」とは?

遺伝子は通常、父母から1本ずつ計2コピーあります。「ハプロ不全」は、1コピーが欠失して残り1コピーだけでは機能が足りない状態です。複数遺伝子のハプロ不全が重なると、症状はより複雑になります。

遺伝子 主な役割 関連し得る所見
TSHZ1 耳・骨格の発生に関与する転写因子 外耳道狭窄・閉鎖、足部変形
MBP 髄鞘(ミエリン)の主要構成タンパク MRIでの白質所見、運動のぎこちなさ
NFATC1 心臓弁形成・免疫関連の転写因子 先天性心疾患のリスク

発生のしかた(新生突然変異と家族性)

新生突然変異(de novo)

両親に欠失がなく、配偶子形成時または受精後初期に新たに生じる欠失です。再発リスクは一般に低いとされますが、まれに生殖細胞モザイクなどを考慮します。

家族性(常染色体優性(顕性))

片親から欠失を受け継ぐケースがあります。親が軽症または無症状のこともあり、症状の予測が難しいため、家族での評価が重要です。

4. 診断方法|CMAが中心

【結論】 18q22q23微小欠失の確定診断には染色体マイクロアレイ(CMA)が不可欠です。Gバンド法では検出できない微小欠失を確定診断できます。

検査 位置づけ 備考
CMA ◎ 確定診断 欠失サイズと含まれる遺伝子を高解像度で評価
Gバンド法(核型) 大きな欠失なら検出 微小欠失は見逃される可能性
FISH 確認に有用 特定領域のプローブが必要

5. 治療と長期管理|多職種で支える

【結論】 根本治療はなく、症状に応じた対症療法と早期介入が中心です。特に、聴覚・発達支援・内分泌・免疫の評価を早期に行い、長期フォローにつなげることが重要です。

発達支援

  • PT・OT・STの早期介入
  • 就学・学習支援の調整

感覚器

  • ABRなどで聴覚評価
  • 眼科で屈折・斜視評価

内分泌・免疫

  • 甲状腺機能の定期チェック
  • 感染・自己免疫の評価
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【介入できる領域を見逃さない】

遺伝性疾患の中には、放置しても自然に良くなるものは多くありません。一方で、18q22q23微小欠失では、聴覚の補助や発達支援、甲状腺機能の評価など、「早く気づけば改善できる」領域があります。

「診断がついたから終わり」ではなく、生活の質(QOL)を上げるための長期プランを一緒に作ることが大切です。

6. 遺伝カウンセリングの重要性

【結論】 本症候群は不完全浸透と表現型の幅が大きく、遺伝カウンセリングが重要です。医師は決定者ではなく、情報提供者・意思決定支援者として、中立・非指示的に支援します。

遺伝カウンセリングについては、当院の解説もご覧ください:遺伝カウンセリングとは

7. 出生前診断について|NIPTと羊水検査

【結論】 NIPTはスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。18q22q23欠失(18q22q23 del)は、出生前に見つかる可能性がありますが、出生前に予後を確定できない領域であることを前提に、丁寧な説明が必要です。

出生前検査の位置づけ(中立・非誘導)

「どこまで調べるか」は医学的問題であると同時に倫理的問題でもあります。知る権利・知らないでいる権利を尊重し、検査の選択はご家族の意思決定として支えます。

検査 位置づけ 備考
NIPT スクリーニング 微小欠失は検査方式やサイズで検出限界がある
羊水検査+CMA ◎ 確定診断 Gバンド法では検出できない微小欠失を確定診断可能。
※学会指針では、原則として超音波での構造異常がある場合などが対象とされています。
絨毛検査+CMA ◎ 確定診断 妊娠初期に実施されることがある

当院NIPTで検出対象となる微小欠失(12箇所)

当院のNIPTは微小欠失を中心に設計されています。対象は以下の12箇所です(del=欠失)。同じ領域でコピー数が増える「重複」も検出されることがあり、結果の意味づけは専門的な判断が必要となるため、遺伝カウンセリングで詳しくご説明します。

🧬 12 microdeletions(欠失)
  • 1p36 欠失
  • 2q33 欠失
  • 4p16 欠失
  • 5p15 欠失
  • 8q23q24 欠失
  • 9p 欠失
  • 11q23q25 欠失
  • 15q11.2-q13 欠失
  • 17p11.2 欠失
  • 18p 欠失
  • 18q22q23 欠失
  • 22q11.2 欠失

よくある質問(FAQ)

Q1. 18q22q23微小欠失症候群はどのくらい稀ですか?

18q欠失症候群全体の推定出生頻度は約4〜5.5万人に1人とされます。18q22q23に限局した欠失はさらに稀ですが、検査技術の普及で見つかる機会が増えています。

Q2. 欠失があれば必ず症状が出ますか?

いいえ。不完全浸透であり、無症状の方もいます。欠失サイズや含まれる遺伝子、他の遺伝的背景や環境要因が影響します。

Q3. 遺伝しますか?次の子への再発リスクは?

多くは新生突然変異ですが、家族性の場合もあります。再発リスク評価のため、必要に応じて両親の検査を行い、遺伝カウンセリングで整理します。

Q4. NIPTで18q22q23欠失は分かりますか?

NIPTはスクリーニングであり、検出できるかは検査方式や欠失サイズなどに左右されます。確定診断は羊水検査+CMAです。

Q5. 治療法はありますか?

根本治療はありません。症状に応じた対症療法と早期支援が中心です。聴覚・発達・内分泌・免疫の評価を継続し、生活の質を高めます。

Q6. 出生前に見つかった場合、どう考えればよいですか?

本疾患は表現型の幅が広く、出生前に予後を確定できません。知る権利・知らないでいる権利を尊重し、中立・非誘導の遺伝カウンセリングで情報を整理します。

参考文献

  • [1] MedlinePlus Genetics. Distal 18q deletion syndrome. [MedlinePlus]
  • [2] Orphanet. Monosomy 18q syndrome. [Orphanet]
  • [3] Frontiers in Immunology (2021). Immune Dysregulation in Patients With Chromosome 18q Deletions. [Frontiers]
  • [4] PMC. Interstitial de novo 18q22.3q23 deletion: clinical and molecular characterization. [PMC]
  • [5] Chromosome 18 Clinical Research Center. Distal 18q-: Treatment and Surveillance. [PDF]
  • [6] RareChromo.org. 18q deletions: from 18q21 and beyond. [RareChromo]

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仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。

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