目次
日常の診療で集まる電子カルテやレセプトといった「リアルワールドデータ(RWD)」を分析して導かれる証拠が「リアルワールドエビデンス(RWE)」です。これまで医薬品の有効性を証明する王道はランダム化比較試験(RCT)でしたが、RCTでは検証しにくい希少疾患や小児疾患、がんゲノム領域で、RWEが規制当局の判断を支える正式な根拠として急速に存在感を高めています。本記事では、RWDとRWEの基礎、RCTとの違い、FDA・EMA・PMDAでの使われ方、そして信頼できる結論を導くための最新の解析手法までを、遺伝専門医の視点でわかりやすく解説します。
Q. リアルワールドデータ(RWD)とリアルワールドエビデンス(RWE)とは何ですか?まず結論だけ知りたいです
A. RWDは、臨床試験以外の日常の医療現場(電子カルテ・レセプト・患者レジストリ・ウェアラブル等)から集まる患者の健康データです。そのRWDを体系的に分析して導かれた、薬や医療機器の効果・安全性に関する証拠がRWEです。近年は、ランダム化比較試験(RCT)が難しい希少疾患・小児・がん領域を中心に、FDA・EMA・PMDAなどの規制当局がRWEを有効性評価の正式な根拠として受け入れる動きが世界的に広がっています。ただし日常データには偏りや交絡がつきまとうため、信頼できる結論には高度な解析設計が欠かせません。
- ➤RWDとRWEの違い → RWDは「素材となるデータ」、RWEは「分析で導かれた証拠」
- ➤RCTとの関係 → 置き換えではなく補完。理想環境の「効力」と実臨床の「有効性」の差を埋める
- ➤規制での活用 → FDAの適応拡大承認の25%超でRWEを活用。特にがん領域に集中
- ➤信頼性を担保する方法論 → ターゲット・トライアル・エミュレーション(TTE)や外部対照群
- ➤データ基盤 → 電子カルテのFHIRと研究用OMOP CDMをつなぐ標準化、プライバシー規制
1. リアルワールドデータ(RWD)・リアルワールドエビデンス(RWE)とは
医療や医薬品開発の意思決定の現場で、いま「リアルワールドデータ(RWD)」と「リアルワールドエビデンス(RWE)」という言葉が急速に重みを増しています。この2つはセットで語られますが、意味はまったく違います。米国食品医薬品局(FDA)の定義によれば、RWDとは、厳格に管理された臨床試験の外側にある多様な情報源から、日常的に集まる「患者の健康状態」や「医療の提供状況」に関するデータを指します[1]。具体的には、病院の電子健康記録(EHR)、健康保険の医療費請求データ(レセプト・クレームデータ)、特定の疾患や製品ごとに患者を登録したレジストリなどが代表例です。近年は、スマートウォッチなどのウェアラブル端末やアプリから集まる患者生成健康データ(PGHD)も、新しいRWDの情報源として認識されるようになりました[1]。
一方のRWEは、これらのRWDを統計的・体系的に分析することで導き出される、医療製品の使われ方や、潜在的なベネフィット(利益)・リスク(危険)に関する「臨床的な証拠」のことです[1]。つまり、RWDが料理でいう「素材」だとすれば、RWEはそれを調理して仕上げた「料理」にあたります。素材をただ並べただけでは結論にはならず、適切な手順で分析して初めて、意思決定に使える証拠(エビデンス)になるという関係です。欧州医薬品庁(EMA)も同じ考え方を採用しており、RWDを「日常的な臨床実践における患者特性(治療の利用状況やアウトカムを含む)を記述する観察データ」と定義し、RWEをその分析から派生する証拠と位置づけています[2]。
💡 用語解説:電子健康記録(EHR)とレセプト
電子健康記録(EHR)とは、病院やクリニックで記録される電子カルテのことで、診断名・検査結果・処方・経過などの詳しい臨床情報が含まれます。レセプト(医療費請求データ/クレームデータ)は、医療機関が健康保険に医療費を請求するためのデータで、どの病名にどの薬や検査が使われ、いくら請求されたかが大規模に記録されています。EHRは「中身が濃いが施設ごとにバラバラ」、レセプトは「広く網羅できるが臨床の詳細は薄い」という、それぞれ長所と短所のあるデータです。
RWDとRWEは、私たち遺伝医療に関わる人間にとっても他人事ではありません。RWEは、特定の遺伝子変異を持つ患者群が極めて少ない希少疾患や、小児疾患、がんゲノム医療といった、患者数が少なくランダム化比較試験を組みにくい領域でこそ威力を発揮します。こうした領域では、過去の患者データを「外部対照群」として使ったり、有病率や発生率を推定したりすることで、新しい治療の評価や適応拡大を後押しします。本記事の後半で触れるように、RWDの活用は遺伝子診断・遺伝形式の理解・遺伝カウンセリングの土台となるエビデンス作りと地続きの話です。RAS病をはじめとする希少疾患の治療開発の現場でも、RWEは現実的な選択肢として位置づけられつつあります。
RWEが活躍する場面:医薬品のライフサイクル全体へ
RWEの使い道は、ひとつの場面に限りません。医薬品が世に出る前から出た後まで、ライフサイクル全体にわたって補完的な洞察を提供する強力なツールです[3]。開発の初期段階では、希少疾患用医薬品(オーファンドラッグ)の有病率や発生率の推定、臨床試験のプロトコル設計の最適化に使われます。市販後には、背景となる有害事象の発生率を測定したり、過去の患者を集めた「ヒストリカルコントロール(歴史的対照)」として用いたりします。さらに、既に承認された薬の適応症を広げる「適応拡大(ラベル変更)」を支える記述的な証拠としても活用されます[3]。
加えて、RWEの有用性は規制当局の枠を超えて広がっています。医療技術評価(HTA)機関や医療費を支払う保険者による費用対効果の評価、公衆衛生政策の立案にも、RWEは中心的な役割を果たすようになりました[4]。革新的な新技術が「実際の臨床現場でどれだけ役立つのか」「経済的に持続可能か」を判断するうえで、欠かせないデータソースとして広く認識されています[4]。
2. なぜいまRWEなのか:RCTとの違いと「2つのギャップ」
🔍 関連用語:ランダム化比較試験(RCT)/疫学/エビデンスレベルとは
長年にわたり、新しい医薬品の有効性と安全性を証明するための「ゴールドスタンダード(金科玉条の基準)」は、ランダム化比較試験(RCT)でした[5]。RCTは、参加者をくじ引きのように無作為(ランダム)に2つの群に振り分け、治療の有無だけが違う状態をつくることで、結果の差が「治療によるもの」だと言い切れる強力な手法です。なぜランダムに分けることが重要かというと、年齢・重症度・併存疾患などの条件を、偶然の力で両群に均等にばらまけるからです。これにより、後で説明する「交絡」という厄介な問題を、設計の段階で封じ込めることができます。
💡 用語解説:ランダム化比較試験(RCT)
参加者をコンピューターなどで無作為に「治療を受ける群」と「受けない群(または別の治療を受ける群)」に振り分けて、結果を比べる研究方法です。無作為に分けることで、研究者の意図や患者の背景の偏りが入り込みにくくなり、「効果があったのは本当にその治療のおかげか」を最も確からしく検証できます。そのため臨床研究のなかで最も信頼性が高い設計の一つとされ、エビデンスレベルの頂点に位置づけられてきました。一方で、参加できる患者が厳しく限定される、費用と時間がかかる、といった弱点もあります。
しかし、RCTには重大な弱点があります。それは、高度に制御された特殊な環境で、厳しい参加条件(適格性基準)を満たした特定の患者だけを対象にする、という点です[5]。その結果、現実の臨床現場にいる高齢者・妊婦・複数の病気を併せ持つ患者・さまざまな人種的背景を持つ集団といった、多様な人々における本当の効果を正確に反映できないことがあります[5]。この「きれいな実験室でわかること」と「現実の世界で起きること」のズレが、RWEを必要とする最大の理由です。
「効力(エフィカシー)」と「有効性(エフェクティブネス)」のギャップ
このズレは、専門的には「エフィカシーとエフェクティブネスのギャップ」と呼ばれます。エフィカシー(efficacy・効力)とは、理想的に管理された環境下で発揮される効力のこと。エフェクティブネス(effectiveness・有効性)とは、雑多な条件が入り混じる現実の臨床環境で実際に得られる有効性のことです。国際医学団体協議会(CIOMS)などもこのギャップを指摘しており、より優れたRWEを求める大きな原動力になっています[5]。たとえば、若くて健康な参加者だけで素晴らしい効力を示した薬が、実際には高齢で持病の多い患者に使われたとき、同じだけの有効性を発揮するとは限りません。RWEは、この現実の世界での姿を映し出す鏡として機能します。
💡 用語解説:効力(エフィカシー)と有効性(エフェクティブネス)
効力(エフィカシー)は「理想的な実験条件のもとで、その薬が出せる最大限の力」。有効性(エフェクティブネス)は「現実の日常診療のなかで、実際にどれだけ役に立つか」を指します。たとえば、決められた時間にきちんと服薬し、他の病気もない理想的な参加者で測るのが効力、飲み忘れや併用薬や持病が入り混じる本物の患者で測るのが有効性です。RCTは効力の証明に強く、RWEは有効性の把握に強い、という補完関係にあります。
ここで強調しておきたいのは、RWEはRCTを「置き換える」ものではなく「補い合う」ものだという点です。RCTには「因果関係を強く言える」という他にない強みがあり、RWEには「現実の多様な患者を広くカバーできる」「結果を素早く・低コストで得られる」「長期のアウトカムを追える」という強みがあります。両者は対立するものではなく、それぞれの得意分野を組み合わせることで、医療の意思決定の精度を高めていくパートナーなのです。とりわけ、患者数が少なくRCTの実施そのものが困難な希少疾患・小児・がんゲノム領域では、RWEの相対的な価値が大きくなります。
3. FDAにおけるRWE活用の最前線:適応拡大の25%超で活用
米国食品医薬品局(FDA)は、承認済み医薬品の市販後安全性を監視するために、長年RWDを利用してきた歴史を持ちます。そしてデータの利用可能性と分析技術の進歩に伴い、いまでは有効性の裏付けや適応拡大の審査においても、RWEを積極的に活用するようになりました[1]。FDAは、医薬品評価研究センター(CDER)、生物製剤評価研究センター(CBER)、医療機器・放射線保健センター(CDRH)の各部門で、製品のライフサイクル全体を通じてRWEの可能性を最大限に引き出す取り組みを進めています[1]。
新しいガイダンスが定める「高いハードル」
FDAは2021年以降、観察研究(非介入研究)、EHRと医療費請求データの評価、レジストリの活用、データ標準化に関する一連のガイダンス(指針)を継続的に発出してきました[1]。とくに注目すべきは、2024年に発出された「医薬品および生物学的製品の非介入研究に関するRWEガイダンス」です[6]。これは、日常の医療実践のなかで承認済み医薬品を投与される患者を対象とした研究から得られるRWEを、有効性の実証に役立てるための厳格な要件を示したものです[6]。
このガイダンスが求める水準は、極めて高いものです。まずデータソースの選定では、単にデータが存在するだけでは不十分で、そのRWDが正確で完全であり、追跡可能性(トレーサビリティ)を備えていることが求められます。さらに、集めたデータが特定の研究目的や対象患者集団に合致しているか、すなわち「Fitness for Use(利用目的への適合性)」が厳しく問われます[6]。研究の透明性と再現性を担保するため、堅牢な研究計画書(プロトコル)の事前策定も必須とされ、因果関係を示すダイアグラムの作成、適格性基準の明確化、重要変数の定義、交絡因子の特定とバイアス軽減戦略(傾向スコアマッチングなど)を、あらかじめ計画に組み込んでおく必要があります[6]。
💡 用語解説:Fitness for Use(利用目的への適合性)
「そのデータが、その研究の問いに答えるのにふさわしいかどうか」を評価する考え方です。どんなに大量のデータでも、知りたいことに関係のない項目しか入っていなければ役に立ちません。たとえば「ある薬が心臓に良いか」を調べたいのに、心機能の記録が乏しいデータベースを使えば、答えは出せません。データの「量」ではなく「目的に対する適合性」を重視するのがRWEの世界の鉄則で、FDAもEMAもこの点を強く求めています。
これと並行して、FDAは新興技術への対応も進めています。2025年1月には「医薬品および生物学的製品の規制的意思決定を支援する人工知能(AI)の使用に関する考慮事項」と題するドラフトガイダンスを公表し、大規模なRWDセットの処理・分析にAIアルゴリズムを適用する際の規制上の留意点を示しました[7]。さらに、臨床研究で過小評価されてきた集団の登録を改善する「多様性アクションプラン」、分散型試験の要素とRWDを組み込んだ国際指針ICH E6(R3)など、RWEを取り巻く政策とフレームワークは急速に拡大・高度化しています[7]。
数字で見るFDAのRWE活用:218件の適応拡大の分析
FDAによる厳格なガイダンス整備は、実際の承認審査でのRWE採用を加速させています。2022年1月から2024年5月までの間にFDAが承認した、既存薬の適応追加や対象集団の拡大を目的とする218件の適応拡大(ラベル変更)承認を包括的に分析した研究によれば、そのうち55件(25.2%)でRWEが活用されていました[8]。年別の推移は2022年が23.3%、2023年が27.7%、2024年(5月まで)が23.7%と、安定した活用が見られます[8]。RWEがもはや実験的な試みではなく、規制当局による有効性評価の正式な証拠として機能していることを物語る数字です。
疾患領域別:RWEを活用したFDA適応拡大承認の割合
2022年1月〜2024年5月にFDAが承認したRWE活用55件の内訳
43.6%
9.1%
7.3%
5.5%
5.5%
5.5%
各3.6%
オンコロジー(腫瘍学)が全体の約43.6%を占め、RWEの主要な適用領域となっています。出典:PubMed Central掲載の分析研究[8]に基づき作成。
この分析からは、RWEの中身についても興味深い傾向が読み取れます。RWEが活用された55件のうち、新薬承認申請(NDA・低分子化合物など)が69.1%、生物製剤承認申請(BLA)が30.9%を占めました。目的別では新たな適応症の追加が78.2%、既存集団の拡大が21.8%でした[8]。とりわけ注目したいのは、希少疾患用医薬品(オーファンドラッグ)の適応拡大でRWEが使われたケースが30.9%に上り、小児向け・遺伝的疾患向けがそれぞれ12.7%を占めた点です[8]。これは、まさにRCTの実施が困難な領域でRWEが力を発揮していることを示しています。
RWEの基盤となった88件の個別研究を見ると、研究デザインはコホート研究が87.5%と圧倒的多数を占め、時間軸では後ろ向き(レトロスペクティブ)研究が65.9%、前向き(プロスペクティブ)研究が33.0%でした[8]。データソースとしては電子健康記録(EHR)のみを用いた研究が75.0%と最も多く、EHRと患者生成健康データ(PGHD)の組み合わせが5.7%、レジストリ単独が4.5%と続きます。医療費請求(クレーム)データのみの利用は2.3%にとどまりました[8]。そして疾患領域別では、上のグラフのとおり腫瘍学(オンコロジー)が約43.6%という圧倒的な割合を占めています[8]。がん治療薬の迅速な承認ニーズや、特定の遺伝子変異を持つ患者群が極めて少数であるという現実的な制約が、この集中の背景にあります。
💡 用語解説:前向き研究と後ろ向き研究
前向き(プロスペクティブ)研究は、これから起こることを未来に向かって追いかける研究で、観察項目を最初に決められるため質の高いデータが集まります。後ろ向き(レトロスペクティブ)研究は、すでに蓄積された過去のデータをさかのぼって分析する研究で、素早く・低コストで実施できる反面、記録の欠けや偏りが入りやすいという弱点があります。FDAのRWE研究で後ろ向きが多いのは、既存の電子カルテを活用する効率の良さの表れですが、その分だけ後述するバイアスとの戦いが重要になります。
医薬品だけでなく、医療機器の分野でもRWEの適用は拡大しています。CDRHは「医療機器の規制的意思決定を支援するRWEの利用」に関するガイダンスを発行し、2020年度から2025年度にかけて73件の市場承認(510(k)クリアランスや体外診断用医薬品のクリアランスを含む)でRWEが活用された事例を報告しています[9]。これらのRWDソースには、EHRやレジストリだけでなく、機器自体が生成するデータ(Device-generated data)、臨床的に注釈付けされたバイオバンクデータ、請求データなど、デジタルヘルス社会の進展を映した多様な情報源が含まれています[9]。
4. 欧州(EMA)と英国のRWE戦略:分散型データネットワーク
欧州でも、リアルワールドエビデンスの統合に向けた戦略的な取り組みが力強く進められています。欧州医薬品庁(EMA)は、非介入研究におけるRWDの使用に関する考察ペーパーや、レジストリベースの研究に関するガイドラインを通じて、欧州全体の規制判断におけるRWEの地位を確立してきました[2]。
データ品質を測る5つの物差し
RWEを規制評価に組み込む土台として、EMAは「EU医薬品規制のためのデータ品質フレームワーク(RW-DQF)」の最終版を発表しました[2]。これは、さまざまなデータソースの品質を評価し、特定の研究課題に対する「使用への適合性(Fitness-for-use)」を判断するための実用的な指標と推奨事項を提供するものです[10]。CIOMSの報告やEMAのガイドラインでは、データ品質を評価する不可欠な観点として「信頼性」「広範性」「一貫性(コヒーレンス)」「適時性」「関連性」の5つが挙げられ、これらが欧州におけるRWD評価の標準的な物差しとして機能しています[5]。
欧州では、データソースとしての「患者レジストリ」の活用も重視されています。FDAとEMAでアプローチに特徴的な違いがあり、FDAがレジストリをRWE生成のためのデータフレームワークの一部(データ標準化や提出プロセスを含む)として実用面に焦点を当てるのに対し、EMAはレジストリを「特定の疾患・状態・曝露によって定義される集団について、統一されたデータを収集する組織化されたシステム」と厳密に定義しています[11]。EMAはこのインフラを用いた「レジストリベースの研究」を推進し、臨床試験の最適化や市販後の安全性・有効性のコミットメントを果たす強力なデータソースとして導入しています[2]。
💡 用語解説:患者レジストリとは
特定の病気や治療を受けている患者を継続的に登録し、症状・経過・治療内容・予後などを統一された形で記録していく仕組みです。希少疾患では、ひとつの病院だけでは患者数が足りないため、複数施設や国をまたいでレジストリに登録することで、まとまった人数のデータを得られます。遺伝性疾患の自然経過の解明や、新薬の外部対照群づくりに欠かせない情報源で、RWEの質を支える重要な基盤となります。
DARWIN EU:欧州全域・約2.5億人をつなぐネットワーク
EMAのRWE戦略の核心であり、最も野心的なイニシアチブが「DARWIN EU(Data Analysis and Real World Interrogation Network)」です[2]。これはEMAが主導する分散型のデータネットワークおよび調整センターで、EU全体に広がるリアルワールドのヘルスケアデータベースから、ヒト用医薬品(ワクチンを含む)の使用・安全性・有効性に関する信頼性の高い証拠を、タイムリーに提供することを目的としています[2]。
2025年時点の公式報告によれば、DARWIN EUネットワークの進捗は目覚ましいものです。ネットワークは18カ国にわたる40のデータパートナーを擁するまでに拡大し、米国のデータも含めて約2億5,000万人分の患者データにアクセスできる規模へと成長しました[2]。このインフラを通じて、医薬品の利用状況・疾患の疫学・安全性と有効性・計画中の臨床試験の実現可能性評価など、108件の研究トピックが評価され、88件の研究が完了または進行中です(前の期間から49%の増加)[2]。欧州におけるRWD研究プロトコルの標準化と、規制評価へのRWEのシームレスな統合が、着実に現実のものとなっています。
英国NHSの取り組みとCOVID-19での実例
EUを離脱した英国でも、国民保健サービス(NHS)の膨大なデータを活用したRWD戦略が独自に進んでいます。2024年の動向として、英国NHSは「NHS Value Sharing Framework」に基づき、地域ごとのセキュアデータ環境(Secure Data Environments:SDEs)を連携(フェデレーション)させることで、プライバシーを守りながら高度なデータアクセスを可能にするデジタル基盤の構築を進めています[3]。蓄積された匿名化EHRデータは、傾向スコアモデルを用いたアウトカム予測や需要予測、堅牢なマッチングコホートの評価といった高度な手法で解析されています[3]。英国国立医療技術評価機構(NICE)や医薬品医療製品規制庁(MHRA)も、革新的技術の臨床的・費用対効果を評価するためにRWDを積極的に利用しています[3]。
実際のインパクトとして象徴的だったのが、COVID-19パンデミックです。SARS-CoV-2ゲノムの公開直後から、ワクチンの性能を特定し正当化するためにグローバルなRWDが用いられ、RWEが世界の健康を守るうえで突出した役割を果たしました[3]。また神経疾患領域では、デジタルヘルス技術(DHTs)による継続的なRWDの捕捉が進んでおり、代謝性疾患や精神疾患のような多因子の健康スペクトルや、複数の併存疾患を持つ患者の理解を深めるデータ分析が、将来の患者中心の医療に向けた重要な基盤になりつつあります[3]。
5. 日本(PMDA)のRWE活用と次世代医療基盤法
日本の独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)でも、RWD/RWEの活用に関する議論とガイドライン整備が急速に進んでいます。グローバルな潮流に歩調を合わせつつ、日本の規制環境やデータインフラの特性に応じた独自のアプローチが形成されつつあります。
日本でRWDが最も機能する場面:外部対照群
日本の規制当局におけるRWD活用は、これまで市販後調査や安全性監視に重点が置かれてきましたが、近年では製造販売承認に向けた新薬開発の段階での利用が活発に議論されています[12]。国内でRWDが承認審査を支える実用的なエビデンスとして最も機能しているのは、小児疾患や希少疾患(オーファンドラッグ)など、従来のランダム化比較試験を実施することが物理的・倫理的・統計学的に困難な領域における「外部対照群(External Control)」としての活用です[12]。この点は、遺伝性疾患を扱う私たちにとって特に重要な意味を持ちます。
PMDAは、承認申請や再審査でレジストリデータや医療情報データベースを利用する際の信頼性担保について、基本原則と具体的なポイントを示す行政通知やQ&Aを相次いで発行しています[12]。2021年4月には新薬審査部門や市販後安全部門などの多分野の専門家から成る「RWDワーキンググループ(RWD WG)」を設立しました[13]。不適切なデータ解釈による製品のベネフィット・リスク評価の誤りを防ぐため、データの特性や管理状況を深く理解したうえで目的に適合しているかを確認することを強く求めており、承認申請の主要なエビデンスとしてRWDを使おうとする企業やデータベース所有者には、事前のサイエンティフィック・アドバイス(相談サービス)を通じて活用戦略を綿密に議論するよう推奨しています[13]。技術面では、MID-NET(Medical Information Database Network)のような共通データモデルに基づくデータベースの構築と、CDISC基準に準拠したデータ標準化の推進が、PMDAの取り組みの特徴です[14]。
次世代医療基盤法と、日本が抱える3つの課題
日本のRWDエコシステムを支える法的基盤の中心が「次世代医療基盤法」(医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報に関する法律)です[15]。この法律は、高度な情報セキュリティ基準を満たす認定事業者が、複数の医療機関から電子カルテ・レセプト・健診データなどを収集し、個人が特定できないよう「匿名加工」、あるいはより柔軟な分析が可能な「仮名加工」を施したうえで、研究機関や企業に提供する仕組みを体系化したものです[15]。これにより、治療成績の分析による医療の質向上や、根拠に基づく政策立案(EBPM)の推進が期待されています[15]。
💡 用語解説:匿名加工情報と仮名加工情報
匿名加工情報は、特定の個人を識別できないように加工し、元に戻せないようにした情報です。プライバシー保護は強い一方で、情報が削られるぶん詳しい分析には限界があります。仮名加工情報は、氏名などを別の符号に置き換えるなどして、それ単体では個人を特定できないようにした情報で、匿名加工よりも多くの項目を残せるため、より柔軟で深い分析が可能になります。両者は、プライバシー保護とデータ活用のバランスをとるための、異なる強さのブレーキだと考えると分かりやすいです。
ただし、この制度の運用にはなお複数の課題が残ります。第一に「データ提供の偏り」です。現在提供されているデータの多くが急性期の大規模病院に集中しており、プライマリケアを担う診療所や在宅医療からのデータが圧倒的に不足しています[15]。第二に、オプトアウト方式によるデータ収集手法に対する国民のプライバシーへの懸念が、まだ十分に払拭されていないことです[15]。第三に、各医療機関の電子カルテの仕様の違いが「名寄せ」や統合的な解析の大きな障壁となっており、FHIRなどのデータ標準化の遅れが問題視されています[15]。今後の日本のRWD利活用は、医療DXの進展とともに、標準化インフラの整備と地域医療情報ネットワークとの連携強化が進むかどうかにかかっています。
6. 信頼できる結論を導く方法論:TTEと外部対照群
RWDはあくまで日常診療の「副産物」であり、研究のために厳密に集められたデータではありません。そのため、観察データをそのまま分析すると、医師と患者による治療選択の偏りに起因する深刻な交絡(こうらく)やバイアスが生じます。この根本問題を解決し、RWDから信頼できる因果関係(Causal Inference)を導くために、最先端の疫学・統計学的手法が導入されています。
💡 用語解説:交絡(こうらく)とバイアス
交絡とは、調べたい「原因と結果」の両方に影響する第三の要因が紛れ込み、見かけ上の関係をゆがめてしまうことです。たとえば「重症の人ほど新しい薬を使う」状況では、薬が効かないように見えても、それは薬のせいではなく「もともと重症だったから」かもしれません。この「重症度」が交絡因子です。
バイアスは、研究の設計や測定の偏りによって結果が真実からずれてしまうこと全般を指します。日常データを使うRWEでは、こうした交絡やバイアスをいかに取り除くかが、結論の信頼性を左右する最大の勝負どころになります。
ターゲット・トライアル・エミュレーション(TTE)という発想
いまRWEの生成で最も先進的かつ構造化された手法が「ターゲット・トライアル・エミュレーション(TTE)」です[16]。著名な疫学者HernánとRobinsが提唱したこのアプローチは、「もし理想的なランダム化比較試験を実施するとしたら、どんな計画になるか」を先に明示し、その計画をRWD上で厳密に模倣(エミュレート)する手法です[16]。いわば、頭の中で理想のRCTを設計し、その設計図を日常データに当てはめて「仮想的にRCTを再現する」という発想です。
TTEは「理想のRCT設計 → RWDでの患者の再現 → 交絡の統計的調整 → 結果分析と感度評価」という4ステップで、観察研究を理想的なRCTのように設計・解析します。
TTEのプロセスは、臨床試験の設計要素を現実の文脈へ段階的に変換する4つのステップから成ります[16]。まず①ターゲット試験プロトコルの規定として、適格性基準・比較する治療戦略・追跡開始時点(time zero, t₀)・評価するアウトカムとその定義・関心のある因果効果の尺度を明文化します。次に②RWDでのエミュレートとして、設定したベースライン時点で適格性基準を満たす患者を実世界のデータから抽出し、日常診療で実際に受けた治療に基づきグループに割り当てます。ここで最も重要なのは、すべての患者で追跡の開始時点を厳密に一致させ、設計上の構造的な欠陥を防ぐことです[16]。
続く③交絡とバイアスの統計的調整では、現実の治療選択はランダムではないため、グループ間の不均衡を是正します。傾向スコアマッチング(背景の似た人どうしをペアにする手法)、逆確率重み付け(IPW)、回帰調整といった高度な統計手法を使って、測定されたベースラインの共変量(年齢・重症度などの背景因子)をバランスさせ、治療群と対照群を可能な限りRCTに近い状態にします[3]。最後に④アウトカムの分析と感度評価として、バランスのとれたコホートで因果効果を推定し、測定できていない交絡要因に対して結果がどれだけ揺るがないかを評価する感度分析を実施します[16]。
💡 用語解説:不死時間バイアスと傾向スコア
不死時間バイアス(Immortal-time bias)とは、追跡の開始時点の設定を誤ることで生じる偏りです。たとえば「ある薬を飲み始めた人」を治療群とすると、その人は薬を飲み始めるまで“生きていた(=死なずにいた)”ことになり、その期間に死亡が起こりえない「不死の時間」が生まれてしまい、治療効果が過大評価されます。TTEはこの罠を体系的に防ぎます。
傾向スコアは「その人が治療を受ける確率」を背景因子から計算した数値で、この値が近い人どうしを比べることで、背景の偏りをそろえる工夫です。
TTEの最大の利点は、観察研究に特有の構造的欠陥、とりわけ追跡開始時点の不適切な設定から生じる「不死時間バイアス」を体系的に排除できる点にあります[16]。さらに、分析の前にプロトコルを完全に固めることで、研究者が都合の良いデータパターンを探して何度もモデルを試す「P値ハッキング」や「研究者の自由度」を抑え込み、プロセス全体の透明性と再現性を確保します[16]。これにより規制当局・支払者・臨床医など多様な関係者からの信頼が高まり、大規模データを使うことでRCTよりも高い統計的精度(狭い信頼区間)を持つ因果的洞察を得られる場合もあります[16]。
外部対照群(External Control Arms)の進化とCIOMSの提言
TTEと密接に関連し、臨床試験そのものの設計を補強するのが「外部対照群(ECAs)」です[17]。倫理的にプラセボ群を置けない疾患や、登録患者が極めて少ない希少疾患・特定のがん領域で、RWDから抽出した過去あるいは同時期の患者データを「対照群」として機能させる手法です[18]。これにより被験者募集の負担を軽減し、実験的治療へのアクセスを早め、開発のタイムラインを大幅に短縮できます[18]。希少な遺伝性疾患の新薬開発では、まさにこの手法が現実的な突破口になります。
ただし、ECAsの導入には大きなリスクも伴います。過去のデータを使う「ヒストリカルコントロール」は、標準医療の進歩や患者の転帰の経時的変化によって、重大なバイアスを引き起こしやすいのです。そのためCIOMSのワーキンググループのコンセンサスレポートは、可能であれば試験群の登録時期と同等にデータが生成される「同時性コントロール(Contemporaneous controls)」の使用を強く推奨しています[5]。さらに同レポートは、非ランダム化観察研究では初期の設計エラーを後の統計分析で救済できないという事実を指摘し、RWEの信頼性と透明性を高めるための標準化テンプレート(研究計画・報告のための「STaRT-RWE」、再現性向上のための「HARPER」など)の活用と、研究の公的データベースへの事前登録を、必須のプロセスとして提起しています[5]。
7. データを使えるかたちにする:FHIRとOMOP CDM、プライバシー
どんなに優れた解析手法を使っても、入力するデータの質と構造が不適切なら、出てくるRWEの信頼性は損なわれます。高品質なRWEを世界規模で生み出すうえで最大の障壁となるのが、日常の臨床現場で生まれる電子健康記録(EHR)の構造と、研究目的で必要とされるデータ分析の構造との、根本的な不一致です[19]。この問題を解決するため、臨床情報の交換標準「HL7 FHIR」と、観察研究のための共通データモデル「OMOP CDM」を橋渡しする変換技術の開発が加速しています[19]。
💡 用語解説:FHIRとOMOP CDM
HL7 FHIR(ファイア)は、異なる医療システムの間で臨床情報をリアルタイムにやり取りするために設計された「臨床ケアの標準規格」です。個々の診療イベントを素早く転送することに最適化されています。
OMOP CDMは、大規模で長期的なデータの分析・疫学研究・データの二次利用に特化した「研究のための標準規格」です。異なるシステムのデータを統一された語彙にそろえ、標準化された分析ツールをそのまま当てられるように作られています。FHIRが「現場の伝達役」、OMOPが「研究の集計役」と覚えると整理しやすいです。
FHIRのデータをOMOP CDMに変換する作業は、複雑で不揃いな臨床データを、分析の準備が整った統一フォーマットへと再構築する「ETL(抽出・変換・格納)」作業です[19]。具体的には、FHIRの「Patient(患者)」はOMOPの「Person(個人)」へ、診療イベントを表す「Observation(観察)」は、定量的な測定値であれば「Measurement」テーブルへ、定性的な所見であれば「Observation」テーブルへと、性質に応じて振り分けられます。受診履歴である「Encounter」は「Visit Occurrence」へ、医療提供者の「Practitioner」は「Provider」へと、それぞれ対応づけられていきます[19]。
FHIRのリソース(左)からOMOP CDMのテーブル(右)への変換。FHIRの柔軟な「Observation」は、OMOPの厳格な構造に従い、定量データ(Measurement)と定性データ(Observation)に分割して処理されます。
変換で失われる情報という壁
この変換には、見た目以上に深い技術的な壁があります。FHIRはデータを文字列やURLで管理するのに対し、OMOP CDMは厳密な整数(数値)ベースの識別子を要求するため、複雑なキー管理が必要です。また血圧のように収縮期と拡張期の複合的な値を持つデータは、変換時に別々のレコードに分かれるため、後でつなぎ直す特別な処理が要ります[19]。ある研究評価では、FHIRからOMOP CDMへの順方向の変換で約74%のマッピング網羅率を達成できた一方、残りの26%はOMOP側に対応するフィールドがないため失われたと報告されています[19]。
さらに深刻なのが、研究データベースから臨床現場へとデータを戻す「逆方向の変換」です。同じ研究では、この網羅率がわずか23%にまで急落したと報告されています[19]。これは、OMOP CDMが二次利用のためのプライバシー保護(匿名化)を前提に作られており、FHIRが本来持っていた患者のメタデータや深い関連情報を、設計の段階で意図的に削ぎ落としているためです。一度そぎ落とした情報は、臨床現場で再利用できるレベルのFHIRリソースとして完全に復元することが原理的にできないのです[19]。(これらの数値は特定の研究評価に基づくもので、今後の技術改善により変わり得ます。)
HIPAAとGDPR:2つのプライバシー規制の交差点
臨床データを大規模に統合・分析できるようになるほど、機密性の高い個人健康情報の保護が、RWEプロジェクトの根幹を揺るがす最大の課題になります。とくにグローバルなRWD分析では、米国の「HIPAA(医療保険の携行性と責任に関する法律)」と、欧州経済地域の「GDPR(一般データ保護規則)」という、思想の異なる2つの強力なプライバシー法の交差点に立たされます[20]。HIPAAは適用範囲が医療提供者や健康保険者などの「対象主体」とその業務委託先に限定されるのに対し、GDPRはデータ処理に関与する「すべての当事者」に広く適用され、患者中心の厳格な同意取得を求めます[20]。
RWEの生成は本質的に、収集された臨床データの「二次利用」です。しかしGDPRの下ではこの二次利用が極めて難しく、患者に直接アクセスできない研究者にとって、新たな通知や再同意の要求は実質的に不可能な要件となり、医学研究の推進を妨げる「手かせ」だとの批判もあります[20]。さらに、EEA内で集めたデータを米国へ移す「越境データ移転」も日常的に発生し、十分性認定のない国への移転は原則禁止されるため、標準契約条項(SCCs)などの保護措置に依存せざるを得ません[20]。こうした集中型の運用の限界を打破するため、近年ではブロックチェーンとスマートコントラクトを用いて、HIPAA・GDPRのポリシーや患者の同意管理を自動的に施行・検証する次世代の枠組みも提案されています[21]。
8. RWD・RWEをめぐるよくある誤解
誤解①「RWEはRCTの代わりになる」
RWEはRCTを置き換えるものではなく、補い合う関係です。因果関係を強く言える点ではRCTに分があり、現実の多様な患者を広くカバーし長期の経過を追える点ではRWEに強みがあります。両者を組み合わせて意思決定の精度を高めるのが本来の姿です。
誤解②「データが大量にあれば結論が出る」
量より「目的への適合性(Fitness for Use)」が重要です。知りたいことに関係する項目が正確に記録されていなければ、どれだけ膨大でも答えは出ません。交絡やバイアスの調整を欠いた大規模分析は、むしろ誤った結論を招きます。
誤解③「RWEは安全性監視だけのもの」
かつては市販後の安全性監視が中心でしたが、現在は有効性評価や適応拡大の正式な根拠としても使われています。FDAの分析では、RWE活用研究の約半数が安全性と有効性の両方を目的としていました。
誤解④「観察データは因果関係を示せない」
確かに難しさはありますが、TTEや傾向スコアなどの手法を正しく使えば、観察データからも信頼性の高い因果的洞察を導けます。鍵は「分析前に設計を固める」ことと、徹底した交絡の調整です。
よくある質問(FAQ)
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参考文献
- [1] U.S. Food and Drug Administration. Real-World Evidence. [FDA]
- [2] European Medicines Agency. Real-world evidence. [EMA]
- [3] Real-world evidence: state-of-the-art and future perspectives. PMC. [PMC11963347]
- [4] Real-world data: a comprehensive literature review on the barriers, challenges, and opportunities associated with their inclusion in the health technology assessment process. PMC. [PMC10932954]
- [5] Real-World Data and Real-World Evidence in Regulatory Decision Making. PMC. [PMC11897686]
- [6] FDA. Real-World Evidence: Considerations Regarding Non-Interventional Studies for Drug and Biological Products (March 2024). [FDA Guidance]
- [7] FDA Use of Real-World Evidence in Regulatory Decision-Making. [FDA]
- [8] Real-World Evidence in FDA Approvals for Labeling Expansion. PMC. [PMC12446098]
- [9] FDA. Examples of Real-World Evidence Used in Medical Device Regulatory Decisions (Fiscal Years 2020–2025). [FDA]
- [10] EMA publishes final real world data chapter of EU Data Quality Framework. [Becaris Publishing]
- [11] Comparing EMA and FDA Guidance on Real-World Evidence. PPD. [PPD]
- [12] PMDA Perspective on Use of Real-World Data and Real-World Evidence. PMC. [PMC11924144]
- [13] Regulatory Utilization of Real-World Data and Real-World Evidence in Japan. DIA Global Forum. [DIA Global Forum]
- [14] PMDA activities for RWD. CDISC. [CDISC]
- [15] 内閣府 健康・医療戦略推進事務局「次世代医療基盤法(医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報に関する法律)」概要. [内閣府]
- [16] Start with the Target Trial Protocol, Then Follow the Roadmap for Causal Inference. PMC. [PMC10392882]
- [17] Causal Inference Using Real-World Data: How Pharmacoepidemiology Studies Can Benefit From the Target Trial Emulation Framework. RTI Health Solutions. [RTI-HS]
- [18] Application of Real-World Data to External Control Groups in Oncology Clinical Trial Drug Development. PMC. [PMC8771908]
- [19] Toward bidirectional FHIR–OMOP CDM transformations. Frontiers in Medicine. 2026. [Frontiers]
- [20] Data Privacy Laws and Clinical Trials: The Complicated Intersection of Protecting Patient Data and Clinical Research. Nelson Mullins. [Nelson Mullins]
- [21] Advancing Compliance with HIPAA and GDPR in Healthcare: A Blockchain-Based Strategy for Secure Data Exchange in Clinical Research. PMC. [PMC12563691]



