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ラゲブリオカプセル(一般名:モルヌピラビル)投与対象と用法容量

ラゲブリオカプセル(一般名:モルヌピラビル)投与対象と用法容量

モルヌピラビル

2021年12月、待望の新型コロナウイルスに対する経口治療薬であるモルヌピラビル(ラゲブリオカプセル)が特例承認されました。投与対象となる患者さんや禁忌、用法容量について説明します。発症後5日以内に投与すべき薬ですので症状出現後速やかに診断を受けてください。

ラゲブリオカプセル(一般名:モルヌピラビル)投与禁忌

以下に該当する患者さんは投与禁忌となります。

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

ラゲブリオカプセル(一般名:モルヌピラビル)投与対象となる患者

添付文書に記載の「重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者」の考え方としては、以下があります。

日本感染症学会の「COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第11 報」(2021 年12 月24 日)の以下の記載

  • ・61 歳以上
  • ・活動性の(免疫抑制又は高い死亡率を伴わない癌は除く)
  • ・慢性腎臓病
  • ・慢性閉塞性肺疾患
  • ・肥満(BMI 30kg/m2 以上)
  • ・重篤な心疾患(心不全、冠動脈疾患又は心筋症)
  • ・糖尿病
  • ダウン症
  • ・脳神経疾患(多発性硬化症、ハンチントン病、重症筋無力症等)
  • ・コントロール不良のHIV 感染症及びAIDS#
  • ・肝硬変等の重度の肝臓疾患
  • 臓器移植、骨髄移植、幹細胞移植後

# ここでのAIDSは免疫抑制された病態(CD4リンパ球数が200/mm3以下、HIV RNA量が100,000copies/mm3以上等)を指す。

承認審査その他の臨床試験の組み入れ基準

承認審査における評価資料となった国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験(MOVe-OUT(002)試験)の組み入れ基準、新型コロナウイルス感染症に係る国内の主要な診療ガイドラインである「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第6.0 版」」(令和3年11 月2日)、既に承認を受けている英国で、臨床試験(PANORAMIC 試験)の組み入れ基準において例示されている重症化リスク因子(下表)が想定されます。

これらのいずれかを有する者であって、医師が必要と判断した者については、本剤の投与対象になり得ると考えられます。

MOVe-OUT(002) 試験の組み
入れ基準における重症化リスク因子
「診療の手引き」( 第6.0
版)における重症化リスク因子 ※妊婦への投与は禁忌のため除く
英国でのPANORAMIC 試験の
組み入れ基準における重症化リスク因子
・61 歳以上・活動性のがん(免疫抑制又は高い死亡率を伴わないがんは除く)・慢性腎臓病・慢性閉塞性肺疾患・肥満(BMI 30 kg/m2 以上)・重篤な心疾患(心不全、冠動脈疾患又は心筋症)・糖尿病 ・65 歳以上の高齢者・悪性腫瘍・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・慢性腎臓病・2型糖尿病・高血圧・脂質異常症・肥満(BMI 30 以上)・喫煙・固形臓器移植後の免疫不全 ・慢性呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、喘息を含み、少なくとも毎日予防薬や緩和薬を使用する必要がある。)・慢性的な心臓または血管の病気・慢性腎臓病・慢性的な肝疾患・慢性神経疾患(認知症、脳卒中、てんかんを含む)・重度の学習障害・ダウン症・糖尿病(I 型またはII 型)・免疫抑制:一次性(例:遺伝子変異による遺伝性免疫疾患、通常は出生時に発症し小児期に診断される)または疾患や治療による二次性(例:鎌状赤血球、HIV、癌、化学療法)・固形臓器、骨髄、幹細胞の移植後・病的な肥満(BMI>35)・重度の精神疾患・ケアホーム居住者・臨床医または看護師が臨床的に脆弱と判断した場合

ラゲブリオカプセル(一般名:モルヌピラビル)の効能又は効果

SARS-CoV-2 による感染症

5.効能又は効果に関連する注意

  • 1 臨床試験における主な投与経験を踏まえ、SARS-CoV-2 による感染症の重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者に投与すること。また、本剤の投与対象については最新のガイドラインも参考にすること。
  • 2 重症度の高いSARS-CoV-2 による感染症患者に対する有効性は確立していない。

ラゲブリオカプセル(一般名:モルヌピラビル)の用法及び用量

通常、18 歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1 回800mg を1日2回、5日間経口投与する。

用法及び用量に関連する注意

SARS-CoV-2 による感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始すること。臨床試験において、症状発現から6 日目以降に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

プロフィール

1995年医師免許取得。血液・呼吸器・感染症内科を経て、臓器別・疾患別の縦割りの医療の在り方に疑問を感じ、人を人として”全人的”に診療したいという思いを強くし、臓器を網羅した横断的専門医となり、2010年にがん薬物療法専門医取得(2019年現在全国1200人程度)。臓器を網羅すると遺伝性がんへの対策が必要と気づき、2011年に臨床遺伝専門医取得(2019年現在全国1000人程度)。遺伝相談はセンシティブな分野にもかかわらず、昼間の短い時間しか対応できない大病院のありかたに疑問を感じて、もっと必要な人がハードルを感じずに診療を受けられるようにしたいと2014年12月に開業。以来、全国から大学病院でも難しい内容の対応を求める人々を受け入れ、よろづお悩み相談所として多くの人々の様々な”家族(計画)の問題”を改善に導く。

著書に”女性のがんの本当の話”(ワニブックス)、”遺伝するがん・しないがん”(法研)がある。
少ない専門家で、正直で嘘のない言葉選びから週刊誌等の取材も多く、医療系の特集に時折コメントが掲載。(週刊現代、週刊ポスト、週刊新潮など)。
テレビ出演も時々あり、小林真央さんの病状を市川海老蔵さんが初めて記者会見した日、フジテレビの午後4時台のニュース番組に生出演して解説。その他TBS, AbemaTVなど出演。

一人一人の事情に合わせた個別対応をするべく、しっかり時間を取って本当のニーズは何かを聞き取りすることを大切にしている。短い時間でもお互いが出会ったことが相手の人生に大きな意味があるような医師患者関係の構築を理想として日々精進。

患者さんが抱えている問題を解決するにはどうしたらよいのかを考えて医師歴8年目に法学部に学士入学した程度に”凝り性”。女医が少なかった時代に3人の母親として難関専門医を3つ取得して社会進出を続けた経験から、女性のライフスタイルを医学以外の部分でも支援したいと願っている。いろんな人生経験から心に響く言葉を投げかけるため、”会うと元気になる”ということで有名。飼いネコ4匹。

さらに詳しいプロフィールはこちら

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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