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15q13.3微小欠失症候群とは?症状・頻度・予後|東京・ミネルバクリニック

15q13.3微小欠失症候群とは?症状・頻度・予後|東京・ミネルバクリニック

15q13.3微小欠失症候群とは?
症状・頻度・予後を臨床遺伝専門医が解説

この記事でわかること
📖 読了時間:約18分
🧬 染色体微小欠失・神経発達症
臨床遺伝専門医監修

Q. 15q13.3微小欠失症候群とはどのような病気ですか?

A. 15番染色体長腕(15q13.3)の反復領域(主にBP4-BP5)に欠失が起こり、てんかん・発達遅滞・自閉スペクトラム症(ASD)などのリスクが上がる染色体微小欠失です。
ただし不完全浸透のため、同じ欠失があっても無症状〜症状ありまで幅広いことが大きな特徴です。

  • 原因15q13.3(主にBP4-BP5)の微小欠失(約1.5〜2.0Mbが典型)
  • 中心遺伝子CHRNA7(神経回路の興奮/抑制バランス)+OTUD7A(シナプス形成)など
  • 主な症状→発達遅滞・知的障害(約半数)、てんかん(約3割)、ASD(約1〜2割)、成人期の精神症状
  • 重要な特徴不完全浸透と表現型の多様性(家族内でも差が出る)
  • 確定診断染色体マイクロアレイ(CMA)が基本
  • 予後→身体的には概ね良好で寿命が大きく短くなる根拠は乏しい(合併症の管理が鍵)

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1. 15q13.3微小欠失症候群とは|基本情報

【結論】 15q13.3微小欠失症候群は、15q13.3(主にBP4-BP5)の欠失により、てんかん・神経発達障害・精神症状のリスクが上がる疾患(感受性CNV)です。欠失があっても無症状の方が一定数いるため、結果の解釈には遺伝カウンセリングが重要です。

「検査で15q13.3の欠失が見つかった」「子どもの発達や発作が心配」という方は、まず“何が確実で、何が予測できないのか”を整理することが大切です。本疾患は、“欠失=必ず重い病気”ではありません

💡 用語解説:「不完全浸透」とは?

同じ遺伝学的変化があっても、症状が出る人と出ない人がいる状態です。15q13.3欠失はまさにこのタイプで、家族内でも“無症状の親”から見つかることがあります。だからこそ、1人ひとりの臨床情報(発達・発作・環境要因)と合わせて評価します。

15q13.3微小欠失症候群の概要

項目 内容
疾患名 15q13.3微小欠失症候群(Recurrent deletionが代表)
欠失範囲 BP4-BP5(約1.5〜2.0Mbが典型)※より広い/狭い欠失も
代表遺伝子 CHRNA7、OTUD7A、FAN1、KLF13、TRPM1など
頻度(推定) 一般集団では稀(推定値は研究により幅あり)/臨床集団(てんかん・発達障害)で濃縮
遺伝形式 常染色体優性(顕性)+不完全浸透(無症状保因者あり)
新生突然変異 約15〜25%が新生突然変異、残りは家族性が多い

15番染色体近位部のブレークポイント構造(参考図)

15q領域にはBP1〜BP5などのブレークポイントが存在し、欠失が起こる場所によって疾患スペクトラムが変わります。15q13.3微小欠失は主にBP4-BP5に関係しますが、構造理解のために近位領域の模式図も参考になります。

15q11.2 BP1-BP2(ブレークポイント模式図)

図:15番染色体近位部のブレークポイント概念図(BP1-BP2の位置関係の参考)

15q11–q14領域におけるBP1〜BP5ブレークポイントの模式図

図:染色体15q11–q14領域に存在する主要なブレークポイント(BP1〜BP5)の相対的位置関係。黒いバーはアレイ上でカバーされているクローン領域、灰色は塩基配列が決定されているがアレイには含まれていない領域、白抜きはゲノム上のギャップを示す。既知の切断点(ブレークポイント)の位置が示されている。
出典:Pujana MA, et al. Sequence and comparative analysis of the 15q11–q14 region. PMC1216061(オープンアクセス)

⚠️ 注意:欠失の“場所”で意味が変わる

同じ「15番染色体の欠失」でも、BP2-BP3領域(インプリンティング関連)と、BP4-BP5領域(15q13.3)では、臨床像もカウンセリングも別物です。検査結果の表記(例:15q11.2-q13欠失など)が広い場合は、“どのブレークポイントを含むか”を必ず確認します。

仲田洋美院長

🩺 院長コラム【“欠失=運命”ではありません】

15q13.3微小欠失で最初にお伝えしたいのは、“結果だけで将来を決めつけない”ということです。欠失は脳の発達に対する“脆弱性”を作りますが、そこから先は他の遺伝的背景や環境(ストレス、支援、学習環境)との組み合わせで変わります。

私は医師として30年以上、のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきました。出生前診断でも小児でも、中立に情報を整理し、ご家族が納得できる形で進められるよう支援します。

2. 15q13.3微小欠失症候群の主な症状

【結論】 15q13.3欠失の症状は発達遅滞/知的障害、言語発達の遅れ、てんかん、ASD/ADHD、成人期の精神症状が中心です。一方で、症状が出ない保因者がいるため、個別評価が欠かせません。

症状の出現頻度(目安)

頻度は研究や集団(発達外来・てんかん外来・一般集団)で変わります。以下は主に診断に至った症例群に基づく目安です。

症状カテゴリー 頻度 ポイント
発達遅滞/知的障害 約55〜60% 軽度〜中等度が多い/言語の遅れが目立ちやすい
てんかん 約25〜30% 欠神発作・全般発作が多い/薬剤選択は慎重に
自閉スペクトラム症(ASD) 約10〜19% 社会的コミュニケーションの困難/言語遅滞が先行しやすい
ADHD・行動の課題 しばしば 衝動性・不注意・不安・易刺激性など
成人期の統合失調症など 約10%前後 一般集団よりリスク上昇/思春期以降のモニタリングが重要
先天性心疾患 約2〜5% 頻度は高くないが、初期評価として心エコーを検討

⚠️ 重要:この表は「診断に至った方」を中心にした頻度です。欠失を持ちながら無症状の方がいるため、“頻度=将来の確率”と直結しません。出生前診断や偶発的発見では、解釈がさらに慎重になります。

身体的特徴

明確な特徴顔貌は乏しいことが多い一方、軽微な所見(眼間開離、高口蓋、斜視、中耳炎など)が報告されます。“顔で診断する疾患ではない”ため、遺伝学的検査が必要です。

3. 原因と遺伝的背景|中心遺伝子CHRNA7とOTUD7A

【結論】 15q13.3欠失の中核はCHRNA7(神経回路の興奮/抑制バランス)で、近年はOTUD7A(シナプス形成)も重要候補として注目されています。欠失は複数遺伝子が同時に失われる隣接遺伝子欠失である点がポイントです。

💡 用語解説:「ハプロ不全」とは?

遺伝子は通常2コピー(父母由来)あります。1コピーが欠失して“残り1コピーでは足りない”状態がハプロ不全です。15q13.3欠失では、複数遺伝子のハプロ不全が重なり、脳のネットワーク全体に影響し得ます。

CHRNA7:神経回路の“ブレーキ”を支える要素

🧠 CHRNA7の臨床的ポイント
  • 役割:学習・注意・記憶に関わる神経回路で、興奮/抑制バランスを整える
  • 欠失の影響:てんかん・注意の課題・ASD/精神症状のリスク上昇が説明される
  • ポイント:“原因遺伝子は1つではない”(他遺伝子・環境との組み合わせが重要)

OTUD7A:シナプスの土台を整える遺伝子

OTUD7Aは神経細胞の突起(樹状突起)とシナプスの構造に関わるとされ、欠失により情報処理の“つながり”が弱くなる可能性が示唆されています。

💡 用語解説:シナプスとは?

神経細胞同士が情報をやり取りする“接続点”です。シナプスの数や形は、学習・行動・発作閾値にも関係します。15q13.3欠失の理解では、“単一遺伝子”ではなく“ネットワーク”として捉えることが重要です。

表現型の多様性:「2ヒット」モデル

🎯 “2ヒット”で理解すると整理しやすい

第1ヒット:15q13.3欠失(脆弱性を作る)
第2ヒット:他の遺伝子変化、別のCNV、または環境要因(ストレスなど)

2つが重なって閾値を超えると症状が目立つという考え方です。家族内の差の説明にも役立ちます。

4. 15q13.3微小欠失症候群の診断方法

【結論】 確定診断には染色体マイクロアレイ(CMA)が基本です。従来のGバンド法(核型)では検出できないサイズの欠失を高解像度で検出できます。

遺伝学的検査の種類

検査方法 特徴 15q13.3欠失
染色体マイクロアレイ(CMA) 確定診断。微細な欠失/重複(CNV)を網羅的に検出 ◎ 検出可能
Gバンド法(核型分析) 大きな構造異常の確認に有用 ✕ 検出困難(微小欠失)
FISH/MLPA 特定領域の確認に用いる △ 条件次第

💡 羊水検査でCMAに言及するときの重要ポイント

羊水検査+CMA◎ 確定診断です。Gバンド法では検出できない微小欠失を確定診断できます。
※学会指針では、原則として超音波での構造異常がある場合などが対象とされています。

5. 治療と長期管理

【結論】 根本治療は確立していないため、症状に合わせた対症療法と、早期介入(療育)、思春期以降の精神症状のモニタリングが柱です。

ライフステージ別の管理

ライフステージ 主な対応
乳幼児期(0〜5歳) 発達スクリーニング、ST/OT/PTなど早期療育、発作の評価、視聴覚のフォロー
学童期(6〜12歳) 学習支援、注意・行動の支援、てんかんがあれば薬剤調整、学校との連携
思春期〜成人期(13歳〜) 精神症状の早期発見、就労・生活支援、移行期医療

症状別の対応

発達遅滞・言語

  • 言語療法(ST)が中心
  • 学習支援(読み書き・注意)
  • 家庭・学校の環境調整

てんかん

  • 発作型に合わせた抗てんかん薬
  • 薬剤によっては発作悪化の可能性があるため専門医と連携
  • 脳波・発達の定期評価

ASD/ADHD・行動

  • 環境調整・行動療法・SST
  • 必要に応じた薬物療法(年齢・症状に応じて)

思春期以降の精神症状

  • 前駆症状(不眠・引きこもり等)を見逃さない
  • 精神科と継続連携(家族支援を含む)

6. 遺伝カウンセリングの重要性

【結論】 15q13.3欠失は不完全浸透であり、同じ欠失でも症状が大きく異なります。だからこそ、遺伝カウンセリングで、結果の意味・予後の不確実性・再発リスクを整理することが重要です。

遺伝カウンセリングで整理するポイント

📋 相談の要点
  • 欠失の意味:“診断名”と“リスク”のどちらが主かを整理
  • 不完全浸透:無症状の可能性も含めて説明
  • 家族検査:両親が保因者かで再発リスクと解釈が変わる
  • フォロー:発達・発作・精神面の“いつ・何を見守るか”を具体化

再発リスク

状況 次子への再発リスク
両親とも欠失なし(新生突然変異) 1%未満(生殖細胞モザイクを考慮)
片親が保因者 50%(常染色体優性(顕性))※症状の程度は予測困難
仲田洋美院長

🩺 院長コラム【“不確実性”をどう扱うか】

15q13.3欠失の説明で難しいのは、“予後を数字で言い切れない”点です。私はまず、確実に言えること(確定診断・合併症のチェック項目)と、現時点で予測できないこと(発達や精神症状の将来)を分けてお話しします。

ご家族が“いま何を準備すべきか”に焦点を当て、見守りと支援の計画を一緒に作ることが、遺伝カウンセリングの価値だと考えています。

7. 出生前診断について|NIPTと羊水検査

【結論】 15q13.3欠失は出生前に見つかることがありますが、結果だけで予後を断定できません。スクリーニング(NIPT)と確定検査(羊水検査+CMA)の役割を区別し、遺伝カウンセリングで整理することが大切です。

出生前検査での位置づけ

検査 役割 備考
NIPT スクリーニング 微小欠失は検査設計・サイズで検出限界があるため、結果解釈は慎重に
羊水検査+CMA 確定診断 Gバンド法では検出できない微小欠失を確定診断可能(学会指針の適応を踏まえて判断)
絨毛検査+CMA 確定診断(早期) 妊娠初期から評価可能

当院のNIPT(ダイヤモンドプラン)で見られる微小欠失

当院のダイヤモンドプランでは、微小欠失を12種類カバーしています(検査設計上の対象)。

🧬 12 microdeletions
  • 1p36 del
  • 2q33 del
  • 4p16 del
  • 5p15 del
  • 8q23q24 del
  • 9p del
  • 11q23q25 del
  • 15q11.2-q13 del
  • 17p11.2 del
  • 18p del
  • 18q22q23 del
  • 22q11.2 del

⚠️ 補足:15q13.3欠失が検査設計上どの範囲として扱われるかは、欠失サイズや検査仕様で変わります。最終的な整理は、確定検査(羊水検査+CMA)や結果説明で丁寧に行います。

8. ミネルバクリニックのサポート体制

ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医が検査前後の説明と意思決定支援を行い、必要に応じて確定検査・フォローへつなげます。

🔬 高精度な検査技術

COATE法など、検査の特性を踏まえた説明を行います。

🏥 確定検査の情報整理

羊水検査・絨毛検査の料金と流れを含め、必要な情報をわかりやすく提示します。

👩‍⚕️ 臨床遺伝専門医が担当

臨床遺伝専門医遺伝カウンセリングを担当します。

💰 互助会制度で費用面も安心

互助会制度により、NIPT陽性時の確定検査(羊水検査)費用を全額補助します。NIPT受検者全員が対象です。

一人で悩まず、専門医を頼ってください

15q13.3欠失について詳しく知りたい方、出生前検査を検討している方は臨床遺伝専門医にご相談ください

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よくある質問(FAQ)

Q1. 15q13.3微小欠失症候群はどのくらいの頻度ですか?

一般集団での推定頻度は研究により幅がありますが、発達障害やてんかんの集団で見つかりやすいことが知られています。頻度だけで重症度は決まらないため、臨床所見と合わせて評価します。

Q2. 欠失があれば必ず症状が出ますか?

いいえ、必ずではありません。15q13.3欠失は不完全浸透で、無症状の保因者がいます。症状の出方は、他の遺伝的要因や環境要因と重なって決まると考えられています。

Q3. てんかんは必発ですか?どんな発作が多いですか?

てんかんは約25〜30%程度に見られるとされます。欠神発作や全般発作が多い一方、個人差が大きいです。薬剤選択は発作型により異なるため、専門医と連携します。

Q4. 平均寿命や生存率に影響はありますか?

重大な先天性心疾患などの合併がなければ、寿命が大きく短くなる明確な根拠は乏しいと考えられています。生活の質は、てんかんや精神症状のコントロール、発達支援の充実で大きく変わります。

Q5. 次の子にも遺伝しますか?

まず両親の検査が重要です。片親が保因者なら次子への遺伝確率は50%(常染色体優性(顕性))です。両親に欠失がなければ再発は1%未満が目安です(生殖細胞モザイクを考慮)。

Q6. 出生前診断で見つかったら、どう考えればよいですか?

出生前に見つかった場合、予後の予測が難しいことが多いです。両親が保因者かどうか、超音波で構造異常があるか、確定検査の結果などを統合し、遺伝カウンセリングで丁寧に整理します。

Q7. 15q13.3欠失は治療できますか?

欠失そのものを戻す治療は現時点で一般臨床にはありません。発達支援・てんかん治療・精神科的支援など、症状に合わせた医療と支援が中心です。

🏥 一人で悩まないでください

15q13.3欠失について心配なこと、検査を受けるかどうか迷っていること、
どんなことでもお気軽にご相談ください。
臨床遺伝専門医があなたとご家族に寄り添います。

参考文献

  • [1] GeneReviews: 15q13.3 Recurrent Deletion. [NCBI Bookshelf]
  • [2] Orphanet: 15q13.3 microdeletion syndrome. [Orphanet]
  • [3] Gillentine MA, Schaaf CP. Delineating the 15q13.3 microdeletion phenotype: a case series and comprehensive review. [PMC]
  • [4] The Human Clinical Phenotypes of Altered CHRNA7 Copy Number. [PMC]
  • [5] Network Effects of the 15q13.3 Microdeletion on the Transcriptome and Epigenome in Human-Induced Neurons. [PMC]
  • [6] MedlinePlus Genetics: 15q13.3 microdeletion. [MedlinePlus]
  • [7] Simons Searchlight: 15q13.3 Deletion. [Simons Searchlight]


プロフィール

この記事の筆者:仲田 洋美(臨床遺伝専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、臨床遺伝学・内科・腫瘍学を軸に、 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。 出生前診断・遺伝学的検査においては、検査結果そのものだけでなく 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。
2025年、国際誌『Global Woman Leader』および『Medical Care Review APAC』の2誌で立て続けに表紙(Cover Story)に抜擢。 「日本のヘルスケア女性リーダー10名」や「アジア太平洋地域のトップ出生前検査サービス」として、世界的な評価を確立しています。

▶ 仲田洋美の詳細プロフィールはこちら

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