目次
胎児の三尖弁逆流は、染色体が正常な赤ちゃんにもみられる所見で、妊娠20週以降に見つかる軽いものの多くは自然に消えます。一方で、妊娠11〜13週の胎児ドックで見つかった場合は、21トリソミーなどの染色体の変化や心臓の病気と関係することがあり、NTの厚さなどほかの所見と合わせて考えます。この記事は、当院でNIPTを受けて陰性だった方から「胎児ドックで軽度のNT肥厚と三尖弁逆流を指摘された」とご質問をいただき、院長がお答えした内容を、最新の研究で確かめて書き直したものです。NIPTが陰性でも、NIPTでは心臓の形は調べていません。何がわかっていて、次に何ができるかを順に説明します。
⏱️ 30秒でわかる要約
❤️ Q. 胎児の三尖弁逆流はよくあるの?
よくみられる所見です。妊娠20〜23週の研究では4.74%にみられ、その研究で三尖弁逆流が認められた胎児では、妊娠29週ごろまでに逆流が消失したと報告されています。妊娠11〜13週では、染色体が正常な胎児の0.9%にみられたと報告されています。
❤️ Q. ダウン症候群の確率は上がるの?
妊娠11〜13週の三尖弁逆流は、21トリソミーの胎児の55.7%にみられ、確率を計算する材料の1つになります。ただし三尖弁逆流だけでは判断材料として弱く、ほかの所見と組み合わせて使われます。
❤️ Q. 三尖弁逆流は治るの?
妊娠20週以降に見つかる、ほかに所見のない軽い三尖弁逆流は、多くが自然に消えるか、生まれたあとに治療を必要としないと報告されています。
❤️ Q. NIPTが陰性なら安心してよいの?
21トリソミーの可能性は大きく下がります。ただしNIPTは心臓の形を調べる検査ではないので、心臓は胎児心エコーで評価し、染色体の細かな欠失・重複には確定検査とマイクロアレイ検査が選択肢になります(すべての異常がわかる検査ではありません)。
当院の検査の範囲は、東京のNIPT(新型出生前診断)のページにまとめています。
- ➤よくある? → 妊娠の時期で意味が違う。20週以降の軽いものの多くは自然に消える
- ➤ダウン症の確率 → 妊娠11〜13週では確率計算の材料の1つ。単独では判断材料として弱い
- ➤心臓の病気 → 初期の三尖弁逆流は心臓の病気とも関係するので、心臓の形を確かめることが大切
- ➤NIPT陰性のあと → 胎児心エコーと、確定検査+マイクロアレイ検査という次の選択肢

1. いただいたご質問:NIPTは陰性、でも胎児ドックで軽度のNT肥厚と三尖弁逆流
💬 当院でNIPTを受けた方からのご質問
一昨日、胎児ドックという精密超音波検査を受けたところ、胎児の首のむくみ(95パーセンタイル値をわずかに上回る程度)と三尖弁逆流を指摘されました。これらと母体年齢などを合わせると、21トリソミーの確率が1/39に上がると言われました。NIPTでは陰性でしたが、心配になりました。
患者さんお一人にお返事するにも内容のボリュームが大きいため、せっかくですからホームページに記載して公開することにしました。同じように、NIPTの結果とエコーの所見のあいだで迷っている方の参考になればと思います。
このご質問には、3つの疑問が含まれています。「三尖弁逆流とは何で、どのくらいよくあるのか」「1/39という確率と、NIPTの陰性はどちらを信じればよいのか」「次に何をすればよいのか」です。この順にお答えします。首のむくみ(NT)そのものについては、胎児の首のむくみ(NT)とはとNTの正常値(妊娠11〜13週の基準値)で詳しく説明しています。
2. 胎児の三尖弁逆流とは?よくある所見なのか
胎児の三尖弁逆流は、心臓の右側にある三尖弁で、血液がわずかに逆向きに流れる様子が超音波で見える所見です。染色体が正常な赤ちゃんにもみられ、どの時期に、どのくらいの強さで見つかったかによって意味が変わります。
三尖弁逆流は「右心房と右心室のあいだの弁」からの逆流
心臓には4つの部屋があり、右心房と右心室のあいだにある弁を三尖弁といいます。心臓が縮むとき、本来は右心室から肺動脈へ送り出される血液の一部が、右心房へ戻ってしまう状態が三尖弁逆流です。胎児ドックでは、ドプラという血流を見る超音波で、この逆流の有無を確かめます。用語としてのしくみや評価のしかたは、胎児三尖弁閉鎖不全症(三尖弁逆流)の解説ページにまとめています。
妊娠の時期によって、みられる割合も意味も違う
三尖弁逆流がみられる割合は、研究や妊娠の時期によって1%未満から10%を超えるものまで幅があります。妊娠11〜13週の大規模な研究では、染色体が正常な胎児19,614例のうち0.9%に三尖弁逆流がみられました[1]。同じ時期の1,075例を調べた別の研究では、染色体が正常で、ほかに所見のない三尖弁逆流が53例(5.2%)と報告されています[2]。数字の違いは、対象となった妊婦さんの集団や、逆流の判定のしかたが研究によって違うためです。
妊娠20週以降になると、もっとよくみられます。心臓の形と発育が正常な胎児675例を妊娠20〜23週から続けて調べた研究では、4.74%に三尖弁逆流がみられ、そのほとんどは弱い逆流で、この研究で三尖弁逆流が認められた胎児では、妊娠29週ごろまでに逆流が消失したと報告されています[3]。また、20週以降に紹介された低リスクの単胎妊娠1,072例では12.6%に三尖弁逆流がみられ、98.5%は軽度でした[4]。
📊 胎児の三尖弁逆流がみられた割合(妊娠の時期別)
| 妊娠の時期 | 調べた対象 | 三尖弁逆流がみられた割合 | その後 |
|---|---|---|---|
| 11〜13週 | 染色体が正常な胎児19,614例 | 0.9% | ― |
| 11〜13週 | 胎児1,075例 | 染色体が正常で、ほかに所見のない三尖弁逆流 53例(5.2%) | ― |
| 20〜23週 | 心臓の形と発育が正常な単胎675例 | 4.74% | この研究では29週ごろまでに消失したと報告 |
| 20週以降 | 低リスクの単胎1,072例 | 12.6%(うち98.5%は軽度) | 生まれたあとの心エコー(60例)で大きな心臓病はみられなかった |
※上から順に文献[1][2][3][4]による。研究ごとに対象と判定のしかたが違うため、数字をそのまま比べることはできません。
妊娠20週以降の軽い三尖弁逆流は、多くが自然に消える
妊娠20週以降に見つかる、ほかに所見のない軽い三尖弁逆流は、自然に消えることが多い所見です。先ほどの675例の研究では、妊娠中期にみられた三尖弁逆流は、はっきりした病的な意味のない、一時的な血流の現象と考えられると結論づけています[3]。低リスクの1,072例の研究でも、生まれたあとに心エコーを受けた60例に、大きな心臓の病気や治療が必要な例はありませんでした[4]。ただし、この研究で生まれたあとの心エコーを受けたのは三尖弁逆流がみられた136例のうち60例だけで、生後も軽い逆流が残っていた赤ちゃんが多かった点には注意が必要です[4]。
3. 三尖弁逆流とダウン症候群(21トリソミー)の確率の関係
妊娠11〜13週に見つかる三尖弁逆流は、21トリソミーなどの染色体の変化がある胎児で多くみられるため、ダウン症候群の確率を計算する材料の1つとして使われます。ただし、三尖弁逆流だけで確率が決まるわけではありません。ダウン症候群そのものについては、ダウン症候群(21トリソミー)とはで解説しています。
妊娠初期の三尖弁逆流は、染色体の変化がある胎児で多い
妊娠11〜13週の研究では、三尖弁逆流は染色体が正常な胎児の0.9%にみられたのに対し、21トリソミーでは55.7%、18トリソミーでは33.3%、13トリソミーでは30%、ターナー症候群では37.5%にみられました[1]。母体年齢・NT・胎児の心拍数・血液検査を組み合わせた検査に三尖弁逆流の評価を加えると、偽陽性率3%のときの21トリソミーの検出率は91%から96%に上がったと報告されています[1]。胎児ドックで三尖弁逆流を確かめるのは、このためです。
🧬 妊娠11〜13週に三尖弁逆流がみられた割合(染色体の状態別)
| 胎児の染色体 | 調べた数 | 三尖弁逆流がみられた割合 |
|---|---|---|
| 正常 | 19,614例 | 0.9% |
| 21トリソミー | 122例 | 55.7% |
| 18トリソミー | 36例 | 33.3% |
| 13トリソミー | 20例 | 30% |
| ターナー症候群 | 8例 | 37.5% |
※Kaganらの研究[1]による。妊娠11〜13週の単胎妊娠が対象です。
三尖弁逆流「だけ」では判断材料として弱い
三尖弁逆流は、ほかの所見と組み合わせたときに意味が強くなる所見で、単独では染色体の変化を見分ける力が弱いとされています。1,075例の研究では、三尖弁逆流があって染色体の変化がみられた40例は、全員にほかの超音波の所見もありました[2]。この研究は、三尖弁逆流をほかの所見と組み合わせると染色体の変化の強い手がかりになる一方、三尖弁逆流だけでは染色体の変化や心臓の病気を見分ける検査としては不十分だと結論づけています[2]。
「1/39」はNIPTとは別の計算で出た確率
胎児ドックで示される「1/39」のような確率は、母体年齢・NT・三尖弁逆流などの所見を組み合わせて計算したもので、NIPTの結果は入っていません。NIPTは、お母さんの血液に含まれる赤ちゃん由来のDNAを調べる検査で、21トリソミーについてはとても高い精度があります。単胎妊娠を対象にした35の研究をまとめた解析では、NIPTは21トリソミーの99.7%を見つけ、偽陽性率は0.04%でした[5]。
NIPTで21トリソミーが陰性だった場合、21トリソミーの可能性は一般に大きく下がります。ただし、胎児ドックで示された1/39という確率とNIPTの結果をどう統合するかは、検査の順序や確率の計算に用いた情報、NIPTの検査性能などによって異なります。陰性でも可能性がゼロになるわけではありません。まれに偽陰性が起こる理由は、NIPTが陰性だったのに…(偽陰性)で説明しています。検査の精度の考え方は、NIPTの精度(陽性的中率)もご覧ください。
4. 胎児の心臓の逆流と、心臓の病気との関係
妊娠初期の三尖弁逆流は、染色体の変化があるかどうかとは別に、心臓の病気(先天性心疾患)と関係することがあります。そのため、NIPTが陰性でも、心臓の形を確かめる意味は残ります。
1,075例の研究では、心臓の形の異常は、三尖弁逆流がある胎児の18.8%にみられ、三尖弁の流れが正常な胎児の1.9%より多いという結果でした。この差は、染色体の状態にかかわらずみられています[2]。心臓以外の形の異常も、三尖弁逆流がある胎児で12.5%と、ない胎児の1.6%より多くみられました[2]。
一方で、先ほどのとおり、妊娠20週以降に見つかるほかに所見のない軽い三尖弁逆流は、多くが一時的な現象と考えられています[3][4]。同じ「心臓の逆流」でも、いつ見つかったか、ほかに所見があるか、逆流の程度はどのくらいかで意味が変わります。先天性心疾患の考え方は、先天性心疾患とはで解説しています。
⚠️ 大切なこと
NIPTは赤ちゃんの染色体の変化の一部を調べる検査で、心臓の形そのものを調べる検査ではありません。心臓の形は、胎児の心臓を専門に診る施設での胎児心エコーで確かめます。受ける時期や施設は、主治医や分娩する施設にご相談ください。
5. NIPT陰性のあとに三尖弁逆流・NT肥厚を指摘されたときの考え方
NIPTが陰性のあとにエコーで所見が見つかったときは、「NIPTを受けたから大丈夫」とも「NIPTは意味がなかった」とも考えず、NIPTで調べたことと調べていないことを分けて考えます。
NIPTで調べていること、調べていないこと
NIPTで調べられるのは、プランによって範囲は違いますが、染色体の数の変化や、決まった場所の小さな欠失(微小欠失)などです。心臓の形はNIPTでは評価できません。また、検査プランの対象外となる染色体の変化や遺伝子疾患は調べられず、対象に含まれる変化でも検出限界があります。プランごとの範囲は、出生前診断(NIPT)でわかること・わからないことや微小欠失症候群のページで確かめられます。
NT肥厚と三尖弁逆流が重なったとき
NTの肥厚は、染色体の数の変化だけでなく、NIPTで調べていない細かな欠失・重複や心臓の病気とも関係することがあります。NTが厚く(多くの研究で3.5mm以上)、通常の染色体検査(G分染法)が正常だった胎児を対象にした17の研究をまとめた解析では、マイクロアレイ検査を加えると、さらに5.0%で病気の原因となる細かな欠失・重複が見つかりました。多かったのは22q11.2欠失・重複などでした[6]。
ご質問の方のNTは「95パーセンタイル値をわずかに上回る程度」で、この解析の対象の多くより薄いため、5.0%という数字はそのまま当てはまりません。それでも、NTの肥厚と三尖弁逆流という2つの所見が重なっていることは、心臓の形とNIPTの対象外の変化を確かめる理由になります。22q11.2欠失症候群は心臓の病気を伴うことが多い病気で、詳しくは22q11.2欠失症候群(ディジョージ症候群)で説明しています。
次にできること:胎児心エコー、確定検査とマイクロアレイ検査
エコーで所見が見つかった場合は、妊娠週数、NTの程度、三尖弁逆流の程度、ほかの超音波所見を確認したうえで、胎児心エコーや遺伝学的な確定検査の必要性を検討します。心臓の形は胎児心エコーで評価し、染色体の細かな欠失・重複については、絨毛検査や羊水検査で得た検体を用いる染色体マイクロアレイ検査が選択肢になります。どちらを受けるか、両方受けるかは、遺伝カウンセリングで意味と限界を聞いたうえで決めることができます。
当院でNIPTを受けた方は、陽性の場合も確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。当院の絨毛検査は妊娠11〜13週、羊水検査は妊娠15週からで、実施日は基本的に日曜日(月曜日が祝日のときは月曜日)です。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。2つの検査の違いは絨毛検査と羊水検査の違い、マイクロアレイ検査のしくみは染色体マイクロアレイ(CMA)とはで説明しています。
胎児心エコーは、胎児の心臓を専門に診る施設で受ける検査です。受ける時期や施設は、主治医や分娩する施設にご相談ください。
6. 院長からのお返事
ここまで見てきたように、三尖弁逆流そのものは、染色体の変化を見分ける手がかりとしては単独では強いものではありません[2]。そして、NIPTで21トリソミーが陰性であれば、21トリソミーの可能性は一般に大きく下がります[5]。ただし、この方の陰性後の残余リスクを正確に求めるには、胎児ドックでの確率計算の内容やNIPTの検査性能などを確認する必要があります。
ご質問の方は、当時当院で提供していたプランで、13・18・21トリソミー以外の染色体の数の変化、性染色体、全部の染色体の一定以上の大きさの欠失・重複、いくつかの微小欠失症候群まで調べるNIPTを受け、陰性でした。広い範囲を調べて陰性だったことは、落ち着いて考えるための大きな材料になります。
そのうえで、NIPTは心臓の形を調べる検査ではありません。妊娠初期の三尖弁逆流は、染色体の状態にかかわらず心臓の病気と関係することがあるため[2]、次の健診や胎児心エコーで心臓の形を確かめていただくことをおすすめします。それで心臓の形に問題がなく、ほかに所見もなければ、過度に心配しすぎずに過ごしていただいてよいと考えています。さらに確かめたい場合は、確定検査とマイクロアレイ検査という選択肢があります。
ミネルバクリニック院長 仲田洋美
🩺 院長コラム【検査の結果は「足し算」で考える】
胎児ドックの確率とNIPTの結果が食い違うと、どちらを信じればよいのか迷われると思います。私は、検査ごとに「何を調べた検査なのか」を分けて、結果を足し算で考えることが大切だと考えています。
NIPTは染色体の変化の一部を、胎児ドックは赤ちゃんの体の形や血流を見ています。片方の結果でもう片方を打ち消すのではなく、NIPTで調べたことはNIPTの結果で、心臓の形は心エコーで、と1つずつ確かめていけば、不安の中身もはっきりしてきます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 胎児の三尖弁逆流は軽度でも異常ですか?
軽度でほかに所見がなければ、多くは異常とは言えません。染色体が正常な胎児でもみられる所見で、妊娠20週以降に見つかる軽度の三尖弁逆流は、ほとんどが自然に消えるか、生まれたあとに治療を必要としないと報告されています。ただし、妊娠11〜13週の胎児ドックで見つかった場合は、NTの厚さや鼻骨などほかの所見と合わせて考えます。
Q2. 三尖弁逆流があるとダウン症候群の確率はどのくらいですか?
三尖弁逆流だけでは個人の確率は決まりません。妊娠11〜13週の研究では、三尖弁逆流は染色体が正常な胎児の0.9%、21トリソミーの胎児の55.7%にみられました。胎児ドックで示される確率は、この所見を母体年齢やNTの厚さなどと組み合わせて計算したものです。
Q3. 胎児の三尖弁逆流は自然に治りますか?
治ることが多い所見です。心臓の形や発育が正常な胎児675例を調べた研究では、妊娠20〜23週に4.74%で三尖弁逆流がみられ、この研究で三尖弁逆流が認められた胎児では、妊娠29週ごろまでに逆流が消失したと報告されています。ただし、心臓の病気に伴う三尖弁逆流は別に考える必要があるため、経過は担当の医師と確かめてください。
Q4. NIPTが陰性なら、三尖弁逆流は気にしなくてよいですか?
21トリソミーの可能性は大きく下がりますが、それだけで「心配ない」とは言い切れません。NIPTは赤ちゃんの染色体の変化の一部を調べる検査で、心臓の形そのものは調べていないからです。心臓の形は胎児心エコーで評価し、染色体の細かな欠失・重複については、確定検査とマイクロアレイ検査が選択肢になります。ただし、マイクロアレイ検査もすべての異常がわかる検査ではありません。
Q5. 胎児の心臓の逆流を指摘されたら、次に何をすればよいですか?
まず、ほかに所見があるか、逆流の程度はどのくらいかを、指摘した施設で確かめます。心臓の形を詳しく調べるなら胎児心エコー、染色体を確かめるなら確定検査(絨毛検査・羊水検査)とマイクロアレイ検査です。どれを受けるかは、遺伝カウンセリングで意味と限界を聞いたうえで決めることができます。
Q6. 確定検査は当院で受けられますか?
当院でNIPTを受けた方は、確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。主要な検査項目は3日以内に、マイクロアレイ検査は2週間ほどで結果が出ます。胎児心エコーは、胎児の心臓を専門に診る施設で受ける検査なので、主治医や分娩する施設にご相談ください。
まとめ
胎児の三尖弁逆流はよくみられる所見で、妊娠20週以降に見つかるほかに所見のない軽いものの多くは、自然に消えるか、生まれたあとに治療を必要としないと報告されています[3][4]。妊娠11〜13週に見つかった場合は、21トリソミーなどの確率を計算する材料の1つになりますが、単独では判断材料として弱く、ほかの所見と合わせて考えます[1][2]。
NIPTで21トリソミーが陰性なら、その可能性は大きく下がります[5]。ただしNIPTは心臓の形を調べる検査ではないので、心臓は胎児心エコーで評価し、染色体の細かな欠失・重複には確定検査とマイクロアレイ検査が選択肢になります。マイクロアレイ検査も、すべての異常がわかる検査ではありません。迷ったときは、NIPT(新型出生前診断)と遺伝カウンセリングで、何を調べて何を調べていないかを一緒に整理しましょう。
🧬 NIPTと遺伝カウンセリングのご案内
当院には臨床遺伝専門医が常駐し、90分の受診枠の中で遺伝カウンセリングを行います。NIPTは通常妊娠9週から、妊娠6〜8週は臨床研究として受けられます。当院でNIPTを受けた方は、陽性の場合も確定検査(絨毛検査・羊水検査)まで院内で受けられます。当院の遺伝子検査・NIPT・遺伝カウンセリングは自費診療です。
参考文献
- [1] Kagan KO, Valencia C, Livanos P, Wright D, Nicolaides KH. Tricuspid regurgitation in screening for trisomies 21, 18 and 13 and Turner syndrome at 11+0 to 13+6 weeks of gestation. Ultrasound Obstet Gynecol. 2009;33(1):18-22. doi:10.1002/uog.6264. [PubMed 19031473]
- [2] Wiechec M, Nocun A, Wiercinska E, Beithon J, Knafel A. First trimester tricuspid regurgitation and fetal abnormalities. J Perinat Med. 2015;43(5). doi:10.1515/jpm-2014-0058. [DOI]
- [3] Clerici G, Romanelli M, Tosto V, Tsibizova V, Di Renzo GC. Transient tricuspid valve regurgitation in the fetus: sonographic features and clinical evolution. J Matern Fetal Neonatal Med. 2021;34(15). doi:10.1080/14767058.2019.1667326. [PubMed 31550963]
- [4] Kavgacı A, Örün UA, Kaya Ö, Arı ME. Isolated Mild Fetal Tricuspid Regurgitation in Low-Risk Pregnancies: An Incidental Doppler Finding or a Marker of Postnatal Cardiac Risk? Children (Basel). 2025;12(7):879. doi:10.3390/children12070879. [PMC12293870]
- [5] Gil MM, Accurti V, Santacruz B, Plana MN, Nicolaides KH. Analysis of cell-free DNA in maternal blood in screening for aneuploidies: updated meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2017;50(3):302-314. doi:10.1002/uog.17484. [PubMed 28397325]
- [6] Grande M, Jansen FA, Blumenfeld YJ, Fisher A, Odibo AO, Haak MC, Borrell A. Genomic microarray in fetuses with increased nuchal translucency and normal karyotype: a systematic review and meta-analysis. Ultrasound Obstet Gynecol. 2015;46(6):650-658. doi:10.1002/uog.14880. [PubMed 25900824]



