目次
15q11.2 BP1-BP2微小欠失症候群とは?
症状・原因・診断・治療を臨床遺伝専門医が解説
Q. 15q11.2 BP1-BP2微小欠失症候群とはどのような病気ですか?
A. 15番染色体長腕(15q11.2)のBP1-BP2領域(約300〜500kb)が欠失することで、神経発達障害や精神疾患のリスクが高まる染色体微細構造異常です。
Burnside-Butler症候群とも呼ばれ、NIPA1・NIPA2・CYFIP1・TUBGCP5の4遺伝子のハプロ不全により、発達遅滞・言語障害・ADHD・ASD・てんかんなどの症状が生じることがあります。
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原因 → 15番染色体BP1-BP2間(約500kb)の微小欠失 -
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主要症状 → 発達遅滞(73%)、言語障害(67%)、ADHD(35%)、ASD(27%)、てんかん(26%) -
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重要な特徴 → 不完全浸透率:欠失があっても大多数は無症状(浸透率1〜数%) -
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診断方法 → 染色体マイクロアレイ検査(CMA)が確定診断のゴールドスタンダード -
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頻度 → 一般集団で約1/300人(比較的高頻度だが多くは無症状)
1. 15q11.2 BP1-BP2微小欠失症候群とは|基本情報
【結論】 15q11.2 BP1-BP2微小欠失症候群(Burnside-Butler症候群)は、15番染色体長腕のBP1-BP2間(約300〜500kb)が欠失する染色体微細構造異常です。一般集団の約1/300人がこの欠失を持ちますが、大多数は無症状であり、症状が現れるのは一部の方のみです。
「お子さんの発達が気になる」「検査で15q11.2欠失が見つかった」という方は、この病気について正確な情報を知ることが大切です。この症候群は「リスク因子」であり、欠失があるからといって必ず症状が出るわけではありません。
💡 用語解説:「不完全浸透率」とは?
遺伝学で「浸透率」とは、ある遺伝子変異を持つ人のうち実際に症状が現れる人の割合です。15q11.2 BP1-BP2欠失は浸透率が1〜数%と非常に低く、欠失を持っていても90%以上の方は症状なく生活しています。これを「不完全浸透」と呼びます。
15q11.2 BP1-BP2微小欠失症候群の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 疾患名 | 15q11.2 BP1-BP2微小欠失症候群(OMIM #615656) |
| 別名 | Burnside-Butler症候群 |
| 原因 | 15q11.2領域(BP1-BP2間)の約300〜500kb欠失 |
| 頻度 | 一般集団で約1/300人(0.3%) |
| 遺伝形式 | 常染色体優性(不完全浸透) |
| 責任遺伝子 | NIPA1、NIPA2、CYFIP1、TUBGCP5(4遺伝子) |
⚠️ プラダー・ウィリー症候群/アンジェルマン症候群との違い
15q11.2 BP1-BP2欠失は、プラダー・ウィリー症候群(PWS)やアンジェルマン症候群(AS)とは別の疾患です。PWS/ASはBP2-BP3間のより遠位の領域(インプリンティング遺伝子を含む)の欠失が原因です。15q11.2 BP1-BP2欠失に含まれる4遺伝子はインプリンティングを受けないため、PWS/ASのような重篤な症状は呈しません。
15番染色体近位部のブレークポイント構造
15番染色体長腕近位部(15q11-q13)には、BP1、BP2、BP3、BP4、BP5と呼ばれる複数のブレークポイントが存在します。これらの間で起こる欠失や重複により、異なる症候群が生じます。
BP1-BP2欠失(本症候群)
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約300〜500kbの微小欠失
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4遺伝子のハプロ不全
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インプリンティングなし
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不完全浸透率(多くは無症状)
BP2-BP3欠失(PWS/AS領域)
- •
約5〜6Mbの大きな欠失
- •
多数の遺伝子を含む
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インプリンティングあり
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PWS/ASを発症(完全浸透)
💡 PWS Type I vs Type IIの重症度差
興味深いことに、PWS患者においてもBP1-BP3欠失(Type I)の方がBP2-BP3欠失(Type II)より重症であることが報告されています。これは、BP1-BP2領域の4遺伝子が神経発達に独自の影響を持つ証拠です。
2. 15q11.2 BP1-BP2微小欠失症候群の主な症状
【結論】 本症候群の症状は発達遅滞(73%)、言語障害(67%)、ADHD(35%)、ASD(27%)、てんかん(26%)など多岐にわたります。ただし、不完全浸透率のため同じ欠失でも症状は様々であり、無症状から重度まで幅広いスペクトラムを示します。
症状の出現頻度
以下の症状頻度は、症状があって検査を受けた患者群でのデータです。一般集団の保因者の多くは無症状であることに注意してください。
| 症状カテゴリー | 頻度 | 詳細 |
|---|---|---|
| 発達遅滞 | 73% | 精神運動発達遅滞、知的障害(軽度〜中等度が多い) |
| 言語障害 | 67% | 言語発達遅延、表出性言語障害、発語失行 |
| 学習障害・記憶障害 | 60% | 読字障害、書字障害、算数障害、ワーキングメモリ低下 |
| 運動発達遅滞 | 42% | 筋緊張低下、協調運動障害、運動失調 |
| ADHD | 35% | 注意欠如・多動性障害 |
| 先天性心疾患 | 17〜30% | 心室中隔欠損、心房中隔欠損など |
| 自閉スペクトラム症(ASD) | 27% | 社会的コミュニケーション障害、限定的興味 |
| てんかん | 26% | 欠神発作、焦点性発作、難治性てんかんも |
| 統合失調症 | 20% | 成人期発症、幻覚・妄想 |
神経発達症状の詳細
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IQへの影響:平均4.3ポイント低下(多くは正常範囲〜軽度知的障害)
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•
言語発達:表出性言語(話す力)の遅れが顕著、受容性言語との乖離
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•
学習障害:読字障害(ディスレクシア)、算数障害(ディスカルキュリア)のリスク上昇
-
•
運動面:筋緊張低下、協調運動障害(不器用さ)
精神医学的症状
本症候群では、精神疾患への易罹患性が重要な特徴の一つです。
小児期〜思春期
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ADHD(35%)
- •
自閉スペクトラム症(27%)
- •
強迫性障害(OCD)
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不安障害、かんしゃく
成人期
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統合失調症(20%):オッズ比1.5〜2倍
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うつ病
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不安障害
- •
治療抵抗性の精神病症状
身体的特徴
本症候群に特徴的な「顔」はありませんが、一部の患者さんでは以下のような所見がみられることがあります。
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•
顔面:広い前額部、眼間開離、斜頭症、耳介低位・形態異常
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•
口蓋:口蓋形成異常(46%)、高口蓋、口蓋裂
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•
心臓:先天性心疾患(17〜30%)
-
•
その他:細長い指、脊椎側弯など
⚠️ 最新研究(2023年):フランスの52例の研究で、先天性心疾患が17.3%と従来の報告より高頻度で確認されました。本症候群が疑われる場合は、心臓の精査も重要です。
🩺 院長コラム【「リスク因子」としての正しい理解】
15q11.2 BP1-BP2欠失について最も重要なことは、「欠失=病気」ではないということです。一般集団の約300人に1人がこの欠失を持っていますが、その大多数は健康に暮らしています。
この欠失は「感受性CNV(Susceptibility CNV)」と呼ばれ、脳の発達に対する「バッファ(予備能)」を下げる因子として働きます。症状が現れるかどうかは、他の遺伝的要因や環境要因との組み合わせによって決まります。
出生前診断や小児の発達検査で見つかった場合、「どの程度の症状が出るか予測が困難」という不確実性があることを、遺伝カウンセリングで丁寧にお伝えしています。
3. 原因と遺伝的背景|4つの責任遺伝子
【結論】 本症候群の原因は、BP1-BP2間に位置するNIPA1・NIPA2・CYFIP1・TUBGCP5の4遺伝子のハプロ不全です。これらはすべてインプリンティングを受けないため、父母どちらの染色体に欠失があっても同様の影響を及ぼします。
4つの責任遺伝子の機能
💡 用語解説:「ハプロ不全」とは?
通常、遺伝子は父母から1本ずつ、計2コピー持っています。「ハプロ不全」とは、1コピーが欠失または機能しなくなることで、残り1コピーだけでは正常な機能を維持できない状態を指します。遺伝子産物(タンパク質)が通常の50%になることで細胞機能に影響が出ます。
| 遺伝子 | 主な機能 | 関連する臨床症状 |
|---|---|---|
| NIPA1 | マグネシウム輸送、BMPシグナル抑制 | 運動発達障害、てんかん(点変異でHSP-SPG6) |
| NIPA2 | マグネシウム輸送、神経細胞興奮性制御 | てんかん(欠神発作、熱性けいれん) |
| CYFIP1 | アクチン制御(WAVE複合体)、FMRP相互作用 | ASD、統合失調症、知的障害、発達遅滞 |
| TUBGCP5 | 微小管形成、細胞分裂 | ADHD、OCD |
CYFIP1:神経発達における中心的役割
4遺伝子の中で、CYFIP1が神経精神症状の形成に最も重要と考えられています。
-
①
WAVE複合体の構成因子:アクチン細胞骨格の再構成を制御し、樹状突起スパインの形成・成熟に必須
-
②
FMRPとの結合:脆弱X症候群の原因タンパク質と相互作用し、シナプスでのタンパク質合成を制御
-
③
ハプロ不全の影響:未熟なスパイン増加 → 神経回路の結合不全(コネクトパチー)
💡 用語解説:樹状突起スパインとは?
樹状突起スパインは神経細胞の突起にある小さな突出部で、シナプス(神経細胞間の接続点)の形成部位です。スパインの形態や数は学習・記憶の基盤となるシナプス可塑性に直結しており、その異常は知的障害や精神疾患と関連します。
欠失の発生機序
15q11.2領域には低コピー反復配列(LCR)が複数存在し、減数分裂時に非対立遺伝子間相同組換え(NAHR)を誘発します。これにより欠失や重複が生じやすくなっています。
家族性継承(50〜80%)
両親のいずれかから欠失を受け継ぐケース。無症状の親から発見されることも多く、不完全浸透の典型例。父母由来の頻度は概ね同等。
新生突然変異(5〜22%)
両親は正常で、配偶子形成時または受精後初期に新たに発生。de novo例では症状がより重い傾向との報告もあるが、確立された見解ではない。
「2ヒット仮説」と表現型の多様性
同じ欠失を持つ家族でも症状の程度が大きく異なる理由として、「2ヒット仮説」が提唱されています。
🎯 2ヒット仮説
第1ヒット:15q11.2 BP1-BP2欠失 → 脳の発達バッファ(予備能)を低下させる
第2ヒット:別の遺伝子変異、他のCNV、または環境要因
→ 2つのヒットが重なることで閾値を超え、症状が顕在化
→ 第1ヒットのみ(無症状の親)では閾値を超えず発症しない
4. 15q11.2 BP1-BP2微小欠失症候群の診断方法
【結論】 本症候群の確定診断には染色体マイクロアレイ検査(CMA)が不可欠です。従来のG分染法では検出できない微細な欠失を高精度で検出できます。臨床症状のみで診断することはできません。
診断のきっかけ
以下のような状況で検査が行われ、本欠失が発見されることがあります。
-
①
原因不明の発達遅滞・知的障害:CMAが第一選択検査として実施される
-
②
自閉スペクトラム症の精査:遺伝学的原因検索として
-
③
てんかんの精査:特に難治性の場合
-
④
先天性心疾患+発達遅滞:複合所見の原因検索
-
⑤
出生前診断:NIPT陽性例や羊水検査で偶発的に発見
遺伝学的検査の種類
| 検査方法 | 特徴 | 15q11.2欠失の検出 |
|---|---|---|
| 染色体マイクロアレイ(CMA) | ゴールドスタンダード。数kb〜数Mbの微細CNVを高解像度で検出 | ◎ 検出可能 |
| G分染法(核型分析) | 解像度は5〜10Mb程度。大きな転座や数的異常を検出 | ✕ 検出困難(約500kbの微小欠失) |
| FISH法 | 特定領域のプローブを使用。迅速な確認に有用 | △ 専用プローブで可能 |
| MLPA法 | 特定領域のコピー数を定量。比較的安価 | △ 専用キットで可能 |
💡 用語解説:染色体マイクロアレイ(CMA)とは?
CMAは、従来のG分染法では検出できない微細な染色体の重複・欠失(コピー数変異:CNV)を検出する検査です。日本では原因不明の発達遅滞・先天異常に対する保険適用検査として実施されています。
5. 治療と長期管理
【結論】 本症候群には根本的な治療法は存在せず、症状に応じた対症療法・早期療育・継続的支援が中心となります。症状は多岐にわたるため、多職種チームによる包括的アプローチが重要です。
ライフステージ別の管理
| ライフステージ | 主な対応 |
|---|---|
| 乳児期・幼児期(0〜5歳) | 心エコー検査、発達スクリーニング、早期療育開始(PT・OT・ST)、てんかんの早期発見 |
| 学童期(6〜12歳) | 知能検査・学習評価、特別支援教育の検討、ADHD・ASDへの対応、行動療法・薬物療法 |
| 思春期・成人期(13歳〜) | 精神疾患の早期発見(統合失調症・うつ病)、就労支援、生活自立支援、移行期医療 |
症状別の治療・対応
発達遅滞・言語障害
- •
早期療育が最も重要
- •
理学療法(PT)・作業療法(OT)
- •
言語聴覚療法(ST)
- •
特別支援教育の利用
ADHD・ASD
- •
行動療法・環境調整
- •
ソーシャルスキルトレーニング(SST)
- •
ADHD薬物療法(メチルフェニデートなど)
- •
ペアレントトレーニング
てんかん
- •
発作型に応じた抗てんかん薬
- •
定期的な脳波検査
- •
難治例ではてんかん専門医と連携
精神症状(成人期)
- •
前駆症状の早期発見が重要
- •
抗精神病薬・抗うつ薬
- •
精神科との継続的連携
-
•
臨床遺伝科:遺伝カウンセリング、家族への説明
-
•
小児科・発達小児科:発達評価、療育調整
-
•
児童精神科:ADHD・ASD・行動問題への対応
-
•
小児神経科:てんかん管理
-
•
小児循環器科:心疾患の評価・フォロー
6. 遺伝カウンセリングの重要性
【結論】 15q11.2 BP1-BP2欠失の不完全浸透率と表現型の多様性は、遺伝カウンセリングを非常に複雑なものにします。「欠失=必ず発症」ではないこと、予後予測が困難であることを丁寧に説明し、家族の意思決定を支援することが重要です。
遺伝カウンセリングで伝えるべきポイント
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①
「リスク因子」としての性質:欠失は疾患の「確定原因」ではなく「感受性因子」
-
②
不完全浸透率:欠失があっても大多数(90%以上)は無症状で生活
-
③
予後の不確実性:同じ欠失でも症状は無症状〜重度まで様々
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④
両親の検査:親が保因者か確認することで再発リスクを評価
-
⑤
長期フォローの必要性:症状の変化を見守る体制が重要
再発リスク
| 状況 | 次子への再発リスク |
|---|---|
| 両親とも正常(de novo) | 1%未満(生殖細胞モザイクの可能性はあり) |
| 片親が保因者 | 50%(ただし症状発現は不確実) |
⚠️ 重要:親が同じ欠失を持ちながら健康である場合、それは子どもの予後にとってある程度の安心材料になりますが、完全に同じ経過をたどる保証はありません。「2ヒット仮説」により、子どもには親にはない別の遺伝的要因がある可能性があります。
🩺 院長コラム【遺伝カウンセリングで大切にしていること】
15q11.2 BP1-BP2欠失の遺伝カウンセリングで最も難しいのは、「予後が予測できない」という不確実性をどう伝えるかです。「欠失があるから病気」でも「欠失があっても大丈夫」でもなく、「リスクは上がるが、発症するかどうか、どの程度の症状が出るかは現時点では予測できない」という事実を正直にお伝えしています。
特に出生前診断で見つかった場合、ご家族は大きな決断を迫られます。私は中立的な立場で正確な情報を提供し、最終的な判断はご家族自身に委ねます。どのような決断をされても、その後もサポートを続けることをお約束しています。
臨床遺伝専門医として、これまで多くの15q11.2欠失のご家族とお話ししてきました。不安を抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。
7. 出生前診断について|NIPTと羊水検査
【結論】 15q11.2 BP1-BP2欠失は出生前診断で検出可能です。NIPTの全染色体検査や羊水検査でのCMAで見つかることがありますが、胎児の予後予測は困難であり、出生前診断で見つかった場合の対応には慎重な遺伝カウンセリングが必要です。
出生前検査での検出方法
| 検査 | 検出可能性 | 備考 |
|---|---|---|
| NIPT(全染色体検査) | △ 限定的 | 約500kbの微小欠失は検出困難なことが多い。スクリーニング検査 |
| 羊水検査+CMA | ◎ 検出可能 | 確定診断のゴールドスタンダード |
| 絨毛検査+CMA | ◎ 検出可能 | 妊娠初期(11〜14週)に実施可能 |
出生前診断で見つかった場合の対応
出生前にこの欠失が見つかった場合、超音波検査では半数以上で明らかな異常所見がないことが報告されています。そのため、予後予測は非常に難しくなります。
-
①
遺伝カウンセリング:欠失の意味、不完全浸透率、予後の不確実性を説明
-
②
両親の検査:親が同じ欠失を持つか確認(保因者なら安心材料の一つに)
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③
詳細超音波:心奇形、口蓋裂などの構造異常を精査
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④
出生後フォロー体制:発達モニタリング、早期療育の準備
⚠️ 重要な考慮点:出生前診断で15q11.2 BP1-BP2欠失が見つかった場合、「異常所見がないから大丈夫」とも「欠失があるから問題」とも言えません。この不確実性をどう受け止めるかは、ご家族によって異なります。どのような決断をされても、専門家としてサポートいたします。
8. ミネルバクリニックのサポート体制
ミネルバクリニックでは、臨床遺伝専門医の専門性を活かした診療体制を整えています。15q11.2 BP1-BP2欠失を含む染色体異常の検査から、結果説明、フォローまで一貫してサポートいたします。
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どんなことでもお気軽にご相談ください。
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参考文献
- [1] Burnside RD, et al. Microdeletion/microduplication of proximal 15q11.2 between BP1 and BP2: a susceptibility region for neurological dysfunction including developmental and language delay. Hum Genet. 2011;130(4):517-528. [PubMed]
- [2] Butler MG, et al. Subset of individuals with autism spectrum disorders and extreme macrocephaly associated with germline PTEN tumour suppressor gene mutations. J Med Genet. 2005;42(4):318-321. [PubMed]
- [3] Cox DM, Butler MG. The 15q11.2 BP1-BP2 microdeletion syndrome: a review. Int J Mol Sci. 2015;16(2):4068-4082. [PubMed]
- [4] Stefansson H, et al. Large recurrent microdeletions associated with schizophrenia. Nature. 2008;455(7210):232-236. [PubMed]
- [5] Picinelli C, et al. Recurrent 15q11.2 BP1-BP2 microdeletions and microduplications in the etiology of neurodevelopmental disorders. Am J Med Genet B Neuropsychiatr Genet. 2016;171(8):1088-1098. [PubMed]
- [6] Cafferkey M, et al. Phenotypic features in patients with 15q11.2(BP1-BP2) deletion: further delineation of an emerging syndrome. Am J Med Genet A. 2014;164A(8):1916-1922. [PubMed]
- [7] Vanlerberghe C, et al. 15q11.2 microdeletion (BP1-BP2) and developmental disorder: Metabolic consequences and relevance of the genes in the deleted region. Mol Genet Genomic Med. 2015;3(5):391-400. [PubMed]
- [8] OMIM #615656 – Burnside-Butler Syndrome. [OMIM]
- [9] DECIPHER Database – 15q11.2 recurrent (BP1-BP2) deletion. [DECIPHER]
- [10] Hashemi B, et al. Deletion of 15q11.2(BP1-BP2) region: Further evidence for lack of phenotypic specificity in a pediatric population. Am J Med Genet A. 2015;167A(9):2098-2102. [PubMed]
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